子の無い人生

  • KADOKAWA (2016年2月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784041015568

作品紹介・あらすじ

酒井順子、はたと気づく。
独身で子供がいない私は、誰に看取られる?
『負け犬の遠吠え』から12年、未産女性の今とこれから。

30代は既婚女性と未婚女性の間に大きな壁がありました。
結婚していなければ単なる「負け犬」と思っていた酒井順子は、40代になり悟ります。
人生を左右するのは「結婚しているか、いないか」ではない、「子供がいるか、いないか」なんだと。
期せずして子の無い人生を歩む著者が、ママ社会、世間の目、自身の老後から沖縄の墓事情まで、子がいないことで生じるあれこれを真正面から斬る!

感想・レビュー・書評

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  • 初めての作家さんだけど、とても深イイ作品だった。子の無い人生を初めのうちは面白おかしく論評しているけど、半ば以降はまさに正論をきちんと問題提起提案していて勿論 面白おかしい調子はそのままになかなかのエッセイが続く!総合評点が高くないので如何なものか と思いつつ読み始めたがアタリの作品でした♪

  • 結婚してなお酒井順子さんのお世話になろうとは…。
    女性を左右するのは、既婚未婚ではなく、子どもがいるかいないかなのだと本当に思う。
    そして、だからこそ今は「子どもは貴重品、アクセサリー」なのだという意見に心の底から納得してしまった。

  • 「子アリ族」
    「既婚子ナシ族」
    「未婚子ナシ族」

    分類されちゃう。
    それぞれが思い当り、「うんうん」とうなずきながら読む。

    少子高齢化が問題になっている今、「子ナシ族」は肩身が狭い。結婚自体のハードルが上がったり、まだまだ未婚で子供だけを産む世の中ではなかったり、晩婚から「子産み」適齢期を過ぎ、子宝に恵まれなかったり、経済的な問題があったりで「既婚子ナシ族」にもそれなりの理由がある。

    「子ナシ族」には老後の心配も待っている。
    介護、死後の弔い…。
    職場のご老人たちは私に、「一人くらい産んでおけばよかったのに」と言う。でも、
    今後少子化が進めば、こういったことも社会で面倒見てくれるのが当たり前になってゆくのだろう。

    -「子ナシ族」が老いていくにあたり、状況は刻々と変化していくと思われます。
    「子ナシ族」の中でも、情報収集能力、コミュニケーション能力、経済力などの違いによって「子ナシでよかった」と思いながら死ぬ人と、「子供がいれば」と後悔の中で死ぬ人に分かれるという、「子ナシ族」格差が生まれることでしょう。

    うわぁ~、怖い、怖い。

  • いやもう拍手喝采!まさに我が意を得たり、ですね。賛否両論あるようですが、気楽な既婚子ナシ族のみなさまには特におすすめしたい。別に悩んでもいないし傷ついてもいないけど、それってなんだかなあ・・・な子ナシあるあるが満載で、思わず吹き出しちゃうわ、そのすっとぼけた表現力や鋭い分析に感心するやらで、あっという間に読んでしまいます。それにしても、一歩間違えれば重苦しいテーマなのに、よくぞここまで軽やかに、飄々と書き綴って下さいました。後ろめたさを持ちつつも、子ナシの状況は一種の清々しさが伴う、とまで言い切る筆者に、よくぞ書いてくれたとお礼を言いたい。

  • エッセイですが社会問題に触れている部分が大きいかと、ジャンルは「社会」。

    確かに親を3人見送ってみたら、子供は看取り(後始末)要因だなというのはつくづく感じます。
    子なき自分は死ぬのはいいけど誰が諸手続きや片付けなどしてくれるのか、放置して置く訳には行かぬ遺体の始末は誰の手に委ねられるのか…何一つ自分でどうにもできないのはもどかしい。
    お金で解決と言ってもお金のない人はどうするのか、金で頼んだ人間が自分亡き後本当にきちんとしてくれる信用に足る人間なのか…結局、悩みは根本的には解決しようがありませんね。

    でも一つ言えるのは、ここにも書かれているように「老後のために」「自分の成長のために」子供を「創った」と豪語して憚らない人が私の回りにもいますが、そういう風な人間じゃなくて自分は良かったということです。

    サカジュンさんは、子供を持たなかった人生を何だか申し訳なく思っておられるようです。世の中は大人になれば子があるのが当たり前、子を持たぬ・持てなかった人でも欲しかった・持ちたかったという人の方が多いのかもしれません。

