眺望絶佳 (角川文庫)

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著者 : 中島京子
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年1月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018095

眺望絶佳 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • スカイツリーの手紙から始まり、東京タワーの手紙で終わる。その間にある数々のストーリーはタワー達が見下ろす東京の人間模様。華々しく明るく賑やかな東京。でも人々は楽しい事ばかりでなく、意外と暗く混沌としている現実。
    表紙と導入で明るい話かと思いきや…。でも中島さんの文章で暗くなりすぎずで良かった。

  • スカイツリーからの手紙に始まって、東京タワーの返信で終わる短編集。

    ジャケットが可愛い!
    この表紙からも、東京タワーが視点で遠くにスカイツリーが見えている。

    東京タワーがスカイツリーに教えたかった、下界のあれこれは、どれも一見きれいなようで入り込むほどドロドロとした人間のあれこれ。
    読んでいて、ちょっと重たくなるようなテーマも含んでいる。

    ダイエット応援サイトを運営する女性が、アドバイスを通り越して狂気に近付いてゆく「アフリカハゲコウの唄」。
    双子姉妹が住んでいる薔薇屋敷が、実はゴミ屋敷であった「金粉」。ちなみにこの話には更に一段階奥のゾッ、、、が秘められている。

    東京タワーがスカイツリーに見せたかったものの本質が、難しい。人間のグロテスクな部分が垣間見える面白い作品だけど、タイトル買い注意。

  • なんとも風変わりなスカイツリーと東京タワーとの往復書簡。その間に挟まれた8つの短編は、それぞれにまったく別の様相を呈し、相互に繋がりがあるわけでもなし。

    ダイエット中の顧客とその相談に乗る社員。ある出版社の倉庫番だった男との恋を思い返す女社長。なんでも屋の兄弟が関わった老女。地震にあった少年とその両親。ふと足を踏み入れたギャラリーで妙な体験をする女子大生。薔薇屋敷と呼ばれるゴミ屋敷に暮らす老姉妹。初恋の相手と再会して結婚を果たした人。キッズ対象の英会話教室を始めた女性。

    すべてを繋ぐのはただ東京の空。スカイツリーと東京タワーが見つめる空の下、人はあたふたしながら生きています。

    同年代の小川洋子と似た雰囲気を持っていますが、静謐さや円熟味を感じる点で、私は小川洋子のほうが好きかも。だけど、不思議な余韻は残ります。

  • ゴミ屋敷に住まう高齢姉妹の話に魅かれて。『金粉』なぜこのタイトルなのか。もちろんすぐには分からない。姉妹はふたり仲良く暮らしている。気心分かり合えるのはこの二人だけだから。家を出れば敵ばかり。元は薔薇屋敷、今はごみ屋敷。嫌われる理由は正当にある。でも姉妹にも理由はある。誰も分かってくれないけれど。生活を守るため他者は寄せ付けない。それでも来訪者あればおもてなしの心は忘れない。それが「金粉」。余韻がたまらない一編。東京タワーとスカイツリーの往復書簡、東京タワーが感じる哀愁。これはまさに残された昭和の悲哀。

  • スカイツリーが「小説」の世界に登場している!単行本が刊行された、2012年前後の東京を実感する短編集。

    それぞれの人物を描く小説のテーマとしては統一感がないようにも思える。けれども、ブログ形式だったり誰かに話しかける風で話を展開していったり、書簡形式だったりと、表現形式が面白い。
    そしてなんといっても時代性!ちらっと出てくる、スカイツリーに新しくなった羽田空港、地震の津波の話、ゴミ屋敷やLGBTなど、確かに最近話題になってるよ、知ってる、目に浮かぶし、ほんとに都心の片隅にひっそりと開かれているお客のほとんど来ないギャラリーってあるある、などとあまりに身近な東京の姿に嬉しくなってしまう。
    冒頭と末尾に、スカイツリーと東京タワーがででーんと安定感を出して締めているのも良い。

  • 東京の片隅でおきたエピソード8編をあつめたもの。冒頭スカイツリーの【往信】、巻末に東京タワーの【復信】が入っているけれど、スカイツリーは書き下ろし。
    東京タワーは東京に建ち、東京を眺めているけれど、「私」にできるのは「立つ」ことだけ。でも、それがなにより大事だと「彼女」は言う。この擬人化されたツリーたちのそれぞれの感覚が面白い。やはりスカイツリーはまだ若いから、なんて思ってしまう。
    物語は東京に起きた現実や、ファンタジー、ありそうなこと、なさそうなこと、ハッピーエンドもあるし、不安も。どれかひとつは、心に触れる話が見つかると思います。
    どの話も短いのに、描写の巧みさに感心しながら、物語の世界がどんどん広がっていく気持ちがしました。
    どの話もよかったけど、私は「よろず化けます」や、「亀のギデアと土偶のふとっちょくん」「おさななじみ」好きでした。

  • それぞれ短いストーリーなんだけど、余韻や深みを感じさせる内容で楽しく読めました。
    スカイツリーと東京タワーの往復書簡がなんだからしくて可愛い。

  • 東京の空の下に繰り広げられる、8編のストーリー。
    一見何のへんてつもないように思える生活の裏側に、不思議やらトゲやら毒が埋まっている。どの話も、ひとすじ縄ではいかず、読んでいるうちにいつの間にか別の場所に連れていかれたような気分になる。
    それをもったいぶらず、さらりと描いているところが魅力的。

  • 東京タワーとスカイツリーの往復書簡。
    私が東京にやって来たとき、
    スカイツリーは建築中で
    職場の新宿の高層ビルから
    日々、伸びるさまを見ていたなあ。
    わりと長く、東京にいるな、私。

  • パスティーシュ系ではなく人間観察系。
    若きスカイツリーと先達東京タワーとの往復書簡のあいだにはさまった8つの短編は、老若男女、どこかに孤独を抱えた物語。遠景にタワーが見えているという程度で、登場人物たちがとくにタワーを見上げたり登ったりすることはなく、むしろそのゆとりもないほどあぶなっかしいところを生きている。
    そんな人たちをはるか上から(一見)しずかに見下ろして、何が起ころうと起こらなかろうと、ただ立っているタワーたちの存在感。そして、タワーにはタワーなりの孤独。
    藤野可織の解説まで読むと、そのへんの関係性もなるほどと思えてくる。

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