団地と移民 課題最先端「空間」の闘い

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  • KADOKAWA (2019年3月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041013885

作品紹介・あらすじ

そこは外国人、高齢者をネトウヨが襲う「空間」と化していた。
団地は、この国の“未来”である。
外国人実習生や排外主義者の問題を追い続ける著者が、日本だけでなくテロ後のパリ郊外も取材し、日本に突きつける!!

団地。そこは、かつて「夢と希望の地」だった。
しかし、いまは都会の限界集落と化している。高齢者と外国人労働者が居住者の大半を占め、
さらにそこへ“非居住者”のネトウヨはじめ排外主義者が群がる。
排外主義的なナショナリズムに世代間の軋轢、都市のスラム化、そして外国人居住者との共存共栄……。
団地はこの国の課題最先端「空間」となっていた!!
厳しいこの現実に負けずに、“一緒に生き続けること”を実践している各団地の取り組みを私たちは“日本の未来”に出来るのか? 
この国の“これまで”と“これから”を浮き彫りにする、地べたからのルポルタージュ!!

感想・レビュー・書評

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  • かつての「ニュータウン」が住民の高齢化
    により、「オールドタウン」化している
    ことは、あちこちで報道されています。

    一方で、中国人などが移り住み、治安が
    脅かされている団地などがあるとも聞き
    ます。

    本当はどうなのでしょうか。

    本書では、とにかく現地での様子をルポ
    することにより真実をあぶり出します。

    高齢化は致し方なしとしても、外国人
    移民との分断は果たしてあるのか、事実
    を丁寧に取材しています。

    また、海外の例も押さえています。

    治安が悪化しているのが本当であるなら
    ば、本格的に移民を受け入れているフラ
    ンスなどはどうなのでしょうか。

    テロの温床とまで言われているパリの
    郊外の「団地」を訪れて、現状をルポ
    します。

    田舎でもない、都会でもない「郊外」の
    現状を詳細にレポートしている迫真の
    ノンフィクションです。

  • 我々が見慣れた「団地」を、移民と高齢者がひしめく課題最先端空間として切り取った一冊。両者の衝突が起こる本当の理由は、世代間のギャップ。摩擦は避けられないが、同じヒトとして相互理解に取り組もうとする人々の姿に勇気付けられた。著者の丹念な取材を感じさせる一冊。

  • 第68回ビブリオバトルinいこまテーマ「みのり」で紹介された本です。
    2019.9.29

  • 2023/11/04

  • 読み終わった。住居は生きていくために欠かせないけれど、人は排除を簡単に選ぶし、無知すぎる。

  • 都内の団地に住んでいる人間として、たいへん興味深い内容だった。1950年代以降の団地の流れもおおまかに理解できる。

    ページが進むにつれ、団地に住む移民問題に焦点があたり、差別や不平等の話がメインとなってくる。個人的には団地の文化的側面を多角的に知りたかったので、少し物足りなかったが、それでもおもしろい内容だった。

    団地の建て替えが住人の高齢化により社会問題となっている今、とても意義のある内容だと思う。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001196602

  • 興味深く読んだ。なんて言うと他人事みたいだけど、全然他人事ではない。今住んでるアパートにも外国人が多く住んでいる。隣に住んでいるのは日本人みたいだけど名前も知らない。下の部屋では孤独死があった。自分も孤独死する可能性は高い。

    著者の代表作であろう「ネットと愛国」は読んだことがあったので、この本もその部分に焦点が当てられているのかと思って読んだ。しかしそれは団地の一側面だ。団地にはその時代の市井の生が色濃く立ち上がってくる。孤立死、団地にまつわる時代の栄枯盛衰、価値観の変化、団地妻(!)、高齢化、パリの団地、外国人との軋轢、交流の取り組み・・・団地のそんな多様な側面にこの本は光を当てている。まさか団地妻に焦点当てて1章書くとは思わなかったが、ここでの描写には吉村昭を連想するものがあった。とにかく、そうやっていろんな角度から団地を描くことで、団地の過去と今、国内と国外、そして未来への希望が見えてくる。

    もちろん、先行きは簡単なことじゃないだろう。若い世代は未来を変えていこうする様子が描かれていて印象的だった。若さをまぶしく感じた。その一方、高齢者はどうだろう。変わることは難しいのではないか。それは自分事として、保守化して殻に閉じこもるのがわかる気がしてしまう。最終的には交流が深まるより先に、時間と共に高齢者はいなくなってリトルxxxタウン、みたいな閉じた小コミュニティが各地に誕生するのではなかろうか。移民を受け入れた欧米国と同じように。

  • なんか所々ちょっと話がブチっと切れる感じがしちゃうところあったけど、それ以外は興味深く読んだ。特に自分で住みながら共生を探ってる青年の話が面白かった。


  • 高齢化問題と移民問題、その2つを包含する団地のルポルタージュ。

    実際問題、こういうところの現状は、中に入ってみないと分からない

  • 団地の現状に取材したルポ。まちづくり、高齢化、多文化社会などを考えるきっかけになる。
    60~70年代に日本各地に建てられた団地は、かつては最先端の暮らしの象徴であり、憧れの生活モデルだった。濃密なコミュニティがあった。しかし現在は建物の老朽化、住民の高齢化とともにコミュニティも弱体化し、孤独死が課題となっている。
    一方で外国にルーツを持つ住民も増えて、世代と文化による断絶が生じている。中華系の多い芝園団地、残留孤児の住む広島基町、日系ブラジル人の住む保見団地。ヘイトを煽るデモや報道の一方で、現場では有志による文化交流などの努力が行われている。
    第4章では移民が多く住むパリの団地の現状を伝える。住民運動「アソシアシオン」では、貧しい人への炊き出し等が行われる。慈善だけでなく、住民自身のアイデンティティ維持のための運動でもある。

