透明カメレオン

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • KADOKAWA (2015年1月31日発売)
3.48
  • (88)
  • (233)
  • (251)
  • (71)
  • (13)
本棚登録 : 1767
感想 : 279
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784041014288

作品紹介・あらすじ

冴えない容姿と“特殊”な声を持つラジオのパーソナリティの恭太郎はある雨の日、行きつけのバーでびしょ濡れの美女に出逢う。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる恭太郎だったが――。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラジオパーソナリティを務める桐畑恭太郎。仕事終わりに、行きつけのバー「if」へ。常連たちと楽しんでいると、びしょ濡れの美女が入店し、その出会いがきっかけで、主人公と常連たちは、彼女が企てる殺害計画に巻き込まれることに・・・
    といったあらすじ。


    突然胸を撃ち抜かれたかのような、衝撃が終盤に訪れました。
    そして、それまでの物語が、一瞬で全く別の
    意味をもったものに変わりました。

    序盤はよく分からないけど何か壮大なことが起きそうな展開に胸を躍らせ、徐々に今までの点と点が繋がっていき、最後にハラハラドキドキ。ここで終わりと思いきや思いがけない結末。物語の合間合間に挟まれるクスッと笑ってしまう場面。
    一冊の物語の中で、様々な感情を抱き、心揺さぶられました。

    主人公、「if」の常連の優しさ、強さに心惹かれました。私も彼や彼女たちのような、人でありたいなぁと思いました。

  • ラジオで恭太郎が流す曲が懐かしいな~なんて思いながら、
    あまり深く考えずにすらすら読んでいきました。
    が、終盤の方で思いがけず泣きそうになるくらい引き込まれていきました。
    特に印象に残ったのは、「勘が良い」というのは場合によっては
    「苦しい」ことなんだなと思いました。
    気づきたくなくても気づいてしまう辛さと、気づいてしまった後の葛藤。
    鈍感に過ごすことも幸せなのかもしれない…なんて思いました。
    最後はとても心が温かくなる終わり方でした。

  • ラジオ好きの自分には、とても面白い本。
    実際のラジオの喋り手の方達が、ネタ作りに労力が必要で、ある程度結果が思い通りにならない方が面白い…と言うような事を言っていたのを思い出した。登場人物のマイナスな経験をプラスにする数々の物語を回収する本作は素敵でした。

  •  バーに集まる個性豊かな常連たち。みんなそれぞれには悲しい過去があって・・・。
     入店してきた女性が発した言葉「コースター」から物語が始まります。「コースター」を「殺した」と言ったのではないかと考えた常連たちが、その少女にまつわる事件を解決しようと協力するが、巻き込まれていきます。
     可笑しくも悲しい、そして優しい物語。サクサクと読めて、じんわり感動できました。

  • 今夜も僕は、世界をつくる。少しの嘘と、願を込めて。

    ラジオのパーソナリティの桐畑恭太郎。
    冴えない容姿と特殊な声の持ち主。
    美しい声に容姿が伴わない事に劣等感を抱いている。
    恭太郎は、ある雨の日にいきつけのバー『if』で不審な音を耳し、
    びしょ濡れの美女が店に迷い込んで来た。
    ひょんな事から彼女の企てた殺害計画に参加する事になる
    恭太郎と常連のお客様達だが…。


    最初は、何故恵をからかって騙した位の事で
    皆が理由も聞かず言われるままに従ってるんだろう…。
    途中、恵の話を聞き殺害計画と知っても協力するんだろう…。
    そもそも、恵に良い感情を抱けなかったからか、
    恵の話自体が何だか怪しいのに…。
    恭太郎の軽はずみな行動や言動も嫌だった。
    軽いし、何だかコメディみたい
    なんて感じのもどかしさを抱えながら読んでいました。
    なかなか読み進まなかった。

    ラストには、とても驚かされました。
    すべて伏線だったのですね。
    陽気そうに見えた『if』のママや常連客達の抱えてたもの
    大量のエナメルが巻かれた赤鉛筆の訳
    透明カメレオンの意味
    その理由を知らされた時、泣かされました。
    切なくなりました。

    存在しないものでも、信じれはそこに存在するんだね。

  • 泣いた
    帯にあるような「感動」なんかじゃない
    優しい嘘と驚きはあったけど。

    目に見えたり、表出されることがすべてじゃない。自分だけでもない。
    みんな大なり小なり抱えて生きてる。

  • 道尾秀介が書く物語だし楽しみだな!、と期待して読み始めたんだが・・・。
    この作品、好きじゃないな。
    ラジオのパーソナリティと彼の行きつけのバーの常連客たち、そこへ一人の女が転がり込んできて・・・。
    この女の性格が、どうにも好きになれない。自分勝手で厚かましくて、現実に知り合いで居たら「オレの半径5mに入ってくるな!」って言いたくなるタイプ。もっとも、こういうのが好みの人も居るだろうから、そのへんは個人の好みの問題だと思うけど・・・。
    まぁ、この女のせいで読んでても楽しくないんだよなぁ。

