バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達 (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA (2015年3月25日発売)
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本棚登録 : 849
感想 : 78
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019689

作品紹介・あらすじ

熊本・天草において、真夏日に大雪が観測され、空に巨大な十字架が浮かび上がった。平賀とロベルトは奇跡調査を開始するが、隠れキリシタンの信仰が色濃く残る天草では、とある奇妙な怪談が噂されていて……!?

感想・レビュー・書評

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  • 物凄くタイムリーなタイミングで読み始めた一冊。たまたま九州への出張があり、ついでに九州に住む友人と遊ぶ約束を取り付け、その友人が過去にバチカン奇跡調査官を紹介してくれた人物だったため「会うから続き読んどこ」とキャリーの中に放り込んでいたのである。ページ開いたら天草四郎が目に飛び込んできてえらいびっくりした。偶然に軽く動揺する。
    そんな今回の奇跡調査、舞台は日本。平賀は日系人ではあるが、ほとほと日本が似合わないのが面白い。ロベルトが日本語が分からないため、通訳などコミュニケーション担当として奮闘する平賀も、なかなか新鮮だ。
    これまで海外が舞台で、かつキリスト教がベースゆえに、一種のファンタジーと捉えて摂取してきたシリーズが現代日本の地を踏む。少し自分の頭がバグった感触は否定できない。畳敷きの部屋にロベルトが宿泊するの、すっごい違和感。シリーズにおける建築物の描写がとても好きで日本の建築はどうかな……と一瞬不安になったものの、それは杞憂に終わった。神島の地下教会、神秘的で心が洗われる思いがした。
    言葉の壁は謎解きにおいて良い感じのハードルになっていたなあ。陰謀を働いた彼らはどのような結末を辿ったのだろうか。また神道儀式?に2人が参加したのには驚いた。キリスト教主眼である物語のベースは揺るがないと思っていたので。それと合わせて、平賀とロベルトの考え方や意識が柔軟なのも好ましい。侵略の歴史の解釈と、感情、そして未来への目線。副題にもなっている「原罪なき使徒」の許容。少しきれいごと過ぎるきらいもあるけれど、この2人の行く先は見届けて行きたいな、と改めて強く思ったのだった。

  • 舞台が日本だったり、天草四郎を知ってたり、物語の背景にある文化や歴史の知識が薄らでもあったので物語がスムーズに入ってきた。

    それにしてもあの拷問器具はマジ怖い。
    なんであんなエグいもん思いつくんだろ

    2023.3.25
    48

  • 日本、島原ということで
    流石に今回はたるい感じかなぁと思ってましたが
    奇跡というより、キリスト教の理念のようなものを
    とても綺麗なミステリーで説明頂いた感じでした
    なんか、読み終わった時、物凄く清々しい気持ちに
    今までとは違った感動と満足感を味わいました
    まぁ、これまでのバチ奇あってのギャップ萌ですけどね。

  • 妹より。

    一気読み。日本が舞台なはずなのに、何このアジア感!何となく自分の偏見を知れた気がする(笑)。
    全ての事象には、ちゃんと理由があるんだね。本当に納得。そして神秘的な神儀に、なんだか全部持っていかれて気がするよ。

  • バチカン奇跡調査官シリーズ第9弾。
    今回の舞台は日本です!
    二つの奇跡の申請は、フランシスコ会とイエズス会から届き
    現法王はイエズス会であることから、厳正な審査を行うため、
    別の会派の調査が妥当であり平賀が日系ってことが決め手になった。
    いつものことながら蘊蓄がたくさんありました。
    これを読まなければ触れることのなかった歴史。
    神事に奇跡・・・
    本当に現実と幻想の境目がわからなくなる。
    最後の粋な計らいに、感動しました。
    っていうか実話だったのが驚きです。

  • 舞台が日本なので、これまでよりもはるかに読みやすい。何となく身近に感じられるので、読んでいて気持ちよい。キリスト教という視点から見た歴史は分からないでもないが、どうも歴史認識が中途半端な気もした。隠れキリシタンや日本神話に対する解釈についてはフィクションの部分もあるので、そういう風に持って行くやり方もあるんだなぁと言う感じ。

