- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041016251
作品紹介・あらすじ
幾多の人の死なないミステリに挑んできた凜田莉子。彼女が直面した最大の謎は大陸からの複製品の山だった。しかもその製造元、首謀者は不明。仏像、陶器、絵画にまつわる新たな不可解を莉子は解明できるか。
感想・レビュー・書評
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スケールを広げたねぇ~国宝の所有を巡る日中間の争いは、戦争の危機を孕んでいく。暗躍していたのは、日本の偽ブランドを送り込んでいる中国の元エリートアスリート達の団体だった。莉子と小笠原は日中を股にかけて謎解きと問題解決に奔走する~まあ、身の程でない広げ方だったかなぁ
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中国の複製品製造グループの摘発に協力する莉子だったが、その実態はなかなかつかめないでいた。折しも中国との芸術品との所有権をめぐって日中関係が悪化する中、莉子は二つの謎の解決のため動き出す。
今作もいろいろな知識を詰め込みつつ、ミステリとしてのトリックに意外性のある展開と相変わらず予測できない展開が続き面白かったです。
日中間をまたにかけるストーリーも今までになくスケールが大きく、実際の政治家の実名を出すあたりや中国の暗部や芸術品に対する歴史的背景を描いたりと、ストーリーに社会派的要素やリアリティを出しているあたりも良かった点だと思います。
莉子と小笠原の関係性なども一つの区切りがついた感じで、ここからシリーズをどう展開していくのかも気になるところです。 -
我らがQちゃんこと、凛田莉子!
今回は、中国は北京のとある街角から始まる。
経営者から貧乏暮らしに転がり落ちた男。
彼には喘息の娘がおり、その治療を受けさせるために病院へ向かった。
しかし、すでに病院前には人、人、人!!!!!
金さえあれば......
そこに金が転がり込む。
怪しすぎるカネ、そう、それはまさにあぶく銭。
このマジックを作り出した輩を追いかけ、凛田莉子は中国と日本を行き来する!
落ちないスピード感、高まる二人の関係進展への期待、そして巧妙に現実世界を混ぜた物語。
これがあって、やはり本作の魅力と言えるだろう。
凛田莉子の偽物が登場したり、妙にきな臭い美術品の「交換」だったり、人は死なないミステリだとわかっているのに、一触即発と言える展開にどきどきする。
日中間の、自分のところこそが正統だ、いや、こちらの方こそ本家本元だ、そんなやりとりが時に悔しかったり、もどかしかったりする。
著者のメッセージは終わりの方で見て取れる。
これこそ、大団円、めでたしめでたしだとほっとする。
もちろん、現実ではこううまくいくことばかりではない。
ほとんどのことが意地の張り合い、プライドのぶつかり合い、国内世論の顔色伺いで、なかなか解決まで至らないことの方が多いだろう。
しかし、だからこそ、本作の終わり方には未来を見てしまう。
こうなったらいいな、こうしたいな、そうやって未来を見てこそ、人である喜びなのだ。 -
いきなりの中国名、かなりの苦手感を乗り越え、無事に了読。
中国という巨大な国の奇妙さを軸の物語、松岡氏、あいかわらずすごくて、物知りだ。
いきなりの、週刊角川の小笠原記者から読者の皆様へと言われたときには、まじか、さっぱりわからん。。。と汗
ただ、弥勒菩薩像を鑑定したウー氏の絶対の自信のつぶやきが気にはなったけど。。。
中国のスポーツ選手の現実にはそこまでかとびっくりしつ。。。
無事に事件が片付いてよかった。杉浦氏、やな官僚だ!!
安倍さんは、この世にいないし!?
さて、莉子と悠斗はこの先?( *´艸`) -
今回はトリックの内容がかなり複雑でした。理解するのに少し時間がかかりました。 それにしても、作者の知識の深さにはいつも感心させられます。政治的な内容も多かったのですが、それがわかりやすく端的に書かれていたので、読んでいて非常に勉強になりました。結末もなかなかいい感じでした。