昨日みた夢 口入れ屋おふく

  • KADOKAWA (2014年7月30日発売)
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本棚登録 : 181
感想 : 27
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  • 本 ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019894

作品紹介・あらすじ

逐電した夫への未練を断ち切れず、実家の口入れ屋「きまり屋」に出戻ったおふく。働きもので気立てのよいおふくは、駆り出される奉公先で様々な人生模様を目の当たりにし、一筋縄ではいかない人の世を学んでいく――

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の女中紹介所「口入れ屋」。出戻りのおふくが江戸のちょっと問題アリな家に短期奉公にいくというお話。捨てられた夫に未練を抱き、なかなか再婚できないが...といったサイドストーリーもあり。読みやすくて面白かったです。
    キャラ設定が独特。双子の父と叔父が営む口入れ屋。従兄弟の次男は弟みたいに仲が良い。長男不在。けっこう込み入って父と叔父を双子にする必要はあったのかわからんけど。印象には残ったかな。おふくが「食いしん坊キャラ」というのも読んでいて楽しいよね。

    おふくが箸屋さんに短期奉公した時のエピソード。割り箸って江戸時代からあったのか。割っていない箸はだれも使っていない証明だから飲食店の客も安心できるということで人気になったんだって。

  • (15-32) おふくは経営者一家の一人だが大店ではないのでせっせと働かなくてはいけないが、家族にとても愛されている。愛されてるけど甘やかされてはいないことに好感が持てた。しっかり者なのに敗れた結婚をいつまでも引きずっていることに最初のうちいらいらしたが、この小説はおふくの成長物語なのだからしかたない。
    連作短編で一章ごとに少しずつおふくが変わっていくのが良かった。題名になっている最後の章のかよとおふく、かっこよくて素敵だった。

  • 口入れ屋(今の派遣会社だと思われる)のきまり屋のおふく。失踪した元夫への未練を引きずりながらも、女中の不足するお店に短期の手伝いにいく。
    買い出しの支払いをしてくれなかったり、盲目の障害を言い訳に理不尽な要求をしてきたり、奥さまを女中として扱い蔑んだり。はたまた器量よしではないが、お金のない病人をタダで治療する医師に恋心を抱いたり。奉公先は様々でいろんな人がいる。不当な扱いも沢山受けるが、おふくは決して負けてない。弱い立場の人に出会うとかばって助ける。また、奉公先の粗末な食事に耐えたあと、実家で叔母の手料理に舌鼓を打つ様子は見ていてほっこりする。

  • 最後が表題作とは思わなかった。

  • 2020年10月14日
    よりが戻るかと期待していたのに…
    利用ばかりされ、自分が軽んじられるのは悔しいし、悲しい。
    身分差や女性蔑視が現代とは比べ物にならない時代だろうけど、理不尽な扱いに腹が立つ。
    利用して怠けている者よりも、利用される正直者に私はなりたい。
    口入れ屋きまりやは、その代表だ。
    愛想を尽かされた雇い主は梯子を外されてその後どうやって生活するのだろう。小気味良い。

  • 妻とは何んだろう。女とは何んだろう。

  • 祖父の代からの口入屋「きまり屋」
    今は双子の伯父とおふくの父が一緒にやっている。
    姿形も女の好みも仕草さえよく似た双子の伯父と父。
    おふくは一度嫁いだものの、出戻りだ。
    おふくの母親は労咳でなくなっていた。
    伯父の妻、おとみも気持ちがいい。その次男彦蔵も幼い頃から一緒に育ったので本当の兄弟のように仲がいい。

    頼まれた求人が、なかなか見つからない場合、
    おふくは、そのつなぎに駆り出されるのであった。

    度々、奉公先での家庭の中の問題や事件を見聞きし、
    おふくも成長してゆく。

    短編作品が口入屋を通して続いてゆき、最終話ではしっかり自分の心を見つめる余裕もできる成長した女性になったのだった。

  • この人の書いた本が好きで、続きが読めないのが残念。イマモムカシモ、普通の生活とは、こんな物かもしれない。

  • もっと続きと読みたかった。おふくのような人を目指そう。

  • いい事ばかりじゃなけど悪いことばかりでもない。
    素直なさっぱりとした物語。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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