    でも今の世は、子を持つということについて、きちんと考えたことのない人が出来たからといって子を産み、きちんと育てられず虐待したり放置したりしているというのがたくさんあるように自分は感じます(確かに虐待してしまった全ての大人が浅はかだったり愛情が欠落しているわけではないですが)

    子がない暮らしをしていると「気楽でいいよね」的なことを良く言われます。心から腹が立ちます。時々見下されている感じも如実に受けます。
    どれ程悩み尽くしてコナシ人生を選んだのか、そう言う人にはわかるものかと思います。ま、語れるものでもないので仕方ないですが。

    コナシ人生を生きている自分ですので興味を持って手に取りましたが、サカジュンさんの本書のスタンスには共感できないところもかなり多かった。よくこのテーマに切り込んだな、と感嘆しますが、ずーっとモヤモヤしっぱなしでした。
    今後の著作にも注目して行きます。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      この本は読んでいませんが、コメントに大いに共感して出てまいりました(笑)

      山口智子の「産まない人生」宣言も記憶に新...
      こんにちは。

      この本は読んでいませんが、コメントに大いに共感して出てまいりました(笑)

      山口智子の「産まない人生」宣言も記憶に新しいですが、「産まない」、「子の無い」といった選択肢だけが取り上げられて一方的に語られるこの社会に違和感を覚えます。

      私は考えた末に「子のある人生」を選択しましたが、これもごく個人的な問題で他人にとやかく言われることではないと思っています。
      逆もしかりです。

      子を持つ持たないの選択が話題にすらならない世の中はいつくるのでしょうか・・・。
      2016/07/07
    • ruko-uさん
      vilureefさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      本当にvilureefさんがおっしゃるように「産まない」「子の無い」...
      vilureefさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      本当にvilureefさんがおっしゃるように「産まない」「子の無い」方だけが語られることが当たり前の社会なのですよね。

      子供のある方でも、産んではみたもののやはり子供が好きになれなかったとか、子供を持つべきではなかったと悩まれている方も知っています。それもまた人には言いがたい辛さがあるようです。日常会話が誰とでも子供の話にしかならなくて辛いといったような、コナシ族には知りえない状況もあるようです。

      大抵子がある人は、またそれはそれでひとくくりにされて語られることも多く…結局女は子を持っても持たずともその問題に終生悩まずには生きられないものなのでしょうかね…

      子を持ってよかった、子を持たなくて良かったとどちらにしても、各々の人生を肯定して生きていけるのが一番ですよね…
      2016/07/09
  • 既婚子ナシは負け犬に入る?
    今回は子なし族に(ネーミングが面白い)焦点をあててます。
    子どもは看取り要員として必要とか生涯独身女性は実家のお墓に入れない…など著者自身の切実?な思いいで書いたエッセイ。

  • 送れなかったもう一方の人生をどう捉えるか、という議論にも思える。もしあっちの学校に行っていたら、もしあっちの会社に行っていたら、もしあの人と結婚していたら、もし子どもがいたら(いなかったら)。それを考えたところで、何も生まれない。自分だったらどう考えるだろう。今の生活だからこそ得ていること、それを最大限生かす方法を真剣に考えるかもしれない。
    世間の風当たりや子無しハラスメントや周囲の目はとても気になるが、それらを凌駕するほどのテーマ、志、ミッション、熱中できる何か、情熱を向ける対象を持ちたいと思う。

  • うーーーーん。
    唸りながら読んだ。
    付箋貼りながら読んでたら、付箋だらけになってしまった。

    もともとオレは酒井順子の本は好きでよく読んでるんだけど、これは今まで一番ヘヴィーだったなー。

    『負け犬の遠吠え』よりも更に、奥深いところをついていて、ポリティカル・コレクトネスの問題もあり、非常に表現しにくいところを、明晰に、表現している。

    男がこれを書いたらアウトだろうけど、酒井順子だから、書ける。

    でも、女は子供を産むためにはタイムリミットがあるから、そこで色んな緊張が生じるけど、男は産む性じゃないから、子なしでもヘーキみたいなことが書いてあるけど、それは間違ってる。

    男だって、結婚してなかったり、子なしだったりしたら、周りから、不快なことを、いろいろ言われるよ。
    はっきり言ってそれは完全なセクハラなんだけど、男に対するセクハラは、より見えにくいから、たいへんなんだよ。
    男に関する記述以外は、ぜんぶ納得だけど。

