百舌鳥魔先生のアトリエ (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA (2014年1月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041011904

作品紹介・あらすじ

妻が傾倒し出した百舌鳥魔先生の芸術。それは生き物を生かしたまま切り刻んで繋げるという異様なものだった。それは次第にエスカレートし……。表題作ほか、生と死の境界を鮮烈に問う極彩色の恐怖の数々!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

生と死の境界を鮮烈に描くグロテスクホラー短編集で、読者を強烈な体験へと誘います。初期作品や新たに描き下ろされた短編が収録され、特に「百舌鳥魔先生のアトリエ」では、極限のスプラッター描写が生理的な嫌悪感...

感想・レビュー・書評

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  • 長らく絶版になっていた小林泰三の初期作品を含む傑作短編5編を再録、新たに2編の描き下ろしを加えたグロテスクホラー短編集は初球からいきなりストレート。
    南極での戦闘、地底に眠っていた生物、海百合っと読めば、≪その方面≫のファンならば、もうニヤリが止まらない第1話「ショグゴス」
    ファンサービスを兼ねた江戸川乱歩真っ青のエログロ描き下ろし短編の第2話「首なし」
    初期の短編で傑作の誉れ高い正統派ホラーの第3話「兆 KIZASI」
    大戦末期、京都が爆撃されなかった真の理由と、古都の守りを汚した事で祟りが現実になってしまった第4話「朱雀の池」
    小林ファンの為にあるエログロ&ブラックの極致!描き下ろし第5話「秘めやかな趣味」
    SFゴシックホラーの傑作。第6話「試作品三号」
    究極のスプラッターとグロテスクな描写で生理的な嫌悪感を抱かせ読者の感情を激しく揺さぶる表題作の第7話「百舌鳥魔先生のアトリエ」
    の収録は小林泰三ファンにとっては感涙もの。

  •  初出1998(平成10)年から2014(平成26)年辺りの作品を収めた短編集。
     この作家の本は3冊目だったろうか。グロ趣味が何となく面白いと思っている。
     今回は、「インターネット時代の文学」という感じが凄くした。もはや言葉の芸としての文学は、この文学には存在しない。言葉なき文学、とも言える。言葉があるのではなく、幾らかの記号が漂っており、吾々がインターネットを漂うのと同じように、この小説ストリーム上を辿る主体は、言葉ではなくむき出しの記号を求めて漂っている。このとき自己自身はむき出しの<欲望>でしかなくなっている。この作家の場合は「グロテスクなもの」への倒錯的な欲望だけが、存在者を存在させている唯一のものである。その欲望は何やらロジックを発生させることで、そのロジックによってようやく時間を動きき出させる。
     人物も光景もほとんど描写されず、人物同士の会話だけでひたすら進む。そしてやっとグロテスクな場面が登場すると、急にそこだけ描写的になる。
     このようなむき出しの欲望の主体と、記号だけが散在しそれらのあいだを「何となく」移動してゆくような、ほの暗い世界の底での体験。この在り方は、「ヱヴァンゲリヲン」の世界とも共通しているように感じる。ここは、日本文化が衰退し根源化して到達した、サブカルチャーのなかでしか実現しなかった作品世界なのであろう。
    「ヱヴァンゲリヲン」と同様に、このような主体の存在は、私にはひたすら「気持ち悪い」。だが、もはや単なる欲望でしかあり得なくなった哀れな人間の行く末は、気にはなる。
     本書を読みながら、そんなギリギリの境地を見るような思いに浸った。

  • ああ、気持ちが悪い!読んでいて吐き気を催しました(小林泰三に対する最大級の賛辞)
    特に「首なし」がお気に入りです。頭部のほとんどを失った男がそのままの状態で生きながらえているという怪奇小説。まるで見世物小屋の出し物みたいだなと思っていたら本当に見世物小屋の出し物にし始めたので笑った。

  • 【2025年119冊目】
    ある日妻が芸術に目覚めた。絵画?彫刻?陶芸?どれにも当てはまらないらしい、百舌鳥魔先生に出会って「芸術」を知ったのだという。やがて妻は飼っている魚を生きたまま部分切除するなど、常軌を逸した行動を始めて――表題作「百舌鳥魔先生のアトリエ」を含む7作の短編集。

    「ショクゴス」と「首なし」は比較的理解できて面白かったのですが、「兆」からちょっと様相が変わっていき、「朱雀の池」と「試作品三号」はちょっと理解するのが難しかったです。

    「密やかな趣味」はひたすらにグロい、でも最後の一文で「えっ、どっち?」と思わされる面白さがありました。「百舌鳥魔先生のアトリエ」はメリーバッドエンドな感じがしてなるほどなと。主人公の心変わりがどこで起こったのかがイマイチ掴みきれなかったのが残念です。

    小林さんの作品の中ではグロさが高めの物が多い気がします。もっとぞっとさせて欲しかった!と思うなどしました。

  • グロ耐性ない人は読まないで!!

