肉小説集

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014271

作品紹介・あらすじ

ロースカツ、角煮、生ハム……。何だかお母さんが煩わしいときも、年をとって格好悪かったりするときも、お肉を食べて前を向けばちょっぴり変わっていけるはず。心とお腹にしみる、おいしくてあたたかな短編集。

感想・レビュー・書評

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  • おいしいお肉料理にまつわるお話…かと思いきや、あまり食べたくなくなるような描写があったり、意外と「アンチ肉」なお話が多かった。
    分厚いトンカツも、トロトロの角煮も、一緒に食べる人や食べる状況によって、こんなに不味そうになるのか….と、思ってたのと逆の方向で、食の奥深さを知った。
    読み終わった後に、ゾクっとするお話あり、希望が見えるお話あり、その短編バリエーションの豊富さは、さすが坂木さん。
    この本を読んで、肉料理を食べたい気持ちにはならないけど、短編の面白さは保証します!

  • 豚肉の色々な部位にちなんで、美味しかったりちょっとグロかったりエロかったりする六篇をおさめた短編集。


    どれも面白かったけど、「アメリカ人の王様」「魚のヒレ」が好み。
    気が合う友人とか、一緒に暮らそうと思うようなパートナーとは、味覚のセンスと笑いのセンスが合うのが重要と常々考えている私には、面白かった。そうか、異文化コミュニケーションと思えば…
    …とはいえ、昆虫食の国の人と恋に落ちたりしなくて良かった。

    巻頭の「武闘派の爪先」を読んだら、豚足を食べてみようと思う読者はいないかも…
    そんな人は、『コウノトリ』を読もう。

    近藤史恵さんの解説も美味しいオマケ。

  • 豚の部位が出てくる短編集。色々な短編集があるが、豚の部位という発想がもう面白い。坂木さんは肉屋さんで豚の部位図を見て思いついたそう。タイトルの「肉小説集」というのがまた、そのまんまなネーミングでつい手に取ってしまう感じ。
    どの話も基本主人公がぼやきまくっている。心の声がほとんど文句。でも、なんだか憎めない面々です。豚の部位がどうお話と絡んでくるのか…と思ったけれど、案外豚肉って話の中に出てきても違和感ない。そして、すぐにでも食べれそうな物が多い。豚肉美味しい!と思えるような料理小説ではないけれど、逆に私は豚肉食べたくなりました。

  • 豚肉の部位に絡めた短編6編。
    ・武闘派の爪先・・・豚足
    ・アメリカ人の王様・・・ロースカツ
    ・君の好きなバラ・・・豚バラ、角煮
    ・肩の荷(+9)・・・肩肉
    ・魚のヒレ・・・豚ヒレ肉のトマトソース煮込みピザ風
    ・ほんの一部・・・ハム、生ハム
    小学生から中年サラリーマンまで、主人公は男性。
    ヤバい話、ほこっとする話、なんか青春の話・・・いろいろあるけど、
    サクっと読めました。取り敢えず、人間ドラマだなぁ~。
    うん、肩肉食べなくちゃ・・・医食同源ね(^^♪

  • 軽く読み終えられる本。短編だけど、人物の心の動きがおもしろい

  • ロースにヒレ、モモに豚足……豚肉の部位をモチーフにした短編小説集。

    装丁のかわいらしさに惹かれて前々から気になっていたのですが、やっと読めました。おもしろかった!

    豚肉料理に翻弄される男たち(小学生~中年会社員)がとにかく愛おしい。意地とか見栄とかプライドとか反抗期とかそういうちょっと面倒臭い心情に、豚肉がよく似合うんだなあ。

    私が特に好きなのは「アメリカ人の王様」と「ほんの一部」。
    「アメリカ人の王様」/「アメリカ人」(と言うと語弊はあるかもだけど)だから仕方がない、という割り切り方に笑ってしまいました。義父と娘婿って難しい。でもどちらかが一方的に我慢する関係は絶対に不健全だから、ちゃんと向き合って妥協点を探るしかないのですよね。ハラハラしながら読み進めましたが、ハッピーエンドでほんと良かった……。
    「ほんの一部」/偏食小学生かわいいな。まだ恋になる前の感情の描写が眩しい。私は大人向けの子どもの話(伝われ)が好きなんですけど、「ほんの一部」はまさにどストライクでした。これから生ハム食べる度に思い出すんだろうな。

    【収録作品】
    武闘派の爪先
    アメリカ人の王様
    君の好きなバラ
    肩の荷(+9)
    魚のヒレ
    ほんの一部

  • 最近こういう短編が集まった構成の本を読むことが増えたなと思う。
    読みやすそうと思ってつい手を出してしまっている。
    一人称ばかりを集めた豚肉が出てくる短編。豚肉は大好きなんだけど、嫌いと言う設定のものが結構多くて、特に中二病っぽい主人公の独白は気分が悪くなってしまった。作者の力量が素晴らしいって事なんだろうけど、キャッチャーインザライと同じく苦手。

  • 豚肉のいろいろな部分をテーマとした短編集。楽しそう、と思って手に取ったのですが、一番最初の豚足部分のお話が全く自分には合わなくてもう読むのをやめようかと思いました。でも二つ目のロース部分の読後感が悪くはなかったので、その後最後まですんなりと読み続けられました。ラストのハムはちょっと自分を省みてドキッとした部分もありかなり好みでした。とはいえ、全体としては悪くはないけれど良くもなかったというのが正直な印象です。料理もあまり美味しそうではないし、坂木さんを初めて手に取るなら別の作品をお勧めしたいです。

  • (2018/9/14読了)
    「鳥小説集」を見かけて、その前作がコレだと知って、借りた本。肉=豚肉で、その理由は、後書きにもあるけど、作者が関東人だからとのこと。たしかに、わたしが小さい頃は、すき焼きもクリームシチューも豚肉だった。ちなみに私は肉嫌い。でも、生ハムや餃子は食べられるけど。
    すごく面白いとか、肉が強烈に主張しているとかは感じられず、どの作品にもなんだか薄く不快感を感じる場所があったけど、読みやすくてあっという間に読み終えた。
    鳥の方も借りている。どんな物語になるのか楽しみ。

    (内容)
    豚足×会社を辞めて武闘派として生きる元サラリーマン。ロースカツ×結婚の許しを得るべくお父さんに挑むデザイナー。角煮×母親に嫌気がさし、憧れの家庭を妄想する中学生。ポークカレー×加齢による衰えを感じはじめた中年会社員。豚ヒレ肉のトマトソース煮込みピザ風×片思いの彼女に猛アタックを試みる大学生。生ハム×同じ塾に通う女の子が気になる偏食小学生。肉×男で駄目な味。おいしくてくせになる、絶品の「肉小説」

    (目次)
    武闘派の爪先 … 豚足
    アメリカ人の王様 … とんかつ
    君の好きなバラ … バラ肉の角煮
    肩の荷(+9) … ホルモンと肩ロース
    魚のヒレ … ヒレ肉
    ほんの一部 … 生ハム

  • 面白くないわけじゃないけどテンションが上がらない短編集。「魚のヒレ」はちょっとワクワクできたけど。ノリのいいふたりの掛け合いが楽しい。こんなふうにして、くっついたり離れたりしても何の問題にもならなかった頃があったなぁ、て。装丁と目次がちゃんとリンクしてることに気がついてひとり満足した。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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