妖奇庵夜話 人魚を喰らう者 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 942
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013298

作品紹介・あらすじ

妖怪のDNAを持つ人、妖人。妖人茶道家の洗足伊織は、明晰な頭脳で妖人にまつわる事件解決に一役買っている。そして妖人「人魚」の登録のある女性が誘拐されたことから、今回も警視庁に協力を要請され……。

感想・レビュー・書評

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  • 『妖奇庵夜話』シリーズ。
    今回は人魚の話。相変わらず、人の心の弱い部分に入り込んで言葉巧みに操るのがうまい。不穏な影がだんだん強くなっていく。

  • 妖奇庵夜話シリーズ・第3作目!
    この巻は、1・2巻を読まれてからを、強く強くオススメします!

    〜~〜~〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    「脇坂の息が止まる。凍らせた石を飲み込んだような気がした。」(173ページ)

    〈人魚〉として妖人登録されている今野水希が誘拐された。
    一体誰に、なんの目的で…?

    民俗学を調べる水希の兄。
    とある島の網元を辞め、移住してきた水希の祖父。
    水希の婚活仲間の加南。

    それぞれの過去と現在が、複雑に絡み合っていき…

    〜~〜~〜~〜~〜~〜~~~~~~~~~~~~~~

    今回は八百比丘尼や〈人魚〉を絡めたミステリーでしたが、今回も構成がすばらしく、最初から最後まで一気読みでした!

    コンスタントにさしこまれる、誰ともわからないモノローグ。
    確かにヒントは書かれているのに、いくつものピースがバラバラ、もしくは絡み合って時系列も前後しつつ置かれ、ミスリードを誘います。

    2巻となる「空蝉の少年」の感想で、わたしは1巻2巻はどちらから読んでもなんとかなる的なことを書きましたが、3巻からはなんとかなりません…!
    なぜなら本書のラストには「衝撃の事実」が、さらっと書かれているからです。
    そしてその一文を読んだあとは、「よ、4巻を…!!今すぐ4巻を、続きをもて〜い!!!!!」と叫んでしまいたくなるでしょう…

    本巻ラストはおそらく、シリーズ最初のターニングポイントです。
    ここからその「衝撃の事実」がどのように物語を覆っていくのか…?
    ミステリーとしても、それぞれの関係性の物語としても、この先がとてもたのしみです。

    〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    それにしても、今回の表紙もかっこいい〜!
    主人公・洗足伊織の“インバネスコート”姿(作中にこのコート名が書かれていたのですが、どんなコートかわからなくてググりました(笑))、シャープな佇まいにしびれます…!
    そして伊織の後ろにいる男は…男は………誰??苦笑
    読み終えた今でも、確証がなくてわかりません(笑)

  • 『人魚』として登録されていた女性の誘拐事件。妖人『人魚』と、とある島に伝わる人魚伝説を巡る、過去と現在の事件。それらが交錯したとき…

    今回は脇坂が少し活躍していて嬉しかったです。なんだかんだ伊織にも認められているようでよかった(笑)
    脇坂君、甲藤に負けるなー!

    青目の伊織への執着が恐ろしいです…。
    青目の手引きがなければこんなに悲しい、やるせない事件は起こらなかったのに…と怒りがふつふつと沸いてきます。
    青目と伊織との関係が明かされ、これからどう展開していくのでしょうか。
    強く見えて、もろく危うい伊織…不安です。

  • このシリーズの、
    読み終わった後に心がズシリと重く暗くなる感じが好きです。

    お願いだから伊織のささやかな幸せを奪わないでほしい。
    伊織たちには幸せでいてほしいです。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    榎田さんの本面白いかも!作者買いしてみようかな〜〜

