スタープレイヤー (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.57
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本棚登録 : 719
レビュー : 146
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019245

作品紹介・あらすじ

路上のくじ引きで一等賞を当て、異世界に飛ばされた斉藤夕月(34歳・無職)。そこで10の願いが叶えられる「スタープレイヤー」に選ばれ使途を考えるうち、夕月は自らの暗い欲望や、人の抱える祈りの深さや業を目の当たりにする。折しも、マキオと名乗るスタープレイヤーの男が訪ねてきて、国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていき…。RPG的興奮と神話世界を融合させた異世界ファンタジーの新シリーズ、堂々開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 買い物帰りに路上のくじ引きで一等賞を当て、異世界に飛ばされた34歳・無職の女性、斉藤夕月。
    『スタープレイヤー』という10の願いを叶える力を授かるが、元いた世界に戻るという願いだけは100日経たなければ叶わないという。
    夕月は仕方なく『スタープレイヤー』として異世界での生活を始めるが
    ある日、マキオと名乗るスタープレイヤーの男が訪ねてきて、国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていく…。
    ファンタジスト恒川光太郎が描く異世界ファンタジーの新シリーズ第一弾。


    いやぁ~面白い!
    先が気になって気になって
    僕にしては珍しく二日で一気読みするほどハマってしまった(笑)

    異世界に迷いこんで帰れなくなる夢を幼い頃から頻繁に見てきたせいで
    物語の前半はコワゴワ読んでたけど、
    湿り気のあるいつもの作風とは違い
    どこかカラッとした空気感に
    まさにTVゲームをするように物語世界にのめり込んでいた。

    この物語の何が面白いって、
    「10個の願いを叶えてくれる能力を持って
    RPGの世界に突如放り込まれたら
    人間はどう生き、何を考えるのか?」という
    ある意味ゲーマーたちの妄想や願望をしっかりとした世界観で構築し描いてみせたこと。

    冒険好きや異世界ものが好きな人にはたまらない小説だろう。

    しかしいくら設定が素晴らしくても
    新しい世界や国や法律を一から築き上げていくには
    かなりの筆力と物語る力がいる。
    それを軽々とやってのけ、
    読者に夢を見せ続ける恒川光太郎の凄さよ。

    さりげなく異世界へと誘い込み
    読む者を物語へと旅立たせる、
    選び抜かれた精妙な言葉と比類なき想像力。

    紙面から吹き上がる風さえ感じる、
    幻想的なのにリアリティのある異世界描写。

    異世界に紛れ込むとという「恐怖」を描きながら
    何度となくハマりたくなる甘い誘惑は
    デビューからひたすら異世界や幻想小説を描いてきた恒川光太郎だからこその職人技と言える。


    それにしても、もし、10個の願いが叶うとしたら、
    僕なら何を願うだろう。

    まずは住まいの確保。
    野球ができるほどの庭と菜園、
    プールも欲しい。
    ミニシアターのような映画鑑賞部屋と
    防音構造の音楽鑑賞部屋に
    一通りのビンテージ楽器が揃った音楽スタジオ。
    あとはトレーニングルームとBar付きの書斎かな~(笑)

    とまぁ、読めば間違いなく
    誰もがバカな妄想に浸れること請け合い(笑)
    (しかもこの10個の願いは、スターボードという「人には見えないキーボード」に文章で打って審査が通れば叶えてくれるのだけれど、一つの文章でいくつもの願いが叶う点が実にうまくできてる。つまり、「庭付き、家具付き、プール付き、犬付き、カップヌードル一年分付きの一戸建てが欲しい」と書けばこれで一つの願いとみなしてくれるのだ。上手く書けば、一つの願いで街全体を作り出すことも可能なのである)


    物語の前半は主人公の女性、夕月(ゆづき)も
    家を建て、誰もが考えるような個人的な欲望を叶えていく。
    しかし、この国に自分と同じ能力を持つスタープレイヤーの男性、マキオと出会ったことから
    物語は大きく動き出し、
    夕月は国家民族間の争いに巻き込まれていく。

    スタープレイヤーの存在を妬む者、その力を奪おうとする者との熾烈な争いの中、
    夕月の出した結論とは…

    2015年夏に第二弾が出るとのことなので続きが楽しみだし、
    稀代の物語作家、恒川光太郎のライフワークとなりそうなシリーズなので
    この機会に沢山の人に読まれ物語の力を感じて欲しいし、
    ファンタジーや幻想世界、RPGのゲームが好きなら
    間違いなく楽しめる小説だと思う。


