シフト (下) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014417

作品紹介・あらすじ

2212年、ポーター仲間のキャムがIT部の荷を運んで爆死した。ミッションは失われた世界の記憶をもつ、からすを頼るが、サイロ18の彼らに魔の手が迫っていた。一方、サイロ1で自分を取り戻し「第三シフト」に入ったドナルドは、サイロの外に出た"清掃人"の処遇を任される。瀕死の50のサイロの命運を握るドナルド。暴動を生き延び、サイロ17に取り残された少年ジミー。圧倒的な筆力で滅亡後の地下世界を描く三部作、第二部。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。ジミーがソロだった頃の話に胸が詰まる(でもシャドウの可愛さには和んだ)。ドナルド側の展開はひたすら陰鬱で、目を逸らしたいのに続きが気になって逸らせない(『ウール』でルーカスが見習いになったとき、ヘッドフォンの向こう側ではこうなってたのね)。ストーリー全体を覆う息苦しさが癖になる。

  • ウールほど一気に読めなかった。読むのつらい。

  • 上巻がいまいち入り込めなかった理由の1つは、ミッションの時代がジュリエットの前なのか後なのかわからなかったから。ようやく前後関係がわかってすっきり。
    ジミーがどのようにソロになったかも丁寧に描かれ、想像以上につらく悲しい半生だった…。またジミーに戻れてよかった。
    SHIFTは過去編だと思っていたので、最後にジュリエットのその後が出てきたのは嬉しいサプライズだった。

    ドナルドのパートは色々と納得いかない箇所あり。
    ヴィクターの残した書き込みの意味がわかったって大騒ぎしてたけど、記憶を持ったままの人がいることはその前からサーマンも言及していたし、今さらそれ?となった。私がなにか読み違えているのかな。
    それと最初ヘレンへの愛が本物っぽく思えなかったので、その後にみせる執着がどうもしっくりこなかったのも残念。アナを避けていたのも誘惑に抗えないからだし。
    ミッションパートでクロウ先生が何をどこまで知っていて何を期待していたのかも、わかったようなわからないような感じでもやもやする。

    実はWOOLでもあれっ?となっていたことがある。ジャンズの旅では20階が産院でその上が小学校と書かれていたのに、ジュリエットがサイロ17に来たときには13階が産院のように書かれていた。
    SHIFTでジミーのいた学校は12階と判明。小学校とは別という可能性もなくはないけど、おそらくジャンズパートの記述が誤りで、12階が学校、13階が産院と思われる。

  • 前作「WOOL」で舞台となった<サイロ世界>
    これは「人類再生計画」なのか「人類消滅計画」なのか。

    この物語は、最初にまだ人類が地上にいたときから始まるものと、数十年後の<サイト1>の出来事の、二つの時間軸が交互に綴られていき、そしてさらに数百年後の時間軸や、別のサイトのエピソードが加わる……といった調子で進められるため、やや整理しながら読み進める必要がある。
    また、前作のような「設定世界の驚き」や「ヒロインによる冒険活劇」の要素はなく、「サイロ」がどのようにしてできて、どのようにして運営されてきたかが、エピソードを交えて淡々と語られる。
    そして、下巻最後に前作の登場人物が現れ、時間軸が結合する。

    前作から時間をあけてしまったのが、残念だったかも……。
    読んだ後も、挿入されたエピソードの意味など、まだよくわからない点がいくつもあり、モヤモヤする。

    本作「SHIFT」だけを読んでもたぶん意味をなさない。
    続けて最終話「DUST」をよむことにする。

  • 前半は相変わらずしんどいけど、後半になってようやく前作「ウール」とのつながりが見えてきた。こうなってくると、次の「ダスト」も読まなきゃだなあ。

  • アメリカの作家「ヒュー・ハウイー」の長篇SF作品『シフト(原題:Shift)』を読みました。

    久しぶりにSFを読んでみたいなぁ… と思い本書を選択、、、

    2年前に読んだ『ウール』の続篇となる作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    空前の大ヒット
    地下144階のサイロを見守る仕事、「シフト」。

