PSYCHO-PASS サイコパス (下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.21
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本棚登録 : 749
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041020364

作品紹介・あらすじ

槙島は、狡噛が《執行官》に堕ちたキッカケに繋がる男でもあった。槙島が糸を引く連続猟奇殺人により、新人刑事・朱や狡噛の日常の均衡は崩される。本書には、狡噛や槙島たちの内面が垣間見える追加シーンも収録

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻一気に読み終える。この合理的でありながら不条理でもある世界観にどっぷり浸かった。いろいろ考えさせられる面も含めて非常に面白かった。
    上巻で自分の能力、適性、例えば就職や恋愛が、システムによって選ばれ保証されている人生って、ある意味楽な生き方だよなぁと思ったのだけれど、それは自分が絶対に«潜在犯»になるわけがないと何処かで思い上がっていたからだと今なら分かる。
    もし、潜在犯として生きることが定めだったら。努力することも正しく生きようとすることも許してもらえず、そこから抜け出すことは絶対不可能。なぜならば、そんな人間や廃棄区画なんてものが、システムによって幸福に暮らす人間たちのために、ガス抜きとしての役目を果たしているのだから。知ってしまえば、なんて絶望的な世界なんだろう、ここは。さらに槙島によって引き起こされた幸せな世界で起きるはずのない罪が起きたとき、浮き彫りにされた人間の脆さや暴虐さに愕然とするのだ。
    自分の人生は自分で決める。そのためにたくさん悩んで考える。自分の選択に責任を持ち自分の力で生きていく。そのことが実はとても幸せなことなんじゃないか。それは、決してシステムや他人任せにしちゃいけないことなんだ。

    槙島を追いかけるうちに、刑事たちに眠っていた「心」が目覚めはじめたように思った。それは荒々しくもあり、愛しさでもあり、憎しみでもあり、願いでもあり。誰かが誰かを想う。そして、その思いには必ず「意思」が生まれる。
    人の心から生まれた意思は、心の在りかたを支配するシステムとて消すことは出来ないはず。
    そう、各々の意思によって起こした行動ならば、たとえ道を違えることになろうとも永遠の別れになろうとも、必ず再び立ち上がれるときが来るはずだ。現に彼らはもう前を向いている。その姿は強く格好いい。

    • kazzu008さん
      地球っこさん。こんにちは!
      『PSYCHO-PASS』のノベライズ版読了、お疲れ様です。
      そして素晴らしいレビューありがとうございます。...
      地球っこさん。こんにちは!
      『PSYCHO-PASS』のノベライズ版読了、お疲れ様です。
      そして素晴らしいレビューありがとうございます。

      実は僕も『PSYCHO-PASS』大好きなんです。アニメも映画もノベライズもそしてスピンオフ版の小説までほぼ全部チェックしています。あ、最新の3はまだ見ていませんが(笑)。

      この世界観、好きなんですよね。この最もユートピアに近いデストピアな社会。
      実は、僕の本棚の名前『成しうる者が為すべきを為す』も『PSYCHO-PASS』からとってるんです。…もうちょっと気持ち悪いマニアの域ですね(笑)
      すみません。なんか訳のわからないコメントをしてしまって、周りにこういう話ができる人が全くいないので、地球っこさんがこの本を読んでいただいて本当にうれしいです。
      なんか、ホントすいません。どうでもいいコメントで。
      ありがとうございました。
      2019/12/28
    • 地球っこさん
      kazzu008さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます♪

      kazzu008さんの『PSYCHO-PASS』愛伝わってきまし...
      kazzu008さん、こんにちは!
      コメントありがとうございます♪

      kazzu008さんの『PSYCHO-PASS』愛伝わってきましたよ(*^^*)
      大好きな作品に出会うと、そうなっちゃいますよね。
      私もそうですよ。全てを手にいれたいというか、知りたいというか(*>∀<*)……あ、ちょっと違いますか?すみません 笑

      『成しうる者が為すべきを為す』見つけましたよ。ゆきの言葉ですね。
      『PSYCHO-PASS』は名言が、あちらこちらに散らばっていて、それも格好いいところだと思いました。

      私は、キャラクター原案の天野明先生が好きで『PSYCHO-PASS 3A』集英社文庫の表紙を先生が描かれていたので、中身も確かめず即買いしました。(ええ、全てを手にいれたいというところでしょうか……)
      でも、シリーズ3から読んでもなぁ……と今回、角川文庫のノベライズを読んだところ、なんだ、これ!すごっ、面白いっ!と一気にこの世界に引き込まれました。
      今まで気づかなかったけど、私も『ユートピアに近いデストピアな社会』好きなのかもしれません。

      スピンオフもぜひとも読んでみます。
      それにしても、『PSYCHO-PASS』は角川文庫、スピンオフはハヤカワ文庫、『PSYCHO-PASS 3』は集英社文庫と様々なところから出版されてるのですね。
      どれから読んでいいのか、ちょっと戸惑いました。

      そうそう、アニメもお正月観てみようかと思います。
      実は好きな声優さんがキャストなので、いつかは観たいと思ってたんです。
      アニメ、映画、観るものもたくさんあって『PSYCHO-PASS 3』までは、なかなかたどり着かないかも!

