ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか (角川文庫)

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041012680

作品紹介・あらすじ

私達は身体ではなく「心」を進化させてきたのだ――。人類の起源を追い求め、約20万年のホモ・サピエンスの歴史を遡る。構想12年を経て映像化された壮大なドキュメンタリー番組が、待望の文庫化!!

感想・レビュー・書評

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  • 人類がチンパンジーとの共通祖先から分かれて700万年かけてホモサピエンスとなり、その後20万年かけて現在の人間に至った。その間の我々の「心」の進化を追ったNHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』の取材記。農耕革命、貨幣経済の始まり、といった文明的・技術的な発展とともに、「心の変化」に着目しているところが新しい。


    第1章「協力する人・アフリカからの旅立ち」では、南アフリカの10万年前の洞窟遺跡から発掘された遺物から、当時の人類がすでに身体を飾る装飾具を持つなど抽象的な思考を行い、それらの装身具を周辺の人々と交換するなど、「分かち合う心」を持っていたことが明らかにされる。分かち合ったり協力したりすることは、チンパンジーなどの類人猿には見られない行動だという。そして、そのような心の起源は、インドネシア・スマトラ島のトバ火山の大噴火による気候の大変動に際し、協力することのできる者だけが生き延びることができたことから生じたのではないかという。

    第2章「投げる人・グレートジャーニーの果てに」では、人間のような「心」や言葉をも持っていたとされるネアンデルタール人やホモ・エレクトスなどの他の「人類」と我々ホモ・サピエンスを分かったものが「飛び道具」の使用であるとする。そして、ホモ・サピエンスは、飛び道具を使うことにより、小動物等の食物獲得に飛躍的な優位を得て、活動範囲を地球全体に拡げることに成功した。そして飛び道具は、それだけでなく、大集団における治安維持を可能にし、協力可能な人々の集団のサイズを、それまでの150人程度から数千人規模にまで拡大することを可能にしたということを、アメリカインディアンの遺跡跡から明らかにする。

    第3章「耕す人・農耕革命」では、農耕の開始についての最新の研究成果が明らかにされる。まず、農耕の開始について、以前考えられていたように、農耕が定住を導いたのではなく、定住するようになった人類が農耕を開始したのだという。また、意外にも、野生種の栽培種化というのは、2000年もの長い年月をかけて徐々に進んだのだという。確かに野生種の栽培種化にそのような時間と労力を要するのであれば、定住しなければとても不可能であろう。そして、そのような栽培種は、もともと主食とされていたものではなく、従来は祭などの特別な時に食べられていた麦や米などの希少で美味な食物を大事に育てるうちに、農耕で食べていける収穫量が確保できるようになったという「お祭り説」が現在では有力だという。さらに、従来は農耕が定住や大きな社会を生み出し、更にそれが宗教を生み出したと考えられていたが、むしろ宗教が農耕開始に先行していたのではないかという視点で現在、研究が行われている。

    第4章「交換する人・そしてお金が生まれた」では、都市の誕生と文明の発展について。貨幣のないピグミーの社会では、人々は獲得した食料を平等に分け合い、独り占めや「自分が採った」との自慢が最も嫌悪される行為という。興味深いのは、そんな社会でもやはり人間の本能はより多くのものを欲しがるということ。隣人に「見られている」という意識と不断の努力が社会の平等を維持してきた。これを根本的に覆したのが貨幣経済の出現であり、本当の意味で社会を変化させたのは紀元前550年頃のアテネにおける「コイン」の出現。もちろん「交換が分業を生み、分業が都市と文明を発展させ」、社会の「交流をスムーズにした最大の発明がコイン」であるから、貨幣経済やコインなくして人類の進歩はなかった。が、他方、これらはそれ以前には存在しなかった「無限の欲望」を生み出した。この時代のアテネで盛んになったギリシア悲劇や喜劇の多くがこの「無限の欲望」をテーマにしているのは、コインの誕生からごく短期間で人々の間に蔓延するようになったそれが、当時の社会にどれほどの衝撃を与えたかを表している、という指摘は衝撃的。ホメロスの叙事詩が描いたのは人々が互いに助け合うコイン誕生以前の物語。ギリシアの演劇が生まれたのはコイン誕生後で、そこで描かれる「悲劇とは、極端な個人の孤立についての異様な神話的表現」なのだ!一方でコインは格差を生んだが、他方でコインは個人の解放を生み、コインの前ではすべての人は平等であるという意味で平等化を進める力ともなった。そして古代ギリシアの文化が我々にとって馴染み深いのは、彼らが、我々の生活を支配するお金を持つようになった最初の人々だからなのだ。アテネにコインが生まれたとき、現代人の心が生まれたのだ!