    いったん読みはじめたら、強烈なストーリーテリングが読者をつかんで離さない。 
    「大森望」(文芸評論家・『ウール』解説より)


    2049年、滅亡前の世界。
    新人議員の「ドナルド」は、上院議員「サーマン」から極秘プロジェクトへの参加を依頼された。
    「ドナルド」が「サーマン」の娘「アナ」と設計した地下施設が完成、全国党大会が行われる中、上空で核爆弾が爆発した。
    一方、滅亡後の世界では、冷凍睡眠から目覚めた「トロイ」が、サイロの責任者として「第一シフト」に入っていた。
    ミッションは秩序維持。
    必要なすべては、『秩序の書』に書かれ、伝承されていた。
    巨編『ウール』続編。

    〈下〉
    ネット発巨編、第2部!
    瀕死のサイロ、その命運を握るのは「シフト」につく男。

    先の展開は絶対に読めない。
    テンポが早く、しかも面白い。
    おお、早く第3部を読みたい。 
    「北上次郎」(文芸評論家・本書解説より)

    2212年、ポーター仲間の「キャム」がIT部の荷を運んで爆死した。
    ミッションは失われた世界の記憶をもつ、からすを頼るが、サイロ18の彼らに魔の手が迫っていた。
    一方、サイロ1で自分を取り戻し「第三シフト」に入った「ドナルド」は、サイロの外に出た“清掃人”の処遇を任される。
    瀕死の50のサイロの命運を握る「ドナルド」。
    暴動を生き延び、サイロ17に取り残された少年「ジミー」。
    圧倒的な筆力で滅亡後の地下世界を描く三部作、第二部。
    -----------------------

    サイロシリーズ三部作の第二部にあたる作品で、第一部『ウール』の前日譚が描かれています… 前作ほどの感動はなかったものの、謎の一部が解き明かされるので、最後まで興味を持って愉しく読めました、、、

    サイロが設計・建設され世界終末を迎える前の2049年~2052年、その後の2110年、2212年、2345年と、様々な時代が描かれているし、前作につながるサイロ17号やサイロ18号だけでなく、全体を統括しているサイロ1号等、舞台も様々で、前作同様に、場面の切り替えが多いのですが、それが独特のリズム感とスピード感を生んでいるし、読み進むにつれて新しい事実が徐々に判明して行くので、どんどん先を読みたくなる展開でしたね。

     ■第1のシフト――遺産
     ■第2のシフト――秩序
     ■第3のシフト――協定
     ■解説 北上次郎

    2049年、下院議員「ドナルド」は地下壕サイロを設計した… 完成を祝う党大会の最中、上空で核爆弾が炸裂、人々は地下壕へ逃げ込んだ、、、

    2110年、誰もが「以前」の記憶を消された世界で一人の男「トロイ」がサイロの責任者として冷凍睡眠から覚醒し「第一シフト」に入っていく。

    2212年、ポーターの「キャム」がIT部の荷を運んで爆死したことを契機にサイロ18に魔の手が迫る… 一方、サイロ1で長い眠りから覚醒した「ドナルド」は、サイロ1の責任者となり、より多くの人を救うため、崩壊し始めたサイロを消滅させるミッションの取り組むが、苦しんだ「ドナルド」はサイロから足を踏み出す決心をする、、、

    2312年、暴動で両親を喪ったが、生き延びた少年「ジミー(ソロ)」は、サイロ17で生き残るための懸命な努力を続ける… そして、暴動から34年目の2345年に「ジミー(ソロ)」は、「ジュリエット・ニコルズ」と出会う(『ウール』に繋がります…) ―― その頃、「ドナルド」は瀕死の50のサイロの命運を握る立場となり、人類を絶滅寸前に追い込み、自らの運命を翻弄した人物に復讐を果たします。

