真実 新聞が警察に跪いた日 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013236

作品紹介・あらすじ

北海道警察の裏金疑惑を大胆に報じた北海道新聞。しかし警察からの執拗な圧力の前に、やがて新聞社は屈していく。組織が個人を、権力が正義をいかに踏みにじっていくか。恐るべき過程を記した衝撃の証言!

感想・レビュー・書評

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  • 道警のそしきてな裏金作りを調査報道で暴いた北海道新聞が道警の反撃(捜査情報を流さない、裏付の甘かった報道への逆捜査、名誉毀損訴訟)の前に屈し、調査報道の中心だった著者をスケープゴートに手打ちをしようとした裁判の背景の当事者の手による告発ルポ。
    もちろん第三者視点から見たときに、著者が強引な記者だったり、記事の書き方がセンセーショナリズムに偏るなどのことはあったとは思うが(だいたい記事なんて半分創作というか都合のいい部分使って書きたい結論に合わせて書き抜くだけだし)、それでもこの中身が事実なら(まず事実だろう)警察と新聞の腐敗の闇の深さに茫然とせざるを得ない。
    組織維持の前に正義も使命も吹っ飛んでしまう官僚組織(新聞社上層部含めて官僚)の怖ろしさ。
    著者が最後の方でエピソードとして書き加えた一般企業の内部告発者の「社長とその取り巻きの茶坊主どもを退任させたけど、結局後に座った連中もすぐ同じ顔になる」というコメント(大意要約)が胸に刺さった。

  • 高田昌幸『真実 新聞が警察に跪いた日』角川文庫。

    北海道警察の裏金問題追求の調査報道の裏側で進行していた北海道新聞の経営幹部らによる秘密交渉を暴いたノンフィクション。

    確かに警察、企業の行為はあるまじきものなのだが、著者の感情が先走ったような文章や表現にやや興醒め。

  • マスコミ塾の講師のおすすめ記事を見て。
    北海道ということもあったので、読んでみたがなかなかに難しい問題だった。
    ノンフィクションというジャンルを読みなれていないので、もう一回読み直して映画化もされた「日本で一番悪い奴ら」を読みたい。

  • 衝撃的な話。警察の裏金問題なら知っていたが、それがその後警察の猛反撃に完全に屈していたとは知らなかった。あと、赤旗よりひどいと言われる北海道新聞にこんなに立派な記者がいたことも新鮮な驚きだった。

  • 先日、記者クラブで道新の記者と道警の裏金問題の話になりました。
    それであらためて興味を覚え、その足で図書館へ行って借りたのが本書。
    紙面で道警の裏金問題を追及した当時の道新のデスクが書いたノンフィクションです。
    読み始めるとページを繰る手が止まらなくなり、2日間で読了しました。
    一連の道新報道のきっかけは、テレビ朝日の報道番組「ザ・スクープ」でした。
    「旭川中央警察署で捜査用報償費が裏金になっている疑いが濃厚」と報じたのです。
    2003年11月23日のことです。
    日曜のがらんとした道新編集局フロアで番組を見ていた著者は、なかば呆然となったそうです。
    道警の内部告発が、道新を飛び越して東京の放送局に届いたと推察されたからです。
    そして、部下にこう言ったそうです。
    「俺たち、みくびられているよな」
    そこから道新の怒濤のような道警の裏金追及報道が始まります。
    2003年11月から2005年6月にかけての約1年半に掲載した関連記事は、大小合わせて実に約1400本を数えました。
    私もうっすらとではありますが、この間の道新の報道については記憶にあります。
    埋もれていた事実を丹念に掘り起こし、それを材料にして手を緩めることなく執拗に追及する。
    それはまさに「調査報道」の名にふさわしいものでした。
    道新はこの報道で、新聞協会賞、JCJ大賞、菊池寛賞とトリプル受賞の栄に浴しました。
    当初は頑なに裏金の存在を否定していた道警も、ついに抗しきれなくなって裏金の存在を認め、道民に謝罪しました。
    ところが、渦中の道警の中枢に身を置きながら、断固として裏金の存在を認めない人がいました。
    道警元総務部長の佐々木友善氏です。
    佐々木氏は、道新の報道を元に書かれた書籍の一部を虚偽と断じ、自身の名誉を傷つけられたとして、ついには裁判まで起こします。
    佐々木氏は裁判を起こすまでの間、道新の幹部と秘密交渉を重ねて、書籍の中の当該個所の取り消しと紙面上での謝罪広告の掲載をしつこく求めました。
    しかも、この秘密交渉を道新側に無断で録音し、後に裁判で証拠提出したのです。
    そのやり取りの生々しいことと云ったらありません。
    驚くのは道新幹部のこんな発言です。
    「私のほうの記事が引き金をひいたわけですから、その部分については、率直に、うちの記事がいたらない、いたらない記事がきっかけで。率直に謝ったほうがいいと思います」
    著者ではありませんが、私も読んでいて「なぜ、謝罪する必要があるのか」と道新幹部の発言に憤りを覚えました。
    この問題は、道新の内部にも大きな軋轢を呼び起こします。
    著者をはじめ一連の報道に関わった記者たちに対して、道新幹部が記事の情報源を明らかにするよう執拗に迫りました。
    著者らは道警側に筒抜けになることを恐れ、その要求をことごとく突っぱねます。
    一連の報道に関わった記者たちは異動でばらばらになりますが、新しく道警担当のキャップになった記者が裏金追及報道の意義を全否定し、走狗のごとく道警にご注進に走る姿は読んでいて見苦しく、情けなくなりました。
    そして、ついに、佐々木氏による名誉棄損訴訟は、著者ら被告側の敗訴という形で決着します。
    裁判が終盤を迎えるころ、著者は入社2、3年目の若い同僚記者とススキノのバーで飲みました。
    若い記者はこう話したそうです。
    「先輩たちの裏金報道はすごいと思いました。入社前でしたが、あこがれました。でもいまはちょっと違うんです。自分は調査報道をやりたいとは思いません」
    どうして、と問う著者に、若い記者はこう答えます。
    「だって社内では調査報道をやろうという雰囲気、全然ないじゃないですか。あんな危ないものは手を出すな、みたいな気分が充満しているじゃないですか。社内では、調査報道なんて、まったく評価されていないじゃないですか」
    本書には詳しく書かれていませんが、著者が居た堪れない気持ちになったのは容易に想像がつきます。
    著者はその後、道新を辞め、フリージャーナリストを経て現在は高知新聞で記者をしています。
    一連の報道に関わった記者のうち何人かは辞め、残った記者たちも全く関係ない部署で仕事をしているそうです。
    若い記者の中には、裏金追及報道を知らない記者も増えているといいます。
    道新だけではありません、道警の体制も大きく変わり、著者が道新で現場記者だった時代に付き合った警察官の多くは退職しました。
    こうして一切のものは過ぎて行くのだと思いました。
    北の大地から、調査報道の火も消えつつあるのでしょうか。
    読後、寂寥感を禁じ得ませんでした。

