お文の影 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013335

感想・レビュー・書評

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  • 【読間】
    宮部みゆきの江戸もの。
    安心の宮部クオリティがなすワザで、化け物話、幽霊話という超常現象も受け入れられる。

    ……が、ちとしかし……、(もともと仲良しだそうだけど)京極夏彦チックなおハナシが2つばかりあり。

    地方の小藩。
    暴虐の限りをつくした藩主。
    色に狂って、藩士の妻や娘も平気で奪う。
    城の裏山に、死者を悼むかのような石仏の数々が……。

    ↑のエピソードが、どうにもデジャヴを拭えない。宮部さんの既読の江戸ものか…京極さんの“巷説百物語”のどれかか…での世界観が思い出される。いずれかのサイドストーリー的な位置付けなのかしら??


    その他、“おでこ”だったり“捨松”ら三人童だったりの登場は、宮部ファンならニンマリものかと♪

    さて、あと一篇……。


    【読了】
    最後の一篇「野鎚の墓」は、これぞ宮部節!な世界観にほんわか。

    好きなハナシは、「討債鬼」と「博打眼」。

    読間↑に抱いた感想は、他の方のレビューを読んで納得。青野先生と偽坊主は、三島屋さんの物語にて既に出ていたとは。そのハナシ、読んだはずなのに失念していたよ(苦笑)。

    ※“捨松”たち3人は印象にあったけれど。



    ※それでもやっぱり、青野先生の過去のハナシ…… に似た物語を、“又市”が活躍する京極作品でも見た気がするのだが。。。どれだったかしら?


    ★3つ、7ポイント半。
    2015.12.24.古。

  • 作者お得意の江戸の怪談話の短編集。2011年2月に「ばんば憑き」として出版された本書が珍しく3年半もかかってやっと出たと思ったら、何故か他の短編の題名を本の表題に代えて出された。

    何処か物哀しく、何処か情深い。私は前回や今回の表題作よりも、次の二作がお気に入り。

    「博打眼」
    上手い、と思うのは博打眼の作り方。「それ」が必要になった土地の悲しい話も、「それ」を作る主体の人間の話も、遠く江戸の人間には失われている。その「悪意」はどうであれ、広がらないための人間の知恵と「狛犬」という神様の領域の知恵の共同作業で、身にかかる粉だけは振り払ったという話。宮部みゆきは、その元凶の元凶を求め、構造的に「変革」しようという意図は、これからも起きないと思う。身の丈に合った話しか作らない。だから、リアリティがある。

    登土岐という土地の名前は宮部みゆきの創作かもしれないが、登土岐語は、おそらく何処かの東北の訛りをそのまま使っているのだろう。まだ読んでいないが、「荒神」に繋がる一作なのかもしれない。

    「野槌の墓」
    20匹ぐらいの物の怪が出て、百鬼夜行とは言えないまでも、かなり楽しい一作。柳井源五郎右衛門さんのキャラが立っている。また登場して欲しい。

    「お文の影」には「ぼんくら」シリーズの、「ばんば憑き」には「三島屋」シリーズのサブキャラが登場している。マア楽しいオマケではある。
    2014年9月1日読了

  • 全1巻。
    怪奇もの短編集。

    さすがの安定感。
    このゾッとする感じはなんだろう。
    しかも、怖いだけでなく、
    可愛らしさや可笑しさが同居してるのがすごい。

    どの話も好き。

  • 幾つかは相変わらずの子供の使い方の巧さも手伝い、面白く読めましたが、全般的には多少低調といった気もしなくなく。
    もうちょっと短く纏めた方が、、、と愚人の戯言と捨て置いて頂きたく。

  • 短編で登場人物が魅力的すぎると
    とても惜しいと思ってしまいます。

    他の方のレビューにもありますが
    三島屋シリーズにお迎えしたいようなお話です。
    辛いだけではなく、ほんのり温かくなるような部分もあるので読後感も良く満足感も得られます。

    坊主の壼の女性には少々酷な終わり方。
    討債鬼の微妙な収まり方、
    ばんば憑きの悲しい終わり方も
    途中で入る
    お文の影の温かい人達の供養に涙し
    博打眼の気持ちの良い結末に高揚し
    ラストの野槌の墓のラストにまた涙。

    最後に野槌の墓で終わっているのが良かったと思います。
    ばんば憑きで終わっていたら読後感相当悪くなっていたように思います…。
    短編の場合どういう順で収録するかで大分評価が変わる気がします。

  • 「野槌の墓」は良かった。

  • 『ばんば憑き』の文庫版。すぐ読めるように買っちゃいました。

  • 怪談仕立ての短編6編「坊主の壺」「お文の影」「博打眼」「討債鬼」「ばんば憑き」「野槌の墓」を収録。中でも表題作の「お文の影」は、「ぼんくら」シリーズで登場する、岡っ引きの政五郎と子分の三太郎(おでこ)が登場。政五郎が大親分と仰ぐ回向院の茂七から聞いた因縁話から、政五郎は影についての悲しい過去を明かし成仏できるようにする。「初ものがたり」で50歳くらいだった茂七は、本作ではとっくに隠居し米寿を迎えている。

  • 江戸を舞台とした怪異短編集。疫病流行、呼び水のもらい子、約定を結ぶと博打に強くなる化け物、先祖の負債のとりたて、殺人者と被害者の魂の入れ替え、化け猫と木槌の化け物。

    他のいろんなシリーズの登場人物たちが出てくるのがいいです。

  • 2018/9/11
    おでこちゃんもっと出てくるのかと思ったら1編だけだった。
    おでこちゃん小さいのにやりきれない話をいっぱい聞かされてるんだろうな。
    そう思うとちょっと悲しい。

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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