万能鑑定士Qの謎解き (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1100
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041016251

作品紹介・あらすじ

幾多の人の死なないミステリに挑んできた凜田莉子。彼女が直面した最大の謎は大陸からの複製品の山だった。しかもその製造元、首謀者は不明。仏像、陶器、絵画にまつわる新たな不可解を莉子は解明できるか。

感想・レビュー・書評

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  • 万能鑑定士シリーズの長編。
    今回は2010年代に問題となった日中関係の悪化を根元に贋作物をテーマとした壮大なストーリーが展開されていく
    今回は表紙に『謎解き』と題されているように途中までに真相を知るまでのヒント・伏線が全て載せられており、最後の真相を明かす前に小笠原がミステリー小説のごとく「読者への挑戦状」がありミステリー小説好きとしてとても面白いと思いました。
    事件の真相はとても驚きの物であった。自分と一緒に行動していた人物がまさかの贋作グループの一員に物語の中でなっていたという所がとても驚きで、今までに無い物であると思いました。見方だと思っていた人物が実は敵で、逆に怪しい人物は全く事件に関与していないというのはミステリーとしては定石の展開なのにも関わらずこれに気づけなかったのは作者の人物描写の巧みさなのだと思いました。
    そして贋作グループの目的がお金儲けではなく自分たちをオリンピックの駒としてさんざん使い捨てた国家に対する復讐であるという所に目的があると言うのがとても意外性があって面白いと思いました。この本の中での日中関係は現実にも起こりうる事でもあるのでどんな風に傷をつけずに落ちをつけるのかが楽しみであったが、まさか両国の職人が交流をした結果作られた物で、この職人達のように両国もともに歩んでいこうとするという所にオチを持ってきたのがとてもさわやかな結末だと感じました。今年、このシリーズを読むのは後2冊、じっくりと読んでいきたいと思います。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    凜田莉子:佐藤聡美
    小笠原悠斗:寺島拓篤
    葉山翔太:中村悠一
    宇賀神博樹:神谷浩史
    荻野甲陽:平田広明
    宮牧拓海:福島潤
    弧比類巻修/黎弥:関俊彦
    林蘭芳:茅野愛衣
    肖外龍:濱野大輝
    佐々木和郎:斧アツシ
    雛暁軍:壤晴彦
    杉浦周蔵:藤真秀
    桑畑光三:園部啓一
    倉本麻耶:長谷川育美
    猪島清仁:佐藤正治
    藤柴隆平:土岐隼一

  • スケールを広げたねぇ~国宝の所有を巡る日中間の争いは、戦争の危機を孕んでいく。暗躍していたのは、日本の偽ブランドを送り込んでいる中国の元エリートアスリート達の団体だった。莉子と小笠原は日中を股にかけて謎解きと問題解決に奔走する~まあ、身の程でない広げ方だったかなぁ

  •  中国の複製品製造グループの摘発に協力する莉子だったが、その実態はなかなかつかめないでいた。折しも中国との芸術品との所有権をめぐって日中関係が悪化する中、莉子は二つの謎の解決のため動き出す。

     今作もいろいろな知識を詰め込みつつ、ミステリとしてのトリックに意外性のある展開と相変わらず予測できない展開が続き面白かったです。

     日中間をまたにかけるストーリーも今までになくスケールが大きく、実際の政治家の実名を出すあたりや中国の暗部や芸術品に対する歴史的背景を描いたりと、ストーリーに社会派的要素やリアリティを出しているあたりも良かった点だと思います。

     莉子と小笠原の関係性なども一つの区切りがついた感じで、ここからシリーズをどう展開していくのかも気になるところです。

  • 我らがQちゃんこと、凛田莉子!
    今回は、中国は北京のとある街角から始まる。
    経営者から貧乏暮らしに転がり落ちた男。
    彼には喘息の娘がおり、その治療を受けさせるために病院へ向かった。
    しかし、すでに病院前には人、人、人!!!!!
    金さえあれば......
    そこに金が転がり込む。
    怪しすぎるカネ、そう、それはまさにあぶく銭。
    このマジックを作り出した輩を追いかけ、凛田莉子は中国と日本を行き来する!

    落ちないスピード感、高まる二人の関係進展への期待、そして巧妙に現実世界を混ぜた物語。
    これがあって、やはり本作の魅力と言えるだろう。

    凛田莉子の偽物が登場したり、妙にきな臭い美術品の「交換」だったり、人は死なないミステリだとわかっているのに、一触即発と言える展開にどきどきする。
    日中間の、自分のところこそが正統だ、いや、こちらの方こそ本家本元だ、そんなやりとりが時に悔しかったり、もどかしかったりする。
    著者のメッセージは終わりの方で見て取れる。
    これこそ、大団円、めでたしめでたしだとほっとする。
    もちろん、現実ではこううまくいくことばかりではない。
    ほとんどのことが意地の張り合い、プライドのぶつかり合い、国内世論の顔色伺いで、なかなか解決まで至らないことの方が多いだろう。
    しかし、だからこそ、本作の終わり方には未来を見てしまう。
    こうなったらいいな、こうしたいな、そうやって未来を見てこそ、人である喜びなのだ。

  • 随分と趣向が変わったなと
    途中で読者謎解きのためにきちんとページが挟まれているなんて!
    確かに今まではさくさくと読めてしまうがゆえに、気が付いたら事件解決してましたってのが殆どだったので、今回こういうのみたいなのも悪くはない。

    二人の仲もやっとこさ次の段階へと目が離せない

    あと、あんまり関係ないけど、松岡作品って中国系おおいよね
    人名、地名が覚えられない自分がいます。
    すんません、完全にこちらの都合です、はい。

    にしても、通巻20巻か。。。長くなったものだ

  •  日本と中国の問題をリアリティに描いていると思った。物語の終わりのようにはいくには難しいが、そうなってほしいなと思う。
     話の途中にあった"読者への挑戦状"は、クイーンを思わされた。
     このシリーズは動きが多く、アグレッシブなので映像で見てもおもしろそうだと思う。

  • いきなりの中国名、かなりの苦手感を乗り越え、無事に了読。
    中国という巨大な国の奇妙さを軸の物語、松岡氏、あいかわらずすごくて、物知りだ。
    いきなりの、週刊角川の小笠原記者から読者の皆様へと言われたときには、まじか、さっぱりわからん。。。と汗
    ただ、弥勒菩薩像を鑑定したウー氏の絶対の自信のつぶやきが気にはなったけど。。。
    中国のスポーツ選手の現実にはそこまでかとびっくりしつ。。。
    無事に事件が片付いてよかった。杉浦氏、やな官僚だ!!
    安倍さんは、この世にいないし!?
    さて、莉子と悠斗はこの先?( *´艸`)

  • 【2023-033-1636】図書館より。

  • 今回はトリックの内容がかなり複雑でした。理解するのに少し時間がかかりました。 それにしても、作者の知識の深さにはいつも感心させられます。政治的な内容も多かったのですが、それがわかりやすく端的に書かれていたので、読んでいて非常に勉強になりました。結末もなかなかいい感じでした。

  • 家の積読本を整理していて、昔読んだことがあったけど結末は忘れていたので読み返した
    最初からちょっとしたヒントがあるしトリックは大胆で面白い
    日中関係、作中の作品の師弟関係のようにうまく行けばいいのになと思った あと安倍総理のことを思うとつらい リアリティあっていいけど実在の人物を出すのはかなりリスクがあるかもな〜

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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