中途の家 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014585

作品紹介・あらすじ

トレントンにあるあばら屋で、正体不明の男が殺されていた。しかし、その男の妻を名乗っているのは二人……。男は重婚者で二つの街で別々の人格として暮らしていたことが判明した。はたして犯人は……。

感想・レビュー・書評

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  • 一九三六年刊行、エラリーもの長編十作目。「読者への挑戦」が挿入される最後の作品。推理パズルから文学志向へと作風を変えていく転換期の一冊と言われる。

    一気読みだった。これまで国名シリーズを読んできて、ノッてくるまでに時間がかかることが多かったが、今回は始めからブンブンいって終わりまで読むスピードが落ちなかったなあ。
    重婚、裁判、女新聞記者、社会性、といった要素は、先に読んでいた一九四二年刊行の『災厄の町』と重なる。ただ、私は『災厄の町』より『中途の家』のほうが断然好き。名探偵たるエラリーの行動が、これまで読んだどの作品よりも人間的で自然だなあと感じるから。
    メタにいえば探偵小説の主人公なんだから頑張って捜査して推理して当たり前だが、今回のエラリーの頑張りの裏には、友人とその妹を守るため、という強い動機がある。エラリーのプチロマンス(?)がさしはさまれる点も『災厄の町』と似ているが、あちらのほうがどこか“物語進行の都合”、『中途の家』は“身銭を切った捜査の一環”という感じがした。(そして飯城勇三『エラリー・クイーン完全ガイド』にあったとおりの“寅さん体質”を遺憾なく発揮)

    犯人当ては、今回初めてまあまあ自信があったので、でもこれ正解だったらちょっと簡単すぎない?と思いながら解決編を読んだら、んもうこれまた見事に振り回されましたわ。楽しませるのが本当にうまいなあ。

  • 国名シリーズの論理パズルとライツヴィルものの人間ドラマが融合した実験的な作品。紙マッチ、焼けたコルクから導き出す消去法推理はスリリングで、同種の『Zの悲劇』と甲乙つけ難い出来栄えです。
    また、ヒロインのアンドレアがなかなか魅力的で愛憎劇としても読み応えがあり、地味な物語ですが良作だと思います。

  • 角川文庫の越前先生の新訳本10冊目。これで国名シリーズはおしまい?ミーハーなので、このシリーズを表紙買いしていた私としてはもっともっと!という気分。
    さて、何が中途の家なのかというところからで、この本も先が気になり夜更かし&夜中起き&早起きして結局は寝不足までして読んだ本でした。一人一人のキャラがわかりやすくて現代版の映像化なども可能なのでは?
    で、通例の決め手となるアレも今回もまたあれ?っていうものでした。

  • 国名シリーズのプラスワンという趣の作品。
    タイトルは継承してないけど、読者への挑戦状は用意されている。展開はシリーズ作品とは異なる趣で面白い。けどこの落とし方はどうなの? 犯人が分からなかったから言うのではないけど、ちょっと何だかなぁ。

  • 二重生活を送っていた男性が着替えや車を変える為に寄っていた”中途の家”で殺された。
    二重生活に関わった者達の身分差、騒ぎ立てる女性記者、そしてメロドラマ。国名シリーズ初期の作品と比べると、ストーリーにかなり力を入れているのが見て取れる。以前の作品よりもグイグイ惹きつける魅力は、ルーシーの裁判やその後の面会シーンなどでいかんなく発揮されている。
    勿論、推理小説としてのロジックも絶妙。犯人の名前を敢えて引っ張るところは蛇足であるが、ご愛嬌という事で。

  • まさにエラリー・クイーンの真骨頂。パズラーとしての完成度の高さ。そして訳者の力量も素晴らしい。

  • 普通に面白かったし、中盤は法廷ものみたいで新鮮だった

  • 2021/03/20読了

  • ロジカルな推理小説は、時代とともに推理の前提となる常識(女性は○○を持っている、とか)が古びると納得するのが難しくなりそう。その点、人の心理に拠って立つ推理小説の方が案外賞味期限が長い。

  • 面白かった。
    登場人物が少ないせいか話もこじんまりしていた。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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