    大変面白い本。特に、アテネの人々が、お金に基づく個人主義が、人々が共通の目的を持つことを非常に困難にし、社会を崩壊させる力を持つことに危機感を持ち、警告を発していたというくだりでは、人間の本性を的確に見抜いていた古代ギリシア人の叡智に大変感銘を受けた。

    しかし、NHKスペシャル取材班の執筆した本を読んでいつも思うのは、その文体へのなんとも言えない違和感。短い文を重ねていくテレビ独特の語り口は決して悪くない。が、なんとも言えない「軽い」文体は何か気持ち悪い…。

  • 「人類とはなに?人間性とは?」という、まあ言ってみればありがちなテーマに対し、世界各地に残る人類の発展の歴史を材料に、紐解いていくドキュメンタリー。
    NHKがやってるだけあって、お金かかってる感がすごい。

    大きく四つの章に別れていて、
    1章 協力する人・アフリカからの旅立ち
    2章 投げる人・グレートジャーニーの果てに
    3章 耕す人・農耕革命
    4章 交換する人・そしてお金が生まれた

    それぞれおもしろいのだけれど、やっぱり序盤の方が日々最新の研究成果が上がっている感があって面白い。最後の「交換する人」の章は、言ってみれば貨幣経済成立までの道のり、なんだけど、ある程度聞いた事ある話ばっかりだし、贈与論とかの話を抽象的にした印象。
    1章の「協力する人」は、類人猿との比較による研究手法がとても面白い。ハイコンテクストな文化はある意味、「ヒト的」とも言える。その一方、個人主義がはびこるというのは、「類人猿的」行動が増えている、とも言えるのかも。
    2章の「投げる人」は極めてエンジニアリング的で興味深かった。3章、「耕す人」は農耕から始まった戦争の激化、に焦点が当たっていて、少し恐ろしいのだけれど、それもまた人間の本性ということ。

    全体的にはすごく勉強になったけど、どちらかといえば、テレビ的な、入門的なお話なのかも。しかし、科学博物館に行きたくなりますね

  • ヒトは、協力する。
    ヒトは、投げる。
    ヒトは、耕す。
    ヒトは、交換する。

    ヒトの始原を探る一冊。

  • NHKスペシャルの番組の取材を書籍にしたものだ。NHKスペシャルは『沸騰都市』や『ヤノマミ』など書籍化されるものも多い。NHKスペシャルのような人と手間をかけた作品においては映像と書籍とは、相補的な関係にある。枠が決められた放送番組だけでは伝えきれないものを書籍で伝えることができる。また文字だけで伝えられないことを映像で表現することができる。たとえば『ヤノマミ』はまさしくそのような作品であった。

    「この本は、人類の壮大な歴史のなかに、私たちの心の進化を追いかけるものだ」

    グレート・ジャーニーと呼ばれるアフリカからの出発と全地球規模の人類の拡散。この過程において、人間の心はどのように発展していったのだろうか、というのがこの作品のテーマだ。『イヴの7人の娘たち』などの書籍でも一般的になったが、現生人類は5万年ほど前に東アフリカの大地で生活をしていた非常に少ない数の人類から全世界に広がったと言われている。その中で、人類の攻撃性と協調性とがどのような役割を担ったのかが提示される。

    本書のひとつの大きなトピックは、現生人類とネアンデルタール人の交流と比較だろう。ネアンデルタール人がなぜ滅亡をしたかについて定説は確立していない。本書でも挙げられているように、現生人類に対する単なる種としての優劣ではなく、多くの原因が重なったものだろう。本書では、現生人類が最終的に生き残った想定要因のひとつとして、投擲具の利用を挙げている。ネアンデルタール人は、その大柄な体格から必要がなかったのではないかと。また、その事実が現生人類の持つ攻撃性の問題につながる。

    いずれにせよ、彼らが現生人類の祖先と遭遇したのは確実であるようだ。ある研究によるとアフリカ以外の人類で1~4%の遺伝子がネアンデルタール人と共通しており、異種交配の可能性を示しているとのことだ。それは真実なのだろうか、またそれは進化の過程においてどのような影響があったのだろうか。まだまだ分からないことがたくさんあるということはある意味ではよいことだ。

