鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.04
  • (561)
  • (670)
  • (383)
  • (40)
  • (8)
本棚登録 : 4463
レビュー : 582
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018897

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 上下ともに分厚いハードカバーなのに紙が薄く、ページ数が多かった.登場人物も多めで、独特の読み方をさせる固有名詞も多かったので、一時中断したときはコレ誰だっけ(汗と巻頭にある人物の名前一覧を見返した.でも、親切にルビがふってあったので、そこまで混乱せずに読むことができた.
    鹿の王というタイトルから「一番」とか「強い」とか「権力」ということばを想像していたけど、実際はそうではなくて、仲間が生き延びるために勇敢に戦う者、犠牲になるもののことをいうのだということに、深い感動を覚えた.
    いつの時代も為政者は己の国、民族、慾のために動くことが多い.そんな中、民族を超えて、利害を超えて、病に立ち向かおうとする人々の物語だった.
    いろんな奥深さが潜んでいる作品.時間が経ってもう一回読んだらまた違う感想が湧きあがってくるのかもしれない.
    再読したらまたここの感想を変更するかも.

  • 下巻、ぐんっと物語に引っ張られて一気読み。
    読み終えた後、満足感と寂しさが混じった気持ちにじんわり浸りました。

    ヴァンとホッサル、2人の主人公が出会い、語らうシーンが印象的でした。
    若き天才を魅了するヴァンにしびれます!

    上橋菜穂子作品に描かれた壮大な世界にぐわぁっと飲み込まれてしまっていたせいか、感じたことを上手く文章にできないことが悔しいです…ううう…。

    守りたいものができたとき、強くありたいと思うときに、ぐっと背中を押してくれる物語だと思います。
    ぜひ、もう一度読み返したいです。

  • 好きな終わり方だった。

    「還って行く者」
    ただそれだけの終わりだったら、言葉にしづらい嫌な読後感が残ることになっただろう。

    それだけではない終わりに、(あぁ〜読んでよかった)という読後感がある。

    それぞれの「想い」に突き動かされて「死」を選んでいく。
    「死」を見つめるからこそ生きる覚悟と希望が生まれていくのだなーと噛みしめる。

    面白かったです。

  • 一度読んだだけでは、物語が頭の中で消化しきれない!
    正直言って難解。難しい。
    守り人や奏者より大人向けな印象でした。
    もはやファンタジーなのか。

    簡単に言ってしまえば、動物と医術なんだけど。
    何だろうなー、この答えの出ないもどかしさみたいなの。

    謎の病が発生した岩塩鉱から生き延びたヴァンとユナ。
    その治療法を探す天才的医術師ホッサル。
    東乎瑠の移民に故郷を奪われるアカファの人々。
    それぞれの民と深くかかわる固有の動物。

    終わり方が何とも言えない。
    ヴァンとサエとユナで寄り添い合って生きていてほしい。

  • 病、医学、人、獣、そして生死。
    様々なことを考えさせられた。独角だったヴァンの変化がとても心に沁みた。

    その中でも、鹿の王のくだり、ヴァンのお父さんの言葉がとても心に残った。

  • 人の命の重さを問うた物語。
    設定は一昔前の中国周辺風。
    主人公ヴァンとホッサルの二次元の展開。
    黒幕が最後まで、取り落としにより全くわからない展開。
    病を武器に反乱を企むのと、それに巻き込まれながら阻止に向かう2人の主人公と取り巻き。人物も多く複雑な話で自分好みではあるが、児童文学にしては難しい。精霊のもりびとの方がわかりやすいけど、時間をかけて読むにはとてもいい。
    ユナもかわいい。サエも魅力的。
    なんだかんだで最後までゴンゴン読み進めてしまう上橋文学に脱帽です。

  • 多くの方が書いているように、一度では把握しきれない情報量がある。しかしその難解さが気にならないほど、特に後半にかけての物語の加速度、二人の主人公の物語が重なった時からの展開は息をつく暇もないものだった。
    物語の原動力は全てが愛に満ちていた。肉親への愛、家族への愛、故郷への愛。この本に悪役は登場しない。愛がどのような形で現れるかが違うだけ。
    愛が憎しみを生み、進むべき道を誤った、そのような者に対してすら作者は哀しい者だと言葉を当てた。
    「知らない」ことは恐怖を生み、その負の感情は人を呑み込む。対して「知る」ことは愛を生み、それもまた人を呑み込む大きな感情となる。この作品の中で大きな役割を果たした病素は特にその「未知性」によって多くの者の恐怖を掻き立てた。
    私たちは病気のように自分のことですらわからないことが山のようにある。他人のことなんて全くわからないと言っても過言ではないだろう。それを知ろうと愛そうともがくか、はたまた全てを神の意志(自分の理解の範疇を超えたもの)として受け入れ続けるか、道は二択。自分は知るためにもがきたい。

  • 生と死、とは。
    それぞれの民族の間で巡らされる想い。
    その想いが社会の均衡を揺るがしていく。
    物語の中に詰まっているたくさんの問いかけに、自分なりに考え、答えを探しながら読み終えた。
    …答えなどないのかもしれないけれども。
    2人の熱き正義を持った主人公の冒険物語。
    最後は、生まれも育ちも違う民族の皆がまるで家族の絆をもって、光ある森に消えていく。
    胸に熱く込み上げるものがありました。

    大人こそ読むべき「ファンタジー」だと思います。

  • 共に暮らしたトマたちと離れ、犬に噛まれたことによって起きた異変の使い途を教えられたヴァンと黒狼病とその背後の陰謀に巻き込まれるホッサル。
    病にかかるものとかからないものがいるのは、かかっても治るものと治らないものがいるのは何故か。全てではないとしても、一つの森のような、一つの国のような人の体がどうやって病と戦うのか、どうやって変わっていくのか。その説明だけでも面白かった。余韻の残るラストもよかった。ヴァンとその家族がまた幸せに暮らせるといい。

  • 近い将来起こりかねない、あるいはもうすでに闇社会では起こっているかもしれない病原菌を兵器とした戦争をファンタジーとして描いてしまうところがすごい。また多民族からなる国のあり方の難しさや、血のつながりの難しさまで描かれていて、手に収まる本の中で、私の中に収まりきれないほどの世界を作ってしまう著者の生み出す力と多岐にわたる知識には驚かされます。病を患うものと患わないものの間にある違いはなんなのか、命を繋ぐとはどういうことなのか、生と死とは。最近病を身近に感じている私にとっては、とても興味深いテーマでした。

    ひとつ、わからないことがあって。鹿の王は、悲しい才能なのか。鹿の王だと持ち上げる気持ちの裏にあるものがなんなのか。それを何度読んでも理解できないのは、まだまだ私も若い証拠でしょう。ヴァンくらいの年齢になったら、理解できるのかしら?

    ユナちゃんは、おちゃんに会えたかな。会えているといいな。

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

上橋菜穂子の作品

ツイートする