星やどりの声 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.94
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本棚登録 : 1633
レビュー : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013359

作品紹介・あらすじ

東京ではない海の見える町で、亡くなった父の遺した喫茶店を営むある一家に降りそそぐ奇蹟。若き直木賞受賞作家が、学生時代最後の夏に書き綴った、ある家族が「家族」を卒業する物語。

感想・レビュー・書評

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  • 母・律子、長女・琴美、長男・光彦、次女・小春、三女・るり、次男・凌馬、三男・真歩…父親・星則を病気で亡くした家族の物語。
    六人兄弟それぞれの視点から描かれる。とても優しくて、まっすぐで、一生懸命な家族の姿に温かい気持ちになり、そしてホロリと泣ける。いつも今までも、これからもずっと星空からお父さんに見守られ続ける早坂家。なんて素敵な家族なんだ!
    何度も読み返したい気持ちになる話だった。

  • 文庫化される前、図書館から単行本を借りて読んだときのレビューです。ご了承下さい。<(_ _)>

    何故かこの本、それほど古いものでもないのに所々でページの紙がしわしわになっている。
    とりわけ、最後に近づくにつれて、それが激しい。
    水分でも付着したせいだろうか。
    一度くっついてから、はがれたような跡が残っている。
    雨に濡れたか、雪でも付いたか。
    いずれにせよ図書館の本なのだから丁寧に扱わないといけないのに、と誰か分からぬ借り手に少し憤りを覚えた。
    だが違った。
    紙が濡れたのは、そんなことではなかったのだと、後に知ることになる……。

    星やどり──なんと素晴らしいネーミングセンスだろう。
    「雨やどり」ならぬ「星やどり」。

    亡くなった父親が秘かな思いを込めて改築し、命名した喫茶店「星やどり」。
    そこには天窓があり、夜になれば星がいつでも見える。
    家族は男三人、女三人の六人兄弟と母親。
    長女の琴美。
    長男の光彦。
    二女の小春。
    ニ男の凌馬。
    三女のるり。
    三男の真歩。
    それぞれ魅力的なキャラを持ち、その異なった個性を活かしながら、みんな自分なりの生き方を選んでいる。
    物語の後半、「星やどり」の本当の意味が明らかになる。
    ようやく、ぼくは気付いた。
    そのあたりから、この本の紙がしわしわになりつつあるのを。
    それは結末に向かうにつれ、頻度が高くなっていく。
    そうか、これは雪や雨に濡れたのではない。涙の跡なのだと。
    自分自身も、目頭が熱くなり、涙が零れそうになったから分かったのだ。
    この本を読んだ人たちが思わず感動の涙をこぼしたが故にできたしわの跡なのだと。
    それほど、このストーリーは結末に向かって、ほろりとさせる素敵な話だ。
    湯気の立ち上るビーフシチューの甘い香りが、行間から匂い立ってきそうな温かい物語。
    まさに、朝井リョウ君の真骨頂。
    文庫化されたら購入し、是非手元に置いておきたい作品です。

  • 6人きょうだいそれぞれの視点から話が進められる。みんなの大好きだった父が亡くなってから、母は星の形の天窓?のある喫茶店を続け、長女は結婚した後も家族を支え続け…みんな魅力的でまたすぐ読み返したくなった。

  • 舞台は鎌倉かな、と想像しながら読みました。
    自分ではこういう人、と思っているけど、家族とはいえ他の人から見たら全然違うんだなぁ。
    そのあたりのギャップが興味深かったです。
    若い方ならではのキラキラ感というか、クリアな世界観の中にひたることができて心が美しくなる小説でした。
    愛情のつまったビーフシチューが食べたいな。

  • 《quotation》

    「だってビーフシチュー、おごってくれるって言いましたよね。お父さんもそんなに好きだったんなら、どれだけおいしいのか楽しみ。約束守ってくださいね」
    「理由それかよ!」
    親指で涙を拭ってぐるりと振り返ると、あおいは楽しそうに笑った。
    「先生のお父さんだって、スーツ似合ってなかったですよ。リフォームが完成したときに一回だけ着てきたの、私、覚えてます。びっくりしたんです。似合ってなくて。」
    だから大丈夫ですよ、と言って網戸を開けたあおいは、「風つよーい」と黒髪を揺らした。
    開けられた窓から吹き込んで来た海風が、涙の跡の上を撫でていく。細い冷たさだけが光彦の頬の上をもう一度伝っていった。

