寄居虫女

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  • KADOKAWA (2014年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784041018347

作品紹介・あらすじ

その女を、入れてはいけない。入れれば最後、家はたちまち食い尽くされる。その先に待つのは凄絶な……家族同士の「共食い」だ。平凡な家庭、皆川家にやってきた白塗りの女、山口葉月。恐怖の日々が、今始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 空の端には、ようやく夕焼けの朱が刷かれはじめていた。(P.118)
    人はみな、自分の身にだけは法外な不幸など起こるまいと思って生きている。なんの根拠もなく楽観的にそう信じ、いたって無防備に危険だらけの往来を闊歩している。
    若ければ若いほど、その無根拠な自信は強い。彼らはまだ病にも無縁で、死に対して抽象的な概念しか持ちあわせない。(P.196)
    信じてもらえないんじゃないかという葛藤。自分の置かれた環境が異常だとは認めたくないジレンマ。己の無力さに対する苛立ち。フラストレーション。飢え。わだかまり。累積された親への怒り。
    そのすべてがないまぜになって、胸の中でどろりと煮溶ける。そしてその上を「恥ずかしい」という思いがコーティングしていく。(P.214)

    人の家に寄生して、一家を破滅させていく様子は尼崎の事件を想起させる。章と幕間出構成されており、伏線は沢山。
    人の弱いところに入り込み、洗脳して正しい判断が出来なくすることが簡単に出来てしまうことが、恐ろしい。美海の気持ちの揺れ動きや、行動に共感ポイントが沢山。汚い記憶だとしても、他人には絶対に教えない、教えたくないと最後まで正常に判断できて、生き残れて良かった。人間の怖さと脆さを思い知らされるような作品。葉月のような人が家に住み着いたら、私は、どのくらい正常でいられるのだろう。

  • 尼崎事件や北九州監禁事件を彷彿とさせるような、おぞましいホラー。その女を家に入れてはいけない、入れたが最後、寄生され、中から食い荒らされ、家族は崩壊してしまう。。

    同情を誘って家に入り込み、鈴をふるような美声で相手を賞賛し信頼を得、誰もが抱える悩みや秘密を吐露させ、十分な睡眠時間を与えずに体力や判断能力を奪い、恐怖心と依存心につけ込んで、家族同士憎み合い監視し合うようにし向けて次々家を崩壊させるヤドカリ女 葉月。
    赤の他人にかき乱されて、次第に狂っていく家族が怖い。。。望月峯太郎さんが漫画化したら、よりホラーサスペンスとして活きるんじゃないでしょうか。。。

  • 実際の事件をモデルにした作品だけあって怖い。
    知らぬまにじわりじわりと日常が乗っ取られていく感じがリアル。

  • 人の家に入り込み、家族を洗脳して壊していく山口葉月という女の物語。北九州や尼崎の事件がモチーフになっているらしい。
    洗脳の過程は読んでいて辛かった。その人を孤立させ、自分のものさしこそが正しいのだと教えていくのはモラハラにも通じるものがある。
    結局家族から浮いていた美海の存在が家族を救ったというのは皮肉だし、親のゴタゴタに子供が巻き込まれていくのは本当にしんどい。
    やどかり、というのは家から家へと渡り歩くということかと思っていたけど、最終的には衣織が「山口葉月」という殻を借りていたんだ、というどんでん返し。面白かった。

  • 気になっていた作家・櫛木理宇 さんの作品「寄居虫女」
    ブクログさんからのプレゼントに当選して拝読。
    嬉しいプレゼント、わくわくしながら本を開きました。
    寄居虫女は、家に住み着くというストーリーですが、実のところ、誰にもある心の闇に住み着くと捉えました。
    人の持つ、醜い嫉妬心や弱さ。
    その部分だけが大きくなると、周りがわからなくなり、不思議な存在である人間までも受け入れてしまう。
    読んでいるうちに、非現実ではあるけれど、現実のような感覚になっていきました。
    途中から一気読み。
    気になるとラストまで読まずにいられなくなり、シャカシャカと読みました。
    事件の真相がわかると、親子愛、兄弟愛、の大切さ、そこを育てる家庭の場がいかに大切であるかを感じ、胸が痛くなりました。

    醜い心は誰もが持っている。
    けれど、それを口にしたことで、なにかがゆがむのかもしれない。

  • 平凡な家庭、皆川家にやってきた白塗りの女、山口葉月。彼女はターゲットに決めた家に入り込みその家族を支配し食い荒らしてどこかへ去っていくヤドカリ女。
    その女を、家に入れてはいけない。

