百舌鳥魔先生のアトリエ (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 325
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011904

感想・レビュー・書評

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  • ああ、気持ちが悪い!読んでいて吐き気を催しました(小林泰三に対する最大級の賛辞)
    特に「首なし」がお気に入りです。頭部のほとんどを失った男がそのままの状態で生きながらえているという怪奇小説。まるで見世物小屋の出し物みたいだなと思っていたら本当に見世物小屋の出し物にし始めたので笑った。

  • 昨年の訃報はショックで、持っている本を読み返したりなどしましたが、こちらは初読です。

    表紙のイラストはなんだかお洒落っぽいなと思ったのですが、中身はちゃんと、著者らしいグロさえげつなさで面白かったです。
    ひとことずつにはなりますが、簡単に感想を書かせていただきます。


    「ショグゴス」 ふたつの謎の生物、知性が高いらしい不定形のものとそれに依存しているらしい通称海百合が突如現れ、人間が対処に翻弄する話。考えてみたら、すごくシリアスに重厚にもできそうなお話なのに、このサイズでおふざけもふんだんに取り入れてしまっていて、ハイテンションに突っ走っているのがとても楽しい。

    「首なし」 火事の際の不運で頭部のほとんどを失ったが奇跡的に生き続けている男。頭部は再現してレジン漬けで保存されている。語り手は彼を慕っていたお嬢様で、この人がとてもおかしい。収録作の中でも特に好きな作品でした。

    「兆」 異常行動の末自殺をした女子が、彼女を虐めていた生徒のもとに訪れる。造りは入り組んでいるものの、ページから飛んでくるのは直球ホラーという印象でした。一時期の角川ホラー文庫ってこういう雰囲気の作品多かったなー、てなんだか懐かしくなりました。

    「朱雀の家」 戦時下、京都に住んでいた男が、ふと気付くと米国の研究者になっている……これは掴みどころがよく分からなかったです。

    「密やかな趣味」 アンドロイドを簡単に買える時代に、少年のアンドロイドを購入してあぶない欲を満たそうとする女性の話。グロさぴかいちだし、ある意味短編らしい短編。

    「試作品三号」 創られた最強の妖怪の話。長編で『ネフィリム』という血みどろ吸血鬼小説が好きなのですが、通じるものがあって楽しかったです。

    「百舌鳥魔先生のアトリエ」 主人公の妻が、とある芸術に憑かれてしまう。その芸術とは……。これもグロいですねえ。そういう括りがあるか分かりませんが、正統派のグロと思いました。


    グロ要素が苦手な方はくれぐれもご注意を……

著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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