鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.03
  • (800)
  • (1040)
  • (527)
  • (68)
  • (21)
本棚登録 : 8663
感想 : 740
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018880

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ファンタジーという括りでは足りないほどに多彩なお話。上巻でこれだけぐいぐい読ませてくるので、下巻が楽しみ。

  • 図書館で50人待ちで読んだ上巻。
    久々の上橋菜穂子さんだったが、今回はスケールが大きすぎて上巻だけではこの先どんな風に展開していくのかまったく想像がつかない。
    登場人物が多すぎて、今までの上橋さんの作品のように一人の人物の心の動きみたいなのはあまり描かれていない。
    それでもやっぱり読ませる。
    この先どうなるのか早く下巻が読みたい。

  • ファンタジーはあまり得意ではないけれど、頑張って読み進むと勢いがついてきた感じ。なかなか面白く読みました。
    複雑な政治構造や支配関係や人間模様は大まかに理解しつつどんどん読んでいくに限ります。
    一応医療関係者の一人として、西洋医学と東洋医学の考え方の違い云々は、こういう感じでとらえられているのかな~と参考になりました。

  • 黒幕は誰??

  • ヴァンとホッサルの物語の幕開け。
    医療・政治・冒険の3つが織り込まれていてとても深い。登場人物や地方・民の名前が少し覚えづらいかなぁ。
    上に関しては多くの伏線が張られていて本当に物語の導入部分の印象。

  • 故郷を侵略者から守るため戦ったが、囚われ奴隷として岩塩鉱でこき使われていたヴァン。
    ある夜、犬の一群が岩塩鉱を襲い、致死率の高い病(黒狼病)を広げていく。辛うじて生き残ったのはヴァンと幼子ユナ。
    犬に噛まれ、自らの体の変化に戸惑いながらも岩塩鉱から逃げ出す。

    「逃亡囚」として、また「病から生還したもの」という価値により追われるヴァンは、森で一人の男を助け、その男の集落で暮らすことになる。

    高名な医師の祖父を持つホッサルは自らも医師として、黒狼病に立ち向かうべく新薬や予防薬を開発せんと日夜奮闘するが、いつしか政争にも巻き込まれていく。


    地名とか人物名とかがややこしいのに、さらに国々の微妙な力関係を理解して読むのが大変だった。
    宗教観、それによる生死観、価値観が違うと対立が生まれる構図が人間らしくて痛ましい。

  • 面白い。
    2つのはなしが同時進行しているで今後の二人の主人公のこれからが気になります。
    とくにヴァンの身体の中で起こっていることが、とても気になる。
    下巻につづく。

  • 久しぶりの上橋作品。今回の作品でその魅力を考えてみました。
    ・各集団(民族・部族・階級)の事情、個人の感情が共に描かれてしている。
    ・他者・他民族との接触による軋轢と衝突により生まれるものへの発見がある。
    ・目線が優しく人物を意地悪に描いていない。一面的な人物像で描く人は限定しており、多くの登場人物の背景を丁寧に伝えてくれている。

    どうでしょう。うなづいていただけますか。

  • んー。いつもの引きつける感じがなかった。
    二つの物語が同時進行で一緒に流れてるから上手く読めなかったのかもしれない。
    モチーフや世界観は相変わらずすごいんだけれども。
    ユナのしゃべり方もなんとなく受け入れることが出来ず……
    ホッサルが好き。

  • 世界観に入り込むまで少し時間がかかったけど、引き込まれてからは一気読み。
    得体の知れない病との闘いで緊張感漂う中、ユナの可愛らしさに心なごむ。
    死生観や宗教・民族の違い、いろいろな問題が絡み合い、これからヴァンとホッサル、2人の物語がどう交わっていくのか気になる。下巻へ。

  • 病気そのものを看るのか
    病気を持っている人を看るのか

    この頃身近に感じる「生きていくこと」

    幸せだった頃を取り戻すために
    他者が不幸になることがある
    気がつかなくなっていないか

  • 面白いけど、前置きが長い、くどい、無駄な話が多い。簡潔さあれば、ツボに入るのだけれどね。まあそれも含めて著者の特徴なんでしょうが、疲れました。

  • 人の名前や土地の名前 部族の名前 覚えていくのが たいへんでした!
    病気に対してどんなふうに、対処していくのか 興味深かったです。
    病気との戦い 政治的な戦い
    盛りだくさんで おもしろかった!(*^^*)
    下巻も楽しみです。

  • 岩塩鉱の奴隷に落とされたヴァン
    絶望的な状況の中、犬らに襲われ、謎の病で奴隷たちが死ぬ中、一人、生き残り
    幼い少女を拾い育て…
    生きる術、意味、国や氏族の複雑に絡む思惑…読み応えあり

  • 上巻を読み終えました。
    登場人物がとても魅力的です。
    風景の描写もステキで、頭のなかに美しい景色が広がります。
    気を付けないと人物の相関だとか、
    国の関係とか分からなくなってしまいそうで、相関図と地図が手元に欲しいなぁと思ったりします。

    ヴァン、ユナ、ホッサル…みんなこれからどうなってしまうのか。
    下巻も楽しみです♪

  • 感想は下巻で。

  • 期待通りの、壮大なファンタジー!…の皮をかぶった、ゴリゴリの医療サスペンスでした。華竜の宮思い出した。しかもクライマックスはバイオテロだよ…。だから上橋菜穂子は面白いんだよねー。って、個人的にニヤニヤしてるだけで、物語のテーマはそこじゃないんだけど。

