夏の塩 魚住くんシリーズI (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 959
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041017715

感想・レビュー・書評

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  • うっかりはまる。
    主役のストーリーも良いけれど、サイドキャラクタがとんでもなく魅力的。
    マリさんは徹頭徹尾素敵だし、濱田先生は最初当て馬!苛つかせるのうま!って思ってたのに途中から一番好きになった。

  • 何気なく買ってハマってしまった。
    BLなんだろうけど、だからこその心理描写に引き込まれる。
    明日、大人買いしよ…好きな作家さんが増え楽しみが増えた。

  • すごく面白かった。
    文体が私好みなのもあって読みやすさは抜群。表現がいちいち好みだった。
    これはBLというよりも純粋な愛の話だなぁ、と。
    愛を描いた話。
    BL小説苦手……という方でも気に入るのではないかと。

  • 感情表現が乏しく不安定さをもつ美少年大学院生・魚住と
    ガサツで短気でヘビースモーカーのサラリーマン・久留米との
    恋愛を軸にしたBL作品。
    一般文芸レーベルで再販されたということもあり、
    男目線で読んでも面白かった。
    (男とは言っても、僕はかなりの草食系でございます)


    魚住くんは、泣かない、笑わない、怒らない。
    「トレーシングペーパーをかけたようにあやふやな存在」である。
    そんな彼が周りの人間たちとのふれあいを通じて、
    少しずつ色鮮やかな世界を生きていくようになる姿をみていると、
    心が温かくなってくる。
    我が子(いないけど)の成長を見守っているかのよう。
    隣人の留学生・サリームから教わって初めて料理をしたときに見せた静かな笑顔などは、読んでいて特に微笑ましい。「真澄(魚住くんの下の名前)が笑ったよ!おかーさーん!!」と叫びだしたくなる感じ。
    そして最も大きな変化は、彼が「人を好きになっていく経験」をすること。
    あまりにも遅いのかもしれないが、27歳の彼にとっての初恋。
    恋という気持ちの正体が分からず慌てる姿がとてもかわいらしい。
    初恋相手である久留米のほうも少しずつ魚住を好きになっていくが、
    自らの恋心に無自覚であろうと努力する姿が、こちらもかわいらしい。
    言うに事欠いて魚住くんに対して「バーカ」としか言えなくなっちゃうあたり。ニヤニヤがとまらない(・∀・)
    互いが互いへの恋心に無自覚である瞬間はとても美しい。まさに青春!
    大人キャラクターでこの美しき青春を描けるのは、BLならでは。


    魚住くんも久留米も共に同性愛者というわけではない(ノンケというやつ)
    ので、「自分は異性愛者なのだから」という葛藤がある。
    BLではテッパンの展開だけれど、人を好きになることの普遍性は
    こういう"言い訳"を超越したところにあると思う。
    BLだからどうこうという話ではない。

    ただ、最初の方は、男性読者(というか草食系?)的に若干辛いものがあった。
    魚住くんは過去、飲み会のたびに彼女を取っ替え引っ替えしていた
    という事実があり、それでいて男から強姦された経験があり、
    インポであることを平然と言ってのける。
    性に対する"オープンさ"を表すような設定に少し圧倒されてしまうというか、
    いけ好かなさを感じてしまった。
    でもここを超えるとステキな境地に連れて行ってくれる。
    もし冒頭で同じような印象を受けた人も、少し我慢すると幸せになれる。

  • 魚住くんシリーズはシリーズ中どのお話でも、一度は泣いてしまいます。

  • 何度読んでも、魚住の生きてきた過酷な環境の中で久留米やマリちゃんサリーム、響子ちゃんに濱田さん諸々、みんなに出会えて良かったねって思う。何と言っても、魚住に「巻き込まれない」久留米の存在がとても大きな作品。
    また、榎田さんの、柔らかいけど伝えたいことはダイレクトに伝わってくる文章がいい。生きることとか、死んでいくこと。
    逝く人と、置いていかれる人のことを改めて考えさせられる作品だと思います。

  • 危なっかしいし、もどかしいし。これは先を読まずにはいられない。

  • 以前から気になっていて購入。
    長野まゆみ三浦しをん作品よりあからさまな書き方だけれど、ザ商業BL!って感じのむちゃくちゃ感と詰め込み感と下ネタ感があまりなくて、恋愛要素以外の話も個性があって面白い。テンポもよくて私好みでした。
    あと、出てくるキャラクターが平和的。
    大抵嫌なキャラというものが当て馬的に出てくるんだけどね、重くなくドロドロしすぎず、でも考えるところもあり、な程よい心地よさでした。
    恋愛ものテッパンの、次々起こる恋愛トラブルとか苦手なので……ほんと( ̄▽ ̄;)安心して読んでいいのかなと2巻に入り背中を預けました。

    二巻まで読み、個人的には濱田さんが好きです。ああいう茶々入れキャラたまらない……!完全に魚住に惚れてないかあれは

    濱田さんのゲイの友だち やら
    サリームの願掛け やらは三巻以降出てくるんだろうか。

    少しずれた話だけど、2巻の日下部弟の襲来が、凛一シリーズを彷彿とさせた。名前度忘れしたけど。あのカメラ少年。

    早く三巻読みたいなあ……
    ドラマ化かDVD化とかしないだろうか
    しないか

  • もともとはノーマルだった二人(男同士)がお互いを恋愛の対象と意識し初め、困惑する気持ちを描いた序章に位置する作品。
    緩く、不運な雰囲気を纏う学生の魚住くんと硬派で実直な社会人の久留米くん、対極にある設定が生かされていると思う。
    魚住くんは、幼い頃持ち得なかった暖かさや包み込むような安堵感を求めているんだろうなぁ。それを与えてくれるのが久留米くんだった。久留米くんの持ち前の性格が魚住くんの気持ちとマッチして、お互いを求めるようになったのかも知れない。
    二人の友人の「マリさん」がいい味出してます。
    これからの二人が楽しみ♪

  • 主人公・魚住を含む登場人物が全て魅力的。こんな人達に恵まれて、魚住は幸せですね。だから、彼も人間らしくなって来た(笑)

著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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