  • 2015年6月29日読了

    前回に引き続き、純粋な奇跡調査で安心して読めた。
    舞台が日本・天草で隠れキリシタンというのは非常に魅力的であり、様々な話でもモチーフにされるあの暗号がバチカン式に解明されていくのがすごく良かった。
    隠れキリシタンの信仰の純粋さに胸打たれるロベルトの姿が印象的。信仰という存在の確かさみたいなものを目の当たりにすると、ロベルトは本当にまっすぐに受け止めて羨む姿が素敵。こうやって徐々に彼らしい信仰を見つけていって欲しいな。ロベルトは割と受け入れるという姿勢が平賀以上にあるんじゃないかと思う。
    久々に平賀の天然の危うい部分が出て、ロベルトが心配するという構図があって可愛らしい。あと、普段は全てロベルトが先導するのに対し、今回は言葉の問題の為に平賀が「私も出来るんですよ!」と何だか可愛らしいえばりんぼっぽさを出していてめちゃ可愛いかった。
    言葉通じない割にはロベルト大活躍だし、円盤の謎をすいすい解いていってしまうには感服。人質にしてはいけない人材だよね、ロベルトは。

    途中に出てきた日本神話におけるお話は非常に興味深く、それが現在に繋がっているのがなんとも日本的。いつも各国の土着の思想などが用いられていたりもしたので、今回はそういう部分になるのか…と思った。

    今回の主犯に当たる彼らは本当に信仰の為にあんなことをしたのか、それとも背後に影があるのか…妙に勘繰ってしまうところではある。行方が知れないのが怖い。
    そして、安東神父がロベルトとの対話で気持ちを揺さぶられ、最後に気持ちの変化があったのならば、それはすごく良かったなって思う。

  • 舞台が初の日本ということで、どんな展開になるかワクワクしながら読みましたが、とても面白かったです!
    私は日本集落の閉鎖した空間で展開される物語が大好きなもので、隠れキリシタンの話などは楽しく読めました。

    いつもは交渉役・通訳役のロベルトが平賀に通訳されないと駄目だったり、日本文化に戸惑っている姿も新鮮でした。脇役たちもいい味を出しています。特に平賀が「Please」と言う(言わされる)場面は笑いが止まりませんでした。

    終盤に出てきて美味しいところをかっさらっていくジュリア司祭が出てこなかったのは、驚きでした。流石にそこまで暗躍してませんよね…(笑)

    トリックや奇跡の真相は相変わらず難しくて、なかなか理解できませんが、ロベルト、平賀、シン博士のやり取りを見ているだけで楽しかったです。

    今年は新作ラッシュで嬉しい限りです。次巻も楽しみ。

  • シリーズ第9弾。今回は日本・天草が舞台です。
    奇跡調査の方はこじんまりとしてましたがキリスト教に加え、日本独自に変化していった隠れキリシタンや日本の民俗学的な部分など歴史的・オカルト的要素が満載で非常に興味深かったです。裏神事にロベルト達も参加しちゃうってのも好きだなあ。しかし今回ロベルトは日本は詳しくない&日本語を未習得で平賀ががんばっていて、いつもとちょっと違う感じが楽しかったです。
    帯にシリーズ刊行の予定が載っていて嬉しい限りです。次は短編集ですね。楽しみにしてます!

  • Welcome to Japan なバチ官十巻目。日本の有名なキリシタンと言えば天草四郎ってことで、平賀氏とロベルトさん、熊本上陸。何時もは面倒見られるばっかりな平賀氏が日本語でのコミュニケーション役でちょっと頑張ったり。そして田舎の大量おもてなし料理(毎食)に涙目な二人の微笑ましいエピソードとか。本題の落とし所含めて、いい感じに纏まった日本編でした。しかしなんだ、15年度のバチ官シリーズはやる気満々のようですね。読みが追い付くか心配です。

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著者プロフィール

大阪府出身。1998年『陀吉尼の紡ぐ糸』でデビュー。ミステリーや伝奇など、多岐にわたるジャンルで活躍する。「バチカン奇跡調査官」シリーズは累計140万部を突破するヒットとなり、アニメ化もされた。他の著書に「朱雀十五」シリーズ、「陰陽師 鬼一法眼」シリーズ、『太古の血脈』など多数。

「2022年 『バチカン奇跡調査官 秘密の花園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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