八月の六日間

著者 :
制作 : 謡口 早苗  大武 尚貴 
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1575
レビュー : 262
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041015544

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫らしい、日常の無情さと歓喜を訥々と語っている。山登りに目覚めたアラフォー女子が数年の間に登った山での時間を語る。
    その時に出逢った人、見たもの、感じたもの。
    自分の重ねてきた時間を時に織り交ぜて、山を歩く。変わったことなど、全くない。
    北村薫らしい。
    続けて読むと飽きるけど、必ず帰ってきたくなる北村薫の本らしさがある。
    じゃがりこチーズが無性に食べたくなって、先ほど購入。

  • 編集者のアラフォー女性が一人山を登る。
    入念な支度、持っていく本、ルートの厳しさなど実際に山を登る山ガールにはとても参考になるのではないだろうか。
    仕事は厳しくも充実しているが、親友を亡くしたり、元彼が結婚したり、心にすきま風が吹いた時も山での深呼吸が彼女を救う。

    大きな出来ごとがある訳でも、山を登ったから人生観が変わった訳でもないけれど、山で出会った素敵な人々も魅力的に描かれていて山に行ってみたいと思える一冊。

  • 宮部みゆきのじわじわ効いてくる毒っ気のある『ペテロの葬列』の後に読んだので余計に爽やかな読了感。槍ヶ岳、涸沢、蝶ヶ岳には行ったことがあるし、読みながらまた山道を歩いているような感覚になりました。アラフォー独身女性の単独山行とその道中の心の有り様を描きつつ、日常のあれこれの一コマや幼なじみへの想いや別れた彼氏とのエピソードがさらっといい距離感で出て来て、スイスイと読めました。大変おもしろかったです。北村さんがまだ覆面作家さんだったとき、絶対に女性だとばかり思っていたことを思い出しました(図書室蔵書)。

  • 出版業界でキャリアを積み出世もした独身女性が39歳で恋人と別れてから登山に目覚める。40代で気心知れた旧友の病死が起き、仕事一筋の日々の中で登山だけは日常の喧騒から離れられ、主人公はリフレッシュできる。山で出会う人達と下界でも繋がる事もでき、別れた恋人と偶然の再会が起きた時にも逃げずに会話ができる自分になっていた。時の流れは辛い思い出を軽くする。北村薫さんの文章は品がある。

  • すーーーぅっとする。
    北村さんの文章は清涼感がある。
    そして、散歩程度の山から
    まんまと山登りに行きたくなりました。

  • 40歳目前の仕事に煮詰まった主人公が同僚からとある日突然、「山に行きませんか」と誘われる。それをきっかけに山を趣味として楽しむようになった彼女の山登りと日常を半年、一年の間隔を置いて連作形式でつづっている物語です。
    柔らかいやさしさのある筆致が描き出す山のもとの自然は繊細で美しさがあり、知らない山の美しさ(そして恐ろしさも)を感じることができました。山に登るという行動がもたらしてくれる、彼女の「心への効き目」を自然と納得させていく描写でした。細かなお菓子や食べ物もまた魅力的で素敵…。
    だれしも、行き詰ったときにはなにかで心を解放させることが必要で、それは人によって違うもの。彼女にとってそれは山だった。そしてそれに出会い、彼女は徐々に自分に自信を得ていく。過去に道を違えた人と、また向き合う力を得ることができていく。
    …一歩一歩、自分らしく生きていく。
    そんな彼女の姿にまるで寄り添うような気持ちで、登山のみちゆきを楽しめました。脇役さんも、一期一会ですれ違うお仲間、再会して親交を深めることになる友達、みんな魅力的でした。
    実のところ、いわゆる「山ガール」のはしくれ(但し初心者レベルのまま)なので、山への魅力もわかるなあというところがいくつもあって、読んでいて親近感を覚えました。でも槍は私には、一生無理でしょう…。

  • 年に2.3回、山登りやトレッキングをする程度の自称山ガールの私ですが、女性の山登り小説と聞いて興味を持ち、図書館で予約してました。。

    悪くはなかったですが、帯ほど絶賛はしなかったかな。
    爽やかな風は感じますが、それよりはおやつタイムの楽しさの方が共感持てちゃったりして。
    おかしの力は偉大なり。

    上級登山の単独行、というのが主人公の基本スタンスですが、いくら読んでも槍ヶ岳とか全然行く気になれませんでした。やはり危険過ぎる。

    山なら川が好きだし、夏山より雪山に惹かれちゃう。
    よって登山の優先順位は年々下がる一方な我が家…
    この本を読んでテンションあげようと思ってたのにそうはいかなかったよ。。
    年末は今年初のスノトレ計画中♪

  • やり手の編集者の女性が山登りをする。
    それがとても詳しく淡々と描かれていました。
    山登りはしたことがないし、楽しさがよくわからないのだけど
    それが自分と向き合う静かな時間だということがわかった。
    でも、途方もなく異次元の世界でもなくて
    女子色いっぱい(おばちゃん色?)の登山風景に
    なぜか親近感がわいてしまうのだ。

    出てきた本もとっても大人で、静かに美しく年をとるっていいなって思った。
    でも、その静かな中に、ドロッとした現実がちょっとだけ垣間見えて、
    ささやかだけにピリッとした。

  • 学校の図書室で借りた本。
    山ガールのお話。
    登山者には登山者のルールがあって、いろいろな人と出会い、別れ、時には再会したり、懐かしく思い出したり。
    そんな山での出会いの中で、山に「忘れ物を取りに来たんですね」のくだりは印象に残った。
    無性に上りたくなった山には、そこに何らかの使命と理由があるということを、うまく表現できる言葉だと感じました。
    年をとってから、登山までは行かなくても、足腰を鍛えてハイキングぐらいはできるといいなぁ。

  • 部屋に転がっていた正体不明の部品。
    なくても多分支障はなく何かは動いている。でも欠けた部品の分をどこか他の部品が頑張って補い、動き続けるのだ。

    それは自分。
    欠けた部品が、どこだったのか、どこへ行ったのかは分からない。
    なんとなくの違和感を感じながらも日常は進んでいく。

    痛い。痛くて突き刺さる主人公の欠けた部品。
    でもほんの数日間、彼女は山で呼吸をすることにより数日間以外の日常を違和感とともに過ごしていけるのだ。

    それが人によっては山であったり、フルマラソンであったり、釣りであったり・・・。

    人生、捨てたもんじゃない。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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