    人間の持つ攻撃性については、なぜ人類が全地球規模に広がっていったのかという考察にもつながる。ひとつの要因として、子どもが増えたときに食糧不足の原因もあるだろうが、本来的に持つ攻撃性によるグループ間の戦いの結果として、あるグループが別の場所を探していったということが継続的かる広範に起きたということも理由としてあるのかもしれない。コンピュータシミュレーションでも、身内に対して利他的で、対外的に非友好的なグループが最終的に優勢になったという結果も紹介されている。もちろん、こういうシミュレーションはルールの設定にも依存してしまうので拙速に結論を出すべきではないのだが。

    「意識しようがしまいが、人間のなかには、闘争に駆り立てられる生理的な仕組みがある。その仕組みはなぜ、私たちに広く組み込まれることになったのだろうか」

    放送は4回にわたって行われた。章立てと同じく、助け合いについて、投擲具(=攻撃性)、農耕(定着と摩擦)、貨幣(交換と不平等)の登場をキーテーマとして展開される。おそらくは番組制作の企画段階で練られたものだと想定するが、結論ありきで仮説を集めているところもある。目的のひとつでもあるのだろうが、取材の過程に割かれるパートも多く科学書としてはやや物足りない。たとえば、

    「そもそも類人猿の社会は、優劣がはっきりした階級社会で、平等ではない。人類の遠い祖先もおそらく不平等の社会をつくっていたはずだ。つまり平等主義に基づく社会は、人類が誕生し、その進化の過程で築きあげたものなのだ」

    格差社会批判をやりたいとも取れるが、考察がやや足りていないように感じる。作品全体としてやや消化不足かなという印象だ。NHKスペシャルといった作品の可能性とともに限界が出ているように思う。ただ、NHKの資産としては何等か有益なものが残ったと思う。重要で興味深いテーマだと思うので、NHKさんには予算を付けてもらってこの先もまた何度か取り上げてほしい。

  • 遺伝子の99%を共有するヒトとチンパンジー。その大きな違いは「共感性」にあるという。チンパンジーも「道具を渡す」という利他的な行動をすることはできるが、「貸してくれた御礼をする」とか「前に助けて貰ったからお返しをする」ということはできないらしい。人間が進化の過程で獲得した特性は「助け合うことができる」「分かち合うことができる」ということなのだ。
    しかしその一方で、人間ほど同種間で殺し合うものもいない。その矛盾を解き明かしていく試みは興味深い。

    人間を闘争的にするテストステロンと、信頼し、共感することを促進するオキシトシンという、相反するふたつのホルモンが、我々の中では分泌されている。その働き如何で人間は殺し合ったり愛し合ったりの間を揺れ動きながら、現在まで何万年も生きてきた。

    その矛盾した存在である私たちがこの先も生存できるかどうかは、そのバランスをいかに均衡させるかという心の持ちようなのかもしれません。

  • 非常に興味深く、テーマに対する深度も初読者にはちょうどよく読了することが出来た

  • NHKスペシャルの取材記録。面白いテーマかつ読みやすい。分析の深さはいまいち。

  • 現生人類でもっとも遠い祖先であるブッシュマンで有名なアフリカ南西部のサン族。彼らの社会でもっとも嫌われるのはケチと自慢。生き残るために、分かち合う事がとても重要だった。自ら作る装飾品はすべてプレゼント用。AさんがBさんに首飾りをあげると、BさんはCさんにあげる。最後にAさんに誰かがあげるまで続く。首飾りが少ない人は交友関係が少ない人。首飾りが多いと困った時に助けてくれる人が多い。彼女たちにとって、首飾りは仲間との絆を大切に思う心。このネットワークの距離が長ければ長いほど、飢餓対策の保証となる。

    人間の乳児の最初の行動のひとつは物を拾って口の中に入れる事。次の行動は拾ったものを他の人にあげること。これは世界共通の行動パターンであるから、自然淘汰の結果である。

    人間に一番近いチンパンジーでも一人の子供を一人の母親しか育てない。人間の特徴は、周りの人たちみんなで複数の子供を育てる。

    人間ほど出産が複雑な生き物はいない。通常、胎児は頭を下にして、産道に突入する。
    1. 突入時、胎児は母親の横側を向かなければならない。
    2. 産道の途中まで来ると、頭を旋回させて母親の背中を向かなければならない。
    3. 出口付近では、胎児はさらに頭を少し横に回転させなくてはならない。
    4. 最後は母胎の恥骨と尾骨の間に肩が入るようにしなければならない。
    母胎の骨盤口は広いところの平均で13センチ、狭いとことで10センチ。胎児の頭の前後径は10センチ、肩幅は12センチ。出産時に他者の介助が必要な唯一の生物。これは二足歩行を始めた結果だと考えられている。