  • 家族のひとりひとりが主役。そしてひとりひとり家族を卒業してまた新しい家族を作っていくんだなぁ。優しい物語でした。

  • 「雨やどり」ならぬ「星やどり」。雨を避けるのではなく、満点の星の光を避けるために改名した喫茶店。
    物語は、父が残したこの喫茶店に込められた本当の深い意味である家族愛を、妻、子供たちの成長とともに家族が一つになって、そして離れていくけれど、家族は広がり再び家族愛という輪廻の世界に繋がっていく。
    ラストは、そんな家族を天井からいつまでも見守る父がいる、いつでも家族を見れるように天窓を考えた父、その優しさは妻といつまで経っても子供たちの成長を楽しみにしている父の思いやりだった。
    子供を持つ父親にはお涙ぽろりの1冊。

  • 今の自分と同じ年齢の主人公が登場してきて、とても共感できました。
    何人かの人をそれぞれ主人公にした、短編集でしたが、それぞれの考え方の違いなどが、すごくよく表れていて、最後にはみんなが結びついていく。計算されたように思えてしまいますが、あまりにも綺麗に結びついていくので、その違和感のなさに感動しました。
    心の中に、ひっそりと、しっかりと残るお話でした。

  • 【あらすじ】
    東京ではない海の見える町で、亡くなった父の遺した喫茶店を営むある一家に降りそそぐ奇蹟。若き直木賞受賞作家が、学生時代最後の夏に書き綴った、ある家族が「家族」を卒業する物語。

    【感想】
    初めは、登場人物が多くて困惑したけれど、ひとりずつがどんなひとなのかわかってくると、物語にのめり込むことができた。どのひともそのひとらしさ、考え方、容姿、行動が違って、その違いが面白かった。家族の繋がり、そして絆には、本当に感動した。しばらくしたらまた、読み返したいなあと思った。

  • 「星やどり」の秘密を知った時、涙が止まりませんでした。今は亡き父、星則さんが家族に残した秘密はあまりにも優しくて、早坂家全員を抱きしめたくなります。
    兄弟6人それぞれが「1人の人間」として綺麗に描かれていて、そしてその6人が「星やどりの声」という一つの物語を作っていました。
    1人かけてもできない。家族全員がいないと途切れてしまう。そんな早坂家の輪は、どんな星よりも強く優しくそして美しく輝き続けると思います。

  • お父さん役は小日向文世さんで脳内再生されてた。
    重力ピエロの影響だと思う。
    こんな素敵な兄弟いいな。家族がたくさんいるって大変なことが多いけど、楽しいことも多いんだなーって。
    出てくる人みんなを好きになれる。

  • 感動した。 家族がテーマの作品で、それぞれのエピソードが最後に繋がっていて、最後まで一気に読めました。
    読むと優しい気持ちになる作品です。
    この夏オススメの感動小説だと思います!

  • 長女・琴美、長男・光彦、次女・小春、三女・るり、次男・凌馬、三男・真歩。
    3男3女の6編の話が収められてるけど、どの話もよかった。特に凌馬と双子の話がよかったかな。双子の見た目が正反対になった理由も納得。
    「もういちど生まれる」でも思ったけど、第一人称が女性の物語をこれだけうまく書く男性作家は珍しいな。

  • 本を読む時間がなく、なんとか少しずつ時間を見つけながら、久しぶりに読み終えた1冊目。
    漫画を読むような感覚で、ところどころ違和感を感じました。舞台も王道、兄妹の多い登場人物、ビーフシチューという料理。(確かに美味しいけれど)
    ちょいと批判的ですが、嫌いではないので5点。

  • うわー、わかるわかるとツボなエッセーか、チア男子みたいな青春キラキラか、ブラックな小説しか書かない人と思ってて手に取った本が、クスッともウルッともモヤッともしない物語でした。わたしに取っては新しい朝井リョウさんでした。
    総じて好きなお話でした。

  • 2019.4.16-211

  • 最初は少し退屈かなと思ってたけど、最後クライマックスで描きたかったであろうものを見れて、この人の書くものやっぱ好きだなって思った。優しい小説だと思う。
    主人公達兄弟の周りを囲む脇役も魅力的だった。

  • よき。
    優しい気持ちになれる。
    家族の温かさに触れられる作品。

  • 「ほしやどり」という名前の喫茶店を舞台に三男三女と母1人の家族の物語。

    兄弟6人のそれぞれの目線から話が構成されていて、長男のみつひこの話が一番共感できた。

    全体を通して意外とあっさりしている感じで、最後も穏やかに終わった感じ。

    読みやすさもあったが、少し退屈に感じる部分も多かった。

    感動作品とうたっていたが、感動する場面は少なかったかな。

    「何者」が面白かっただけにハードルが少し上がったから、あんまり楽しめなかったのかも。

  • 1章ごとに、6人兄弟の一人ずつが主人公となって、物語が進んでいく。
    最後の長女・琴美の章で、泣きそうになった。
    父が亡くなってから、母と弟、妹たちを支えるために頑張ってきた一番上の姉。
    「ことみ」と、家族で唯一自分の名前で呼んでくれる母の声に、私の心も緩んでほぐれた。

