- KADOKAWA (2015年1月24日発売)
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感想 : 193件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041014776
作品紹介・あらすじ
空を駆けることに魅了されたエイミー。日本の新聞社が社運をかけて世界一周に挑む「ニッポン号」。二つの人生が交差したとき、世界は――。数奇な真実に彩られた、感動のヒューマンストーリー。
感想・レビュー・書評
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史実をもとにした物語
戦前に毎日新聞が社用機で世界一周をしていた事実を初めて知りました。
どこまでが史実でどこまでが創作なのか分かりませんが、熱く、暖かくなる物語でした。
下巻です。
下巻では、いよいよ暁星新聞の世界一周飛行のチャレンジが始まります。
飛行機の名前は「ニッポン号」
しかし、そこには隠されたミッションが..
そのプロジェクトにカメラマンとして選ばれた山田
そして、その飛行には様々な困難が..
ハラハラドキドキの展開です。
下巻はあまりストーリがかけません。すべてネタバレになってしまう(笑)
鉄板ですが、クライマックスに向けて、つーんときます。
せかい・は・ひとつ
PSE・PSE
私は、飛ぶ
より高く、もっと早く、ずっと遠くへ
そして必ず、帰ってくる
そして、世界一周を成し遂げて、日本に帰ってきたときの山田のスピーチ
こりゃ、もう涙腺崩壊
電車で読んではいけません。
ということでとってもお勧め!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは、、、めちゃくちゃ良かったです。
実話を基にしているフィクションは原田マハさんの得意技ということで(勝手に思っているだけ)、抜群の取材力を感じる素敵なストーリーに仕上がっていました。
作中で印象的にでてくる"One World"・"世界は、ひとつ"という言葉。
偶然でしたが、今のタイミングで読み終えることで、心に深く刺さった感覚がありました。
人間という生き物が、便宜上、国を分けて暮らしているだけで、もともと地球に境はないわけです。
従来通りに生活するのであれば、国や人種・信仰等で何かを区別する必要は、全くないような気がしました。
読むなら今、という本です。 -
完全に実話というわけでは無いようだが、世界一周を成し遂げたニッポンという飛行機は実在しているようだ。
その飛行機での世界一周に果敢にチャレンジした7人の乗組員の物語。
そこに、もう1人のキーパーソンを加え、かなりリアリティのある物語になっている。
太平洋戦争の少し前の話であり、今とは飛行機の性能もかなり異なる。
目視で山や塔などの障害物をかわしたり、高度を上げると酸素吸引が必要になったり、今では考えられないような苦難が次々に。
自分も乗組員の1人になったかのように、酸素が薄いと苦しくなったり、高度が上がると寒くなったり(笑)臨場感が半端ない。
単なる冒険物語に終わらず、ヒューマンドラマもあり、心がほんのり温かくなるような物語だった。 -
「冒険とは、なんと心地のよいものなのだ」下巻からニッポン号が世界一周に挑戦します。
高高度で酸欠と寒さと戦い、そびえる山脈をかわし、ひたすら飛びつつける姿に臨場感、一体感があります。8人の仲間が力をあわせて困難に立ち向かう姿は、目が離せない場面の連続です。エイミーがカッコよかった!
