ラスト・マタギ 志田忠儀・96歳の生活と意見

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041015186

感想・レビュー・書評

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  •  岩魚が群れて泳ぐ川と聞くだけで何と素晴らしいと思ってしまう。両手に持ちきれないほど魚が捕れた川。今の世の中では考えられない光景だ。
     ウサギやテンを捕りそれをまた独自の料理でおいしく食べたなんてこれまたすばらしい暮らしだ。ただ、クマを追い、撃つ描写はもう一つ緊迫感が感じられなかった。
     山での遭難救助シーンも馴染みのない地形がパラパラ出てきて頭の中で地形図を想像するのだけれど、もうひとつその大変さがよくわからない。その都度地形図もそのページに同時掲載してあればわかりやすいのにと思った。

  • 山形県

  • 96歳のマタギのおじいさんが語る人生と自然の話です。
    ボリューム的にはかなり抑えめなので、あっという間に読み終わります。
    相当に重厚な人生を送っていらっしゃるので、これっぽっちじゃ食い足りないです。
    出来れば誰が聞き書きでもっと沢山エピソード読みたい。

    前半読んでいると、山の生活の豊かさと楽しさにめまいがするようです。少しの現金が有れば後は食べ物は山と川から仕入れてくる。岩魚を釣って食べ保存食を作り、熊やその他の小動物を狩って食し、その毛皮を現金に換える。
    人間の数も少なかったし、色々な物を必要としない時代でもあったので、それで十分満たされる時代だったんですね。今は知ってしまっているだけに原始的な生活に戻るのは難しいですが・・・。
    そして戦後、次第に森林の伐採などで自然がやせ衰えていきます。志田さんの生活も自然からもらうだけではなく、自然を守る方へシフトしていきます。
    野生の猿にも慕われる嘘みたいな人ですが(表紙の写真参照)、その辺はやはり人徳なんでしょうね。まさに人間力。

  • 15歳でクマを撃ち山と生活を共にした志田さんの自伝。書くのは苦手と最初に書かれているがなんの。
    狩猟や戦争体験、山の保全活動、遭難救助の話などで興味深い。
    2014年の時点で98歳とのことだがこういう方こそ人間国宝やと思う。

  • 大正5年生まれの山形のマタギ、志田忠儀さんは仲間内でも名人として名高い。
    初めてクマをしとめたのが15歳、仕留めたクマは50頭。1年を通し山の恵みで生活する彼の暮らしと知恵を綴る。
    多くの職漁師、職猟師が存在した時代の記録としても重要な1冊。

  • マタギ人生の自伝。途中で戦争などに行った時代も書かれる。日本人にとって、動物の命をいただくのは、神に感謝してからという、本道。森羅万象の神と共に生きるという精神が、全く当たり前のこととして身についている方なのだろう。もっと現代の忘れかけている人々にお説教してほしかったな。とも思った。自然とともにあり美しい人生だ。

  • マタギの重たげな秘伝の話かと思いきや、
    軽めの自伝っぽいお話。

    後半は登山救助のお話で、身につまされました。
    朝日岳は是非とも行かねばならん、と思た。

  • 猿を抱く表紙の人物が、志田忠儀その人です。猿がじぶんからこうしてきたというのです。なんとも不思議な写真に惹かれて手に取りました。
    世界遺産になる遙か前の白神山地、そこでマタギとして生活していた吉田は、自然保護という概念もない頃から、保護を訴えます。豊富な山の知識と経験から、山岳救助にもかり出され、多くの遭難者を救助します。
    生活と意見、とあるように、ここには伝統的なマタギの生活ばかりでなく、現代に生きるマタギとしての、ひとつのあり方も描かれています。
    けっして多くを望まず、慎ましく暮らしていた吉田とその家族。吉田は時代がもとめるままに、その腕を差し出し、抱く。その生き方は、正直で誠意あるひとりの男の選択でもありました。

  • 読書録「ラスト・マタギ」5

    著者 志田忠儀
    出版 角川書店

    p101より引用
    “その性質のため、昔はわれわれがクマ狩り
    を行うとき、勢子の声を聞くと真っ先に逃げ
    出していた。ところが保護されるようになっ
    てからは、人間が危害を加えないことを知り、
    逃げないどころか、時としては人のすぐ側や
    人家の周辺まで近寄ってくるようになっ
    た。”

    目次から抜粋引用
    “クマを撃つ
     魚を捕まえ、動物を追う
     山に生まれ、自然とともに暮らす
     岳人を助ける”

     山と共に生き続ける著者による、彼の人生
    を振り返って記した一冊。
     熊狩りについてから山岳救助についてまで、
    穏やかな語り口で記されています。

     上記の引用は、カモシカについて書かれた
    項での一節。
    このごろ良くニュースで、町中にイノシシが
    現れてゴミを漁ったり、通りがかった人に噛
    み付いたりする事件を耳にします。
    人の近くに来たら危険であると、野生動物に
    思い込ませることが、彼らにとってもいいこ
    となのではないでしょうか。
     山に関わって70年という著者の経験が、語
    りかけるように書かれていて、じっくりと時
    間をかけて読みたい一冊です。

    ーーーーー

  • あまり心にひっかからなかった…

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著者プロフィール

1917年生まれ。8歳から山には入り80歳過ぎまで現役のマタギとして活躍。磐梯朝日国立公園内の山小屋の管理人や、月山朝日遭難救助隊長、地元猟友会会長などを歴任。山のことを知り尽くした達人として、経営する朝日山の家にはブルガリ日本支社長などのセレブや、日本各地のルアー名人が訪れる。

「2017年 『山人として生きる 8歳で山に入り、100歳で天命を全うした伝説の猟師の知恵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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