本日は大安なり (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 6687
感想 : 561
  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011829

作品紹介・あらすじ

企みを胸に秘めた美人双子新婦、プランナーを困らせるクレーマー夫妻、新婦に重大な事実を告げられないまま、結婚式当日を迎えた新郎……。人気結婚式場の一日を舞台に人生の悲喜こもごもをすくい取る。

感想・レビュー・書評

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  • 少し前に読んだフォローしている方のレビューに惹かれて買ってきた。台風が通過する日に読み進む。
    11月22日、大安。高級結婚式場で結婚式を挙げる4組のお話が時間の経過に従って入り組んで描かれる。

    我儘で面倒くさい且つかつて自分とも因縁のある新婦の式をつつがなく終わらせようとするウェディングプランナー・山井さんのパートはとても良かった。
    プランナーの仕事の内容ややりがいもよく分かり、これぞプロという仕事に対する姿勢と運びが素晴らしい。
    『楽しいよね。トラブルが起きると。大変だけど、私、アドレナリン全開になる瞬間がわかって興奮する』という美容室のオーナーの言葉も言い得て妙。

    あとの3組は、何やら企みを胸に秘めた双子の姉妹、叔母と結婚する男の別の姿を知って悩む男の子、夕方の式なのに朝早くから会場をうろつく訳ありそうな新郎など、ちょっと怪しげな雰囲気の話から語りだされ先が気になりサクサクと読み進めたが、ネタが割れ出してからはテンポが良くなくてちょっとダレる。
    最後はうまいことまとめられたようにも見えたが、結局、双子はややこし過ぎるし、訳あり新郎はクズ過ぎるし、あまりスッキリしなかった。

  • ブクログで辻村深月のおすすめ本として紹介されていたので、読んでみた。
    あらすじだけ見ると、ウェディングプランナー目線の物語かと思いきや、11月22日の大安の日に同じ会場で結婚式を挙げる関係者の目線から描くグランドホテル形式。
    同じようなタイトルの原田マハの「本日はお日柄もよく」とつい比較してしまい、何ともバタバタした感じと、イヤミスにミスリードしていく手法があまり好きではなかった。
    この作品自体は2011年の発売で、2012年にはNHKでドラマ化もされているらしいが、まだ直木賞を受賞前の作品と言うことで、これまで読んで来た辻村作品とはまた違った印象。
    登場人物が全員マイナスな面を持っているところは、この作者さんならでは…なのかなぁ。

  • 大安に結婚式をあげる4組の新郎新婦とその家族、そしてウェディングプランナー。
    彼らには、なんだか分からないけれど謎がある。
    それが何なのか気になって気になって、ページをめくる手が止まりませんでした。
    ミステリー仕立てになっているので「え、もしかして誰か殺されるの?」「警察に捕まっちゃう?」と、ハラハラしながら読んでしまいました(笑)

    個人的には、大好きな叔母さんの結婚式で、叔母さんを陰ながら守ろうと奮闘する小二の男の子が健気でかわいかった…
    あと、ウェディングプランナーって大変なお仕事なんだなぁと、裏側を知ることができたのがよかったですね。

  • とても読みやすい作品。視点の移り変わりを違和感なく受け入れられて、どう収まりをつけるのかと思うところも全て回収して、最後までずっと楽しませてくれる、辻村深月さんの作品はやっぱり好き。

  • 読んだこと忘れてての再読。
    「僕のメジャースプーン」にいたく感動し、
    「子どもたちは夜と遊ぶ」を何とか読み終え、
    しばらく重たい気持ちを引きずって、
    でも恭司と孤塚が出てくると知った本作を読みたいと思ってのことであった。

    妃美佳と鞠香の話については
    一人称の丁寧語での語り口調ということで
    また湊かなえみたいだなと思ってしまったが、

    うーん、
    面白いっちゃ面白いけど、
    やっぱり辻村さんの傑作を知っているからには、
    本作は大したことないと思ってしまって
    ごめんなさい。

  • 面白かった!
    今までの辻村深月さんの作品で1番好きかも!

