気障でけっこうです

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 223
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019917

作品紹介・あらすじ

その日、少女が公園で出会ったのは、首まで地面に埋まっている七三分けのサラリーマンでした――なぜ、彼はしっぽり穴に収まっているのか!? 女子高生と、ちょっと変わったおじさんの不思議な日々が始まった!?

感想・レビュー・書評

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  • 終始、いい感じに力が抜けてて楽しめた。
    会話が楽しい。

  • ある日、お気に入りの公園に行ってみると、何かが生えている。草ではなく、おじさんである。そして、生えているのではなく、穴に埋まっているのだ。主人公は女子高生。おじさんと女子高生という組み合わせはいやらしい想像に向かいがちだが(私だけ?)、この物語は幽霊になったおじさんと主人公との奇妙な関係を読者がくすりとさせられるような文体で描かれている。その調子が終始一貫して続くのかと思いきや、ホロリとさせられたり、ヤクザの事務所に連れて行かれハラハラさせられる場面もある。幽霊になってしまったおじさんが哀れで切ないが、本書のタイトルにもある「気障な」言動がなんとも粋。幽霊に取り憑かれるという奇妙な出来事を経験した後にどちらかというと陰鬱な主人公の内面的な変化が見れるという爽やかな締めとなっている。

  • 「気障でけっこうです」
    めんどくさがり今時少女が過ごすかけがえの無い日々。


    本作は、ボイルドエッグズ新人賞を受賞した作品である。ボイルドエッグズ新人賞とは、三浦しをん、万城目学、滝本竜彦らを輩出した作家エージェント「ボイルドエッグズ」が主催する小説新人賞であり、著者小嶋陽太郎は22歳で受賞した。


    ある日、今時の女子高生のきよ子は、公園で奇妙な光景に出くわす。髪の毛を七三にぴっちり分けたサラリーマンが、しっぽり地面に収まっているのだ。男を助ける為に走るきよ子。しかし、彼女は、運悪く車に引かれてしまう。しかし、きよ子には更なる不運がやってくる。病院で目を覚ますと、目の前にはあの七三サラリーマンがいるのだ。しかも、幽霊として。


    七三サラリーマンだから、シチサン。彼と過ごすきよ子は、奇妙な日々を過ごす。幽霊キャラクターと言う訳で、ユーモラスな物語に落ちつくかと思いきや、そうでも無い。


    人が死んじゃったり、シチサンがなんか訳ありだったり、きよ子が友情を噛み締めたり、なんだか色んな要素が詰まっている。設定としても、男が地面に収まっている事から始まるので突飛である。


    だけど、読了後はほっこりするし、暖かいんだけど、でもなんだか物悲しい。そんな小説だった。


    注目して頂きたいのは、きよ子の友達であるキエちゃんだ。キャラクターとして非常に立っている。きよ子も立っているのだが、等身大の女子高生としてキャラクターが立っている。


    しかし、キエちゃんは、人間としての懐の深さや、ミステリアスさ、不気味さ、面白さなどなどでキャラクターが立っている。名前も古風で、全く魅力が詰まり過ぎである。スピンオフが十分可能だ。そして、キエちゃんは、やっぱり活躍する。活躍しなければ、宝の持ち腐れだ。


    タイトルである「気障でけっこうです」も違和感なく盛り込まれているし、シチサンの数々の仕草が伏線として拾われ、言葉がきよ子を成長させる所も私の好みだ。


    受賞作としては、素人の私が言うのは説得力に欠けるが、文句無いと思う。次回作が楽しみだな。

  • おもしろかった!
    文体におや?と思ったが、慣れてしまうので問題ない。というかむしろ好ましかった。
    若いなと感じる面もある。ただもっともっと書いてほしいと思った。良いエンタテインメントが期待できそう。
    主人公もいいが、親友のキエちゃんがいい。かっこいい。

  • ある辺鄙な公園で首だけ出して穴にしっぽり埋まってる七三分けの男ってナニ?!
    そしてその男をどうにかして自力で助けようとした途中で交通事故に見舞われた女子高生きよ子。
    この奇妙なアクシデントが思わぬ展開を繰り広げる。
    いきなり冒頭から素っ頓狂な設定に一気に引き込まれた。
    シチサンときよ子の漫才かと思えるとぼけた会話が面白い。
    きよ子の親友で超変わり者のキエちゃんもすごくいい味出してる。
    ファンタジック要素満載だけどこういうのなら大歓迎。オススメ!

  • するする読めました。

  • おもしろかった。公園の地面にすっぽりはまった男を女の子が目撃するというシュールな図から始まる話。不思議な世界観にどんどん引き込まれていきました。キャラも味があって、その軽妙なやりとりがツボでした。読み終わると、この本のタイトルがしんみりしたものに感じます。

  • その日、少女が公園で出会ったのは、首まで
    地面に埋まっている七三分けのおじさん。
    なぜ、彼はしっぽりと穴に収まっているのか?
    ものぐさ女子高生に舞い降りる、不条理な出会い。
    それが、かけがえのない日々の始まりだった。

  • 深夜ドラマでやりそうな、奇抜な女子高生の奇想天外感動物語。
    学生時代に読みたかった。アップテンポでシュール。

  • 穴にはまったサラリーマン風七三分けの男と女子高生の出会いから始まる。コミカルな設定から完全ファンタジーのふわふわしたストーリーを思い浮かべていたが、良い意味で裏切られた。
    病院で知り合った美しい人・由香さんとのエピソード、そしてシチサンの真実。「この世からなくなること」について思いをめぐらす。「心の中にいる」というきよ子のひとことがすっと染みたな。
    読後、改めて見ると発見がある装丁も素敵です。

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著者プロフィール

1991年長野県生まれ。信州大学人文学部中退。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』『放課後ひとり同盟』『友情だねって感動してよ』がある。

「2019年 『行きたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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