    ★角川書店が制作した
    『スタープレイヤー あらすじ動画』↓
    https://www.youtube.com/watch?v=KQC9Gt5Akts&feature=youtube_gdata_player

  • 作者が自信を持って、自分の代表作になるという熱意が伝わる作品でした。

    斉藤夕月は34歳、無職。
    夕ご飯の買い物帰りに、突如見知らぬ人に籤を引かされ、
    スタープレイヤーになったと告げられ、異世界に飛ばされてしまう。
    地球とは別の世界。
    そこで、神のごとくその世界を支配するフルムメアから
    10の願いを叶えてもらえる
    というのだ。

    その10の願いの使い方など案内人の石松(プログラムであり人間じゃない)に
    説明を受けながら慎重に使い始める。
    まずは住むところ。
    そして自分の容姿。
    夕月には暗い過去があり、そこもすこしずつ明らかになっていく。
    その暗い過去につながる憎しみを晴らすための復讐。
    スタープレイヤーは最低100日は元の世界に帰れないが、
    ちょこっと贅沢な暮らしを堪能したら元の世界に帰るつもりだった夕月には
    使い切れない10個の星(願い事)をどうしようかと思っていた矢先、
    別のスタープレイヤーとの出会いがあった。
    さらに住む世界が広がる。

    そして未知の世界はさらに広がりを見せ、
    王国同士が戦っていて、
    夕月たちも巻き込まれて行く。


    壮大なスケールで描かれる冒険ファンタジーです。
    世界観が違っても正義は異世界だって変わらないし、
    戦争や政治をどのように願えば良くなるのか、
    主人公が考えて周り中の人達と幸せになるために生きる気力を
    取り戻して行く様子がとても良かった。
    スピード感もあってすいすいと読めました。
    RPGゲームのようなファンタジーですが、
    主人公の女性像がリアルで、普通の感覚の人だっていうことも
    共感しやすくて、入り込めたのですね。

    面白かった〜〜

    作者のインタビューを見たら、この一作で終わりではなく
    シリーズ化していくつもりらしい。
    シリーズ化されたら、次回作もぜひ読みたいな〜(*´∀`*)

  • むむむむ…。一風変わった恒川作品。映画化とかアニメ化とかカドカワと考えていそう…。

    内容が薄いというか…ライトで読みやすいんだけど、あの幽玄さとかそういうのがなかったので、イメチェンなのかな…と思った。実は「金色機械」も途中で挫折したので、最近恒川離れしている私?とか思っちゃいました。

    斉藤夕月、マキオ、ラナログ、ユウ(幽) 夕月は十の願い、星を使いきり、ヘブンに行く。下巻で全部の伏線の回収を願いつつ本を閉じました。

    サクサクと1.5日くらいで読めてしまいました。重要なことも含まれているとしたら、このスピードで読んで見逃してしまったりして…と思いながらも、それこそスターを使い風に乗って、すっ飛ぶように読んでしまいました(-_-;)シリーズ化するらしいですね。

  • 中途半端な読後感でした。

    ある時、地球から異世界に飛ばされてしまう。
    スタープレイヤーとして。
    スタープレイヤーは10個の願いを叶えることができる。
    主人公は、その力を使い…。

    スタープレイヤーが使うスターボードという設定が安っぽい。
    主人公の過去がドロドロしている割に、物語は英雄譚というかゲームの世界のように生死とリセットが繰り返される。ある意味、ドロドロが少ない。

    謎も回収されないものが多い。(もしか続編があるのか?)
    ミステリー的に展開するのか?と思ったらそうではない。
    読んだーという達成感がない…。

    面白くないわけではないが、中途半端な印象で読了。

  • 突然目の前に現れた男にくじを引かされ、フルムメアが支配する異界へ飛ばされた夕月。スタープレイヤーとして10の願いを叶える力を与えられたが、そこは様々な欲望と思惑が交錯する世界で…。

    これまでの恒川作品とは全く趣の異なる作風で、本当に同じ作者が書いたのかと思うほど。本作はそれなりに面白いのだが、これまでの「暗く冷たい異世界」を描いてきた恒川ワールドに惹かれてきた身にとってはちょっと複雑な心境。いつまでも同じ作風でいるわけにはいかないのはわかっているけれど。
    (B)

  • とても面白かった!!貴志祐介氏の「クリムゾンの迷宮」と似たようなテイストではあるものの、私にとっては完成度ははるかに高く感じた。中盤までは今までの恒川さんのホラーテイストかなと思っていたが、想像していた落ちが様々な登場人物のサブストーリーの結末として散らされていく中、本篇は想像しえなかった方向に連れて行かれた。まさに究極のゲーム。40近くにして、久しぶりに深夜までかけて一気読みしました。内容的には次作もあるのかなぁ。楽しみ!!

