八月の六日間

著者 :
制作 : 謡口 早苗  大武 尚貴 
  • KADOKAWA/角川書店
3.66
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本棚登録 : 1574
レビュー : 262
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041015544

感想・レビュー・書評

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  • 旅は独り旅、登山は単独行を好むワシは、いわば自分のペースが最も大事で、それすなわち我が儘ということだろう。それでも、旅先や山で出会う、連絡先も聞かない人々との刹那の交流は楽しい。

    本作の主人公、アラフォー登山女史には、そんな視点で共感を覚えた。

    だけど文体にはやや違和感を覚えて、登山ブログかな、というのが読んでる最中からの正直な感想。これを、著者らしい軽妙さと見るか、著者らしからぬ軽薄さと見るか、難しいライン。もちろん、そこを狙った文体かもしれないが。

    何にせよ、山に登りたくなるのは確か。鮮やかな情景が浮かんでくるのは良い。

    余談だけど。作中にあるように、旅先刹那の交流で出会った人に日常で再会すると、妙な気恥ずかしさがあるよね。よそ行きの服で会ってた人に買い物用のジャージで会う、みたいな。日本一周をしていた北海道は礼文島で出会った沖縄出身の人が、千葉を通る時に連絡くれて飯食った時なんか、まさにそんな感じだった。

  • 登山する女性の友人にすすめら、3ステップでのソロ山行を計画していたときに読む。
    北村薫は大学時代に読んだ時と人三部作以降、4作目。
    相変わらず女性視点の丁寧な描写がうまいなぁと思う。
    ご本人、執筆時は登山せずに書いたそうでそれに納得する描写もいくつか。それでも楽しめた。
    主人公のような一期一会があるといいなと思いソロ山行にのぞんだが、素敵な一期一会があり嬉しく思っている。

  • ブクログで評判になっていたので、読んでみた。出版社に勤める女編集長が、日常のいろんなことを抱えながら、山に登り、そこで出会った人々や景色が綴られる。同年代、山が好き、そして、旅のお供の文庫選び。共感できる部分がたくさんあって、楽しく読めたんだけど、山がほぼほぼ中央アルプスだったのが、残念(雪の裏磐梯はあったけど)ぜひ、続編として、他にもいろんな山のエピソードを読んでみたい。

  • 40代女性編集者の山登り。

    同棲していたカメラマンとの別れ。
    山登りでの特別な人たちとの出会い。
    現実世界とは一味違う山でのひととき。

    槍ヶ岳、磐梯山、北八ヶ岳、穂高岳

    山に詳しくないので、地名もちんぷんかんぷんだけど
    一緒に登山している気持ちになれる。
    各短編の前に描かれているイラストが、よりイメージしやすいのでありがたい。

    そしてそれぞれの山をぐぐったけど、とんでもない正真正銘の、山じゃん!!(当たり前なんだけど)
    主人公がしんどそうになる気持ちもわかった。

    へとへとになって山で食べる食事って
    特別なんだろうなあと思った。)^o^(

  • 日頃ハードワークをこなしながら、時折山に登り癒される女性編集者の登山日記です。でも書いているのはおっさんの北村薫先生。でも本当にこの女性が存在するんじゃないかと思う位に日記です。もしかして先生心に女性を飼っていらっしゃるのではないでしょうか。
    特別な事件(登山中のピンチは有るけど)も無く、淡々と日常と登山描写の繰り返し。でもこれがとても癒されるんですね。とても好きな本になりました。やはり北村先生は優しい文章をお書きになります。

  • 空から降ってくるのは素朴なのに荘厳さを感じさせる光。色がそのまま音楽。風景を前にしただけで涙腺が緩む。山には非現実があり、しばし憂き世を忘れさせてくれる。現実逃避などではなく日常の延長として山をとらえているのが本書のいいところ。現実と山は地続き。生活の中でホッとし、ふわりと擦過する存在となっている。厳しくも優しく温かい山。居ながらにして山の空気を感じることができた。

  • 登山してみたくなる。羊羹が食べたくなる。
    日常の気持ちが共感できる

  • 雑誌の副編集長をしている女性が、心の栄養補給のために山に登る。登りたくて登るのに、体がついていかない。辛い、しんどい。でもまた山に登る。あぁ、なんか、いいなぁ。山登りをしてみたくなる。山の話だけじゃなく、編集長の仕事の話や、別れた男の話もあって、さくさくと読めた。

  • 40代の出版社勤務の女性が、ひとりで山を登る。

    描かれているのは彼女の心情。喪失感と孤独と。

    山の様子も、曇っていたり雨や雪だったり、本人の体調も良くなかったり、楽しいのか楽しくないのかわからない。
    それでも彼女はまた山に登るだろうし、普段の生活も続けていくのだろう。

  • 読んでいて、とても心地よかった。
    山歩きの厳しさも、楽しさも、疑似体験するかの
    ようにリアルに感じられて。
    その中で、出会う人たち、山から降りて関わる人たちとの
    結びつきも、学びがあり、ほのぼのして、
    人と関わることのあたたかさも、大変さも
    すべて引き受けられる心持ちになれる。

    その中で、心を開放してくれたり、
    ぐさりとささったり、新しい考えへと導いて
    くれる言葉があり…。

    いくつもの山を登り、降り、
    月日を経て行くことで、失うものもあるけれど
    それは、おそれることではない。
    むしろ愉しむことなのだ、と、力づけてくれる。

    読後感、気持ちよい景色を見て、下山した
    さわやかさに包まれた。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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