第二次世界大戦が迫るあの時期でしかなし得なかった壮挙。月旅行に等しいとまでいわれる挑戦。「いかなる国、いかなる民族、貧富も性差を越えて、人類を等しく照らす希望になる」「信じること、仲間を、飛行機を」「続いているんだよなぁ、この空。アメリカも、ヨーロッパも、アフリカも日本も全部。」ニッポン号が飛ぶということに世界は一つというテーマが貫かれていて、ジーンときてしまいました。
最後まで一気に読んでしまいました。
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"国威だ国益だと権力者が勝手に始めて、罪のない人々のささやかな幸せをいつのまにか奪い尽くす。
戦争とは、そういうものだ
空の上では、男も女もない。アメリカ人も、ユダヤ人も、日本人もないのです。
私たちは、等しく自由なのです"
そんな想いを胸に、女性が社会進出を果たすなんてとても難しかったであろう時代に、同じ人間同士が争い合っている現実に挑み、人間に等しく在るはずの自由を証明するために空を飛んだ、ひとりの女性。
そして、彼女と世界一周を果たした日本の飛行機「ニッポン」の、世界情勢に翻弄されつつも人々に多大な勇気と希望を与えた彼らの壮大なヒューマンドラマ。
10年以上前に描かれた物語を、今のこの世界情勢を横目に読むことの意味
この物語を読んだ方なら感じていただけると思います。
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"せかいは、ひとつ。
空から見れば、国境などない。それなのに、自国の利害を主張して、人間同士争っている。
世界はひとつなのだと、もしも私たちみんなが知ることができたら。
世界のどこにいても、私たちは同じ時間を生きているのだと思うことができたら。
どこかでつながっている世界で、僕らは生きているんだ。
いま、この瞬間を生きている。"
同じ人間なのに、自分たちの利害を主張して殺戮を繰り返すロシアや他の国々。
そんな人たちも、どこかでつながっている。この空の下で。
アメリカも、ヨーロッパも、アフリカも、日本も。
それを世界に証明するために世界一周飛行を夢見たエイミー・イーグルウィング。
それは、実在したアメリカ人飛行士の「アメリア・イアハート」を本作はモデルにしている。
そんな彼女が望んだものは、翼。
『せかいは、ひとつ』であることを証明するために、翼を、ください
そんな彼女と同じくらい、私たち人間一人ひとりにも必要なのではないか。
世界は繋がっていると知るための、翼が。
だからこの物語を読み終わって強く、切に願う。
私たちに、「翼を、ください」 -
下巻も一気に読んでしまいました。
めちゃくちゃいい話でした -
世界一周に挑んだ乗組員達の優しさ情熱に温かい気持ちになりました。「ニッポン号」と言う名前も親近感を覚えます。終盤の山田順平さんの挨拶に感動しました。一緒に空を飛び、万歳万歳と応援して夢中になって読み終わりました。
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One World
キーワードとして1行、たったこれだけの行が出てきます。
世界的な航空会社のグループですね。JALも加盟しています。
政府はお金と権力を持っています。意に反することをやらされそうになる、真実を隠される。抵抗すると何をされるかわからない。
近くの国で、いまでも同じようなことが起こっていますね。
時代を超えたテーマなのかもしれません。
札幌から搭乗することになったとき、うまく溶け込めるか心配でした。
杞憂でした。自然とみんなから愛されていきます。
山田さんを応援したくなります。
気持ちのいいお話でした。 -
戦後GHQの意図で葬られた史実に迫るドキュメンタリーのような小説。マハさんにしか書けないスタイルで、とにかく史実なのか、架空なのか、境目が全くわからないほど馴染んでいて惹き込まれる。
まず史実として、飛行史上初めて、世界一周旅行を成し遂げたニッポン号とその乗組員たちがいた事を知り驚く。またそこに、数年後敵対することとなるアメリカの女性パイロットが重要人物として絡んでくるところが最大のミソ。
とにかく面白くて、上下巻ともにするする読み進めてしまう2時間映画のよう。
本当に映画化してほしいくらい。
「幾多の昼をともに飛び、孤独な夜を耐えしのいでくれた。空を飛ぶ自由、尊さを教えてくれた。目標に向かって進んでいく勇気と喜びを分かち合った。」
「空から見れば、国境などない。」
「世界はひとつなのだと、もしも私たちみんなが知ることができたら。世界のどこにいても、私たちは同じ時間を生きているのだと思うことができたら。」