    前作での謎の一部が解明し、物語が前作と合流して愉しく読めましたが… 前作を読んで2年も経ってしまっていて、細かいところを失念してしまっていたり、物語の世界観に浸るのに、ちょっと時間がかかったことは残念でしたね、、、

    三部作のそれぞれが上下巻に分かれていますが… そんなにページ数がないので、上下巻を一冊にまとめて、三部作を一連の作品として上巻・中巻・下巻という構成にしてくれた方がイイと思うなぁ。

    その方が作品の醍醐味が味わえると思いますね… やっぱ、次作の『ダスト』を読まないと不完全燃焼な感じですね、、、

    「ドナルド」は生き残っているサイロを、人類を救うことができるのか?

    「ジュリエット」と恋人「ルーカス・カイル」の運命はどうなる?

    サイロ17号に残された「ソロ(ジミー)」たちはどうなる?

    興味は尽きません… 古書店で探してみなきゃ!





    以下、主な登場人物です。


    「ドナルド・キーン」
     ジョージア州選出の下院議員

    「ヘレン・キーン」
     ドナルドの妻

    「シャーロット・キーン」
     ドナルドの妹。空軍の無人機パイロット

    「ポール・サーマン」
     ジョージア州選出の上院議員

    「アナ・サーマン」
     ポール・サーマンの娘

    「ミック・ウェッブ」
     下院議員。ドナルドの学生時代からの親友

    「トロイ」
     サイロ責任者

    「メリマン」
     サイロ責任者。トロイの前任

    「ヴィクター」
     心理学研究室長

    「アースキン」
     ナノマシンの開発者

    「ミッション・ジョーンズ」
     ポーター

    「ライリー」
     ミッションの異母弟

    「キャム」
     ミッションの後輩ポーター

    「クロウ先生(愛称からす)」
     学校「クロウズ・ネスト」を主宰する老女

    「ウィック」
     IT部長

    「マクレーン」
     資材部のリーダー

    「スニード」
     医師

    「ジミー・パーカー」
     暴動の生き残り

    「ラス・パーカー」
     ジミーの父

  • 市立図書館にて。

  • 3 サイロを作る際の計画が少しずつ明らかに。スクリーンを作るのは、人間の少しは外を見せておかないと時には死の恐怖を押しのけて外に出ようとする習性があるかららしい。サーマン、心理学者ヴィクター、科学者アースキンで計画された計画が少しずつ見えてきてなかなか面白い。

  • 核崩壊後の世界、生き残るも苦悩。人類は何のために文明を発展させるのか。設定が面白く単なるSFではない。

  • 「ウール」の続編にして前日談。
    どのようにしてウールの世界は出来上がったのか、何故サイロの外には住めないのか、サイロを統括するものは誰なのか、秩序の書とは何か、が300年の歴史とともに語られる。そして「シフト」の主人公は300年間通じてまさかの同一人物。サイロ全体の統括者にして、冷凍睡眠と覚醒を繰り返しイレギュラー発生時にはサイロの生殺与奪の権限まで持つ、神のような存在。
    しかしながらこの世界が始まった際は、サイロの設計者にして当選1期目の下院議員。サイロ計画の全貌も知らないままに、いつのまのにか最高責任者になり300年後のジュリエット清掃放棄というイレギュラー事象に対応する事になる。
    中々壮大な話であるが、前作の様な爽快感は無い。SF的な新しいガジェットは何もなく、ストーリーだけで読ませる。コニーウィリスから情緒的なものを除いた感じ?
    いや、凄いストーリーテラーだ。前作に登場した「ソロ」が登場し、遂にジュリエットと遭遇するまでが描かれる。最終作を乞うご期待!という趣だ。
    完結編が楽しみ!

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著者プロフィール

1975年生まれ。ヨットの船長を8年間勤めた後、結婚を機に陸に上がって小説執筆を開始。”Molly Fyde”シリーズで好評を博し、本作”Wool”シリーズではオムニバス版がアマゾンのSF小説部門でベストセラー1位を記録する快挙となった。フロリダ在住。

「2017年 『サンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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