    そうなんだろーなー、とか、あるよなー、とか思いながら読んでた。
    現在の時代状況を正確に表現してる。
    野田聖子ちゃんの記述とか。オレも彼女が書いた本を読んだし。
    それに安倍昭恵にインタヴューしたこととか。政治の世界なんて、野蛮な風習もいっぱい残ってるから、彼女はほんとうにたいへんだったと思う。

    酒井順子が途上国の貧しい子達に里親制度で献金をしていて、その子たちに合うために現地へ行ってみたら、インフラストラクチャもぜんぜん整ってなくて、貧しいんだけど、ある意味、日本人より幸せそうに見えて、考え込むカンジが、こちらにもよく伝わってきた。

    この人の洞察は、深いなあ。

  • 著者のナナメから目線によって、改めて、日本の女性たちが「子どもを産んで当たり前」プレッシャーにさらされているか、肌で感じられた。 有名人が40を過ぎて不妊治療に取り組んでいる様子を報告したり、テレビでもママタレ枠の壮絶な奪い合いがあったり。「こういう家族が理想だよね」押しつけがスゴいもんなー。一般人もSNSでこれでもかと見せつけてくるし。今や当たり前になっていることに、なんかヘンだなと気がつかせてくれた。

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→
    https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11352676

  • 【307冊目】負け犬の遠吠えで一役有名になったエッセイスト・酒井順子さん。

    「負け犬」とは、未婚・子なし・三十代以上と定義したが、読者の声で、結婚しているのに子どもがいない人について思いを馳せたそう。

    酒井さん曰く、出産が婚姻と強く結びつく日本では、結婚それ自体では結婚が完成したとはみなされず、1人産んでも「2人目は?」とのプレッシャーにさらされ、2人産んでようやく結婚が完成したとされるのだそう。

    以降、子の写真入り年賀状から入り、沖縄伝統文化における独身女性の立ち位置、女性政治家、不妊、養子縁組、子なし男性などなど、様々な角度から子なし族のことを考えている。

    気になる話題だったので手に取ったが、エッセイをきちんと読むのは入試問題以来じゃないだろうか笑。ひとつの話題が7ページぐらいなので、さくさく読めるし、文体もどちらかというと話し言葉に近く、こりゃあハマりそう。

    ただ、未婚とは異なり、子なしは生殖能力などのデリケートな問題にもかかわってくるので、当事者の方々が本書をどう読むのかは少し気懸り。筆者は危ういラインを歩みつつも、最後には子なしを肯定するのでまぁ誰も傷付けていないのかな…?

    1つ気になったのは、子なし族の看取りを誰がするのかというテーマが全編を通してちょくちょく登場すること。筆者の世代や年齢(1966年生まれ)がそうさせるのかもしれないが、自分が子なし族のとき、そんなことは考えたこともなかった。介護が必要ならお金で解決すればいいし、死んだ後自分の墓がどうなるのかなんて気にしたって詮無い。筆者は、自分の姪が筆者の看取りを嫌々担うのだろうと書いているが、私の場合親戚の縁が薄いせいか、その発想は全くなかった。

    あと、やっぱり「子ナシ男性の場合」の項がおもしろかった。筆者も同じ子なしなのにどうしてここまで分かるのだろうか笑。「子供を持つことに積極的にならない男性というのはすなわち、自分の中の、ロマンチックな部分やナイーブな部分を大切にしたい男性なのでしょう。女性は妊娠することによって、子供に自分の領域が侵食される実感を身体で得るわけですが、男性はそれが不可能。頭でのみ考えていると、どんどん怖くなるのではないか。それを別の言い方で言うのであれば、『自分好き』ということなのです。」
    いやぁ、心当たりあるわぁ…苦笑。自分のことが好き、自分のしたいことをしたいというのは当然の感情であり、それを捨て去れという方が無理な話。私の場合、子供ができてみて初めて、自分以外の個体を自分以上に大切にするという感覚が理解できたわけです。ただ、いわば自己愛からの離脱というのは、冷静な頭じゃ難しいかもなぁ。

    もうひとつ印象に残ったのは、若い時は自分だけのために生きることができるが、歳を取ると誰かのために生きたいという願望が生まれるということ。それを理由として子を産むのはエゴであるも筆者自身認めているが、その年齢になると感じる埋め難い空虚な気持ちがあるんだろうなぁ。

  • 子どもの仕事は、親の最期を看取ること。自分だけの領域を、子どもによって荒らされたくない。「可愛い子ども」しか可愛いと思えない。

    子どもを持つことに前向きになれない人に読んでほしい。共感する項目も多いです。

  • 『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公のキャリー・ブラッドショーという人の職業がコラムニストだったから、こういう感じのコラム(エッセイ?)を読むと、キャリーのことをたまに思い出すんだけど、酒井順子本人も自らをキャリーに重ねて心強く思っていたんだなあ。
     