    人間の赤ん坊は難産であると同時に、極めて脆弱。簡単に体温を失い、頚筋も弱く、頭は柔らかい。これを乗り切る為に他者の介助を必要とする。

    人間の赤ん坊は授乳期間は長いが、ほかの食料も与え始める(離乳)。これは、父親、両親、兄妹、友人も行うが、他の動物には見られない。この離乳のおかげで、母親は次の妊娠に早くとりかかる事ができる。実はチンパンジーに比べて多産である。


    全世界の人類に共通する合図は笑顔。笑顔はたった一つの意味しか持たない。たとえ暴力があり、不安があり、怒りがあり、混乱があっても、その人に笑顔を見せたら対話が始まる。

    人の脳には二面性がある。我々は不公正な人、不愉快な、嫌な人の痛みを見た時に快感を感じる。不公正な人に対する天罰の意識が報酬回路に付加されている。それは、不公正な人の搾取から自らを守る必要がある為。

    人間の持つ柔軟性は、協力と対立の両方向へ作用する。これは人間の悲劇的な定めである。


    森林の土壌に生息する粘菌は、通常は単細胞アメーバの状態でバクテリアなどを食べながら分裂、増殖するが、飢餓状態を察知すると、全滅を回避する為に、10万単位の粘菌が集まって茎や柄という立体構造を作り、その先端に胞子体を作る。これが見事なのは、子孫を残す事ができるのは胞子を担当した菌だけで、その他の部分を担当した菌は残す事ができない事。だが、柄を担当した菌は自らを犠牲にしたわけではなく、自分と同じ遺伝子の持ち主を残そうとしたとも解釈できる。

    人間の協力行動は自分の血縁を超えるがこれも生物界では大きな飛躍。

    チンパンジーやゴリラの場合、群れをボスが力で規律を守らせているため、彼がいなくなると無法地帯となる。罪の意識や後悔はない。だが、人間の場合は罰せられるのを避け、身勝手な行動を自制する。これにはモラルや恥といった感情が生まれている。こういった感情は人類にしか見られない。

    狩猟採集民の中で、問題を起こした者を止むを得ず死刑にする場合、復讐の連鎖を避ける為に、親族に刑を執行させるか、集団全員が同時に攻撃する。この時の武器は矢である。

    人類は、グレートジャーニーを乗り越える食料の獲得手段と身内への制裁に飛び道具を用いた。
    飛び道具の誕生は、協力と分かち合いを前提とする集団の秩序を強化した。


    我々人間を含めた猿の仲間は、意識的な思考や記憶を司る大脳新皮質のサイズと、一人が一度に築ける関係=集団のサイズが比例する。テナガザルは15匹、ゴリラは34匹、オランウータンは65匹、人間は148人。

    人は心の輪の外側にいる人たちに対して道徳的に無関心。よって、すべての人間を輪の中に入れる事を人々に奨励するよう、輪の心理を十分に理解する事。道徳の輪は、他の人間が生きていた方が死ぬよりも有益になる互恵主義のネットワークの拡大に伴い外側に拡がってきた。

    パプアニューギニアでは、原住民が戦いに向かう前の儀式「シンシン」を踊ると、テストステロンが15%上昇し、ストレスホルモンは23%上昇する。

    テストステロンは男性は女性の10倍あり、支配や、攻撃、筋肉組織、顔の毛、太い声に関係している。チェスゲームに勝っても、ひいきチームがサッカーで勝っても上昇する。勝負事に関わって上下するホルモン。

    トルコにある約1万年前の人類最古(新石器時代)の神殿であるギョベックリテペは、多くの場所から人々が集う交換の基盤であった為、イノベーションの基盤にもなった。ここで人々は足りないものを補い合うだけでなく、よりよいものを作り出した。そこは戦争の問題解決を図る融和の場所でもあった。

    東南アジアでは、結婚や姻戚関係を結ぶ、借金をする、土地を購入する、政治的同盟を結ぶ、村を防衛するなどの目的の為に家畜を飼った。つまり、食料確保の為ではなく、主にコミュニケーションの手段に用いられた。