    生き延びた者ヴァンと、医療者ホッサルの眼を通して、国と民の在り方、自然と人と病との共生を描いた物語。免疫学を国の有り様に例えたり、医療と称した宗教に物申したり。病の発生は生態系の変化が原因だし、なかなか含蓄が深くて、これやっぱり児童文学じゃないよね。

    人はなぜ病み、なぜ、病んでも治る者と治らぬ者がいるのか、ご存知であるのなら、教えていただきたい。そう問うヴァンの虚無に、ホッサルは解答を返せたのか。

    たしかに、病は神に似た顔をしている。いつ罹るのかも、なぜ罹るのかもわからず、助からぬ者と助かる者の境目も定かではない。己の手を遠く離れたなにかー神々の掌に描かれた運命のように見える。だか、だからといって、あきらめ、悄然と受け入れてよいものではなかろう。なぜなら、その中で、もがくことこそが、多分、生きる、ということだからだ。

    「おまえたちにしてやれなかったことを、縁もゆかりもない人々に、してやってもいいか」おまえたちがうなずいてくれたなら、未練も迷いも消えるだろうに。…死者は答えぬ。答えはいつも、我が身の内にある。

    未練を捨て病を連れ、原生林の奥へ消えたヴァン。でも、間違いなく、彼は虚無と添い遂げることはできないだろう。なぜなら、彼は身内を持ってしまったから。迷わずに彼を追う、若者や女たち。縁もゆかりも、もうここにあるのだ。

    分厚いのに2夜で一気読み。本屋大賞ノミネートだそうで、みんな読むといいよ!精霊シリーズも読んでみようかなあ。

  • ウイルス、感染症の話で、この世界の医療技術がどれくらいのものだか、なかなか想像がつかず、ウイルスというものの存在を知っていることに馴染めなかった。
    現実世界で、ウイルスや顕微鏡がどれくらいのころの発見、発明かというと……

    江戸時代が1600年からとすると、王政復古の大号令1868年まで、約400年間
    その始めと、終りごろ。
    ふうん、1600年はイギリスの東インド会社設立。植民地争奪戦のまっただ中のころ。大航海時代か……
    1789年にフランス革命
    1860年はアメリカでリンカーンが大統領になって、翌年からアメリカ南北戦争勃発
    こんな感じというと、だいぶ進んでますね。

    ------------------------------------------------------------
    オリンパス
    ttp://www.olympus.co.jp/jp/corc/history/micro/13year.cfm
    「顕微鏡は、1590年ごろ、オランダのザハリヤスヤンセンという眼鏡士によって発明されました。日本では、豊臣秀吉が全国統一を果たした時代です。
    イギリスのロバートフックは、1655年に対物レンズと接眼レンズで構成される「複式顕微鏡」を製作。1665年には、その顕微鏡を使ってさまざまな生物を観察した記録「顕微鏡図譜(Micrographia)」を発表しました。


    ウイルス
    ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9#.E6.AD.B4.E5.8F.B2
    微生物学の歴史は、1674年にオランダのレーウェンフックが顕微鏡観察によって細菌を見出したことに始まり、その後1860年にフランスのルイ・パスツールが生物学や醸造学における意義を、1876年にドイツのロベルト・コッホが医学における意義を明らかにしたことで大きく展開した。特にコッホが発見し提唱した「感染症が病原性細菌によって起きる」という考えが医学に与えた影響は大きく、それ以降、感染症の原因は寄生虫を除いて全て細菌によるものだと考えられていた。
    ------------------------------------------------------------

    国と人の関係がややこしくて、入り込みづらかった。
    支配者、被支配者、隣国、地方民の自治……しかしこれらは、感染症とあわせて、現代の問題にも通じる設定だった。

    人は、人としての単体ではなく、集合体であり、森であるという話。
    ウイルスや、身体の中に取り込んだ生きものによって人が動かされているのではないかという話。
    この話なんかは、あちこちで見聞きした、ウイルスが自分、または種族を生き残らせるために取る方法というものを思う。
    短期で爆発的に拡散させるなら、宿主を殺してもいい。
    長期でじわじわ拡散させるなら、宿主は生かしておく。
    NBOの「カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る ttp://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141110/273634/」の記事なんか、とてもいい例。

    作中では、個としてはもう子どもを産めないかも知れないというサヤ、ミラル
    自分の子は失っているヴァン
    その養い子ユナ
    子孫を増やせなければ、個として意味はないのか。
    いや、種族として意味はある。
    私たちは多様性を持つものなのだ。

    こういう言葉と、

    力を持ったがゆえに、望まなくても、種族を守るために力を振るうべく定められたとも解釈される「鹿の王」

    人は誰も役目を持つわけではないだろうけれど、そうありたいと思い。
    その義務や責任を果たしてこそ、社会に自分の居場所が築ける。
    仲間を持てる。
    集団生活を送るとはそういうこと、ということが、きつい言葉や悲しい運命や、あきらめや、やさしさで、書かれている。

    何かを生み育てなくても、何もなせなくても、役目だけが必要なわけではなく、ただ生きることを望んでも、まったくひとりでは生きることが難しい以上、ヴァンのように、迎え入れられていく、誰かに求められるということは、とてもあたたかい。

  • 2014年9月刊。ヴァンとホッサルを交互の章で書いてあるが、ホッサルの話が、冗長で読み辛かった。下巻まで読んだのでわかったが、ホッサルの話を別の章にしたのは失敗。魅力的な主人公のヴァンを主にして書くべきでした。鹿の王というタイトルもいただけない。ホッサルの章に目をつぶれば、謎あり、爽快感ありの楽しい話でした。

  • 上橋菜穂子ならではの、独特の世界。
    下巻にも期待。

全740件中 101 - 120件を表示

著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上橋菜穂子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×