ののはな通信

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1881
レビュー : 256
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019801

作品紹介・あらすじ

横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。
それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。
不器用にはじまった、密やかな恋。
けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。

運命の恋を経て、少女たちは大人になる。
女子の生き方を描いた傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 20年。生まれてすぐの赤ちゃんが成人式を迎えるまでの時間。想像するととても長い時間だ。
    二人の少女が出会い、愛し合い、別れ、そして再び出会う。その時間の濃密さを思う。
    過剰に書き込みたくなるような二人の関係を、手紙とメールの文面だけで追う。地の文がないから余計に想像が膨らむ。手紙が途絶えている間の、二人の思いが自分の中で積み重なっていく。
    女同士だからこその愛し合い方。そこには単なる個人と個人の「愛」では測れない大きく深い何かがある。
    女子高ゆえの甘やかな関係、などという軽やかなものではない。その「愛」を知ったからこそのその後の二人の人生の変遷。別れたからこそ続く愛もあるのだ、としみじみ思う。
    やりとりされる年月日を見つつ最悪の終わりを想像してしまったが、そんな予想をはるかに陵駕した大きな物語へとつながる。物語は終わらない。愛に終わりはない。

  • 運命の恋は男女がするもの…とは限らない。
    たとえそれが女の子同士でも運命の恋はある。
    ののとはなが文通で交わす蜜月を読者は盗み見する形で話は進む。
    他人のしかもなんとも親密な手紙をこっそり盗み見すると言う背徳感。
    いけないことだと分かっていながらも、内容が親密な二人の恋の語り合いなだけに余計気になってしまい読む手が止まらない。
    この人と別れたらもう残りの人生は死んでるも同じだと全力で言い切れる恋が出来ると言うのは、誰もが出来る経験ではないだけに羨ましい気もする。
    なんだか尊い愛の形を見た気がして、そっと最後は本を閉じた。

  •  わかる。
     高校生のときに恋をした人から言ってもらった言葉が、もう何十年もたつのに、今でも私を支え続けてるから。
     理屈じゃなくて。
     もうぐちゃぐちゃになって崩壊しそうなときとか、足元が抜け落ちて闇に閉ざされたときとか、その言葉が何度も私に背骨をくれる。
     彼が掴んで取り出してみせてくれたその私は、自分の中にある一番光る私なのだと無条件に信じられるから、その言葉を裏切る自分にはなりたくない。
     彼に恋をし続けてるわけじゃない。
     会っているわけでもない。
     連絡さえしていない。
     でも、かけがえのない存在なんだよ。
     あんなふうに純粋に熱い気持ちは、高校生のあのときだったからなのだと思う。
     生き方の根っこにかかわるあんな気持ちに、どんな言葉をつければよいのかわからないけど、ののはな通信の二人の気持ちも、きっとそういうものなんだと思う。
     
     読んでよかった。

  • 横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。
    「KADOKAWA」内容紹介より

    ある意味とても濃密、さまざまな感情の中に崇高を見た気がする.
    女性同士の恋愛の話なんだけれども、心から、魂からつながっていると思えた人がたまたま同性だったということなんだと思う.
    ただ、女性同士だからこその関係性がそこにはあると思う.自身と相手の、この感情の分析は女性ならではの感じがするし男女なら破綻しそうなこの関係は女性同士だからこそ保たれたんじゃないかと思う.あ、男性同士でも保たれるかもな.同性同士だからこそ保たれる関係性なのかな.
    高校生の頃から話が始まって40代に至るまで、最初にみつけたキラキラと光る「愛」という原石は、さまざまな経験や感情によって汚れたけれども途中の放置を経て、再び磨かれ輝きを放つ.そんな感じ.
    本物と思うことができる「愛」と出会えることは幸運なことだと思う.どれだけ月日が経ったとしても心の奥底に持ち続けることができる.そんなことを思い出させてくれた内容.

