からまる (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 402
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011720

作品紹介・あらすじ

生きる目的を見出せない公務員の男、自堕落な生活に悩む女子大生、そして、クラスで孤立する少年……。注目の島清恋愛文学賞作家が“いま”を生きる7人の男女を描いた、7つの連作集。

感想・レビュー・書評

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  • あっという間に読み切った。ぐいぐいと引き込まれた。パズルのピースがパチッパチッとはまっていくような構成になっている。
    登場人物たちは薄い関係を保つことを生きるうえで選択している人たちばかりだ。作中の文章を
    引用する。
    「ぶつかれば勝つか負けるしかない。器用に立ち回っていれば、勝ちも負けもしない。とても平和だ。」
    自分のことだけ考えるのは楽だ。独りでいることに慣れれば、そこはもう最高のオアシス。それを悪いことだとは思わない。しかし、僕はどちらかというと逆のタイプの人間、つまり数は少なくていいけれども、その人たちとガツガツやりたい(自分をさらけ出すってこと)ので、作中の登場人物たちを見ると、なんかやるせない感じになる。しかし、この小説では、それぞれ抱えている事情は異なるけれども、自分の殻を破り、一歩先に踏み出していく様が描かれている。読後に清々しさを感じた。
    いろんな生き方あると思うが、傷つけ合ってもいいから、自分以外の誰かと関わっていたほうが人生楽しいかもしれない。

  • 連作短編集・・・になるのでしょうか。
    あの話に出て来た人が、別の話の語り手になり・・・という具合に、重なりあうけれども、それぞれ独立した、7つの作品たち。

    そして、そこに絡まるのは、互いの登場人物たちだけではなく、無脊椎動物たち。

    人は、何処かで絡まり合っているから、生きていけるのかもしれないですね。

  • 良かった。
    こういうザッピングものを読むと、街を歩く人々もそれぞれが主人公なんだよなと思い返す。
    この人の感覚が好きになったので、他の作品も読んでみたい。

  • 差し障りのないように傷付け傷付かないように、と目を逸らしていても、許せない心が貼り付いた笑顔が本当は寂しいのだと語っている。傷口から流れ出した血を見て初めてやっと、それが自分の心だと気付きました。見れず触れず離れるのならば、ぶつかり合いイソメのようにどこまでも絡まり合いたい。金木犀の香りがした。鳴り響く足音が世界にひとりぼっちだと笑っている気がした。潮の香りがした。君に出会える、そんな予感がしていた。気のせいかな、君にもうずっと前から、出会っていた気がしたんだ。

  • とってもからまっていた。

    最初と最後の話がよかった。
    私の脳内でとってもきれいな人として映像化された。

  • 人はみんな不器用で、自分の本心を隠して、ごまかして。だから心がぐちゃぐちゃに絡まって。
    でもそれは、ほんの少しの素直さでまっすぐになって、絡まるように紡いでいけるんだと思った。

  • 僕には、誰もが表面上と内面とが違うし、色々な事で悩み、葛藤しながらも生きているんだとわからせてくれる作品でした。
    そんな事はわかってはいたし、当たり前の事だけど、普段の生活で人と接していて、色々と考えさせられている今の僕にはピッタリとはまった感じです。
    千早さんの作品をまた読みたいと思いました。

  • 一文一文が愛おしくて苦しかった。
    どの話もとても良くて、
    自分が読み終わった時の状況が状況ってのもあって
    とても染みついた。

    個人的には姉とカナコの話が大好きやった。

  • 「まいまい」を読みあまり興味が湧かなくて「からまる」の手前で数日鞄の中に放っておいた。
    昨夜、別の小説を職場に置き忘れて読むものがなくて、鞄の中の「からまる」を思い出して読んでみると引き込まれた。

    かなこの話におけるとある一文がとても響いた、後書きにも載っている文。

    何度か浅く泣きそうになりながら、今朝読み終えた。
    羨むくらいに小説の中の海が綺麗だった。

  • 面白かったです。
    あるお話で脇役だった人が次のお話で主役となる、連作短編集でした。
    なんだか湿度を感じるお話たちでした。登場人物たちも、ドライなようで心には沸々としたものを持っていて。
    葛月と華奈子が好きです。皆さん、前に進んでいるところが良いです。なので、田村が好きになれませんでした。
    あと、主役にはなりませんが印象的だったのは大原さんでした。
    「時には迷いながらも目を逸らさずに、たゆまず進む」。これからも生きていきます。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2019年 『夜に啼く鳥は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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