  • 率直なところ、表紙を見て違和感があった通り、新境地というよりも中途半端な作品だった。
    30代の女性が、突然くじ引きで大当たりしたら異世界に飛ばされ、10の願いを叶えてくれるという始まり。ユニークな設定はおもしろいけれど、離婚歴のある傷ついた女性を主人公にしたのがそもそも誤りなのでは…。RPG風のテンポを狙ったのか、主人公が不自然に明るくなったり、でも過去は取って付けたように不幸があるなど、全体的にちぐはぐしている。
    明るい作風にしたかったのなら、いっそのこと主人公は少年か少女、10代の若者にすればよかったんじゃないかしら。宮部みゆきの『ブレイブストーリー』の向こうをはって、成長の物語にするとか…。

    でも、私としては、主人公はそのままに、作風はいつものような独特の影と重みのある、余韻の味わえるものを読んでみたかった。作者にしか書けない、「夜市」のような哀しさと影のある異世界を、大人のための重厚なファンタジーをしみじみと楽しみたかったな。

  • ある日突然異世界に呼ばれて悪戦苦闘する少年少女のお話はネット小説黎明期から人気のあるジャンルだったし、私もその手の小説は好んで読み散らかしてきたけれども、恒川さんが書いたらどうなるんだろうと期待いっぱいに読み始めました。が、正直読後の感想が難しい・・・。

    なんでも叶う3つの願いならぬ《ある程度具体性のある願いなら》10個まで叶えられる妙に現実的な設定や、元の世界に戻れるか(戻りたいか)について序盤のうちに整理しておくところはさすがプロというか、なんでもござれなSFファンタジー世界の中にも一本筋を通していて気持ちよい。

    ただ、恒川さんが描こうとしている物語の全景が掴めないというか、未回収の伏線が多く登場人物の魅力がいまいち伝わってこないまま1巻が終わってしまった。おそらく、シリーズを読み進めていくとこのもやもやした期待感が晴れるんだと思いたい。

  • 10個願いが叶う世界なんてすごく贅沢。でもやっぱり争いはおきる。争わないなんて無理なのかな。
    2016/1/30

  • おおぅ、恒川さんや~っと、手にとる。
    表紙からして、ちょっとファンタジーやー。

    お話が最終的にどこに向かうのか、結構ギリギリまで、
    ドキドキしながら読んだ。

    なんかいろいろ人生つまずいちゃって、はあってな感じの女性が、突如「あたりました!」で異世界に。
    (白い変な人、なんか銀魂の男女入れ替え話にでてきた変な集団の人みたいだ。)

    スタープレイヤー。
    10個の願いを叶える力を与えられ、彼女は異世界でどう生きるのか。
    まず10個とはいいつつも、うまーく申請できれば、
    一度にいくつもの願いを叶えることができる、という設定が面白い。
    何をしたいのか、どうしたいのか、具体的に、こと細かく、そーゆー願いの仕方って、なかなかないよなあっと。
    町ひとつ作り上げた上に、死んだ人間も生き返らせちゃったり。なかなか大胆。

    自らの過去におこったことの真実が結構意外とゆーか、
    ほんっとくっだらない奴がでてきて、驚いた。
    もっと、シリアス(?)な展開になるかと思いきや、
    ほんっとに、どーしよーもない事実。
    さらに、マキオさんとの出会いで、
    帰るという選択肢はないのだ、ということにまたびっくり。主人公がコピーである、というこれまたなかなかな設定。
    その後は結構穏やかな時間。
    だが、恒川さんだし、このままのほほんファンタジーで
    終わるわけないよなあっとこっから、どーゆー展開になるのか、思わずラストをちら見したいのを我慢しつつじりじりしながら読みつづける。
    そして、なにやら不穏な人物登場。
    ぎゃーきたーっと思う。
    でも、まあ、不穏な展開ではあったが、
    結構あっさり解決し、ラストも大円団的でよかったよかった、と読後感よし。

    あーおもしろかった♪

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プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2018年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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