    あまりにも理不尽で残酷で、途中で読むのやめたくなった。でも困ったことに面白いのだ。面白いからやめたいのにやめられないという地獄を味わった。櫛木理宇作品をそんなにたくさん読んだわけじゃないけど、登場人物が理不尽に痛めつけられて読んでるこっちまで心がずたずたになるからしんどい。しんどすぎる。でも面白いから読んじゃうんだよな…
    尼崎連続変死事件や北九州監禁連続殺人事件を下敷きに書かれていると思われるこの本。実際こんなおぞましい事件が起こっているっていうことが一番怖い…。
    とりあえず…睡眠は大事!!!!!

  • 「少女葬」「赤と白」と読みこの「寄居虫女」を読了。そして今は「避雷針の夏」を読んでいる。櫛木さんの連続は重さを感じずにはいられない。白灰色、雪、不穏、不気味など共通項がまた陰。楽しく陽気なことは起こらない。ひたすら陰。

    タイトルの女、山口葉月。白いゴスロリ風の服装、白くて長い手袋、日傘をさして上品な佇まい。そして年齢不詳な程の厚化粧。それは虐待された痣を隠すため。人の心の隙にそっと入り込んでいく。そしてその家族を破滅させる、それがこの女。

    狙われた家庭の三姉妹のキャラがたつ。そして最後は…誰?サスペンスミステリ。

  • ホラーとは違う、ゾクゾクした怖さがあります。
    最後のオチも良かったです。

  • かなり精神的にしんどかった…
    フィクションではあるけれど、実際に起こった事件も参考にしてるって知り、余計に読んでいて辛かったです
    他人の家庭に寄生する山口葉月
    なんで?どうして従っちゃうの??って思うくらい洗脳の巧さ、そして怖さを感じました
    ターゲットにされて家族が壊れていくのを見るのは何度も言いますが辛かった…

    ラストは衝撃というか、かなりひっくり返されましたが、だからと言って気持ちが晴れるわけでもなかったです
    寄生する側もされる複雑な気持ちでした

  • 本当に起きた凄惨な事件を参考にした小説。

    洗脳していく過程が恐怖。寄居虫女を追う人と交互に描かれるため恐怖が緩和されながら読めた。

    角川ホラー文庫 『侵蝕 壊される家族の記録』の改題前の本。

    櫛木理宇さんの本は、心理学を学べて面白い。

    真相には愕然としました

  • 死刑にいたる病をよんでから
    こちらを読んだ。2冊とも人につけ込み口がうまく、人を殺して生きていくサイコパス。

    たった1人の人間によって、それまで仲の良かった家族は簡単に壊れていく。
    はたからみたら、なんでそんな人に騙されるのと思うことでもいざ入られたら、その人がいないとダメになってしまうようになる。

    今回も騙された感はある結末だったし
    怖くて、面白かった。

  • その女を入れてはいけない。
    いれれば最後、家はたちまち食い尽くされる。
    その先に待つのは凄絶な……家族同士の『共食い』だ。


    最愛の息子・智末を亡くし、家族に愛情すら抱けなくなっていた留美子。
    ある日玄関先で、事故で亡くした息子と同じ名前の少年・朋巳と出会う。
    薄汚れガリガリに痩せて、育児放棄をされていたと思われる
    朋巳を家に入れてしまう。
    後日、少年を追って現れたのは、白いぞろっとしたワンピースを着て、
    白塗りの厚化粧を施した異様な女。
    少年の母だという女は、山口葉月と名乗り、やがて家に『寄生』を始める…。

    どんなに幸せそうな家庭でも、親子の間・夫婦の間・姉妹の間にある
    ほんの少しの思い…妬み・恨み・不満・羨み…燻る何かがある。
    それに、付け込まれた時、人は簡単に理性を失う。
    浸食され、洗脳され、理性を失っていき壊れ始める家族の姿が痛々しい。
    家族間で互いの不満をぶつけ合わせ、傷付き合わせ、憎しみ合わせる。
    家族を崩壊させる。
    自分の手を汚さず、家族同士にそれをさせる。
    狂っていく姿に身の毛がよだった…。
    壊されていく過程が、本当に怖かった…。
    ホラーより、もっと怖い…。

