- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041013328
作品紹介・あらすじ
お肉が僕らのご飯になるまでを詳細レポート。おいしいものを食べられるのは、数え切れない「誰か」がいるから。だから僕らの生活は続いている。“知って自ら考える”ことの大切さを伝えるノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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食卓にのぼるお肉。それはもちろん生きていた牛や豚や鶏だった。のは誰でもわかる。では、生きていた動物はどうやってお肉になるのだろう。食卓から見つめる構造的暴力。
いわゆる食育的な、「いのちの授業」的な本を、森さんが書いたんだろうか?という疑問と、森さんなら食肉の問題をどういう視点で書くんだろうか?という好奇心があって手に取ったのは、実はこちらより前に出版されたよりみちパンセ版。
半分は予想通りで、森さんは食肉加工業者の歴史をたどって現代まで生きる差別に切り込んでいて、森さんを知らない人が読んだらけっこう頭を殴られたような衝撃なんじゃなかろうかと思った。この本で語られる差別というのは、実は非常に根深くて今でも生きているんだな、と気づいたのは時折関西方面に行くようになったごく最近のことだ。それまで差別というものに関して、実感する機会もじっくり学ぶ機会もほとんどなかったといっていい。それは、こういったことがこの国ではアンタッチャブルの扱いを無言の圧力の内に受けているからだろう。でもその同調圧力の中で、この問題が無かったことになるならば次に起こるのは同じ歴史だ。だから、森さんが口を酸っぱくしてこの本に書いているように、「知ること」はこの国や人を理解しようとする上でこの上なく大切なのだろう。穢れを誰かに押し付けて、それを見なかったことにして平然と生きることに、私たちは慣れすぎている。
ところでこの本のカバー、五十嵐大介さんだ。となると「リトル・フォレスト」といっしょにお楽しみください。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生高学年前後のこどもたちにぜひ読んでほしい。
難しい漢字にはふりがなが添えてある。
食べ物がどうやって、私たちの食卓に届いているのか、なかなか表に出てこない、リアルな工程を知ることができる。
改めて、自分のいのちをつなげるために、他者のいのちをいただいているのだと、痛感させられる一冊。
そして食べ物だけでなく、人間の矛盾、様々な差別や戦争についても話は広がる。
結局、人間は、人を傷つけたり傷つけられたりしながらしか、生きられないのだ、と。
いのちはかけがえのないものなんだということを自覚し、真剣に生きていこう。 -
お肉が僕らのご飯になるまでを詳細レポート。おいしいものを食べられるのは、数え切れない「誰か」がいるから。だから僕らの生活は続いている。“知って自ら考える”ことの大切さを伝えるノンフィクション。
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知ろうとするきっかけをくれる本。この年始に読めてよかったと思う。誰もが何かの犠牲で生きている。ことを知る。知った上で考える。
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中学生の心にも響きそうなノンフィクションは、なかなか見つからないものです。食肉に始まり、命の価値を考え、そこから差別にまで話を広げる話術の巧みさは素晴らしいです。と畜のリアリティに向かい合う必要性も感じつつ、その勇気が足りない私は、せめて命の価値だけは忘れないようにしようと、あらためて感じました。
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お肉がどのような過程を経て、食卓にあがるのかを分かりやすく書いています
子供の食育にも良いですし、大人になってから改めて食べ物について学ぶのにもおすすめです!
と場についての話や、部落差別についての話まで深く取材されているのが伝わりました。
過去の事実である部落差別や戦争での植民地化など、暗い歴史は腫れ物のように扱われます
著者は、事実を受け止めた上で自分達がどのように生活や食事していくのかを諭してくれます
ときをみて読み返したい本です。
YOU ARE WHAT YOU EAT
心に留めておこう… -
題から、フードロスや添加物の話を連想したが、全く違っていた。
知ったことによる責任、知らないことによる責任、自分の周りで起きる全てのことに、何らかの責任がある。知らなかったから、ではすまされない。責任を取るのではなく、責任があると認識することが重要。
薄い本で優しく書かれているが、重みがある。 -
屠殺について見たり聞いたりする機会って、確かにないよな~。そしてそれをあまり不思議に思わないってことも、考えてみれば不気味な話だよな~。あちこち興味を持って動かない個人にも非はあるかもしれないけど、それをそうと気付かせない体制の側にも大いなる瑕疵があるのは間違いない。掘り起こさないと見えてこないものを見出す視点を、これからも根気強く涵養したい。本作の感想としては、第一にそれ。
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「たべる」ことについてだけではない、「考え、生きる」ことについて、大人だってわかっているつもりで忘れてしまうことについて、再度気づかされる本。
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ひとつひとつ筆者の言葉に共感した。屠場見学をしてみたいと思った。