    伝統的な社会では、米は非常に貴重な食物であり、祝宴の際に提供された。


    宗教か道徳のプライム(先行する事柄)がある人は、利他行動をしやすい。両者がない人間は私利的行動を取る。

    宗教は評判の代役を果たす。自分と同じ宗教を信じていた場合、自分のような行動をすると信じる事ができる。

    宗教上のつながりは踊りのなどの儀式に参加する事によって強まるのではなく、超自然的な存在に祈る事で強まる。これによって文化的にどんどん広がり得る。進化論的に言えば、神の概念を持っていた集団は、そうでない集団より協力し合う社会を形成していたので生き延びられた。

    協力の進化こそ人類が達成したもっとも重要な功績である。

    オキシトシンは脳の進化的に古い部分を活性化する。そこは我々の自覚意識領域の外側にあり、ほかの哺乳類や爬虫類、魚類とも共通する部分。太古のメカニズムである。

    「計画対象期間」とは、その生物に見通す事のできる将来の期間の事。つまり、視野に入る未来の長さ。人間以外は極めて短い。この違いが他人への信頼の違いにつながっている。


    オキシトシンはテストステロンの拮抗勢力として発達した。攻撃システムであるテストステロンの方が歴史が古い。ただ、20万年前からのホモサピエンス時代にはすでに両方とも備わっていた。

    瞬間記憶能力は人間よりもチンパンジーの方が優れている。チンパンジーは今ここを生きているから。人間はこの能力をどこかの時点で失い、代わりに計画対象期間を延ばしたり、言語を発明した。


    「どんな女性にとっても最良の夫は考古学者に決まっている。なぜなら妻が年をとればとるほど夫が興味を持ってくれるでしょうから。」アガサクリスティ


    プロ化が生産性を向上させ、交換を活発にしてさらに多様なプロを生んでいく。交換こそが分業を可能にし、技術の発達を促し、我々の繁栄の礎となる。

    集団的頭脳。一人一人が均質であるよりも違う個性を持つことに価値がある。それだけ集団的頭脳を多彩にするから。

    メソポタミア時代には都市が誕生し、農地の利用料や様々な借用料が払えない農奴が増えたが、アマギ(徳政令)が頻繁に行われた。これは、支配者側が戦時の兵力を担保する為であった。

    カメルーンの現地語で「ココロ」は「何もない」の意味

    貨幣経済が浸透すると、食料とは違いお金を隠せるようになった為、今までのように分け合うのではなく、家庭ごとに消費するようになった。

    古代ギリシャについて、コイン誕生前のホメロスの叙事詩では、人々が互いに助け合い、類縁関係、儀式などによって関わりあっていた社会が描かれているが、コイン登場後は親族内の暴力を扱う悲劇ばかりになった。

    コインは新しい種類の個人をつくった。完全に孤立した個人、自分自身の努力により、立ち上がりも倒れもする個人、自分で全てを賄うことのできる個人。これは解放であり、孤立でもあった。

    人は共感し協力し、集団的頭脳を培うことができる。


    「私がなにを思ってきたか、それがいまの私をつくっている。
    あなたがなにを考えてきたか、それがいまのあなたそのもの。
    世界はみんなのこころで決まる。世界はみんなのこころで変わる。」谷川俊太郎

  • 図書館借り
    途中断念…DVDでみたい。

  • 人間が一番進化して、もっとも優れた知性を持つという見方自体、松沢さんは否定する。それは、「人間中心の世界観」だというのだ。その世界観のなかでは、自ずと人間が一番賢く、チンパンジーは劣った存在だということになってしまう。しかし、どんな生き方、どんな環境でも優れた知性というようなものは存在しない。安易な優劣論議は無意味なのだ。

    A,4,K,7 母音のカードの裏にはいつも偶数
    16歳,コーラ,22歳,ビール 20歳未満はアルコール禁止のルール違反

    バンダー数 脳みそのサイズから計算した一度に築ける集団のサイズ テナガザル=15 ゴリラ=34 オラウータン=65 ヒト=148

    自分の子どもの未来を詳細に想像する、自分以外の誰かの将来に思いを馳せる、これを未来と呼ぼう

    そもそも類人猿の社会は、優劣がはっきりした階級社会で、平等ではない。人類の遠い祖先もおそらく不平等の社会をつくってきたはずだ。つまり平等主義に基づく社会は、人類が誕生し、その進化の過程で築きあげたものなのだ。そこまでして、不平等を排し、平等社会を築いた理由は明確だ。そのほうが進化上、有利だったのだ。

    いま、われわれが、どこかに価値の基準をさだめ、自分自身を停泊させようとしても、その座標軸自体が動いていってしまう。価値の基準が動きてしまうから、選択したことの意味を自分に確証する方法がない。

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