夏休み (角川文庫)

制作 : 千野 帽子 
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 163
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041016930

感想・レビュー・書評

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  • 千野帽子さんが編んだ、「夏休み」がテーマのアンソロジー。様々なジャンル、様々な時代の「夏」を切り取った短編は、惹かれはしたけど一方で賭けだな、とも思い、買うまで躊躇した。アンソロジーは大好きだが、ある程度知っている作家の収録作品が多いものしか手にしない。今作は未読の作家が多数のためかなり迷ったが、角田作品がどうしても読みたかったことと、千野さんのセレクトは信頼しているので、思い切って購入。
    賭けは大成功でした!一作目の江國さん「あげは蝶」は唯一の既読作品だが、アンソロジーとなるとまた印象が変わるもの。子供特有の、不安定で非現実な夏を思い出した。
    藤野可織さん「大自然」には驚き。解説の言葉を借りると「クールでアーバンでコンテンポラリー!な装置のなかにこそ、実は夏休みが住んでいる」。醒めた少女の描写もお見事。
    そして、ここで片岡義男を持ってくるとは!「おなじ緯度の下で」、タイトルに痺れた。80年代な印象が強い片岡氏。この作品もどこか古臭い雰囲気は漂っているのだが、なぜかその空気感が心地よい。片岡氏の世界観に引き込まれた。
    更に時代は遡り、堀辰雄の「麦藁帽子」。純文学、読めるだろうかと心配したが、詩的で美しい文章に思いのほかのめり込んだ。多感な少年少女の、自意識過剰気味な心の迷い、揺れに共感。ただ。千野さんの言うように、あの震災を経てから読む「エピロオグ」は、色々なことを考えさせられる。
    そしてやっぱり間違いない!と声を大にして言ってしまう、角田さん「夏の出口」。初期の彼女の魅力が最高に詰まった素晴らしい作品。将来に漠然とした不安を抱えながら迎える、高校最後の夏休みは、「若気の至り」が見事に体現されていて、情けなく、カッコ悪い。それでもキラキラと輝いて見えるのだ。千野さんがこれを読んで角田さんのファンになったというのも頷ける。
    トリはまさかのおニャン子クラブ「夏休みは終わらない」。この曲知らないけど、知らない方がむしろいいかもと思えるほど歌詞がいい。普通に聴いたら聴き流しかねないが(笑)このアンソロジーの締めくくりにふさわしく、弾けていて、でも少し切ない。秋を予感させる詞の後半の構成、うまいなぁ。
    古今東西、数多ある「夏」を描いた作品から、よくこの11作品をセレクトしたなと!千野さんの選択眼、確かです。ハズれなしでした、むしろ出会ってよかったと思えるものばかりでした。詳しく触れなかったものの、他の収録作品もどれも面白く読みました。涼しげで、爽やかで、ユーモラスで、ちょっとシュールで、切なくて…でも間違いなく、忘れがたい特別な時間、なのです。

  • いろんな作家さんの作風が「夏休み」という一つのテーマに沿って楽しめました。
    何十年も前の作品なのにまだまだ瑞々しさをたたえた作品、昔は苦手だったはずなのに今回読んでみたら意外とすんなり入ってきた作品、などいろんな発見がありました。
    短編集って電車の中などで読むにはちょうどいいです(^-^)

  • 2017年26冊目。

    「あげは蝶」江國香織
    「多摩川探検隊」辻まこと
    「クロール」佐伯一麦
    「大自然」藤野可織
    「おなじ緯度の下で」片岡義男
    「八月」三木卓
    「麦藁帽子」堀辰雄
    「再試合」小川洋子
    「ローマ風の休日」万城目学
    「夏の出口」角田光代
    「夏休みは終わらない」秋元康

    編者千野帽子さんによる、以上11作品を収載。

    帰省客でにぎわう新幹線、人気のない真昼の商店街、揺れるプールの水面、夜空に散る花火、揺れる木々の間から見える月など、少年少女のまぶしい夏。

    中でも、
    好きだと気づいたそのときに手紙を書きたくて、特急で2時間かかる東京へ向かい、レターセット、ボールペンを買う哲也が好ましい「おなじ緯度の下で」、
    「鴨川ホルモー」のスピンオフの「ローマ風の休日」
    がよかったです。

  • 何か大きなことが出来そうで,出来なさそうで,でも楽しみな夏休み。

    時代に割と幅がある「夏休み」がテーマのアンソロジー。形は少々変わっても,夏休みが少年少女にとって「何かが変わる」時期であることは変わらない。

    角田光代「夏の出口」ポーズボタンを押したい,そんな時期がある。不確定な未来を考えて,道はあるはずなのに,何か焦って。夏休みは一時停止のようで,今はもしかして一時停止も許されないのかも。

  • いまいち響かなかった。

  • 2つは読んだことがあったけれどまた読めて嬉しかった。
    特に万城目学の「ローマ風の休日」。
    新しく読んだ中では角田光代の「夏の出口」が気に入って引用を3つもしてしまいました。

  • いかにも「夏休み」という作品がひとつも入っていない、かなり癖のあるアンソロジーでした。 ―― http://bookmeter.com/cmt/57701083

  • いろんな時代のいろんな夏休み。
    冒険あり、探検あり、ほんのりした恋愛あり…。
    万城目学の「ローマ風の休日」は大好きな話だけど、「鴨川ホルモー」を読んでない人にも伝わるのかなぁ?
    角田光代の女子高生の進路を前に揺らぐ気持ちも、周りの恋愛に引きずられる鬱陶しさと友情も共感できた。

  • オムニバスの短編集。

  • どの話も面白いのだけど、片岡義男が面白かったなあ。少年がある女性のことを好きだということを初めて意識する瞬間の物語。彼女に手紙で連絡したら電話がかかってきて取り次がれるっていうのは普通に読めちゃったけど、もはやありえない風景なんだねえ。

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