本日は大安なり (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 2742
レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011829

作品紹介・あらすじ

企みを胸に秘めた美人双子新婦、プランナーを困らせるクレーマー夫妻、新婦に重大な事実を告げられないまま、結婚式当日を迎えた新郎……。人気結婚式場の一日を舞台に人生の悲喜こもごもをすくい取る。

感想・レビュー・書評

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  • 高級結婚式場アールマティ。ある大安のめでたいよき日に行われる4組の結婚式。だけど一見幸せに満ちているはずの晴れの舞台に、様々な企みが見え隠れする。双子姉妹の複雑な愛憎、若い叔母の新郎に疑惑の目を向ける小学生、クレーマー新婦に翻弄されるプランナー、ある秘密を言えずに当日を迎えることとなった新郎。4組のウエディングの現在進行形の出来事に過去のエピソードもうまく絡められ、度肝抜かれる地雷のような仕掛けもあちこちに施されていて、「!?」の連続である。
    いくつもの種明かしには結構ドキドキさせられたが、それでも華やかな舞台の描写は、やはり読んでいてワクワクする。独特の高揚感が花嫁を美しく感じさせる。トラブルはつきものだけど、読む側も非日常な空間に連れていかれるからか、ある程度のトラブルではビビらなくなっている。とはいっても!その予想を裏切るかのような展開は、驚きだけじゃなく、泣きのサプライズもあり。プランナーの多香子の、仕事に懸ける情熱が素敵だ。携わっている仕事は自分とは違うといえど、対お客様という点で共通する部分はある。
    「すっごく気に食わない相手が来たらどうするの?この人の幸せなんて死んでも祈りたくないって相手。それでもやっぱり魔法かけてきれいにつつがなく仕上げてあげるの?」
    美容室オーナーと多香子との会話。自分の度量を試されるような質問だと思う。この言葉が後半で実感を伴って再び思い出される。自分ならどうだろう?と思う。何にせよ、クライマックスでの多香子の振る舞いには胸を打たれた。自分もそうありたいと思った。
    スリリングな一日にはハラハラされまくり、どのウエディングも印象的ではあったが、個人的に好きなのは双子姉妹。辻村さん、女のドロドロした心理を描くのが本当にうまい。新郎の映一には、痺れます!ひとつひとつのセリフがかっこよすぎる。
    果たして収拾は付くのか最後まで気が気じゃなかったけど、後日談的な「大安の後日」を読んで心が温まりました。他力本願的なクズ男には心底辟易したけど、誰に感情移入するかで見る目は変わるのかな~。私としてはまあ、この展開に納得です。
    既婚の方は間違いなく、自分の経験と重ねて読んでしまうのでは。登場人物ほどではなくても、自分もそれなりにマリッジブルーは経験したし、式当日もバタバタしたし、その後も勿論波乱万丈ではあるけれど(^_^;)…あの日を懐かしく思い出せました。
    彼らの未来に幸あらんことを!と祈りたくなる、ハッピーに満ちた一冊。

  • 結婚って素敵だな、と。結婚した彼女らが幸せになって欲しいな、と。そう思い優しい読後感だった。
    私は挙式に憧れがあったのにその負担と見比べて入籍のみにした。結婚して幸せだと思ってはいるけどしてたら…を考えてしまう日もある。結婚式は沢山の手間と時間とお金がかかるけど、それがもたらすエネルギーってすごい。そしてそれを一緒につくるプランナーも。
    時間を追い主人公が変わる形式は上手い人がやらない限りめんどくさく、私としては辟易もしたのだけれど、それでもあたたかい気持ちになれよかったなと思える一冊だった。

  • 11月22日、大安の日曜日。とある結婚式場の1日、様々なカップルと出席者たちを時系列で追う。
    主人公のウェディングプランナーを軸とした「お仕事小説」かと思いつつ読んでいたら、途中から徐々に不穏な空気が……。
    それぞれの新郎新婦と周囲の人のストーリーが、「そう来るか!」という意外性できちんと描かれていた。すべてに納得して祝福できる結末まで、短時間で一気に読んでしまった。文句なしに面白い!

