刑事マルティン・ベック 煙に消えた男 (角川文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2016年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041014806
感想・レビュー・書評
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刑事マルティン・ベックシリーズ2作目。ブダペストで失踪したと見られる記者の捜査のために、ベックはバカンス返上でハンガリーに向かう。
ストーリーは地味に展開するが、1960年代のブダペストやストックホルムの空気感が伝わり、街も楽しめる。時代も国も全く違うのだが、ベックがごく普通の疲れた中年刑事であり、親近感を感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
当時の社会情勢が分かります
風景の描写が分かりにくいと感じました
ストーリーはシンプルですが良いです -
夏のバカンスの初日、ストックホルムの島で休暇を過ごしていた、マルティン・ベックが署に呼び戻されるところから物語が始まります。仕事の内容は、ハンガリーで行方不明になったジャーナリストを探し出すというものでした。
この小説が書かれた当時、ハンガリーはまだ鉄のカーテンの向こう側にあったようです。ヨーロッパ近代史の知識がない自分には、この事件がどうして微妙な問題を含んでいるのかわかり辛い部分がありました。そういう意味では、解説を先に読んだ方が理解しやすいと思います。
卓越した能力があるわけでもなく、タフガイでもない主人公たちは、けっしてヒーローではありません。どこにでもいそうな普通の男として描かれる彼らの姿が、このシリーズの魅力になっているのでしょうネ。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
(後で書きます。鉄のカーテンの向こうだったブダペストの描写が魅力的。ブダペストというと即座にヴァレンベリ事件が言及されるのがあの時代のスウェーデンの空気なのだなと)
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5月30日読了。図書館。
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年に1冊、新訳が発売されている「マルティンベック」シリーズの第2作目。わりと地味目のお話です。
当時のハンガリーという国の状況がわかってないと、ちょっとピンとこないかもしれません。
新訳版の訳者あとがきには、マイ・シューヴァルのインタビューも載っていて、ファンには嬉しい裏話もあります。 -
2016/04/20読了
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マルティン・ベックシリーズ第二弾は、やや巻き込まれ型のスタート。異国の地で姿を消した男を探すベックだが、有力な手掛かりはなし。ブタペストの歴史や風景に魅せられながらの捜査はどこか旅情的。
今回も地味な捜査です。細い糸を手繰り寄せ、勘を信じ、徐々に真相に辿り着く。同僚のコルベリ、そしてブタペストのスルカ少佐がいい味を出してる。後半に転調し、いろんな事実が明らかになるが、読んでるこちらに緊迫感はなく、最後までマイペースでじっくり読んでいた。この安定してる感覚が好き。
タイトルもよく合ってる。結果的にはそういうこと。意外な結末へのプロセスがこれまた地味だけど、警察小説の魅力を再認識させられてなーんか癒されるのよね。