  • どんどん惹き込まれていく。

    シリーズを通しての『女の醜さ』がいい感じ。

    脇坂くんのキャラクターが濃くなってきた。ウロさんとのコンビの安定感、そして妖琦庵に新しい仲間(自称)がきて賑やかに。

    シリーズ全体の展開が読めないのが面白い。あと伊織と青目の関係が耽美を掠っていてたまらない。最後の発言で、目からウロコ(人魚だけに)。
    今後どうなっていくのか、気になります。

  • 因果応報・勧善懲悪は嫌いではありませんので、「青目よ、よくやった」とは言えないものの、この結果にある程度納得です。猟奇的シリアス感と、妖琦庵ファミリーの和やかな食事風景、伊織センセと家令さんの妙に可笑しな舌戦のバランス取れた配置が絶妙で癖になります。次巻から“犬”は常駐でしょうか(笑)?そして最後に伊織センセの重大告白!本文とデジャヴった描き下ろしペーパーがまた最高でした。

  • ネタバレというわけではないと思うけど一応。

    単行本派だったので、文庫版が明日美子イラストであろうとも(むしろこのシリーズはやまねさん推奨派だけれども)ぐぐっと堪えていたのに、新刊が遂に文庫からの発売に…。
    費用とかいろいろあるとは思うのだけれどどうしてもシリーズ物の判型装幀変更を受け入れ難いので新装版とか許せない派なのですけど…けど…初版明日美子コミックペーパー封入とか言われたら発売日の昼休みに一駅先の本屋まで行ってしまうじゃありませんか…っ(完敗)。

    シリーズ一冊目が「その探偵、人にあらず」というサブタイトルであったように、このシリーズは角川ホラーで妖モノだけれど、そこはかとなく今は減りつつある王道本格ミステリの「雰囲気」を濃く宿している。
    妖の伝説と事件が交錯し、誰が何故殺したのかを紐解き、探偵自身とその宿敵の隠された過去をシリーズを通して徐々に明らかにしていく。
    ロジック的な本格ミステリというようなものはまだ出てきているけれど、叙情的且つ非日常的なあの感覚を味わえるものは最近ではなかなか遭遇しないので、こんなところでそれが味わえてしまうのは嬉しいような物悲しいような。

    あえて贅沢を言うならば、榎田さんの文章力であれば叙情的な部分をもっと描き込んでくれるとぐぐぐっと惹かれると思う。軽妙な掛け合い等はとっても榎田節だし、物語の流れもとてもスムーズで読みやすいのだけれど、人魚にまつわる事柄や伊織と青目の対峙あたりは、もっと美しさや悲哀を見せてくれても良かった。薬指なんかむしろBL作家としての力量も活かすぐらいの勢いでも本筋に影響は全く無いと思うのは、その辺りに耐性がある人間だからなんでしょうか。でも大体ユウリ名義読んでる人も耐性あると思もご。

    犬神も新キャラに加わったということで宜しいか。既に照ちゃんとか何だっけくらいの記憶だけど(すみません)。
    最後にしっかり爆弾も落とされて、さて次の新刊はいつだろう。

  • シリーズ第3弾。
    今回は「人魚」。妖人の特性が辛い。

    青目と伊織との関係が明かされるが、親子でも特性が引き継がれることも稀なのに、可能なのだろうか?
    どういうカラクリが今後明かされていくだろう。

    甲藤もなかなか憎めないキャラ。
    今回はマメちゃんの出番が少なくて残念。

  • エリザーベト・バートリという大ヒントが序盤からでることで、「若い女の血を飲む女」の話だと見せながら途中で「男の血を飲む男」の話にスイッチしていくのはなかなか面白かった。若干疑問なのが、この作者、あまり屈託のない女性に関心がないのだろうか。嫉妬深い陰気臭い女性キャラクターが多く、やや描写に物足りなさを感じる。ウロさんなど、男性の描写が面白いだけに……余計に目立つ気がした。

  • 面白かった~、と読み終わってから2巻を読まずに3巻を読んでしまったことに気づいた~苦笑

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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