ののはな通信

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1150
レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019801

作品紹介・あらすじ

横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。
それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。
不器用にはじまった、密やかな恋。
けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。

運命の恋を経て、少女たちは大人になる。
女子の生き方を描いた傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 20年。生まれてすぐの赤ちゃんが成人式を迎えるまでの時間。想像するととても長い時間だ。
    二人の少女が出会い、愛し合い、別れ、そして再び出会う。その時間の濃密さを思う。
    過剰に書き込みたくなるような二人の関係を、手紙とメールの文面だけで追う。地の文がないから余計に想像が膨らむ。手紙が途絶えている間の、二人の思いが自分の中で積み重なっていく。
    女同士だからこその愛し合い方。そこには単なる個人と個人の「愛」では測れない大きく深い何かがある。
    女子高ゆえの甘やかな関係、などという軽やかなものではない。その「愛」を知ったからこそのその後の二人の人生の変遷。別れたからこそ続く愛もあるのだ、としみじみ思う。
    やりとりされる年月日を見つつ最悪の終わりを想像してしまったが、そんな予想をはるかに陵駕した大きな物語へとつながる。物語は終わらない。愛に終わりはない。

  • 運命の恋は男女がするもの…とは限らない。
    たとえそれが女の子同士でも運命の恋はある。
    ののとはなが文通で交わす蜜月を読者は盗み見する形で話は進む。
    他人のしかもなんとも親密な手紙をこっそり盗み見すると言う背徳感。
    いけないことだと分かっていながらも、内容が親密な二人の恋の語り合いなだけに余計気になってしまい読む手が止まらない。
    この人と別れたらもう残りの人生は死んでるも同じだと全力で言い切れる恋が出来ると言うのは、誰もが出来る経験ではないだけに羨ましい気もする。
    なんだか尊い愛の形を見た気がして、そっと最後は本を閉じた。

  • ののとはなの手紙やメールのやりとりで構成されている。横浜の高校時代から40過ぎまで、中断されている時があるもののの、二人のやりとりは続いていた。若い時には若い時なりの感情・表現で、歳を追うごとに、年齢なりの表現になるとともに二人の人間としての成長、熟成も感じられる。簡単に親友というだけでなく、本当に運命的なベストマッチングなのでしょう。愛情の在り方や仕事のことなど、刺激しあって、また一人一人成長して…、でも二人の信頼は深まっていって、素敵に書かれていました。二人の愛情の形が最後はああなってても私は満足でした。高校生の話題、教育、将来、仕事について、過去の愛情(遺跡)の問題だけでなく、争いや地震についてなど幅広く盛りだくさんでした。それなりの年齢の読者の方は、似たような感情だわ、と思うとこあったのではないでしょうか(私の拙い表現ではこの内容はうまく書けない)。大河だ、しをんさんもこういう内容書くのねと、これからもしをんさん作品がより楽しみです、今までの面白い内容ももちろん好きですが。

  • どうして人は、友情とか恋愛とか男とか女とか区別したがるのだろう。
    そんな陳腐な枠で二人の関係が定まることはないのに。

    「のの」と「はな」二人の女性は高校時代に知り合い、その後の長い年月を幾度の別れを経験しながらも共に寄り添う。
    例え側にいなくても二人の気持ちは常に一つ。
    この二人の関係を一つの言葉で決めつけることなんてできない。
    人と人との付き合い方も多様性を求められる時代となった。
    善悪を越えて相手の存在そのものを許し、相手をまるごと受け止める。
    そんな尊い想いに「友」だの「愛」だのと名前を勝手に付けられないことを、この物語を通して知った。

  • かわいらしい表紙にときめきながら「今回は百合かぁ」とほのぼの読んでいたのは、はじめだけ。最後はむせび泣き、のたうち回って本を閉じた。誇張じゃなく実際、人に見せられないくらい泣いてしまいました。
    「泣ける」とか褒め言葉じゃないとは思うんだけど、文章の力にそれだけ圧倒されたということ。

    女性の、ひいては人と人との分断、あらゆる理不尽と暴力に直面したときの個人のちっぽけさ、やるせなさ。そういったものが、決して大げさではなく身近な手触りで描かれている。三浦しをんさんは本当にすごい。
    「震えるほどの恋の記憶」(帯より)は、ののとはなにとっては神様の代わりになる。信仰だ。「真実」だの「愛」だの、ただ言葉にするとどこか薄っぺらいのに、彼女たちの手紙を読み終えると、その尊さが胸に迫る。
    絶望の中にも、かすかな希望があり、日々の暮らしがある。信じるものさえあれば、私たちはきっと生きていける。

  • 往復書簡。
    はなは結局、どうしているんだろう。
    ののが強いように思えたけど、こじらせていた。本当に強いのははなだった気がする。

  • お嬢様高校時代から二十数年間に亘る、ののとはな、二人の女性の往復書簡形式による大河小説。クラスでの回覧メモのこともあれば速達ハガキのこともあり、現代ではメール中心になるが、そんな中で二人の友情もありそれ以上の関係だったり以下の関係のことも……。世間の情勢も含め、時の流れを強く感じさせる作品であった。

  • 好きな作家の一人、三浦しをんさんだけど…。
    このお話は好きになれなかった。というか、最後まで心を寄り添わせることが出来なかった。
    ののとはな、二人の感情が理解できず(怖い!)何度か途中で読むのを止めてしまいそうになりながら、やはり結末は知りたくて、さらっと読み流してどうにか読了。
    このお話を通して、作家は何を伝えたかったのか?外交官夫人の生活、ゾンダの国際情勢、そして東日本大震災まで出てきたけれど、これって必要?…主題は何だったのか。

  • ミッション系の女子校に通う野々原茜と、牧田はなの往復書簡。
    少女たちの不器用でひたむきな想いがいっぱいの手紙はあまりに芳しく、思わずむせてしまいそうだった。授業中にまわすメモの可愛らしさ。
    最初はそうしたやりとりも関係性も、乙女たちの一過性の病のようなものだと思いながら微笑ましく読んでいたのですが、ある秘密がバレて決別をえらぶところからはまるで別の物語になったかのようでした。

    まだ高校生だったののが書いた言葉「たとえ同性しかこの世にいなかったとしても、ひとは恋をするし欲望を感じるようにできている。」結局これがすべてなのだろう。
    ののは、はなと出会ってひとになったのだ。性別の入り込む余地はなく、恋や友情とは言い表せないほどの必然的な強烈さで、ひとはだれかを好きになる生き物なのだ。

    たとえ会えなくても、時間がいくら過ぎようとも、そのだれかを愛し愛された記憶があれば生きていける。抗えない日常をくりかえし生きながら、思い出し、想像しつづける。ひとが手にすることのできる最もうつくしいものは、そうしたダイヤモンドのような記憶なのだ。記憶を信じて、ひとはそれぞれの人生を一人で生きていく。

  • 三浦しをんさんの作品はずっと読み続けてきているが、この一作には「渾身の」力が込められているなと感じた。
    作品にとって長年書きたかったテーマに取り組んでいるんだなと勝手に思ってしまったのだが、中身が詰まっている分、読み通すのに時間がかかった。充実感があり、ひとつ乗り越えられたのでは。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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