    密やかな趣味はずいぶん昔に読んだけど今でもトラウマです。
    オチもなんだかなぁって感じで嫌い(褒め言葉)

  • 妻が習い事を始めた。近所の前衛芸術家に弟子入りしたというのだ。
    翌日、理解を示さない私の前に出された夕飯は数切れの刺身だった。ペットの熱帯魚の水槽の中では骨と内臓が剥き出しになった姿で魚が泳いでいる・・・

     小林泰三氏の短編集。年代がバラバラでかつ描き下ろしが二点。ホラーあり、バイオレンスあり、SFあり、書き口もかなり違う。

  • グロい!グロい!そして気持ちのいい裏切り!!

    7編中4編が既読。
    既読の中では「試作品三号」が好み。
    初読の「兆」に一番グッときた。
    どの短編のホラー的なグロさよりこの中で描かれてるイジメの描写が一番胸糞悪い。

    ほんとにどの話も意外な結末が待ち構えていて満足です。

  • 「ショグゴス」:クトルゥフもの。あんまり対比がうまくいってないかなぁ。
    「首なし」:他の作品でもそうなんだけど、女性がアグレッシブすぎる。
    「兆」:意味わからん。全部女性記者の妄想ないしは狂気の産物なんだろうか。
    「朱雀の池」:京都というテーマありきのお話。脈絡がなさ過ぎてどうにもこうにも。
    「ひそやかな趣味」:見事に騙されました。それにしてもグロいわぁ。
    「試作品三号」:ホラーかと問われれば首を傾げるけれど、設定は一番好み。
    「百舌鳥魔先生のアトリエ」:勢いがありすぎてギャグに思えるんだよなぁ。

  • 久しぶりの小林泰三。
    オワ〜〜そうそう、これが小林泰三…という感じの短編集でした。
    とてつもなくグロい。そして雰囲気が暗い。
    クトゥルフ神話が好きなので「ショグゴス」は題名からニヤリとしながら読んでいたのですが、結末が「そうきたか…!」となる面白い発想だったので、個人的にはこれが一番すきです。
    「朱雀の池」はただただ切なくなりました…そんな…
    いちいち細かいところまで丁寧にグロいんだよな…でも、小林泰三だ〜と安心できるのでサラッと流しながら読んでいます。

  • 昨年の訃報はショックで、持っている本を読み返したりなどしましたが、こちらは初読です。

    表紙のイラストはなんだかお洒落っぽいなと思ったのですが、中身はちゃんと、著者らしいグロさえげつなさで面白かったです。
    ひとことずつにはなりますが、簡単に感想を書かせていただきます。


    「ショグゴス」 ふたつの謎の生物、知性が高いらしい不定形のものとそれに依存しているらしい通称海百合が突如現れ、人間が対処に翻弄する話。考えてみたら、すごくシリアスに重厚にもできそうなお話なのに、このサイズでおふざけもふんだんに取り入れてしまっていて、ハイテンションに突っ走っているのがとても楽しい。

    「首なし」 火事の際の不運で頭部のほとんどを失ったが奇跡的に生き続けている男。頭部は再現してレジン漬けで保存されている。語り手は彼を慕っていたお嬢様で、この人がとてもおかしい。収録作の中でも特に好きな作品でした。

    「兆」 異常行動の末自殺をした女子が、彼女を虐めていた生徒のもとに訪れる。造りは入り組んでいるものの、ページから飛んでくるのは直球ホラーという印象でした。一時期の角川ホラー文庫ってこういう雰囲気の作品多かったなー、てなんだか懐かしくなりました。

