ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 25092
感想 : 1533
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014516

作品紹介・あらすじ

あらゆる悩み相談に乗る不思議な雑貨店。そこに集う、人生最大の岐路に立った人たち。過去と現在を超えて温かな手紙交換がはじまる……張り巡らされた伏線が奇跡のように繋がり合う、心ふるわす物語。

感想・レビュー・書評

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  • 盗んだ車を乗り捨てて廃屋に潜伏する悪たれ3人組。そこはかつて爺さんが雑貨店のかたわら悩み相談をしていた店でした。シャッター口から投函された封書は、相談者からの手紙でした。内容に目を通すとデジャヴ感が湧いてきてこの展開覚えがある。家族が見てた映画にあったように思えて脳内で西田敏行の幽霊が微笑みかけました。
    あっ、そうか小説より先に映画みたんだと納得したんですが、タイトルも知らぬうちに始まってるしホラー系なら見れないので、他事したり入浴したりでチラ見なので内容は謎だったんですけど。
    とはいえガリレオシリーズは大好きで毎回観てたのですが東野圭吾さんって方が原作者ってことも知りませんでした。そこらのところは疎くて初めに映画ありきだったので小説の方は読んでないんですよね。それが、読書が趣味になってからは逆に映画見なくなっちゃってここんところが不器用なんですけど。
    とゆうことで、東野圭吾さんの代表作の一つであるナミヤ雑貨店を読んでみました。
    時系列も視点も変わって今どの時代にいるのか分からなくなる迷子感から次第に理解できるアハ感は山登りしてるとき不明瞭な登山道から主尾根の稜線にあがって周囲が見渡せるようになる感覚にも似てるようで引きこまれながら読まされてしまいました。人気作家の構成力は飽きさせませんね。ビートルズが来日したあたりの件はその時代生きてきた人じゃないと書けないくらいの臨場感があったので東野さんの生年月日みたらやっぱりって思いました。白紙の手紙の回答も粋でしたね。
    悪たれ3人組には一晩の出来事だったけど、33年分ドット年とった気分になりました。読み終えたらまた日付替わってたし、なんだか一気に疲れてしまった。

  • これよく見ますよね〜の軽い気持ちで買った本。いや凄いね、これは。最後のページでブワッと涙。
    初東野圭吾さんでしたが、この本でよかった。

    読み始めは「???」だったし、第2章に入ったら「これ短編集だったか?」と思うような始まり。長編好きなため、この本買ったことを一瞬後悔しそうになった前半。...が!しかし!

    そんな思いを忘れるぐらい、途中から夢中。
    いや各章の人達の繋がりが凄い!繋がりの糸が複雑に見えるけど、実はしっかりした1本!
    何度ページを戻って人の名前を確認したことか。この人だったんだー!とかここでつながっちゃうんだー!の感動が凄く大きかった。

    この本でも出てくるけど、「悩み」って大きい小さいあれど誰にでもありますもんね。それも人に言えることと言えないことがあるし。でも口に出して、言葉にして、誰かに聞いて欲しい。相談したい。実は、本当の答えは自分の中にあるって気づいてるんですけれども。忖度なく、誠実な気持ちで、悩める子羊の背中を押して貰いたいんですよね。ね、ナミヤさん。

  • 何年か前、原作が東野圭吾という事は知らずに映画を観ました。ストーリーはおぼろげにしか覚えていませんでしたが、昔から西田敏行が好きでこの役もピッタリだなと感動した記憶があります。

    東野圭吾に出会って、先に映画を観ていたいくつかの作品は全て後回しにしていたのですが、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は避けては通れないだろうと手に取りました。映画で細かい設定が理解できなかったのもあり。

    盗み(?)をはたらいた3人組は予め目をつけていた廃屋のナミヤ雑貨店に身を寄せます。第一章は3人組の視点、第二章になると視点がいきなり変わるので早くも裏切られました笑。時系列もバラバラ、色々な人物の話が出てきてそれが繋がっていきます。児童養護施設出身者、関係者と浪矢のだだの感動話で終わらせてくれないのが東野圭吾。

    最近、東野圭吾を読んでて感じる事がある。自分みたいな読解力、考察の乏しい読者にもとても楽しませてくれるストーリーや言葉表現の美しさ。反対に鋭く深く読み込む読者にはどうなんだろう、緻密に組み立てられた作品にはきっと話が繋がらない部分、粗がないのではないか。どこまでも無限に広がる世界、”非現実”をさらっと”現実”に感じさせる文章力…

    悩み相談に子供の悪戯な物が入れられ、それをとんちで返すエピソードは想像して、「(小学生がふざけて大人をからかうような事って)絶対あるよな」と思って読んでてニヤけてしまった。どの作品にも”現実”と錯覚させる仕掛けが山程あります。

  • 悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。
    そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。
    廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。
    時空を超えて過去から投函されたのか?
    3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが…。
    次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。
    悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?


