銀の匙 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013380

感想・レビュー・書評

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  • 主に明治後半の東京を舞台にした、著者の幼少期を基にした物語。幼少期の子供の思うことやら友達や家族との関係などが詳細に描かれていて自分の幼少期を思い起こさせるが、内容がどうのこうのというより、いろいろな描写の文章の見事さが、巧みな俳句のように、詩のようであり惹きつけられる。子供の目を通した明治期の東京の様子が歳時記のように語られるのも面白い。ネットや辞書を片手に読みながら日本の伝統的な風俗の意味を知るのに打って付け。この本を題材に国語の授業をするのと言うのは確かに素晴らしい発想だと思った。

  • 神保町の古書店でみつけた一冊。
    全く予備知識がなかったのですが、灘高の国語の授業で用いられたほど有名な作品なんですね。

    中勘助が27歳のときに書いたという、半自叙伝的小説です。
    たゆたうような日本語が美しく、ふと気をゆるめれば、まるで文章においていかれてしまうかのよう。
    幼い勘助の目を通してうつった世界が、きっとそのままの感受性で立ち現れていました。
    素朴でささいなエピソードばかりなのですか、こうも瑞々しさを放つのは、彼の独特で繊細な表現ゆえでしょうか。

    想い人のお慧ちゃん、姉さま、どちらとの別れでも恥ずかしがって挨拶できない勘助が愛らしかった。

  • ストーリー上、特に大きな展開があるというわけではありません。
    極普通の日々の日常が淡々と書かれています。

    中 勘助が27歳~28歳のときに執筆された自伝的小説ということで私も28歳になったばかりなので興味があり読みました。

    そして灘校で国語の授業で3年間、この本一冊だけを授業で勉強するというのを知り、それはどれほどの内容の本なのか興味を持ちました。

    確かに本の中は、色々な昔ながらのものがたくさんでてきます。
    歴史や歌舞伎などとにかく幅広いジャンルの単語がたくさん出てきます。

    ストーリーは作られたような起承転結のあるものではないので、もしかしたら退屈かもしれませんがそれが凄くリアルで淡々としてて私は好きです。
    子ども時代と大学生時代の成長までの気持ちの動きが凄く上手く書けています。

    そして普段どこにでもある日常の物がとても美しい表現で書かれています。
    特に関心したのは、星を「空に浮かぶ冷たい石」と表現されていたのが印象的で美しいと感じました。

    最後に中 勘助の経歴のようなものが箇条書きに書いてあるのですが、中 勘助と共に兄の経歴も書いてあります。
    自伝的小説の中のあの兄が医師になり、教授にもなっていてびっくりしました。
    小説の中の兄は遊んでばかりみたいな印象が強かったので余計にびっくりしました。

  • 驚くほどに細やかで美しい子供時代の描写だった。ひ弱な子供だった主人公の視点で描かれているにも関わらず全く卑屈さが無いところが好き。

  • 最初読みはじめた時は、こんなに人間味あふれてて面白いとは思わず、何年か放置してしまっていた本。
    今回、三月暇なのでこの本と橋本武さんの授業を自分なりに理解しようと思い、関連の本2冊とともにこちらも初めて読了。
    まず思ったのが、使わない言葉がポロポロあって日本語として何より興味深いし面白い。
    初めて聞いた言葉など、つい線を引いてしまった。
    意味が想像できるものもあるしそうでないのもあった。ちょっと余裕あるときには辞書引いたりした語もある。
    そしてつぎに、登場人物の描写が優しいのか、みんな魅力的に感じた。キャラクターがわかりやすい、というのか。
    主人公の兄のツンツン優等生男子ぶり?も、お国ちゃんおけいちゃんも、富公も、伯母さんも、なんだか懐かしくちょっとこっぱずかしいような、温かみを感じる。

    小さい時なんでも世話してくれた心優しくて世間的には人が良すぎる伯母さんが、のちのち目も弱くなったところへ主人公が訪ねた場面では泣いてしまった。
    あとがきにあった、夏目漱石が、本作の伯母さんと(坊っちゃんの)清を重ねて、、云々の話もなんだか納得できた。

    音変化したであろう日本語にも興味がいった。
    今とは一音だけ違う単語、意味は通じてくるけどそういう音だったのかな、など日本語の変化にも興味が持てる。すぼめるをつぼめる、ゆでだこをうでだこと書いていたり等。
    あとは擬音語擬態語も予想外で聞いたことなくてなんだかほっこりした。
    まろまろした声とか笑

    なんか、いいですねぇ。答えも納得もなく、ただ不思議と懐古的で優しい気持ちになれる文章だと思った。

  • 再読。伯母さんとの戦ごっこと、お兄さんとの「なにをぐずぐずしてる」「お星様をみてたんです」「ばか。星っていえ」のシーンをよく覚えていた。それにしても、主人公、めっちゃ泣くなぁ。このままでは落第してしまうほど頭が悪かったのに、先生に(憐れまれて)怒られないから1番だと思ってたって、なんて幸せな性格。この先大丈夫なんだろうかと心配になりながら読んだ。晩年の伯母さんと出会うところが切ない。

  • 病弱だった幼少の頃から17歳までの日々を書いた自伝的小説。
    同居する信心深い寡婦の伯母に面倒を見てもらう人嫌いの気難しい子供が隣人の少女との出会いと別れ、小学校に上がり色々な人と出会い少しずつ世界と交わって…と成長する姿が美しい日本語で淡々と書かれていました。
    幼少の主人公を背負い祭りを見に行ったり、山崎合戦の武将ごっこで遊んでくれた伯母を16の歳に見舞った話が心に残ります。読みながら涙しました。

    嫌味の無いとても綺麗な物語。手元に置いて時々読み返したくなりました。

  • ことばがすごくいい

  • この小説が好きすぎて、どうしようどうしようと焦っている。ずっと読み続けていたい。こんなすばらしい小説に出会えてしあわせだ。

    身体が弱く勉強もできなかった主人公の少年が、伯母やクラスメイトという身近な人間を通して徐々に成長していく様子を描いた自伝的小説...と要点を書いてしまうと、まったく魅力が伝わらない。少年の心というフィルターをとおして、ぽとりぽとりと小石を放るように紡がれた文章がとにかくうつくしいのだ(←すでに影響されてるし(汗))。印象的な文章がそこかしこに転がっていて、すべてのページを書き写したほうが早いのでは?と思えてくるくらいのめり込んでしまった。

    今さら読んだわたしが言うのもなんだけど、多くの日本人に読んでほしい。

  • 以前新聞で、灘高校の教師が国語の時間にこの本だけを使って授業をしていたことを知った。尋常小学校までの前篇と、少し大きくなってからの後篇の二部構成。かつての日本の美しい風景が目に浮かぶような心地よい文で綴られている。

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