望郷 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013366

感想・レビュー・書評

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  • ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝さんと
    その妻リタさんの人生をモデルにしたお話です。

    NHKの朝ドラを観ていましたので、大筋でほぼ同じ流れのお話でしたが
    リタさんが故郷スコットランドで暮らす少女の頃よりのお話が冒頭からあり
    とても興味深く何より読んでよかった。ドラマの中では感じ得なかった
    感動の一面を見ることが出来てとても嬉しかったです。

    読みだしてすぐ、まるで海外小説の翻訳を読んでいるような感覚にとらわれました。
    でも確か日本文学のはず...。そこで著者さんのプロフィールを確認してみると
    森瑤子さんはイギリス人の方とご結婚なさっていたということでしたので
    文章を考える感覚が英語的になっていらっしゃるのかもしれないですね。
    それともこちらの物語がスコットランドに関係することで意識的に
    英語翻訳らしい文章をお描きになったのでしょうか..。いずれにしても
    とても心地のいい文章の流れで、この初読みのいっぺんで
    森瑤子さんのことが大好きになりました。

    リタさんの少女として、女性として妻としての想いの素敵な一面が
    いくつもあってなかなか書き尽くせないのですが、一番好きなところは
    お父さまが亡くなったときに想うリタの心情とリタとママが交わす会話の場面です。

    (前省略)お父さまは昨日、予行練習しておいてくださったのだ、と不意に思った。
    リタが取り乱さないように、今朝のことを予告してくだすったのだ。(続き省略)

    リタのお父さまに対する気持ちの捉えたかがとても素敵。この後に続く
    リタとママの会話と振る舞いもとても好きな場面です。素敵な親子。
    素敵な家族。悲しい場面なのにうっとりしてしまいました。

    もうひとつ心に沁みた言葉をフレーズ集に残します。
    森瑤子さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

  • サントリーの技師が、ニッカの創業者とは。また、その妻が、イギリス人とは。学生時代、国鉄に乗ると、東京までは、サントリーを売っていて、東北線に乗るとニッカに変わったのを思い出した。好ましくはないが、海軍と戦争のおかげでニッカが残ったのは、よかった。だって美味しいのだ。竹鶴さんは、幸運の人だ。変化に富んだ人生であっただろう。

  • ニッカウヰスキー 創業者・竹鶴政孝と妻・リタの生涯。

    スコットランドに、四人きょうだいの長女のリタ
    体が弱く、病気がちな少女時代を送っている中
    リタは、婚約者を戦争で亡くす。
    初恋の相手でもある婚約者を失い、悲しみのどん底いる
    中、ウイスキー作りを学びに来た
    日本人の、竹鶴政孝と知り合う。
    家族に、反対され遠くの異国にやってきたリタ。
    彼女は、「外国人」ということで
    人々の好奇の目に戸惑いながらも、強く生きていく。

    日本人の夫の夢を追うを献身的支え続けたリタの
    姿に、引きつけられた。

  • 数年前にNHKのドラマになった、マッサンこと竹鶴政孝氏のスコットランド人の妻リタさんの小説。竹鶴氏は、日本で初めて本格的スコッチウィスキーの製造をした人で、ニッカウヰスキーの創始者である。以前にドラマの原作となった「ヒゲのウヰスキー誕生す」という本を読んだが、その本は政孝の視点から書かれていた。本書も内容は似ているが、外国人であるリタがどう政孝と出会い、人生を共にし、日本に帰化していったかを追うことができる。
    著者の森瑤子氏は早逝してしまったが、100冊を超える著書を遺している。本書もたくさんリサーチをして書かれたであろうことがうかがえる。著者の配偶者がイギリス人ということもあり、スコットランドの暗い天気や広々とした家といった情景がとてもリアルに描写されていた。まだ外国人、しかも白人が日本にとても少ない時代に、日本に来て文化を学び、日本人になり、政孝を支えたリタさんの苦労は想像を絶する。子に恵まれずとった養子とそりが合わなかったというところは胸が痛んだ。
    望郷というタイトルなので、リタさんがホームシックにくよくよ悩む内容かと思ったが、必ずしもそうではない。時代や帰国しやすさも全く違うものの、外国に嫁いで祖国の家族を安じるという自分自身の身の上と重ね合わせ、涙を流す箇所もあった。