  • 「月刊日本 ルポ 外国人労働者」取材班が選ぶ、外国人問題を理解するための3冊(HARBOR BUSINESS Online 2020.2.23)
    ◆西日本新聞社(編)『新 移民時代』明石書店
    ◆安田浩一『団地と移民』角川書店
    ◆望月優大『ふたつの日本』講談社現代新書
    https://hbol.jp/213558

  • どの章もそれぞれ興味深く読み、いろいろなことを考えさせられた。
    高齢化の進む日本に外国人が必要なら、高齢化の進む団地に外国人が住むことが団地にとっても必要だろう。かつての団地の子供たちが伸び伸びと子供時代が送れたように、外国人の子供たちが元気で楽しく生活できるようなサポートを日本人がしていかなければいけないと思う。

  • 老朽化した団地に住むのは高齢者と外国人である実態について述べている。
    今後移民の受け入れ先として団地が機能すると主張する。
    団地が選ばれる理由は、保証人が不要のURだからなのか。

  • 昭和の文化の象徴的存在の団地。時が過ぎ高齢者ばかりが暮らす限界集落と化している。一方空室に居住する外国人。文化間の摩擦など移民に関する多くのトラブル。ありのままの現実と解決策を模索する人々を記録したルポルタージュ。

    団地に限らず数十年前に若い世代が多く暮らした当時のニュータウンの高齢化は時にマスコミの話題となり知っていた。だが本書に描かれるような移民の現実は今まで知らなかった。

    高齢化と虫食いのように増える空室。比較的低価格な条件と一般の不動産屋のように国籍で避けられることがないことから、外国人の居住者が増えていく。それは日本だけではない現実。

    本書ではパリ郊外の団地が移民居住者が占めることとなりヘイトなどのトラブルになっているということを紹介。日本でも同様の問題が起きつつある。

    庶民の憧れの場から高齢者のみが暮らし時に孤独死の場所ともなる現実。若い外国人居住者との良好な関係を模索する人たちを描いた作品。豊富な取材力の力か良質なルポルタージュ。

  • ●今団地に住んでいる人の多くは「上がり」にたどり着けなかった人、そこが「上がり」だった人、そして外国人だ。
    ●埼玉県川口市の芝園団地は1978年に完成したUR団地、2500世帯の半数が外国人住民だ。
    ●移民の街フランス、団地を案内してもらえないかと聞くと、ほぼ全員が怖いと尻込みした。
    ●パリにも中華系住民からなる巨大な「チャイナ団地」が存在する。団地脇には売春婦たちも存在する。中国本土の資本主義化により国営企業などをリストラされた女性たちが、伝音よって渡仏。まず家政婦などを務めた後、売春の世界に身を投じるケースが多いらしい。
    ●広島市営本町高層アパートは9000人が暮らす大規模集合住宅。昔は原爆スラムと言われるブラック会であった。外国籍住民の比率は約20%。帰国者や聞かした住民も多いことから半分が外国人と言う見立ても間違いとは言えない。
    ●愛知県豊田市の保見団地。ボランティアでごみステーションの掃除をしている男性。「ごみステーションが汚れていると、日本人はすぐにブラジル人のせいにするでしょ?ブラジル人が汚していなくてもブラジル人のせいにされる。だからどんな時でもきれいにしておかないと」
    1999年、保見団地抗争が起きた。

  • いちばん弱い立場の人が
    報われない ところは
    やはり 生きづらい

    安田浩一さんのレポートを
    読むたびに思うことです

    そして
    読んでいる時に
    頭の中で流れていた「一つの歌」が
    ありました

    〽「ひとつぶの涙」
       詩 笠木透、 曲、上田達生

    1.この地上にひとりでも
      飢えている人がいるかぎり
      私たちの食事は
      どこか 楽しくはないでしょう

      この地上にひとりでも
      失業している人がいる限り
      私たちの労働は
      どこか気が重いことでしょう

      ※ ひとつぶの麦を
        ひとつぶの汗を
        ひとつぶの怒りを
        ひとつぶの涙を

    2.この地上にひとりでも
      差別されている人がいる限り
      私たちの遊びは
      どこか楽しくはないでしょう

      この地上にひとりでも
      戦争で死ぬ人がいる限り
      私たちの生存は
      どこかうしろめたいことでしょう

      ※ ひとつぶの麦を
        ひとつぶの汗を
        ひとつぶの怒りを
        ひとつぶの涙を


      

  • 団地出身者として興味深く読みました。
    私は埼玉の武里団地に幼少時にいましたが、おそらく同じような課題を抱えているのではないかと。
    団地に限らず、これからの日本で解決していくべき課題なのでしょう。

  • エコノミスト掲載201957
    日経新聞掲載2019511

  • ルポルタージュ。

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著者プロフィール

1964 年、静岡県生まれ。「週刊宝石」などを経てフリーライターに。外国人労働者問題などをテーマに取材活動を続け、「ネトウヨ」とされる在特会を取材した『ネットと愛国』(講談社)で2012 年の講談社ノンフィクション賞を受賞。2015 年、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17)で第46回大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。2025 年、『地震と虐殺 1923 - 2024』(中央公論新社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。著書に『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版) など多数。

「2025年 『新版 学校では教えてくれない差別と排除の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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