殉狂者 (下) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2014年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784041017623

作品紹介・あらすじ

2005年、オリンピック元柔道スペイン代表アイトール吉岡は、死別した父がテロリストだったことを知る。事情を知る母マリアは失踪し、当時を知る者も次々と消されていき……。『エウスカディ』改題。

感想・レビュー・書評

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  • もう、壮絶としか言い様のないラスト。きっと戦争とかテロとかってこういう悲惨な人生を次々生み出してるんだと思う。世界を変えることは悪いことではないと思うけど、その手段に暴力を使うことだけは絶対にいけない。

  • 犯人はある程度目星はついていたが、最後の展開は目が離せなかった。

    過去と現在を行ったり来たりする方法も物語を盛り上げた。

  • 結末がノワール。
    想定どおりの終わり方だったけれども、
    とても面白かった。
    2つの時間軸の入れ替わりが
    話に加速をつけてとても良かった。

  • 2021.03.06.読了
    かなりの長編。分厚い文庫本上下巻。

    大満足。とてもおもしろかった。
    バスク地方は美味しいものも多くとても興味のある場所だったのでより楽しめた。

  • 上巻に続いて、1970年代の父の時代と2005年の息子の時代を行ったり来たりする。登場人物が同じというか、父が関わった人物が、次の章で30年後に息子と関わる・・・という展開で、フラッシュバック的な構成が苦手な私でも、この本の構成には苦手意識を感じなかった。
    最後に明らかになった「裏切者」に驚きはなかった。
    それにしてもジョルディに最後まで語らせて欲しかった。ジョルディが語るワルテルが聞きたかった。ジョルディにとってワルテルはどんな男だったのだろう。マリアの想い人でアルトールの父親だけど、ETAの決定に忠実な戦士でもあった。サッカーボールをプレゼントしたワルテルをどう思っていいたかしら? 願わくばイケルが真相を知らずに旅立ったのだったらいいな。真実は知らない方がいい時もある。ワルテルは知ってしまって不運だった。マリアのワルテルへの愛は本物だと思うけど、矛盾はいつかは波状してマリアが苦しむか、ワルテルが苦しむか・・・両方が苦しむことになっただろう。アイトールが知ってしまったのも可愛そうだ。ヘススが来なければ、は後の祭りだけど、そのヘススも真実を知る前に消された。
    IRAやFNA, PLO, ETA・・・今でも存在するのだろうが、以前のように大量に死傷者を出すような活動はしていないと思う。時代は変わる。人々の心も変わる。でもいつの時代でも、憎しみは憎しみを呼んだり、悲しみが憎しみに変わったり・・・人を殺めるのは悲しい。
    電子書籍上下合本版

  • 血で血を争う闘いは、辛い。最後の数ページは、エーっの連続だった。あまりにも、吉岡がかわいそう。そして、クリスも。

  • なかなか読み進まなかった、上巻から一転。アイトールの周りで次々に起こる事件と、両親の過去からあぶり出される登場人物の誰が信じられるかわからないという、スリルで一気に最後まで読み切った。

    最後は一般的な意味で、納得のいくエンディングかは別として、面白かった。

  • 馳星周のノワール小説。
    フランコ政権下のスペインを舞台にして、過去(1970年代)、現在(2005年)軸でバスク独立のテロ組織(ETA)に身を置く筋。
    主人公は日本人吉岡良輝、その息子のバスク人アイトールヨシオカが過去と現在のパラダイムシフトにおいてそれぞれの主役。

    吉岡は連合赤軍より、世界革命の連携目的で派遣された。アイトールはそのスペインで生まれた吉岡の遺児。
    ETAとは関係をもたずにそだったアイトールの周辺に過去の亡霊がつきまとい、また当時の吉岡とETAとしての活動にスコープして展開される筋。


    馳星周ぽいテンポの良さが健在。
    吉岡の革命への決意、父性の葛藤。
    1970.年代に何があったのか。

    不夜城などと違い決定的に主人公の孤独感が足りなかった気がする。
    暴力、展開、孤独を書くのがうまいと思っているので、そこは残念だった。

  • ETAに身を置き、テロリストとなった吉岡良輝と吉岡とマリアの息子アイトールの数奇な運命…テロリズムに人生を翻弄され、斃れていく人びと…

    1970年代を舞台にした吉岡良輝の物語と2005年を舞台にしたアイトールの物語が、同時に終わりを告げるとともに30年間の大きな謎が明らかになる。

    なかなか面白い構成であり、壮大なドラマを秘めたノワール小説である。読後は、遣る瀬無い思いと喪失感に包まれる。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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