  • 2017年1月12日読了。

  •  19世紀のスコットランド。グラスゴー郊外の小さな街で、やさしい両親に愛され、3人の妹の姉として暮らす17歳のジェシー・ロベルタ・カウン、通称リタ。
     病弱で、内気な少女はやがて、恋をし、最愛の人を戦争で亡くすというつらい体験を乗り越え、モルトウイスキーの製造法を学びにやって来た日本人竹鶴政孝と運命的な出会いをする。それは愛する祖国を離れ、異国で暮らすというリタの将来を変える大きな出来事だった。

     物語は、リタ(ドラマではエリー)の少女時代から始まり、なかなか興味深いスタートでした。
     リタの家族構成はもちろん、政孝の家族のリタへの対応とか、養女サラとの確執とか、ドラマとはまったく違う内容が新鮮でした。(ドラマはドラマで、脚本ってホントすごいと思う)何より、リタが里帰りしていたのがよかった。実際はどうだったのでしょうね。
     1人の女性の一代記として、ドラマを見た見ないに関わらず、おすすめの1冊です。

  • 文章が翻訳調な感じがして若干気になりましたが、あの時代に国際結婚をした波乱万丈なリタの人生が興味深かった。
    好きになった相手に対して情が深すぎる人だからこそ、思い切ったことができたんでしょうね。
    幸せの中にも苦労の連続であった彼女の人生、もし日本に来ることを選ばなければ……ということを、読後にふと考えてしまいました。

  • 『ヒゲのウヰスキー誕生す』を読んで、リタから見た竹鶴夫妻の歩みを知りたいなあと思ったので、ずっと読んでみたかったこの本を購入。
    分厚いけど、夢中になって一晩で読み終えた。

    リタの最初の婚約者のこと、竹鶴との出会い、妹エラとの確執、日本での戸惑いなど、リタ側から見た生活ぶりがたっぷり描かれていた。特に幼少期~大学まで、どんだけひ弱な女の子だったかというのもよくわかった。それなのに日本に行くと決心して、日本人になりきって、よくそこまで頑張れたもんだなと感心。それだけ竹鶴のことを信頼してついていったんだろう。リタのお母さんが夫をうまくたてる人だから、そういう育ちも影響していると思う。
    ただ、サラを養女に迎えたという展開は「ヒゲの・・・」にはなかったのでびっくり!でもこっちはリタの伝記がもとになってるので、こっちのほうがより正確なのか?
    でもリタが年をとればとるほど頑固というかこだわりすぎの性格になっていって、それは自分が子どもを産めなくてサラに愛を注ぎすぎるからか?と思った。最後はちょっとリタが怖かった・・・笑

    でも、こんなに愛せる・信頼できる夫と生涯一緒にいられてリタは幸せだったんだろうと思う。なかなかリタのようには振る舞えへんな~(*_*;

  • マッサンの妻、リタさんのお話し

    すごいな~とは思ったけど、
    魅力的な人って感じじゃなかったな
    でも、外国人なんて見たことない人ばっかりの時代に日本に嫁に来て
    太平洋戦争があって…
    うーん、やっぱすごい。強いな。
    リタさんもマッサンも強い。
    ニッカウヰスキーは、二人の愛の力が生んだんだろうな

    そう思ったら、の余市蒸留所には行ってみたくなった!^^

  • 昔から大好きだった森瑤子さんが、竹鶴リタさんを主人公にした小説を書いていたと知り、どうしても読みたくなり探して購入しました。朝ドラ「マッサン」のエリーちゃんとは印象の違うヒロインでしたが、あの時代に国際結婚をしたカップルの決意と厳しい現実を知ることができました。竹鶴夫妻が日本に帰国した後の夫の変化や、夫婦間のちょっとした違和感をとてもリアルに感じられたのは、森さんご自身も国際結婚をしていらした経験からなのかな…など想像してしまいました。

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