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あまりにもリアルなので歴史的事実だと錯覚してしまった。山本五十六の個人的請願とかナイナイとは思うものの、そこかしこにロマンを感じる出来栄えだった。こうやっていつもマハさんには気持ち良く騙されるんだな、と納得の作品。
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4.4
面白かった。
アメリア・イヤハートの話ですが、実話をベースに良くここまで書き上げたと敬意を感じます。
本人もあとがきで触れているように、飛行機の話でありながら、技術的な事よりは、登場人物の心情を書かれていて、この作品を良いものにしていると思います。原田マハさんといえば、絵画を題材にしたお話が多いですが、こんな話も書いてたのね、という驚きもありました。 -
温かい結末でした。
魅力的な登場人物は、ほぼモデルがあり、様々な資料を読み解き、インタビューを重ねて、この小説を飛びきらせるために協力してくださった方々の思いが詰まっていました。
本編も勿論面白いのですが、あとがきの原田マハ氏の補足したかったコメントが更に深く心に残ります。 -
せ・か・い・は・ひとつ。エイミーの思い、ニッポンの思い。そして平和を願う皆の思い。世界一周の冒険から国の陰謀?友情、そして愛情。様々な思いを抱いて飛ぶ物語に読み手が止まりませんでした。
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エイミー イーグルウィングと、世界一周に挑む仲間たちの物語。
暁星新聞社航空部、カメラマンの山田の目に映るエイミーの、飛びたい思い、世界はひとつだと言う姿は、純粋でキラキラしている。
そして物語は現代。その隠された事実を紐解く青山記者によって、形を変えて紡がれていく。
世界一周飛行を、世界で最初に成し遂げた毎日新聞社の社用機ニッポン がモデル。
すごいな、社用機で初の世界一周なんて。 -
迂闊に電車の中で読んではいけない本だった。台北を出発する場面では思わず涙ぐんでしまった…
あとがきを読んで、初めて知った。
ニッポン号が世界一周したのは実話である事、エイミーにはモデルがいる事、それを繋ぎ合わせて壮大な物語を作り上げたのが、デビュー間もない原田マハさんだった事。日本人の輝かしい偉業を知らなかったなんて恥ずかしい…
そして、物語の最後に登場するMRJ。これが上梓された当時、今のような結末になる事を誰が想像したろう…?残念過ぎるが、いつの日か再び国産の飛行機が誕生する事を願って。 -
時間をあけて読んだが、一気読みをオススメ。
帰国後の山田さんのスピーチが実にイイ。ウマイ!リアルでないが、リアルが混在するストーリが、臨場感のようなものを醸し出しているように思う。
色々完結しない展開が、面白さを助長している。 -
下巻は世界一周を成し遂げるニッポン号の飛行を中心にすえて、7人の乗組員に加わる8人目の乗組員との交流が描かれている。
様々な困難を乗り越えて行く場面が歴史上の出来事を題材にとっているせいか、とてもリアルで何度も感動させられた。
思いを一つにできるチームの強さ、自分らしくということの意味と覚悟、人を大切に思うことの美しさと寂しさ、などたくさんのことを感じさせられた。
「私は、飛ぶ、より高く、もっと早く、ずっと遠くへ。そして必ず、帰ってくる。」
自分らしさとか、個性的であろうとかは、簡単に言えることではない。思いを持っている人のそばにいると、周りが変化する。それは、世界が変化したということで、それほどまでに本当の自分らしさとは、強いエネルギーをもっている。
「どんなに遠く離れていても、いつかきっと、また会える。 だって、そうでしょう? エイミー。 世界はひとつ──なのだから。」
人を思うこともまた、そんなに簡単ではない。それは祈りであり、祈りが満たされたと思えるのは叶った時とは限らない。
「じゃあ、この重大スクープはわれわれ三人の胸の中に引き継がれたということにしよう。どうだ青山君、それで山田さんは納得してくれると思うか」
公表しないからこそ、正しく引き継がれていくことも世の中にはある。
自分らしさも、人への想いも、伝えて行くことも、人の思いが関わる時には、ある種の困難や苦しみを伴う。だからこそ、未来は素晴らしいものであって欲しい。
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はて、主人公はジュンペイなのかエイミーなのか。