  • 単純思考なわたしはこの1冊の中で何回だまされたことか。

    そのだまされた感が絶妙にすてき。
    でもちょっとくやしい。

    「勘弁してよ」

  • 4つの結婚式がそれぞれ話のテイストが違ってて面白かった!それぞれ全部の結末が気になりすぎて、一日で読んでしまった✩
    双子の姉妹の話が、少し狂気じみてていい意味で恐くて良かったなぁ。

    1年前の自分の結婚式を思い出しました(ノ´∀`*)

  • 何やら企んでいる双子姉妹。
    叔母の結婚に複雑な思いを抱える小学生男子。
    クレーマー新婦に振り回されるプランナー。
    何やら秘密を抱えたまま結婚式当日を迎えた新郎。

    と4組のカップルのお話が時系列に沿って、順に語られます。私はやっぱり屈折した双子と、その新郎映一さんが好きですね~。

    大好きな叔母の結婚に心を痛める真空君も可愛いし、
    クレーマー新婦も鬱陶しいんだけど、最後まで読むとまた違った感情を得られるんです。

    なにせ「大安」ですし、この物語はハッピーエンドです。でも、でも、陸雄だけはハッピーエンドになるのが許せない!!辻村さん優しすぎる~。
    読んでてこいつにだけはムカムカしっぱなしでした。

  • 読後すっきり!いや、もやもやさせる人物もいるんだけど笑

    ふんふん、と読んでいて、双子のところでちょっと、ん?・・・はっ!そうだった!これは辻村作品だった!と気付き、

    楽しくなって読んでたら出てきたのが

    「孤塚」

    ・・・!!!孤塚!!!!!
    全然知らなかったからすごく嬉しくて、なんか心の中で
    やだ〜!久しぶり〜!元気にしてた?今何してんの?!みたいな気持ちに・・・

    と思ったら実は恭二まで出てきてて!
    「いろいろあって子ども好きになったよ」っていうのも、ぼくのメジャースプーンの話ですよね!って、すごく嬉しくなって
    そこからただひたすらワクワクするのみ、だった。
    月子とも仲良いようでよかった。

    で、肝心の作品は、なんだかんだで玲奈のサプライズのところで不覚にも(不覚にも、と言いたくなる)泣いた・・・

    陸雄は正直ハァ?だけど・・・あすか生きてるかな・・・
    全部、他の小説でまた出てきてほしいなっていう登場人物でした。
    真空くんは絶対出てくると信じてる。

  • 大安吉日のある日、結婚式場で挙式を予定した4組のカップルとその家族、ウェディングプランナー達の目線で語られる結婚式小説。
    双子姉妹の企みが面白いのですがその屈折さに切なさも感じました。ただ、そのややこしさを愛してくれる人に出会えたのは幸せだなぁと思いました。
    また、仕事にプライドを持つというのはやっぱり素敵なことだなと思いました。

  • *11月22日、大安。県下有数の高級結婚式場では、4月の結婚式が行われることになっていた。企みを胸に秘めた美人双子新婦、プランナーを困らせるクレーマー夫妻、新婦に重大な事実を告げられないまま、結婚式当日を迎えた新郎…思惑を胸に、華燭の典に臨む彼らの未来は?エンタメ史上最強の結婚式小説! *

    文句なし、素晴らしい完成度に唸るしかない秀作です。
    結婚式小説と見せかけて、人の深層部の暗闇と希望を浮き彫りにし、なおかつそれらを無理なく昇華させていく…巧い!!としか言いようがない。
    特に、一筋縄ではいかない登場人物たちの存在感が素晴らしく、一見悪役なその人でも、知れば知るほど憎めなくなる。
    一度目よりも二度目、二度目よりも三度目…と読むたび惹き込まれること、請け合いです。

  • 結婚式のドタバタアクシデントものかと思って読んでみたら、さすがは辻村深月。えっ、どういうこと!?となる展開が満載で、一気に読んでしまった。
    大安の日に同じホテルで結婚式をあげる4組のカップル。それぞれが幸せな結婚をするように見えるが、実は問題を抱えている。
    新郎がきちんと双子の姉と区別して自分のことが好きなのか試そうとする新婦。周囲に結婚を反対されていた伯母の結婚を阻止するためがんばる甥っ子。わがままな新婦に翻弄されるウェデイングプランナー。浮気のつもりがいつのまにか結婚式をあげるところまできてしまったダメ男。それぞれの人間模様が結婚式を通じて描かれる。
    どうなるかわからない展開にハラハラするが、読み終わると心が満たされる一冊だ。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。
千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞をそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第15回本屋大賞の大賞を受賞した。
他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。

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