      なんだか、私の方こそ変なお返事となってしまいました。ごめんなさい。

      今年一年、kazzu008さんにとっての「読書」はどうでしたか?
      私は、あまり数は読めなかったけれど、感動したり考えさせられたり、どきどきしたり、そんな楽しい時間でした。
      そしてkazzu008さんをはじめ、フォロワーさんとのコメントのやり取りや、おすすめ本を読んだりして、また読書の世界が広がったのが、とても嬉しかったです。

      今年一年、お世話になりました。
      どうぞ、来年もよろしくお願いします。
      よいお年を♪
      2019/12/28
    • kazzu008さん
      地球っこさん。こんにちは。
      お返事ありがとうございます!

      地球っこさんも『PSYCHO-PASS』にはまってしまったようですね(笑)...
      地球っこさん。こんにちは。
      お返事ありがとうございます!

      地球っこさんも『PSYCHO-PASS』にはまってしまったようですね(笑)。
      内容も面白いですし、どのキャラクターにも(例えば槙島聖護にですら)感情移入できて素晴らしい作品だと思います。

      今年一年、本当に『読書』にはまった一年でした。これも皆さんの素晴らしいレビューやまた、僕の拙いレビューに畏れ多いコメントをしていただいたお陰です。そして、読書の範囲も今までとは比べものにならないくらい広がりました。

      こちらこそ、お世話になりました。
      来年もよろしくお願いいたします!
      2019/12/31
  • いや~面白かった!!

    システムに判断される生活と人生。
    こんな時代が来ないとは言えないよね。

    システムの安全神話が崩壊した時に
    人間が自分で悩み、迷い、選べない事に
    怖いって、つくづく思った。

    なんか・・・スマホって便利なのは今じゃ当たり前だけど
    スマホが無かった時代の方が良かった・・・と思ってしまう。
    この本の世界に片足突っ込んでる今の時代。

    便利だけど・・・何だか怖いし、何かを失って行く危機感を
    強く感じてしまった。

    狡噛慎也に夢中になりました♪
    縢ーーー(┯_┯)

    続きがありそうなので楽しみです。

  • 下巻も色々グッと来る場面があって、内容を知っているのにアニメで鳥肌立ったシーンは再び鳥肌立っちゃうし、殉職シーンとかそんなこと考えながら死んでったんかーってのがあったりでアニメ以上の悲しさで溢れてしまったりして小説版侮れん……‼︎と思ってたんですが、、
    ま、さ、か、の‼︎アニメで号泣した最終回で全く泣けなかった…。結構大事なところでいらん改変と加筆があった気がしたけれどなぜあぁなったのかが知りたい…。

    【完璧な世界】はやはりアニメ原作の作りがまさに完璧、だったのだと改めて実感してしまった。(原作厨)
    あの2人の最後のシーンの会話はあれだけで良いし、あの動きと表情は映像あってのものだし、櫻井さんの演技も最高だった…と、アニメ版に想いを馳せてしまいましたが、なんにしても気になってた小説版だったので、読んでおいて良かったです。
    しかしこうなるとエピソード0、読むか悩むなぁ……。

  • キャラの魅力が最大限に引き出されている作品だと思う。アニメもよかったが、小説版にはまた違った魅力があったようにも思う。

  • アニメと少し違うシーンや描写に味があって面白かった。

  • 登場人物の葛藤とか丁寧に書かれてるすき

  • 意思に基づいた行動のみが価値を持つ
    全てをシビュラシステムに依存するのではなく、ドミネーターの引き金があるのは何故か考えることが大きな意味を持つ。「考える」「自分で判断する」「結果を受け入れる」
    結論を丸投げしたくなりがちで人のせいにしてしまう。考えること、考え続けることを大切にしたい。
    紙の本を読み、自分の感覚を調整しつつ。

  • アニメ1期のストーリーはそのままに一部補完、オリジナルストーリーもあって満足。特に社会学系の蘊蓄がアニメより多くて楽しい。あえて言うなら終章は全体的にアニメ版の方が好み、ラスト2人の対峙は向き合わずに視線合わせないとこが好きだったので。

  • アニメは手に汗を握りながら見た覚えがあります。小説は結末を知っている分、槙島の行動の理由や、朱がどうして急に成長したのかなど、アニメでは気づけなかったこと、見落としていたところを多々見せつけられました。ただ、小説版だけ読むのは辛いかな、と。アニメの、あのシビュラシステムがもたらす完璧社会と登場人物の人物像が頭に入っていないと、小説だけでは想像しにくいだろうな、と思う場面が沢山ありました。

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著者プロフィール

2000年に第1回富士見ヤングミステリー大賞を受賞、2002年角川Next賞を受賞。代表作は『ヤングガン・カルナバル』シリーズ、『ゴルゴタ』、『GENEZ』シリーズなど。『魔法少女特殊戦あすか』原作、『ちょっとかわいいアイアンメイデン』原作、『王様達のヴァイキング』ストーリー協力。TVアニメ『PSYCHO‐PASS』1期、『PSYCHO‐PASS 劇場版』(ともに虚淵玄と共同脚本)にて、ニュータイプアニメアワード脚本賞受賞。TVアニメ『ベルセルク(2016)』シリーズ構成。

「2017年 『バイオハザード ヴェンデッタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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