透明カメレオン

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014288

作品紹介・あらすじ

冴えない容姿と“特殊”な声を持つラジオのパーソナリティの恭太郎はある雨の日、行きつけのバーでびしょ濡れの美女に出逢う。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる恭太郎だったが――。

感想・レビュー・書評

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  • ラジオで恭太郎が流す曲が懐かしいな~なんて思いながら、
    あまり深く考えずにすらすら読んでいきました。
    が、終盤の方で思いがけず泣きそうになるくらい引き込まれていきました。
    特に印象に残ったのは、「勘が良い」というのは場合によっては
    「苦しい」ことなんだなと思いました。
    気づきたくなくても気づいてしまう辛さと、気づいてしまった後の葛藤。
    鈍感に過ごすことも幸せなのかもしれない…なんて思いました。
    最後はとても心が温かくなる終わり方でした。

  •  バーに集まる個性豊かな常連たち。みんなそれぞれには悲しい過去があって・・・。
     入店してきた女性が発した言葉「コースター」から物語が始まります。「コースター」を「殺した」と言ったのではないかと考えた常連たちが、その少女にまつわる事件を解決しようと協力するが、巻き込まれていきます。
     可笑しくも悲しい、そして優しい物語。サクサクと読めて、じんわり感動できました。

  • 今夜も僕は、世界をつくる。少しの嘘と、願を込めて。

    ラジオのパーソナリティの桐畑恭太郎。
    冴えない容姿と特殊な声の持ち主。
    美しい声に容姿が伴わない事に劣等感を抱いている。
    恭太郎は、ある雨の日にいきつけのバー『if』で不審な音を耳し、
    びしょ濡れの美女が店に迷い込んで来た。
    ひょんな事から彼女の企てた殺害計画に参加する事になる
    恭太郎と常連のお客様達だが…。


    最初は、何故恵をからかって騙した位の事で
    皆が理由も聞かず言われるままに従ってるんだろう…。
    途中、恵の話を聞き殺害計画と知っても協力するんだろう…。
    そもそも、恵に良い感情を抱けなかったからか、
    恵の話自体が何だか怪しいのに…。
    恭太郎の軽はずみな行動や言動も嫌だった。
    軽いし、何だかコメディみたい
    なんて感じのもどかしさを抱えながら読んでいました。
    なかなか読み進まなかった。

    ラストには、とても驚かされました。
    すべて伏線だったのですね。
    陽気そうに見えた『if』のママや常連客達の抱えてたもの
    大量のエナメルが巻かれた赤鉛筆の訳
    透明カメレオンの意味
    その理由を知らされた時、泣かされました。
    切なくなりました。

    存在しないものでも、信じれはそこに存在するんだね。

  • 泣いた
    帯にあるような「感動」なんかじゃない
    優しい嘘と驚きはあったけど。

    目に見えたり、表出されることがすべてじゃない。自分だけでもない。
    みんな大なり小なり抱えて生きてる。

  • その声を聞くと誰もが振り返るほどの"美声"の持ち主である桐畑恭太郎は深夜ラジオのパーソナリティをしている。
    恭太郎が放送終了後に毎日足を運ぶ店は輝美ママが営む(?)「if」
    そこに集う、百花、石ノ崎、レイカ、重松。
    ある日、三梶恵(ミカジケイ)と名乗る女性が現れ、「if」の面々は彼女に振り回されていく。

    前半はなかなか読むスピードがあがらず…
    切ないラストに、一気に引き込まれた。

    道尾さんの本はこれが11冊目。
    道尾さんの本のタイトルは、読んでみて初めて「なるほど~!」と思う。
    今回もしかり!

  •  読み終えてネット上を検索してみると、本作は大変評判がよく、道尾秀介作品の中でも好きな作品に挙げる人が多いという。確かに、これはかつてないテイストだった。そして、読み終えてみれば、やっぱり道尾作品だったのだ。

     主人公はラジオのパーソナリティを務める恭太郎。その声と裏腹に、冴えない容姿であることは、リスナーには秘密。ある日、行きつけのバー「if」に、恭太郎のファンだという美女、三梶恵が迷い込んできた。それがすべての始まりだった。

     成り行き上、恭太郎のみならず、「if」の輝美ママ、常連客たちも恵の計画に巻き込まれるのだが…おいおい、こんな計画普通断るだろうし、つき合う義理もないだろう。「if」に集う面々は変わり者だなあ。序盤はその程度に感じていた。

     読み進めながら、おやと思う。物騒な計画なはずなのに、なぜかコメディタッチで、キャラが立っている。これまでの道尾作品は、胃をキリキリさせながら読み進めることも多かったが、すいすいと楽しく読める。これはどうしたことか。

     後から思えば、そこかしこに伏線はあったし、恭太郎は何かを掴んでいるらしい。しかし、教えてはくれない。いよいよ敵の懐に突入するに当たり、ラジオ局の餅岡さんや「if」の面々も力を貸してくれる。お人よしばかりだな。さすがに緊張感が増してきた。

     それなのに、冴えない恭太郎の必死のアタックは、申し訳ないけど笑ってしまった。おそらく命がけだったというのに。どう切り抜けたかは、読んでください。

     そんなの聞いてねえという真相が徐々に明らかになるのだが、本当の衝撃は解決後に用意されていた。えええええぇぇぇぇぇ!!!!! ここまでコメディタッチだったのにそりゃないぜ道尾さん…。久々に「斬られた」感を味わったのだった。

     道尾さんご自身の、ある作品にテイストが似ていないこともないか。しかし、作品名は挙げません。そういえば、ラジオを聴かなくなったな。

  • 声がすごく良すぎて容姿とギャップがあるラジオパーソナリティとして働く主人公。

    話が嘘も含まれていて、しかしちょっと優しい嘘だったりする。

    どんな展開になるのか読めなかったが、まぁ終わりはよかった印象。

  • 弱くていい。
    自分が弱いこととか、不完全なこととか、僕は誇りに思っている。っていうシーンがあるんだけど、
    そんな考えとてもよき。

  • 軽快な文章で読みやすい。
    最終盤は泣ける

  • ーーーーーーーーー
    好きなセリフ
    ーーーーーーーーー

    見えるものしか見えなくなってしまったのは、いつの頃からだろう。

    あのときこうしていたら。
    ああしていたら。
    そんなことは考えても仕方がない。
    行動の結果なんて誰にもわからない。
    選択自体が間違いだったわけじゃない。
    それなら、いまをつくり変えるしかない。
    新しいいまをつくってしまえばいい。
    たとえ目に見えない透明な世界だったとしても、
    本気で願えば、人はそれに触れることができる。
    両足で立つことができる。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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