翼に息吹を (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2014年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041019559

作品紹介・あらすじ

1945年知覧特攻基地。死地に赴く若き特攻隊員の戦闘機をひたむきに整備する担当将校がいた。ある日異常が発生したと万全のはずの一機が戻ってきて……。戦後世代だからこそ描き得た切実な戦争青春文学。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争を整備士側から描いた物語り。搭乗員とは違った視線で戦争を捉えていて、特攻という行為に関わる苦悩が描かれていた。国のために特攻していった人達のことを想うと、戦後軽々しくその是非を語ることはできなかったのだろう、と感じた。

  • P329

  • 終戦間際の知覧特攻基地で、特攻隊員の戦闘機の整備を行う整備兵の物語。

    やるせなさと勇気を感じるも…

    熊谷達也の作品としてはハズレか。

  • 特攻機の整備をする整備兵の心の葛藤を描いたちょっと重い小説。自分が機体の整備を万全に行うと若い特攻兵を死に導き、整備不良があればそれは無駄な死になる。
    戦争も終わりに近づき、自分の行いが正しかったのか、間違ってたのかを未来の人に託すために、特攻で出撃して行った人と機体の詳しい記録を残そうとする。
    答えは無い、自分のしたことを説明すれば、それは全て言い訳となってしまうからだ。どうする事も出来ない。ただそれを背負って生きて行くだけなんだ。

  • 熊谷さんは私にとって当たり外れの多い作家さんなのですが、これは当たりでした。
    大戦末期の知覧を描いた作品。そう、特攻隊です。
    ただ特攻隊員では無く整備士を主人公に置いたところが目新しく。
    特攻隊員のために昼夜を忘れて修理・整備を行う一方で、それが結局は多くの若者を死地に送り込むことに矛盾を感じて行く主人公。その周りに次々に現れる様々なタイプの特攻隊員たち。
    特攻隊員の心情を描くのは、どうしても無理がある感じがするのですが、それを送り出す整備士ならば忖度できるような気がします。それが、この作品がリアリティを感じさせるところかもしれません。
    ISの自爆テロという狂気の沙汰を不思議な気持ちでニュースで見る昨今ですが、特攻も同じようなものです。そのした狂気が70年前の日本でも起きていた事を不思議に思います。
    熊谷さんというと私の頭には「邂逅の森」などの動物ものが浮かぶのですが、この作品も読み応えがあり、どこかノンフィクション的な感じのする熊谷作品が私の好みなのかもしれません。

  • 記録

  • 実際に戦地に向かうわけではない整備兵の、
    心の葛藤が痛いほどで、
    辛くて、悲しくて、苦しいくらいだった。
    でも、実際はこんなもんじゃなかっただろう、きっと。
    教科書で習うだけの、有名な歴史や史実だけじゃなくて、
    こういうことがあった、
    こういう人がいたってことを、
    忘れてはいけないと思うし、
    だからこそ、少しでも知りたいと思う。

  •  特攻隊の物語なのに,いや特攻隊のものだからこそ,特攻機の整備員が主人公。

     「私にはこの戦争を語る資格はない。若い命を自らの手で死地に送り続けた私が何かを,語ればそれは自分に対する弁明にしかならない」。主人公がラストに語る言葉。これは重い。

     

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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