虚栄

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019948

作品紹介・あらすじ

凶悪化がん治療国家プロジェクト「G4」の発足に、外科医・雪野は期待を抱いた。手術、抗がん剤、放射線治療、免疫療法。四グループの邂逅は陰謀に満ちた覇権争いに発展。がん医療の最先端をサスペンスフルに描く!

感想・レビュー・書評

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  • #読了。凶悪化するがんに対し、総理の肝いりで「プロジェクトG4」が発足。しかしながら外科、内科、放射線科、免疫療法科それぞれががん対策の覇権と予算を狙い、肝心の治療や患者はおきざりに。果たしてプロジェクト、がん治療の行方は。。。医師の争いなか、「真がん・偽がん説」に興味がそそられた。同じような話を以前に何かの本で読んだことがあるような気がするが、実際放置できる精神力を保つというのは難しいのでは。

  • 虚栄。
    久坂部羊さん。

    凶悪がん治癒国家
    プロジェクト・G4。
    外科。内科。放射線科。免疫療法科。
    4科で協力し合って
    がん治癒の方法を考えると思いきや、
    しがらみと嫉妬と利己主義で、
    我が科が1番だと。
    研究費欲しさに
    足の引っ張り合い。

    プロジェクト自体の発足の謎。

    最初から最後まで、
    イッキ読み。
    本の中に入った気分。

    とても、
    考えさせられる内容でした。

    患者にすれば、
    がんに効くというのは、
    がんを治してくれる薬の事。
    医療界では、余命が1ヶ月延びたから効く薬。有効な薬剤だと言われる。
    大きな意識の隔たり。

    医学の虚栄。
    重いテーマです。

    面白かった。

  • ラストの「これは作り話じゃない、現実なんだから…」というセリフに、唸ってしまう。確かに、地位やお金に目がくらんだり、保身のために誰かを陥れたり、そういうこともあるのかもしれない。しかし、責任の重さ、ハードな任務に見合う十分な報酬や地位が与えられていたなら、こんな事にはならないのではないかとも。
    また、患者も医師任せ病院任せにせず、自分の病気や治療法に関してもっと勉強するべきだと思う。医師は神ではない。治せない病気もあるし、手術に失敗することもある。ドクターXは現実には存在しないのだ。
    数年前から考えていたことだが、今後、自身がガンになったらどうするか、この本を読んで考えが決まった。大変面白く読めた。

  • 夢中で読んだ。ガン医療の医師や製薬会社やメディア、政治家の本音が見れた気がした。私も早期発見のための定期健診に疑問があるので、今後いろいろ知りたいと思う。
    外科、内科、放射線科、免疫療法科で足の引っ張り合いをしてるのを見て、まさに政治と同じだなと思ってしまった。素人の私がこんなことを言うのはなんだけど、もっと解決しなきゃならない問題がいっぱいあるのに、国会ではひとつのことにみんなで寄ってたかって時間を使って攻め立て議員を辞任に追い込む。辞めれば解決するもんでもないだろう。
    この本でも追い込まれて亡くなった医師もいた。きっと志は病気の人を助けたい!っていう思いだったのでは?それがいつの間にか、教授になること、新しい実験結果で論文で評価されること、製薬会社からお金を受けとることとか、人間の欲望は終わりがない。
    考えさせられる本だった。さすが久坂部さん。

  • ほんまにタイトルとおり”虚栄”だった。
    立場というか自分たちの位置づけというかそんなことばかり気にしているようで、もう! と思ってしまう。
    相手を蹴落としながら自らを優位にするのではなく、その世界全体の位置づけをあげてくれるような動きであれば、患者としてもありがたいのに。
    がん治療については、ますます考えさせられてしまった。

  • 凶悪化がん治療国家プロジェクト「G4」の発足に、外科医・雪野は期待を抱いた。手術、抗がん剤、放射線治療、免疫療法。4グループの邂逅は陰謀に満ちた覇権争いに発展する。

    読んだら、がんになっても治療するのがいい事なのか疑問になった。
    もう若くないし、癌になってても、治療しないでおこうかな・・・
    いろいろな意味で、担当の医師次第のところが大きい。
    担当になって欲しくない医師が沢山出てくる話でした。

  • 内容にやり過ぎ感があり、途中で投げ出すところを何とか読み終わった。
    医学界の現状を赤裸々に表現し、読者に問いかけたかったと思う。
    登場人物がことごとく癌に罹患するのも違和感があったし、骨髄移植により治癒した秋元医師を交通事故で死なす必要があったのだろうか?
    本書の発行年を思わず見てしまった。
    先程裁判で禁固刑になった交通事故で母子を轢き殺した高齢者の事件より発行が前であった。
    作者は高齢者の交通事故を問題視していたのかもしれない。
    まあ、病気に罹患しないのがベストだし、罹患しても簡単に治癒するような医学の発展があればと思う。
    まだまだコロナ禍続きそうだか。

  • 治療方法が異なるけど、ガンを治る病気にするために、G4なるプロジェクトができます。

    治療方法別に分かれているのですが、別な治療方の医師同士で色々とあります。

    そして、中にはガンになったりする医師もいるのですが、自分の所属するところでは治療しないという。いや、あなたがそこで治療をするのは違うだろう。と、言いたくなります。(そこが1番面白かったりもします)

    最後には、虚栄というこの本の題名の意味が分かります。

  • 【がんを治療する】 目的は同じだが手段が異なる4つの診療科が集結してスタートしたG4プロジェクト。外科(手術)、内科(抗がん剤)、放射線科、免疫療法科、それぞれが自部門の治療が最良だと信じ、多額の予算を確保するため、協力どころか足を引っ張りあって妨害しあう。論文の捏造、手術ミス、etc.極端なエピソードも、あったが、現実にもこのようなことは多かれ少なかれあるのだろうと思わせた

  • 外科 、内科、放射線、免疫療法、で予算を確保したいが為に互いを貶めようとする話
    協力したらいいじゃん、って思った
    科どうしの貶し合いを実際見たことがあるから、あぁ、やっぱりそうなのかと思った

    自分の名誉が1番な医師、患者ときちんと向き合う医師、医者にもいろいろいるなー

    治る病気、治らない病気
    治すための薬、進行を遅らせるだけの薬、効くかもわからない運試しの薬、
    いろいろ考えさせられた

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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