    喫茶店『星やどり』の天窓に隠された父の想いが明かされた時、家族の絆が一層強まった気がした。

  • 作品の主題は”家族愛”だろうか。
    父を亡くし、三男三女の大所帯をまとめる母。
    喫茶店を営む母を手助けする、子ども達。そして、母の決断と新たなる旅立ち。
    最終章で明かされる、家族の本当の絆は心温まるものであった。

  • 映画「桐嶋-」を観て、朝井リョウを読まなければなあと思っていたところ、売り出し中の文庫だったので手に取った。冒頭のモタつきとか、清潔なようで生々しくて気持ち悪い大学生の描写とか、よくできているけどどうでもいいものの一つとして楽しんでいたのだが、ある一文に来たときに、不意に涙が出た。それは、ミステリでいう衝撃の一文といったことではなくて、ある秘密が仄めかしではなくて「存在する」ということを予感させるくだりで、ごく自然にしかし唐突にきたものだから、急に背中を叩かれたみたいなぼろっと泣いてしまった。つまりジャンルコンテンツとしてのミステリ的ではない、小説の小説らしい衝撃とは、かくあるものなのだという、反省に近い体験をさせられたのだった。
    で、その一文がどれかというと、長女が弟妹たちに噂されている冗談(であり物語上の懸念)が本人によって触れられるくだりである。そのあとに、謎解きに相当するパートが続くのだが、説明もなしに視点だけ上空に(「星」の高さに)引き上げられて、揺すぶられる。
    実際にはそのあと、予兆だけで泣いてしまったがつまらない展開だった、ということもあったかもしれないわけだが、それによって上記体験の小説的価値は変わらなかったのだろうなと思う。それが産業としての映画、アニメとは違うところだ。

    ちなみに堀江氏の「声」と「作者の苛立ち」に関する解説は平易で文学的で実に素敵であった。朝井リョウのファンンになってしまう。

  • 星やどりという喫茶店とその町を舞台にした6人の姉弟、その両親からなる家族の話。
    姉弟みんな父親が大好きで、その亡き父親に対する葛藤を描きながらストーリーが進行。
    家族それぞれがお互いを想いあっている。家族の思いやりの絆の強さが感じられる素敵な小説でした。

  • 朝井リョウってやっぱりすごい。
    一人一人の描き方が上手くて、読んでてすっと感情移入できる。
    この物語には、家族とか兄弟姉妹の関係について考えさせられた。
    家族からの卒業ってなんだろうなと思う若い人には、特におすすめです。

  • この作者の視線はとてもあたたかい。
    年齢の違う6人兄弟、それぞれの今、それをみずみずしく表現している。
    それを天上から見守るお父さん。想像するだけで泣けてくる。
    20160930

  • 6人兄弟の視点がそれぞれ移り変わってストーリーが進んでいく。兄弟の感情がこちらにも伝わってくるのがすごいなと思った。最後の解説を読むとタイトルの意味がまた深くなって良かった。

  • 店名が変わり店の構造が変わる
    兄弟は父の想いを知ることになる。。。
    6人兄弟の話し。亡くなった父の想いとは
    おもしろかった

  • だいっすきな小説
    今まで読んできた数多くの本の中で確実に一番読み返してるし大好き
    お父さんが最期に子どもたち一人ひとりに話しかけるところは絶対に泣いてしまう

  • 母子家庭の6人兄弟の話し。1人ずつが一人称になって順々に語られていく。

    皆のまとめ役母のような琴美、就活中の長男光彦、ギャル系女子高生の小春、真面目系のるりの双子の姉妹、ザ男子高生の凌馬、内向的な末っ子真歩。それぞれの亡くなった父への想いが語られていく。文章表現の仕方を人物によって変えているように思った。朝井リョウは会話とモノローグのバランスが良く言葉の選び方も素敵。
    亡くなる前の父が語る言葉に涙。

    読後温かい気持ちになった。
    みんな離れてそれぞれの人生を送るようになっても家族は繋がっている。
    家族っていいなと思わせられる作品

  • 家族の1人1人の葛藤や成長が見えてくるような本でした。特に双子の姉妹のところが印象に残っています。家族の絆の重みや、それがあることによって生まれる強さを感じました。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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