  • 「少しキツい内容」というように思ったのは、筆者達が「社内的立場がドンドン悪くなる」ような感じになる過程だ…筆者御自身は、現在では御出身の高知で新しい活躍の場を得ているというのだが、本書を読むと「多大な功績と数々の表彰を受けた経過が在るのに、半ば追われるように社を去り、北海道を離れたのであろう」という様子が伺える…

    とにかくも、考えさせられる一冊だった…

  • 驚きだった。恐ろしい内容だった。なぜ北海道警が認めた裏金問題で、報道した側がひざを屈しなければならなかったのか。関係を元に戻したかったから?スクープを推奨する会社側は、会社員であるスクープした記者を守るべきだが、全くできていない。体面を守っているようで、会社の歴史に禍根を残している。批判した記者はその後も弾圧され続けてしまう。

  • 北海道新聞が、北海道警察の裏金作りを裏付け取材をして記事にした。警察からニュースをもらっている、いわば飼い犬の立場であった新聞が、飼い主に噛み付いた。その果敢な取材は様々な賞を受賞したが、新聞はしだいに警察の圧力に屈していく

  • 【130冊目】道警の裏金問題に対する道新の取材・告発記事、それをめぐる一連の出来事と、道新の謝罪広告掲載、道警OBによる道新らを相手取った訴訟。そして、こうした動きの背景にあった道新幹部による道警及びそのOBとの秘密交渉の暴露を内容とする本書。副題が印象的。
    一時期集中的に報道された道警不祥事を整理するのにも役立った。

    相関関係にあるいくつかの出来事が同時並行的に描写されているため(これは筆者の認識と合致するのだろう。また、記載をドラマチックにすることにも貢献している。しかし、本書における時系列を前後させるレトリックは、読者を混乱させることにも少なからずつながっているようだ。)、他のレビューには認識の誤りも見られる。私には、本書では下記のように書かれている。
    ▲道警の裏金問題:
    道新→(記事にて告発)→道警
    ▲裏金問題対応時に本部長が総務部長を叱責したかなどに関する名誉毀損訴訟:
    道警OB→(提訴)→道新、高田記者等
    ●薬物捜査の報道について:
    道警→(訂正要求)→道新
    道新上層部→(訂正要求・情報源明示要求)→高田・佐藤らの記者
    道新上層部→(謝罪広告)→道警
    ●上記報道に関する道新の謝罪広告について:
    道警、道警OB→(不満・訂正要求)→道新

    こうして整理してみるといまいちよく分からないのは道警OBの佐々木氏の対応。当初は自身に対する名誉毀損に関する調査・謝罪要求を行っていたのにもかかわらず、薬物捜査の謝罪広告についての自身の不満を名誉毀損訴訟提訴の理由としている(ように本書では読める)。分析的に見れば論理必然的な関係にないはずの両者を混同しているからこそ、佐々木氏の対応が、道新に対する意趣返しのように解釈されるのではないだろうか(その当否は別として。)。

    他のレビューには佐々木氏個人の要求・提訴と、道警による対応を混同しているものが見られる。私自身は、少なくとも母国語でなされる文章についてはその相関関係を正確に理解できる人間になりたいものだ。特に個人が主体なのか、組織が主体なのかという点は、本書が個人と組織の関係を主題の一つにしているからこそ、丁寧に読み解きたい。
    他のレビューに事実関係を混同しているものがあるのは、本書全体が醸し出す「道警」だとか「秘密交渉」という言葉のおどろおどろしさや、それらに対する恐怖の念から来るのかもしれない。大衆とは往々にしてそうしたものにより冷静なマインドを失いやすいのだろう。だからこそ、「知ろうとすること。」ではないが、冷静に事実関係を見通そうとする姿勢を忘れない能力を意識的に身に着けなければ。
    なお、文庫版ではなく、単行本版の方のレビューには良いものが多い。なぜなのだろう。 

    その上で。裏金問題と薬物捜査報道に対する謝罪広告について。
    多くはここには書かないが、本書の記載にある「けじめ」だとか「セレモニー」だとかが主に道警幹部や道新上層部の認識に一番近い表現なのではないだろうか。人間や組織の関係性の生臭い部分がよく表されている言葉だと思う。

  • このような事実をこの本を読むまで知らなかった。警察のような公権力の真実を知らせることの難しさがよくわかった。この本は、北海道警察と新聞社の問題であるのはもちろんだが、これからの日本に生きる我々にとって、何が大切かを教えてくれている。

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