    軽くコメディ的な要素もある小説なんだけど、この女に対する嫌悪感と、主人公・桐畑恭太郎を応援する気持ちがグチャグチャになってしまって、話に身をゆだねることも出来なかった。
    五章から構成される本書、スピード感にもやや欠ける。コメディのような描写もあるのに、スピード感が無いから気持ちよく笑えないし、酔えないんだよなぁ。

    ところどころ挿入されている、ラジオ番組での「しゃべり」の内容。これは良い味を出してる。ラストで、この「しゃべり」の内容がコロッと転回されるのもちょっとしたサプライズで好感だった。

    「早く読み終えて次の本でも読もう!」と、惰性で読みすすんできたところ、ラスト20ページは、さすがに道尾秀介、技を仕掛けてた。
    うん、あの悪戯は伏線だったのか!とか、台詞の一つ一つに伏線が隠されていたり・・・。泣ける要素もあって、一気にヒューマンドラマのノリになった。
    この辺は好みなんだけどなぁ、女の性格が最後まで変わらなかったのはなぁ、嫌なんだよなぁ・・・などと、読了後、ちょっとモヤモヤ感。

    ☆3個

    「BOOK」データベース~

    ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。今夜も、いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごすだけの毎日を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女が店に迷い込んできた。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる彼らだが―。陽気な物語に隠された、優しい嘘。驚きと感動のラストが心ふるわす―。

    確かに優しい嘘なんだけど、女の性格がやっぱり好きになれないな。なんとなくコメディタッチの描写で、ラスト20ページでヒューマンドラマに仕上がってるけど、どっちつかずの印象になってしまってる。
    全編、後半のノリなら☆5個なんだけど・・・。

  • その声を聞くと誰もが振り返るほどの"美声"の持ち主である桐畑恭太郎は深夜ラジオのパーソナリティをしている。
    恭太郎が放送終了後に毎日足を運ぶ店は輝美ママが営む(?)「if」
    そこに集う、百花、石ノ崎、レイカ、重松。
    ある日、三梶恵(ミカジケイ)と名乗る女性が現れ、「if」の面々は彼女に振り回されていく。

    前半はなかなか読むスピードがあがらず…
    切ないラストに、一気に引き込まれた。

    道尾さんの本はこれが11冊目。
    道尾さんの本のタイトルは、読んでみて初めて「なるほど~!」と思う。
    今回もしかり!

  •  読み終えてネット上を検索してみると、本作は大変評判がよく、道尾秀介作品の中でも好きな作品に挙げる人が多いという。確かに、これはかつてないテイストだった。そして、読み終えてみれば、やっぱり道尾作品だったのだ。

     主人公はラジオのパーソナリティを務める恭太郎。その声と裏腹に、冴えない容姿であることは、リスナーには秘密。ある日、行きつけのバー「if」に、恭太郎のファンだという美女、三梶恵が迷い込んできた。それがすべての始まりだった。

     成り行き上、恭太郎のみならず、「if」の輝美ママ、常連客たちも恵の計画に巻き込まれるのだが…おいおい、こんな計画普通断るだろうし、つき合う義理もないだろう。「if」に集う面々は変わり者だなあ。序盤はその程度に感じていた。

     読み進めながら、おやと思う。物騒な計画なはずなのに、なぜかコメディタッチで、キャラが立っている。これまでの道尾作品は、胃をキリキリさせながら読み進めることも多かったが、すいすいと楽しく読める。これはどうしたことか。

     後から思えば、そこかしこに伏線はあったし、恭太郎は何かを掴んでいるらしい。しかし、教えてはくれない。いよいよ敵の懐に突入するに当たり、ラジオ局の餅岡さんや「if」の面々も力を貸してくれる。お人よしばかりだな。さすがに緊張感が増してきた。

     それなのに、冴えない恭太郎の必死のアタックは、申し訳ないけど笑ってしまった。おそらく命がけだったというのに。どう切り抜けたかは、読んでください。

     そんなの聞いてねえという真相が徐々に明らかになるのだが、本当の衝撃は解決後に用意されていた。えええええぇぇぇぇぇ!!!!! ここまでコメディタッチだったのにそりゃないぜ道尾さん…。久々に「斬られた」感を味わったのだった。

     道尾さんご自身の、ある作品にテイストが似ていないこともないか。しかし、作品名は挙げません。そういえば、ラジオを聴かなくなったな。

  • 声だけは魅力的なラジオパーソナリティの桐畑恭太郎。行きつけのバーで居合わせたリスナーの女性のために一興演じたことから彼女の手助けをすることとなる。彼女は何か秘密を抱えているようで…
    冒頭はあまりピンとこない内容だったが後半にかけて面白かった。最後に主人公が語る彼の事情にも驚かされた。