  • どうして人は、友情とか恋愛とか男とか女とか区別したがるのだろう。
    そんな陳腐な枠で二人の関係が定まることはないのに。

    「のの」と「はな」二人の女性は高校時代に知り合い、その後の長い年月を幾度の別れを経験しながらも共に寄り添う。
    例え側にいなくても二人の気持ちは常に一つ。
    この二人の関係を一つの言葉で決めつけることなんてできない。
    人と人との付き合い方も多様性を求められる時代となった。
    善悪を越えて相手の存在そのものを許し、相手をまるごと受け止める。
    そんな尊い想いに「友」だの「愛」だのと名前を勝手に付けられないことを、この物語を通して知った。

  • ののとはなの手紙やメールのやりとりで構成されている。横浜の高校時代から40過ぎまで、中断されている時があるもののの、二人のやりとりは続いていた。若い時には若い時なりの感情・表現で、歳を追うごとに、年齢なりの表現になるとともに二人の人間としての成長、熟成も感じられる。簡単に親友というだけでなく、本当に運命的なベストマッチングなのでしょう。愛情の在り方や仕事のことなど、刺激しあって、また一人一人成長して…、でも二人の信頼は深まっていって、素敵に書かれていました。二人の愛情の形が最後はああなってても私は満足でした。高校生の話題、教育、将来、仕事について、過去の愛情(遺跡)の問題だけでなく、争いや地震についてなど幅広く盛りだくさんでした。それなりの年齢の読者の方は、似たような感情だわ、と思うとこあったのではないでしょうか(私の拙い表現ではこの内容はうまく書けない)。大河だ、しをんさんもこういう内容書くのねと、これからもしをんさん作品がより楽しみです、今までの面白い内容ももちろん好きですが。

  • 横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
    庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
    外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
    二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
    しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。
    それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。
    不器用にはじまった、密やかな恋。
    けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。


    ののとはなの女子高生らしい手紙のやりとりから
    物語は始まる。
    全編、書簡形式の物語でした。

    1984年グリコ森永事件があった年にののとはなは、
    ミッション系の女子高でであう。
    仲良しの女の子と授業中もメモを回してやりとりをする。
    あぁ、あったなぁって懐かしく思った。
    でも女子高生らしい幼い手紙のやりとりや
    友情が恋愛に変化し、それが裏切りから嫉妬、別離…。
    その辺りは余り入り込めずに読んでいましたが…

  • かわいらしい表紙にときめきながら「今回は百合かぁ」とほのぼの読んでいたのは、はじめだけ。最後はむせび泣き、のたうち回って本を閉じた。誇張じゃなく実際、人に見せられないくらい泣いてしまいました。
    「泣ける」とか褒め言葉じゃないとは思うんだけど、文章の力にそれだけ圧倒されたということ。

    女性の、ひいては人と人との分断、あらゆる理不尽と暴力に直面したときの個人のちっぽけさ、やるせなさ。そういったものが、決して大げさではなく身近な手触りで描かれている。三浦しをんさんは本当にすごい。
    「震えるほどの恋の記憶」(帯より)は、ののとはなにとっては神様の代わりになる。信仰だ。「真実」だの「愛」だの、ただ言葉にするとどこか薄っぺらいのに、彼女たちの手紙を読み終えると、その尊さが胸に迫る。
    絶望の中にも、かすかな希望があり、日々の暮らしがある。信じるものさえあれば、私たちはきっと生きていける。

  • ミッション系の女子高に通う、ののとはな。
    その2人の交流を、手紙やメールでのやり取りだけで構成されてる。

    一章は、高校生時代。ここでの2人の仲がこれから先の人生を大きく変える運命の時代。

    二章は大学生になってから。さよならをしたものの、でもずっと気持ちは通じ合う2人。

    三章は40代を過ぎてから。そして4章・・・

    とにかく友情話だけでは括れない、恋物語なのだ。
    それがとてつもなく壮大に描かれている。

    これはフランスあたりで映画になったら美しいものが出来そうな気がする。

  • ものすごく熱い往復書簡。読んでいて自分がののになったりはなになったりして、相手からの手紙を受け取ったような気分になった。
    私も高校生のときは授業中に手紙を書いて回したり、毎日会っているのに手紙書いたり(さすがに郵送はしなかったけど)していたなあ。今はもうラインばかりで長い文章を書くことがなくなってしまった。離れていた時間があったとは言え、お互いが相手に長い文章を書きたくなる気持ちになって、長い文章を書いているという情熱がすごく伝わってきた。ののとはなの熱に浮かされた気分。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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