    “戦中・戦後は、今とは比べものにならないほど、皆が貧しかった。それでも人々は結婚していたのであり、我々が今結婚しないのは、経済的理由だけではない。決して、「結婚できないのは社会が悪いから」と、責任転嫁はできない状況です。”(p.122)と書いてあったけど、今は「皆が」貧しくないから経済的理由になったりするんだと思う。
    皆が貧しかったらそれを理由に忌避されたり自信喪失につながらなさそうだけど(貧しいのが「普通」だから。)、正規・非正規とか分かりやすい身分格差になるとけっこうそれが効いてる人も多いと思う。

  • 独身で子供を持たなかった酒井さんの目線で書かれたエッセイ。「親が死んだ時のために子供は存在する」と書かれていたけど、ほぼ同意。介護、看取りなど自分の親じゃなければできないと思うこともしばしば。それにしても女性は男性と比べて未婚か既婚か、子供がいるかいないかで比べられるから面倒。日本だけかな。

  • ★断絶を消したいのか作りたいのか★子の有無が良し悪しではないと分かっているし、そう思うこともないが、なぜかこうした本を読むと余計に断絶を感じてしまう。沖縄で結婚しなかった女性は家の墓に入れないくだりが最も興味深い。民俗は思わぬ事象を浮かび上がらせてくれる。

  • 【由来】
    ・calilトップページ

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 子がいても「看取り要員」にすらならない家族もいるので、子あり人生は安泰かというとそうでもない。
    まぁそれでも、子がいるいないに関わらず、「一人でも安心して死ねる社会」ってのは理想ですね。
    センシティブな話題なのに、ユーモアを交えた軽妙な文章で書かれていて、ところどころクスッと笑わせられたり。普段から深くよく考えておられる人なんだなぁと。

  • 子供の世話にならずに老いたり死んだりするのは大変なんだなーと思った。子供がいないなら自分の老後と死後のプランをしっかり立てないと。

  • 酒井順子さんの本は『負け犬の遠吠え』を10年以上たってから読んでファンになり、以来新刊を追いかけて読んでいます。
    『負け犬』は「未婚、子ナシ、30代以上」ですが、今回は40代半ばを過ぎて「子どものいない人生」について語ります。

    私が彼女のファンなのは、まず面白くて笑えること。
    そして私自身どうも一途で思いこみが激しく、視野が狭くなる傾向にあるので、
    彼女のような人がいろいろなかたの意見を参考にし、今回についていえば沖縄やラオスでの取材もとりあげていて、勉強になるし、人間としても見習いたいと思っています。

    さて、今回思った絶対一番大切なこと。
    「子供に看取られ、子供に葬られなくても、誰でも安心して一人で死ぬことができる」
    100%近くの人たちが同じ気持ちでいるのではないでしょうか。

    とても良いビジネスになると思います。
    酒井順子さんは『ロボット娘』『ロボット孫』『介護ロボット』を想像されていました。

  • 子の無い人生なんて、何もそんな悲しい(とイメージしてるのは自分)タイトルの本読まなくたって。と思ったけど、立ち読みすると読みやすかったので。
    さすが酒井順子さん。
    沖縄の慣習や政治の時代、源氏物語に至るまで、時代を越えて女の価値を決めてきたのはひたすら、子どもがいるかどうか、ということを書いている。
    結婚しても子どもがいないと、グループ分けでは未婚子なしと同じ扱いを世間から受ける。
    じゃぁ、あの「負け犬」はなんだったの?
    というふうに、この10数年を振り返りつつ、酒井さんもアラフィフになられたことで、視点も変わったようです。

    男性より、女性の方が、子どもがいるかどうかで評価されてしまう世の中。生きづらいですよね。
    なんか、少子化問題単独の対策を立ててもどうにもならんと思うのよ。長時間労働とかね、非正規労働者とかね、待機児童とかね。女性活躍とかね、今は結婚して子どもがいてこそ、女性活躍のスタートラインに立てるみたいに言われて、なんで国はそんなハードル上げるんだよ、違うとこあげろよ(下げろよ?)と思ってしまう。

    あと20〜30年したら、子なし族の介護時代が到来するんだって。子どもを持たなかったことを「自己責任だ」と言われるんだろうけど、何も残さないシンプルさもあるのかもしれません。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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