  • ラジオのお仕事をする美声の持ち主の主人公と主人公行きつけのバーに集まる人々のお話。
    小さいときには透明なカメレオンが見えたのにいつの間にか見えなくなったというところが印象に残った。
    生きるために忘れることや鈍感でいることは大事な能力だと思うけどそうすると透明カメレオンは見えないままなのかな。
    読後も自問自答が続くお話だった。

  • 声がすごく良すぎて容姿とギャップがあるラジオパーソナリティとして働く主人公。

    話が嘘も含まれていて、しかしちょっと優しい嘘だったりする。

    どんな展開になるのか読めなかったが、まぁ終わりはよかった印象。

  • 弱くていい。
    自分が弱いこととか、不完全なこととか、僕は誇りに思っている。っていうシーンがあるんだけど、
    そんな考えとてもよき。

  • 軽快な文章で読みやすい。
    最終盤は泣ける

  • ーーーーーーーーー
    好きなセリフ
    ーーーーーーーーー

    見えるものしか見えなくなってしまったのは、いつの頃からだろう。

    あのときこうしていたら。
    ああしていたら。
    そんなことは考えても仕方がない。
    行動の結果なんて誰にもわからない。
    選択自体が間違いだったわけじゃない。
    それなら、いまをつくり変えるしかない。
    新しいいまをつくってしまえばいい。
    たとえ目に見えない透明な世界だったとしても、
    本気で願えば、人はそれに触れることができる。
    両足で立つことができる。

  • *ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。今夜も、いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごすだけの毎日を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女が店に迷い込んできた。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる彼らだが―。陽気な物語に隠された、優しい嘘。驚きと感動のラストが心ふるわす―*

    ああ、やっぱり道尾秀介さんだ。その一言に尽きます。哀しくてやるせないけど、温かくて泣けてくる。全ての伏線がぴたりとはまる、ラストのどんでん返しが秀逸過ぎて放心。

  • こういうの全然好きじゃない。伏線回収でどんどん変わっていく物語が好きだったので、明らかな違和感を回収されて想定内の結論に持っていかれるのが残念だった。新刊出るたびに読むようにしてるけどもうやめようかな。これでミステリってどうしちゃったんだろ?他要素詰め込んで大失敗してる。

    **ネタバレ**
    キャラ設定が胡散臭くてなんだかなあって感じ。殺したをコースターに聞き間違えるのも頭おかしいけど紫陽花を「しようか」って読む奴いないでしょ……。失笑レベルを超えてる。ストーリーの持って行き方は雑だし、やりたいことのために無理矢理キャラを動かしているから違和感がすごい。特に恵。山の中のシーンなんて小学生の妄想みたいだし(さいきょうになってわるいやつをやっつけるぞ!)、読んでて痛い。作戦もすべてが行き当たりばったりなのにハッタリで全部上手くいくのおかしい。
    実は不幸、って背景出すのめんどくさすぎ。予想していたところに落ちていくだけなのに延々と過去語りされても食傷気味です。
    これで感動できるひとなら私でも騙せるなあ。

  • おもしろかった。
    頭の中では、恭太郎は中島ヒロトさんの設定でずっと読んでた。
    (ヒロトさんの容姿がちんちくりんだとは決して思ってない。)
    読みやすくて優しくてハートウォーミングな話だった。
    泣ける、感動って聞いたので、図書館で借りた。
    最後は確かに良かったけれど、泣くほどではない。
    話をだいぶ作りこんである感じがして、
    ”あぁ、真実はこうだったのね”、のオンパレード。
    とはいえ、あれは嘘だった、真実はこうだった、ということが判って「えぇっ!」って驚くというほどのこともない。だってそこらじゅうに違和感あるし。
    あと、クライマックスの山の中のシーンが、ハチャメチャ過ぎやせんかね…。
    あと、なんで”透明カメレオン”をタイトルに持ってきたんだろうか…。
    なんかあれか、どうしても動物入れなあかんかったんか。。。

    なんやいろいろ書いたけど、

    おもしろかった   どないやねん

  • ラジオパーソナリティの恭太郎、独特の声と容姿が一致しない。

  •  終盤までのドタバタ劇で、最後にひとひねりあって、若干油断していたこともあって、思いのほかグッときました。そういう点では読んで損はなかったと思えます。
     自分の好みと合わなかった点は、ありがちな美少女を登場させ、やりたい放題回りを巻き込んでいくストーリー展開です。甘えとか、勘違いが鼻について、気が散ってしまいました。

全258件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

道尾秀介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×