    単純に、3人が未来の事実を知っている事から、
    あらゆる難問を解決していくのかなぁ?
    と読みだしてみたが、過去の店主、児童養護施設、悩める相談者、
    そして悪事を働いた3人がそれぞれ大きく絡んでくる。

    伏線だらけの短編が物語が進んでいく毎に、
    パズルのピースが揃っていくかのように、気持ちよく回収されていく。

    東野先生の作品は、ミステリもいいが、SF作品もかなり面白い♪

    心がふわっと温かくなる、そんな作品だった(*^-^*)

    • アールグレイさん
      先ほどから大変失礼しています!ゆうママです!
      急に知らない人間から、いいねの嵐になっているのではないでしょうか。私の好きな本に付けさせていま...
      先ほどから大変失礼しています!ゆうママです!
      急に知らない人間から、いいねの嵐になっているのではないでしょうか。私の好きな本に付けさせています。
      楽しくなってしまって・・・・では
      2021/04/25
    • アールグレイさん
      ごめんなさい(^-^;
      ごめんなさい(^-^;
      2021/04/25
    • bmakiさん
      ゆうママさん

      フォロワーのフォロワーさんからのイイネは思いがけず沢山いただいており、いつも感謝しております。
      少しでもご興味のある本...
      ゆうママさん

      フォロワーのフォロワーさんからのイイネは思いがけず沢山いただいており、いつも感謝しております。
      少しでもご興味のある本が私の本棚にあったのであれは、何よりです(^-^)

      2021/04/28
  • 映画化されたので、記念にトップページへ持ってきました。
    評判もいいようですね。

    祝・文庫化☆
    とてもいい感じでした!
    どなたにも、オススメできます~。
    この作者にしては珍しい?画期的ほのぼの系(変な表現ですが)
    といっても‥

    どんな悩みの相談にも乗るナミヤ雑貨店。
    その仕組みとは‥?
    ナミヤ雑貨店の主人・浪矢老人が、店名との洒落で始めた事だった。
    子供からの無邪気で調子のいい相談が多かったのだが。

    ある夜、金を盗んで逃走中の若者3人組が、廃屋に逃げ込む。
    雑貨店だったらしい建物の中には、40年も前の雑誌などがあった。
    郵便受けに「初めて相談します」という手紙が投げ込まれ、面白半分に返事を書いて牛乳箱に入れる。
    すぐに返事があり、それもとても真摯に受け止められていた‥
    不思議に思いつつも、また返事を書きたくなる彼ら。

    オリンピック出場を目指している選手だが、恋人が重い病気のため、看病に専念するかどうか悩んでいるという女性。
    歌手を目指したが目が出ず、家業を継ぐかどうか、迷っている青年。
    妻子持ちの男性の子を妊娠してしまったという女性。
    親が借金を抱えて夜逃げしようとしている男の子。
    養い親を助けるため、水商売を続けようかと考える若い娘。

    ナミヤ雑貨店の主の息子は、老いた父親にある頼み事をされる。
    三十三回忌のときに、一度だけ、悩み相談を復活してほしいというのだ。
    そして、昭和から平成へと、年月は進み、日本の様子も変わっていく‥

    不思議な連鎖が起きるエピソードのたたみかけ方が上手く、現実味のある相談と、ちょっとしたユーモアで、飽きさせません。
    すべてがハッピーエンドというわけではなく、切なさや思いがけない展開もありますが。
    読後感は良いですよ。
    人の関わり方はけっこうややこしいので、再読にも耐える内容。
    いつかまた読むのが楽しみです☆

  • H29.11.25 読了。
    ・今年、映画化もされた話題作ということで、読んでみた。ノスタルジックな風景やファンタジー要素を含んだ作品でそこそこ面白かった。
     最後まで何かあるんじゃないかと、期待していたが…。私にとっては残念な作品でした。

  • 寓話集のような、タイムリープSFなのかな?
    質のいいファンタジーというか
    いろんな人生と悩みがつながり交差する感じがとても心地よい
    ほっこり泣けたり、うんうんと頷いたり、時々は胸がチクっと痛んだり
    読後感も快い一冊

  • 「白紙の地図」

    ナミヤ雑貨店の店主の浪矢雄治と、悪事を働いた3人に共通する点がある。

    それは、相談者に対する真剣さである。

    店主と卑しい3人は、文章の構成や内容に関しては、全くレベルの違うものであった。

    しかし、それ以上にその手紙に込める熱い想いは、両者共に変わらなかった。

    誰かの役に立つために込めた想いが時を超えて奇蹟を起こした。

    どうしようもない3人が人のためにここまで熱い想いになれたことが奇蹟であり、この奇蹟は、自分自身にも起こりうる可能性があるのでは。

    なぜなら、人生の地図は白紙だから。

  • うるうるくるな (T . T)
    何で雑貨店なん?って思ったけど読んでくうちに、雑貨店でないとダメや!っと洗脳されてた ^^;
    相談聞くのって大変。でも、雑貨店のお爺ちゃんは、どんな相談も真剣に考え、答える。
    多分、どんな答えでもあっても、相手の真摯な気持ちが伝われば、相談者は納得するんとちゃうかな?自分の生き方とか、やり方とかに正解なんてないからね。
    時空を超えて、みんなが繋がっていくのはええ感じやった。
    東野さんは、ミステリーから、こんなファンタジーっぽいのまで、幅広く書けるのは凄い!
    映画も観よかな!

  • どことなく大山淳子さんっぽい展開。短編が少しずつ絡まりあっていって、最後にがっちり、まるでジグソーパズルが組上がるかのような。心がほんわかしたまま読了。
    良いね♪

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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