    昔、北九州で起こった連続監禁殺人事件や
    数年前に起こった尼崎で起こった事件を彷彿させられた。
    きっと、モチーフなんだと思う。

    結末には、本当に驚いた。大どんでん返しだった。
    でも、救われて良かった。

    人は皆、自分の身にだけは法外な不幸など起こるまいと
    思って生きている。
    なんの根拠もなく楽観的にそう信じ、いたって無防備に
    危険だらけの往来を闊歩している…。

    実際の事件でもそうだったが、警察は民事不介入で何の力にもならない。
    ご近所も・親類も・友人も・学校も…助けてはくれない…。

  • 一気に読んでしまった。尼崎の事件でなぜ身内同士傷つけ合うのかわからなかったが、このようなマインドコントロールがされていたんだと、怖くなった。
    葉月が入れ替わっていたというのが、少々納得がいかなかった。結末には多少救いがある。

  • 「あの」事件を彷彿とさせる内容で、ある種の覚悟をしながら読み始める。

    どう考えてもこんな状況は不自然だ。普通ならそう感じる。でもその家族に置ける「普通」ではない状況化だったらどうなる?


    ヒトの弱い襞に喰らい付く寄生虫のごとき『ヤドカリ』たち。微に入り細に入りの攻撃に屈しないと宣言出来る程の精神力は持ち合わせていない私なんぞは、直ぐに落ちるんだろうなあ。

    自分の闇を自ら受け止めているヒトになら奴等に対処する事が出来るかも知れない。他人の庭は「どす黒い」のだと見極める目を持っているから。

  • 怖い!
    北九州監禁殺人事件をモチーフにしたと思われるサイコパスの狂気。
    人が追い詰められていく様がリアルだった。

  • 家族に取り入って、徐々にその家族を支配していく様は読んでいてゾクゾクしました。
    まずは自分を信頼させるところから初めて、徐々に相手より立場が上であると分からせ、依存させていく…という手口は恐ろしかった。

    最後の、助けがくるところは良かったと思ったが…なんというか主人公の周りの大人が無能すぎてちょっとなぁ…という感じでした。


  • 平凡な家庭の主婦・留美子は、ある日玄関先で、事故で亡くした息子と同じ名前の少年と出会い、家に入れてしまう。後日、少年を追って現れたのは、白いワンピースに白塗りの厚化粧を施した異様な女。少年の母だという女は、山口葉月と名乗り、やがて家に「寄生」を始める。浸食され壊れ始める家族の姿に、高校生の次女・美海はおののきつつも、葉月への抵抗を始め…。

    ★★★⭐︎⭐︎
    先が気になる展開で、走り読みしてしまう作品でした。
    北九州事件を思い起こさせる内容ですが、現実の事件ほど残酷ではなく、心理面に重きを置かれていました。
    読む前は相当体力がいるだろうなと覚悟していたけど、思ったよりソフトで救いがある展開。小さなボタンの掛け違いに、葉月によりダメ押しが入ったことで大事になる。
    葉月は犯人ではあるが、問題は家の中にありました。

  • 実際の事件を題材に書かれた本。
    北九州の事件のノンフィクションを読んだ事があったので
    一段と生々しく感じた。

    定期的に発生する一家乗っ取りの事件。
    赤の他人にどうして一家一族乗っ取られるのか理解が出来ないけど
    この本を読むと、洗脳し、徐々に心をも浸食していく様が良くわかる。

    どの家庭にでもある、ほんの一瞬の隙間にうまく入り込み徐々に一家を乗っ取っていく様子はホラー。
    やどかり女の正体はいったい何なのか?最後まで一気に読めました。

  • なぜコレが読みたいと思ったのかは忘れたが、ずっと前から読みたくて図書館にて借りる。
    誰かのレビューだったのかなあ?
    忘れたがすごい読みたかったヤツ。
    コレはかなり面白かった。
    怖いというよりも、ずっと胸くそ悪い感じだった。
    前半中盤ともう読むのが止まらない感じで面白かったのだが、最後の方が急にあっけない感じで終わってしまったのがちょっと残念。
    たぶん葉月はひとりではなく代々継承されていくんだろうとは思っていたが、なるほどね。
    美海が次の葉月になるんじゃないかと思っていんだけどなあ。
    いやあ面白かった。

  • 洗脳って恐ろしいなぁ。北九州の事件をモチーフにしているらしいけれど、尼崎の事件を想起させるような。グロイ表現はあまりないので読んでて気持ち悪くなったりはしないけれど最後が少し消化不良である。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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