    それぞれのカップルに色々あったけど、双子とえーいち良いなー。めっちゃ良かった!
    「勘弁してよ」を確かめるために最初に戻って確認しちゃった。

    だいたい回収された感じだけど、鈴木陸雄の話だけ、恭司は一体何なのかってのと、あすかさんのその後がとっても気になる。陸雄はどーしよーもないな。なんか、こんな事件がリアルにあった気がする。こんな感じで引けなくなっていったのかな?

    辻村さん独特のブラックな雰囲気が活かされつつも、色々解決されていくのがなんか良かった。読後感スッキリ。

  • 物語の展開として、中盤から予想外にハラハラしたけれど、結果的にハッピーエンドな感じで良かった。
    途中、灯油?とか唐突すぎないか?みたいな事もあったけど、最後まで一気に読めた。

    貴和子さんの器のデカさに尊敬。
    お兄ちゃんとの関係は、大丈夫だったのだろうか…

  • ウエディングプランナーのお話。
    大安の日の結婚式場。
    純粋に幸せいっぱいなカップル達のめでたいお話かと思ったが、各々問題を抱えているようで。
    本作品の主人公、ウエディングプランナー山井さんが担当した新婦はワガママで対応に苦労しますが、それでも投げ出さず向き合う姿はプロ意識を持って仕事をしていてカッコイイと思います!彼女に憧れウエディングプランナーを目指す人もいるのでは。
    最後は山井さん感動のハッピーエンドですが、鈴木さんまでハッピーエンドとは。

  • ある大安の1日に同じ結婚式場に集まった4組のカップルとウェディングプランナーの交錯する人間模様が描かれた作品。主要人物それぞれの事情や心情がその人自身が主体となっていて物語が進むので面白くてどんどん読み進めてしまいました。

  • 「こどもは夜と遊ぶ」を先に読んでおいて本当によかった、報われた思いがしました。

    11月22日の大安の日曜日という日本人にしかわからない最高の吉日の結婚式場を舞台にしたドタバタ劇。4つのカップルのストーリーが並行して進む分、登場人物も多数、多彩、物語の一人称となる人物もバトンを渡すようにどんどん変わっていくため最初はかなり戸惑いましたが、辻村さんの丁寧な人物描写、そして性格分けがきちんとなされているために頭の切り替えもスムーズに進みました。このあたり、恩田陸さんの「ドミノ」が少し頭をよぎりましたが、「ドミノ」が『見た目のドタバタな立ち回り』なのに対して、この作品では、『心の内のドタバタな立ち回り』という感じでしょうか。全く描き方が違いますがどちらも見事だと思いました。
    そして、辻村流の不穏な空気が入り混じる中で、唐突に「こどもは」のあの彼らが登場します。そして、不思議と感じる包まれるような安心感。
    最初はちょい役での登場かと思いましたが、まさかのとても重要な役回り。そして、「こどもは」を思い出させるあのセリフ、このセリフの数々、直情的な行動もそのまんま。これには感激しました。文字通りの助演男優賞というのは、こういう時に渡すものではないかと思いました。

    今の時代『大安』や『仏滅』なんていうことをあまり口に出しすぎると馬鹿にもされるものだと思います。世界でこの国にしかないこの言葉。この作品では、違う言葉ですが辻村さんがこう語ります。『長い間交わされてきた言葉には、きちんと意味が宿る。縁起を担ぐことは、祈ることだ。幸せや成功を願う前向きな祈りを責める権利は誰にもない。』結婚だけでなく、新しくお店を開いたり、何かしら仕事で一つの賭けに出るような場合にも、この国では『大安』を頼みにすることがまだまだ多いと思います。日常で馬鹿にしておきながらこういう時だけは声を揃えて『大安にしよう』と。その大きな賭けは事々によって内容こそ違えど、みんなで力を合わせ、その成功に全てをかけて、苦労して準備して作り上げてきたもの、大切なものを確実にはばたかせるために、確実にはばたけるように万全を期す時に最後に頼りにするもの『大安』。結果として、そこまでの苦労と努力が本気であればあるほどにその『大安』に賭けたその願いは確実に叶うものとなり、結果として、『大安』が成功の象徴として人々の中に刻まれていく。そんな『大安』を書名にしたのがこの作品なんだと思います。

    途中の不穏な空気が跡形もなく消え去り、白く澄んで幸せに包まれるような結末にすっかり心が満たされたました。「本日は大安なり」。すごく前向きな気持ちになれました。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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