    「朱雀の家」 戦時下、京都に住んでいた男が、ふと気付くと米国の研究者になっている……これは掴みどころがよく分からなかったです。

    「密やかな趣味」 アンドロイドを簡単に買える時代に、少年のアンドロイドを購入してあぶない欲を満たそうとする女性の話。グロさぴかいちだし、ある意味短編らしい短編。

    「試作品三号」 創られた最強の妖怪の話。長編で『ネフィリム』という血みどろ吸血鬼小説が好きなのですが、通じるものがあって楽しかったです。

    「百舌鳥魔先生のアトリエ」 主人公の妻が、とある芸術に憑かれてしまう。その芸術とは……。これもグロいですねえ。そういう括りがあるか分かりませんが、正統派のグロと思いました。


    グロ要素が苦手な方はくれぐれもご注意を……

  • 再録が多いけど、「兆」以外は読んだことなかったから良かった。
    SF色強めのホラーが好きなのです。

  • 作者のグロテスクな作風はそのままにSF、ミステリー、オカルト、バトルものなど様々なジャンルが取り揃えられた短編集でした。
    表題作である百舌鳥魔先生のアトリエが一番好きで、隣接する生と死を描くためのグロが生かされてた感じがしました。

  • どの短編も完成度は高いが、グロテスクな描写が苦手な方には向かない小説。それにしても、「密やかな趣味」のオチが直ぐに分かってしまったのが残念…

  • 生と死の境界をグロテスクに描き出す極彩色の七編。
    SF作品の評価も高いのだろうと思いますが、やっぱり狂気じみた作品が素晴らしいですね。
    こちらの頭もどうにかなりそうな狂った世界。だけど不思議なことにすっきりした読後感。
    小林泰三は短編がいいなと再認識しました。

  • ホラー。短編集。
    ホラーというのは共通だが、SF、オカルト、妖怪、ミステリ、サスペンスなど、多様なジャンルの要素があり、飽きない。
    「ショグゴス」のSF要素が非常に好き。

  • 短編集。クトゥルフなアレとかアレとか入ってて楽しい。SFからグロまでよりどりみどりで面白かった。

  • 最初の三編『ショグゴス』『首なし』『兆』がすごくよかったです。
    『ショグゴス』寓話的で皮肉の効いたSF短編。南極に現れた謎の海百合型生物と不定形生物。二種の偏った依存関係を否定しながらロボットの人類への奉仕を当たり前とする人類の矛盾。人類側指揮官の倫理感により話が予想外の方向に向かっていくのがすごく面白い。クトゥルフかじってればさらに楽しい。
    『首なし』あごから上を失っても生きている男。その世話をしながら愛を注ぐ女性の狂気に美しさすら感じる。
    『兆』自殺したはずのクラスメートに付きまとわれる女子中学生。自殺の理由を探るうちに深みにはまっていくフリーライター。日常から異界へと足を踏み外していく怖さを丹念に描く正統派ホラー。複雑な構成が上手いし何より怖い。
    『朱雀の池』は、何かのアンソロジーで既読。どうなるんだろうと展開に惹きつけられるものはあるが唐突で後味は悪い。『密やかな趣味』は、目の付け所は面白いけれどグロさ全開で悪趣味すぎてちょっと。『試作品三号』は、SFバトルもの。軽いノリで楽しい。『百舌鳥魔先生のアトリエ』は、これも悪趣味なんですけれど、主人公の驚きと気持ちの変化に同調できる丁寧さがある。当たり前が壊れていく怖さ。

  • SFからホラー(昭和、平成)、ダークファンタジーまで、1冊でいろいろな泰三ちゃんを堪能できる短編集。とくに傑作なのは皮肉もきかせた冒頭の『ショグゴス』。いまだかつてこんなに気持ち悪く、吐き気を催すようなロボットは見たことがない。ここらへんは泰三ちゃんの真骨頂。あとは、最後の『百舌鳥魔先生のアトリエ』は名作『玩具修理者』をほうふつとさせる秀作。逆に、『試作品三号』はちょっとね……好きなのはわかるけど、どうしても白けてしまうからやめた方がいいのではないか。とはいえ、泰三ちゃん入門書としてピッタリな一冊。

  • 「密やかな趣味」と「百舌鳥魔先生のアトリエ」は、いつもの?小林さんらしいグロっぽさで良かった。
    特に「密やかな~」は、完全にオチが分かりつつも、グロいのが書きたいだけなんじゃないかという、流れの不条理感が何とも言えなかった…

  • 2014年読了

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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