夏美のホタル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 917
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041016879

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わった今、とても心地よい読後感に浸っている。やはり夏に読んで良かったと思える小説だ。

    都会にいると忘れてしまった美しい日本の四季の移ろい。その中でも初夏から秋にかけての表現が、まるで目の前に映像として映し出されているかのようであった。清流、ホタル、セミ、トンボ、そして古い古民家に爽やかな風と共に凛となる風鈴。日本人がもつ大切な心象風景を実に見事に描いている。

    出てくる人物も素敵な人達ばかりだった。地蔵さんとヤスばあちゃん、後半は涙なくしては読めなかった。

    でも、あまり悲しい気持ちにはならない。何故だか清々しい気持ちになれる。

    いま私の心の中は優しさでいっぱいに包まれて、そして真夏のごとく熱さえも帯びているが、そんな心の中で、そばで流れる清流からの涼しげな風を受け、心地よい風鈴の音を聴きながら、静かな気持ちで最後のページを閉じられた、そんな素敵な小説でした。

  • 雰囲気がすごい「虹の岬の喫茶店」に似てるなと思っていたのだが、なるほど、同じ作者なのね。

    本作は雰囲気を楽しむ作品である。夏。少年。帰省。川のせせらぎ。むしのさざめき。線香花火。
    …と、夏を楽しむためのピースがいたるところに散りばめられている。ノスタルジックな作品が好きな方には間違いなく楽しめる。

    前に読んだ虹の岬の喫茶店もすごく良かったけど、今回も当たりだった。私はこの作者の作品と相性がいいのかもしれない。ことごとく琴線に触れてくる。

  • 暖かくて優しくて、 田舎っていいな♪ おばあちゃん、おじいちゃんていいな♪って ほんわかしました。 地蔵さんとヤスばぁちゃんの、 優しい話し方。 不器用だけど口は悪いけど、 人間味のある雲月さん。 自然の中で純粋に育つ子供達。 そんな優しい暖かい人達に囲まれて、 幸せとは・・・こういう事なのか・・・と 教わる夏美と慎吾。 プロローグとエピローグが、また良かったな。 きっと・・・蒲公英を見たら、この物語を思い出すだろう。

  • 限りなく安心して読める、森沢明夫さん作品。
    また出会ってしまった。

    別に、泣ける話とか感動秘話が好きなわけじゃないんです。
    言葉のひとつひとつに、人間の本来の優しさとか
    表現の節々に静かな熱い感情とか、いろんなものがあって
    とにかく読ませる。世界が心に気持ちいい。

    で、話の流れの中、ここできたかー!というかんじで、
    泣かせられる。自然に目頭熱い…またやられてしまった。
    涙がこらえきれない…うるうるする。

    不器用な(高倉健さん風男性が森沢さんの真骨頂なのか?)
    彫刻家と、田舎の商店のおばあちゃん&息子の「地蔵」さん。
    近所の、無垢な二人の子供たち。
    主人公の写真家志望の青年と、バイクで熱い走りを見せる「夏美」さん。

    織り成す田舎の風景と、地味だけど穏やかな生活。
    それぞれの生きてきたいろんな過去はあるけれど、
    彼らの交流風景には、自然の音や匂いや光に満ちている。

    人間には命とともに心がある。
    いい話だぁ…かみしめました〜。

  • 久しぶりにたくさん泣いた。心温まる素敵な作品だった。
    出てくる人みんないい人なんてとってもいいね♥

  • 久しぶりにこんなに温かくて泣ける本に出会ったと思う。出てくる人物全てに愛があふれていて、誰一人としてイヤな人がいない 人生は人を思いやる気持ちがあれば周りもそんな人しか集まらないのかなとも思わせてくれるくらい本当に良かった。本当は声を出してなきたかったくらい泣けた・・・。
    病院での描写とか、、、おばあちゃんの事を思い出すと胸が痛かったけれど、でも読み終わった後はほっこりとして温かくなった。分かる人にはオススメしたい本。
    にしても、御茶ノ水の丸善は私のツボを押さえているポップとセンスだと感じた。この本に巡り合えて感謝。
    雲月のキャラが私にはぐっときた。
    ふだん泣かない人が大切な人を亡くした時に涙をみせたり、子供たちに愛情を注いだり、主人公慎吾にぶっきらぼうにも優しい気持ちを伝えたり・・・。泣
    ・人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こすんだって。だから自分と他人をあまり比べない方がいいって。他人と比べちゃうとさ、自分に足りないものばかりに目がいっちゃって、満ち足りているもののことを忘れちゃうんだってさ
    ・トンボの幸せは・・・
    空を飛んでいるだけで、幸せ。あの時は、確かにそれが幸せの正解だと思っていた。でも、いまは少しだけ解釈が違う。飛んでいるだけで幸せなのではなくて、本当は誰かと一緒に飛んでいるから幸せなのだ、きっと。

  • 写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子・ヤスばあちゃんと地蔵さんに、温かく迎え入れられた慎吾たちは、夏休みを「たけ屋」の離れで暮らすことに。夏空の下で過ごす毎日は、飽きることなくシャッターを切らせる。やがて、地蔵さんの哀しい過去を知った慎吾は、自らできることを探し始めるが…。心の故郷の物語。

  • イメージしやすく目頭熱くなった!
    ヤスばあちゃんとお地蔵さん優しい、温かい。
    心の中でたくさん泣いたら、現実でもすごいスッキリした気持ちになった!

    人が亡くなるシーンは、親や祖母が思い出されて余計寂しくなった。ほんとその一瞬その時を大切にしなきゃだなあ、と振り返ったなあ。

    筆者は最後にフィクションだけど、モデルがあるといった。それを知ってしまうと、フィクションじゃなくてもどうしてもノンフィクションに感じてしまうほど、この小説も“生きているような”話だと思う。

  • 素敵です。綺麗です。みんないい人です。森沢さんの世界観がよく表れている作品です。映像化されても面白そうです。

    一方で、素敵すぎて、綺麗すぎて、ちょっと狙いすぎではないかと穿った見方をしてしまう場面があったことも事実です。なんだろう、みんながみんな、ピュア過ぎる?

    でも、こんな素敵な出逢いに憧れる気持ちはありますね。夏美のバイク姿も格好良さそう。もの凄く趣味レベルですが、写真が絡んでくるストーリー展開も、カメラをもう少しちゃんと学びたいと思わせてくれます。

    登場人物の一人になりたい! 読後感はいつも通り。
    憧れます。

  • 『虹の岬の喫茶店』がすごく好きなので、購入。
    こんな田舎で暮らしたい。
    風景の描写がすてきで、蛍を見に行きたくなった。
    ただ、結末の展開が予想できてしまって、物足りない印象。
    もう少し、人物描写にリアリティがあるとよかったかも。

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著者プロフィール

森沢 明夫(もりさわ あきお)
1969年、千葉県出身の小説家。早稲田大学卒業後、出版社に勤め、フリーとなる。
2006年「ラストサムライ 片目のチャンピオン武田幸三」で第17回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞、単行本化した。2007年、『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『津軽百年食堂』『虹の岬の喫茶店』『ライアの祈り』『夏美のホタル』など多くの作品が映画化。小説に『癒し屋キリコの約束』『大事なことほど小声でささやく』『ヒカルの卵』『きらきら眼鏡』など、エッセイに『あおぞらビール』『東京湾ぷかぷか探検隊』など著書多数。エッセイ、小説、ノンフィクションなど多彩な活動を広げている。

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