銀の匙 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 424
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013380

作品紹介・あらすじ

書斎の小箱に昔からある銀の匙。それは、臆病で病弱な「私」が口に薬を含むことができるよう、伯母が探してきてくれたものだった。成長していく「私」を透明感ある文章で綴った、大人のための永遠の文学。

感想・レビュー・書評

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  • 今で言えば足りない世界だけど、わたしはその足りない世界が好きだ。

    この世界と、人の想いがこもった言葉を愛する人に、読んでもらいたい本。

  • 再読。伯母さんとの戦ごっこと、お兄さんとの「なにをぐずぐずしてる」「お星様をみてたんです」「ばか。星っていえ」のシーンをよく覚えていた。それにしても、主人公、めっちゃ泣くなぁ。このままでは落第してしまうほど頭が悪かったのに、先生に(憐れまれて)怒られないから1番だと思ってたって、なんて幸せな性格。この先大丈夫なんだろうかと心配になりながら読んだ。晩年の伯母さんと出会うところが切ない。

  • 主に明治後半の東京を舞台にした、著者の幼少期を基にした物語。幼少期の子供の思うことやら友達や家族との関係などが詳細に描かれていて自分の幼少期を思い起こさせるが、内容がどうのこうのというより、いろいろな描写の文章の見事さが、巧みな俳句のように、詩のようであり惹きつけられる。子供の目を通した明治期の東京の様子が歳時記のように語られるのも面白い。ネットや辞書を片手に読みながら日本の伝統的な風俗の意味を知るのに打って付け。この本を題材に国語の授業をするのと言うのは確かに素晴らしい発想だと思った。

  • 神保町の古書店でみつけた一冊。
    全く予備知識がなかったのですが、灘高の国語の授業で用いられたほど有名な作品なんですね。

    中勘助が27歳のときに書いたという、半自叙伝的小説です。
    たゆたうような日本語が美しく、ふと気をゆるめれば、まるで文章においていかれてしまうかのよう。
    幼い勘助の目を通してうつった世界が、きっとそのままの感受性で立ち現れていました。
    素朴でささいなエピソードばかりなのですか、こうも瑞々しさを放つのは、彼の独特で繊細な表現ゆえでしょうか。

    想い人のお慧ちゃん、姉さま、どちらとの別れでも恥ずかしがって挨拶できない勘助が愛らしかった。

  • ストーリー上、特に大きな展開があるというわけではありません。
    極普通の日々の日常が淡々と書かれています。

    中 勘助が27歳~28歳のときに執筆された自伝的小説ということで私も28歳になったばかりなので興味があり読みました。

    そして灘校で国語の授業で3年間、この本一冊だけを授業で勉強するというのを知り、それはどれほどの内容の本なのか興味を持ちました。

    確かに本の中は、色々な昔ながらのものがたくさんでてきます。
    歴史や歌舞伎などとにかく幅広いジャンルの単語がたくさん出てきます。

    ストーリーは作られたような起承転結のあるものではないので、もしかしたら退屈かもしれませんがそれが凄くリアルで淡々としてて私は好きです。
    子ども時代と大学生時代の成長までの気持ちの動きが凄く上手く書けています。

    そして普段どこにでもある日常の物がとても美しい表現で書かれています。
    特に関心したのは、星を「空に浮かぶ冷たい石」と表現されていたのが印象的で美しいと感じました。

    最後に中 勘助の経歴のようなものが箇条書きに書いてあるのですが、中 勘助と共に兄の経歴も書いてあります。
    自伝的小説の中のあの兄が医師になり、教授にもなっていてびっくりしました。
    小説の中の兄は遊んでばかりみたいな印象が強かったので余計にびっくりしました。

  •  読んで数ページで、なんて美しい世界なんだろうと思った。ひ弱な少年から見た世界が、鮮やかで繊細に切り取られている。世界は、ありのままで充分美しいのかもしれない。

  • 文学とは「何を書くか」ではなく「どう切り取るか」ということだと感じた。たとえ私が同じ半生を送っていたとしてもこんな繊細に煌めく文章は書けない。中勘助が今の自分と同年齢の時の作だと知り、色々と思うところがあった。

  • 確かに起伏はない自伝であるが、観察眼描写力が素晴らしい。今の時代の生徒に1年かけて学ばせるものがあるかといえば疑問だが、これは、声に出して詠むと良さがわかると思う。

  • 学校に行くあたりのところが一番面白かった。繊細な子だったんだと読めば読むほど思います。


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著者プロフィール

1885年、東京に生まれる。小説家、詩人。東京大学国文学科卒業。夏目漱石に師事。漱石の推薦で『銀の匙』を『東京朝日新聞』に連載。主な著作に小説『提婆達多』『犬』、詩集に『琅玕』『飛鳥』などがある。

「2019年 『銀の匙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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