ダブルキャストということでよかろうか。
原田マハさんの初期の作品。話題となった『カフーを待ちわびて』の頃にはもう構想に入っていたと思われるんだけど、何だ、この振り幅は!やはり、才能のある人は凄いな。いわゆるラブストーリーでもなく、はたまた絵画を題材にした物語でもなく、ノンフィクションを下敷きにしたフィクション。映画化されててもおかしくないが、されてますかね?されていたら、是非観たい。
ジュンペイ役は誰かな? -
フランス語では小説をRomanと言う。壮大な夢を見させてくれるロマン。それは小説という表現形態が持つエネルギーのことであり、作者から読者へと伝わる広大な夢の世界でもあると思う。例え現実を基にした作品と言えども、作者がそれを夢やロマンという形で言葉にし、文章にするとき、完成されたものとしての小説=ロマンを読む人の心は、その作品に呼応した心の化学反応のようなものを少なからず見せるものなのだろう。
小説の持つ力をあなどるべきではない。そんなことを感じさせるのが最近ぼくが集中して向き合っている原田マハの作品である。この作家、実は彼女のどの作品からも、何故か心に共鳴する言葉たちが感じ取られる。読者の心の中でいくたびも再生されてゆく物語の持つ力。読んでいる間も読後もおのずと立ち昇る夢のような世界。言葉と、人々の心の美しさとを、何もなかった虚空に蘇らせて満たしてしまう力。
いつの時代にも地球は住み心地の良いものとは言い難く、欲望・悪意・戦争・悲惨等々に満ち溢れている。時代により、国により、それは雑多な人間の業の集合体のような巨大な罪までをも想像させられる。でも小説はそれらの世界から人間やその物語を思いのままに切り取る力を持っている。大法螺であれ、儚い夢であれ、それを、その時代を選択した作者の世界観や物語力に、ぼくら読者は身を委ねることができる。それがイコール現実でないとしても、我々の生きる時間に間接的にであれ確かな力を与えてくれることがある。
本書は、世界横断飛行という夢というかたちで壮大なロマンを提供してくれるスケールの大きな歴史冒険小説である。我らが主人公は、実在した女性飛行士アメリア・イヤハートを基に、新たにフィクショナル・キャラクターとして創り上げられている。夢と心と人間的魅力とを、作者は作品の主人公であるエイミー・イーグルウィングという架空の女性に、限りなく真実に近いかたちで託しているように思う。
原田マハがなぜこの題材に出会ったのかは、作品のご本人のあとがきに詳しい。毎日新聞社の社用機「ニッポン」という飛行機が、かつて太平洋戦争直前に初の世界一周を成し遂げたこと。その事実が戦後GHQによって隠蔽されていたこと。このニッポン号のことを小説に書いてほしいと、飛行機マニアの作者の知人に提案されたばかりか、その知人がニッポン号快挙の70周年企画として毎日新聞社との渡りをつけるなど諸々の手配もされた裏話等々である。いわばデビュー後、間もない原田マハという作家が、時代と社会のニーズに応え、このような夢と冒険に満ち満ちた作品を書く運命となったということである。史実に基づく題材だから相当な下調べ期間を要したことだろう。巻末の参考文献や資料、実際のニッポン号と乗組員の1930年代の写真なども生々しい。相当な準備なしに書ける小説ではなかった、ということである。
作品前半は、世界一周チャレンジ中に消息を絶ったエイミーの冒険を主軸に描く。彼女を取り巻く世界緊張のシチュエーション下で、エイミーの淡い恋の気配、飛行仲間たちとの連帯、さらに米軍部のスパイ活動が彼女のフライトに謎めいた気配と緊張感をもたらすという、素晴らしい描写に盛り上がる。
対する後半部は、主編とも言うべき史実に基づくニッポン号の冒険譚である。この冒険飛行に関わってゆくニッポン号乗員7人のそれぞれの個性や役割はもちろん、飛行そのもののスリリングな描写、世界に影を落とし始めた第二次世界大戦のきな臭い空気など、スケール感のある小説世界に息を飲むことになる。
準備にも執筆にも相当の時間をかけたであろうこの作品の重さ、大空を舞台に広がる夢の大きさ、登場する男女たちの個性や友情やロマンスなど、第一級のスケールと高いエンターテインメント性を感じさせる傑作であり、文字通りの労作と言える。物語と歴史的事実を重ね合わせて、多面的に読むことができる歴史冒険小説である。また、現代を見る鏡としての役割も果たしているようにぼくは思う。この作品が描いた大戦直前という時代と、現在の世界に漂いつつある緊張感がどことなく共通しているようにも思えるところから、今、多くの方に手に取って頂きたい作品である。
著者プロフィール
原田マハの作品
