海上護衛戦 (角川文庫)

著者 : 大井篤
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年5月24日発売)
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  • レビュー :10
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041015988

作品紹介

海軍で海上護衛総司令部参謀をつとめ、シーレーン(海上交通線)確保の最前線に立っていた著者がその戦略を綴った護衛戦の貴重な体験記。現代日本の防衛を考える上でも欠くことのできない記録である。

海上護衛戦 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • こちらを読了。

    大変に読み応えがあるとともに、非常に興味深く読みました。
    このような名著があることをこれまで知らずにいました。

    先の戦争(太平洋戦争/大東亜戦争)の開戦の直接のきっかけについて、私たちは学校の教科書においても「ABCD包囲網による経済封鎖により資源の確保が死活問題となったため南方資源(ボーキサイトや鉄鉱石等も含むがなかんずく何よりも「石油」)の確保が必要となり、開戦の已むなきに至った」と教わりました。

    であれば、当時の日本の戦略上の最優先事項は何か?と言えば当然ながら

    『南方における資源開発とその「輸送ルートの確保」』

    であることに異論は無い「はず」でしょう。

    満州等からの資源輸送においては船舶による輸送だけではなく、鉄道を中心とした陸路による輸送も可能です。
    しかし、南洋から資源(石油)を持ってくるには「海上」ルートしかあり得ない。

    なのに、当時の海軍における戦略上の優先は、その組織を見てもまた今から歴史を振り返ってみても「艦隊決戦」であり、「海上護衛」は二の次だったことは明らか。戦況が進むにつれ海上護衛の重要性にさすがに気づいた感はあるものの時既に遅し、かつ対応も(この期に及んで)中途半端…

    結果、資源を輸送するためのタンカーを始めとした船舶は米軍潜水艦や航空機に次々と沈められ、戦争を続けるに必要な量の資源は日本に届かず…これでは長期戦を戦えるはずがありません。

    読んでいてもどかしいことこの上ないのですが、日本人として、「日本人による組織にまま起こりがち」なこととして笑い事でも他人事でもなく、重く受け止めざるを得ませんでした。

    本書は、その海軍内の対応と戦況の推移を当時の海上護衛担当の参謀がまさに内から描いたもの。
    ネット上で同書の書評を見ますと、本書を「補給」に関する戦史と表現しているものを見かけます。通常は戦争における「補給」というと「兵站」のことを指すかと思いますが、本書で言う「海上護衛」とははもっと広く「日本全体の補給」をどう守るか?という問題の話。

    先の大戦における日本軍の組織的失敗を考察したものとしては『失敗の本質』を始めとした名著がありますが、本書はもう1つの「失敗の本質」を描いたものであり、もしかするとより根源的な「失敗の本質」が描かれているのではないかと個人的には思います。

    日本人による組織が犯しがちな根本的な問題…について多少なりとも関心のある向きには「必読」の書と思われます。

  • 戦争は前線の軍人だけでするものに非ず…
    日本は甘い認識やら戦略ミスも重なり後半に行けば行くほど悲惨になっていってもうさっさと降伏しちゃえよ状態だし、アメリカは民間人まで空襲してくるし、どっちも最低だねほんと。
    戦争犠牲者は軍籍の人ばかりでなく、商船やら移動船に乗っていた人も数多いらっしゃるんだよね…
    しかも海に沈むと骨も残らない。
    酷い戦いをしたものです…

  • 日本海軍にとってはむしろ大艦隊を持つことよりもその分の油を使って飛行機や潜水艦を動かしたほうが効率的だったという悲しさ

  • 復刊ありがたし。

  • 資源(石油)獲得の為に、始まった戦争であるにも関わらず、決戦重視で資源輸送への意識の低さの実態がよくわかる本。
    戦争当初から、海上護衛やロジスティクスに対する意識が高かったとすると、どういうような戦争過程になっていたかという想像にかられる。
    潜水艦による商船・タンカーへの攻撃が、日本のロジスティクスを破壊していったことがわかるが、当初から護衛&護衛戦略をつけていたら、潜水艦からの被害がどこまで減らせたか興味がさらにわきました。

  • 読了。真に迫る大戦時の記憶。後半に行くに従いつらい記述が多くなるが、すべて本当に起こったことなので気合いをいれて読みたい。

  • 徴用船舶の護衛を担当した海上護衛総司令部の参謀であった大井大佐による、シーレーン防衛の重要性を説く本です。

    潜水艦・航空機の本格活用に伴い、物資を搭載した船舶を敵の通商破壊からエスコートすることは戦争を継続していくためには不可欠ですが、日本海軍は運用思想の相違からそれを重要視していませんでした。

    詰めの甘さからくる楽観視や後手後手の対応、海上護衛の観点から見る連合艦隊の柔軟性の低さによって、貴重な人命と資源が簡単に海に沈んでいきます。

    連合艦隊がいかに戦い、そして散ったかを書く本は多いですが、敗戦の直接の原因の一つである補給について個人名を出しながら痛烈に批判する本著は、海自がシーレーン防衛を最重視している理由を理解できます。また、華々しい連合艦隊の裏で、彼らを支えるために沈んでいった多くの船員たちの戦いを知るきっかけになるでしょう。

  • この文庫本の発売日にtwitterで議論が繰り広げられており、気になったのでとりあえず、こちらから。艦これの影響というものもあり、この本の角川版はいろいろとあった。それはさておき、大日本帝國海軍の関連本を見て思うのが帝國海軍の体質の悪さというものがすごく目立つ。海軍反省会も含め、帝國陸軍とはやはり毛色が違うなと。良い部分もあるのだろうが目立つのは悪い部分のみという感じ。戦争を知らない世代の人間が口を出すべき問題ではないという事はすごくよくわかっている。しかし、敬愛する海軍軍人の方々の事を思うと胸が苦しい。

  • 祝!復刊!!
    太平洋戦争で日本がなぜ負けたか、その直接の原因がわかるのみならず、戦略目的を達成するために、組織はどうふるまうべきかがよくわかる本。
    そんじょそこらのビジネス書より、よっぽどおすすめ。
    学研文庫版を所持しているが、これを機会に再読する予定。

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