光圀伝 (上) (角川文庫)

著者 : 冲方丁
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年6月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041020487

作品紹介・あらすじ

なぜ「あの男」を殺めることになったのか。老齢の水戸光圀は己の生涯を書き綴る。「試練」に耐えた幼少期、血気盛んな”傾寄者”だった青年期を経て、光圀の中に学問や詩歌への情熱の灯がともり――。

光圀伝 (上) (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 国民的時代劇のイメージを根底から覆す「誰も見たことのない“水戸黄門”伝」。

    水戸徳川家の三男にして世継ぎという宿命を背負った光圀。
    「何故、兄でなく俺なのだ?」
    「水に流されたかもしれない」出自への煩悶。

    江戸中を傾奇者として闊歩した少年時代。

    剣豪・宮本武蔵との出会い。

    詩歌で天下を取るのだと情熱を燃やす青年時代。
    学を競うかけがえのない仲間とも出会う。

    徹底した研鑽と己を鍛え上げていくその生命の奥から湧いてくる、狂うおしいまでの熱と力。

    若き英智と、激しいまでの情熱に、読んでいて身が焦がれそうになる。

    尊敬する伯父・義直が遺言の様に語り残す。
    「史書に記された者たち全て、生きたのだ。わしやお前が、この世に生きているように。彼らの生の事実が、必ずお前に道を示す。天道人倫は、人々の無限の生の連なりなのだから。人が生きる限り、この世は決して無ではなく、史書がある限り、人の生は不滅だ。なぜなら、命に限りはあれど、生きたという事実だけは永劫不滅であるからだ」

    熱い熱い求道者に痺れる。
    そして、彼が今を生きているかの様に、魂を揺さぶってくる。

  • 面白くて、面白くて、仕方ないのだけど……情報量が多いからか、なかなか読み終わらない!
    ハードカバーも持っているのだけど、文庫も購入しちゃいました(笑)

    光圀と宮本武蔵の出会いが、実は一番好きなシーンかもしれない。
    他を圧する怜悧な殺気が、文面からバシバシ伝わってきて、緊張した。

    なぜ、自分なのかという問いと、家と政。
    その中で光圀が見出す義にも、ゾクッとする。

    自分自身の生が、全てのものに対して何を為せるか。そういう考え方は、私には出来ない。
    けれど、人と人の関係を正し、個と全の関係を常に想定し、生きていく様というのは、大人だと思うのだ。

    いつの間にか、個は個の在るがままを重んじ、自由の代わりに得るべき責任を全うしなくなった。
    日本人は最早、勤勉ではないと聞こえる。
    何を為すかを失ってしまった人々だからでは、ないだろうか。

  • 皇室と国学から、光圀に興味が移り、本書を手にした。

    登場人物が魅力的だ。武と文のコントラスト、胆力の描き方が何とも言えぬ。当時の京の姿も忍ばれる。

    なにより、泰姫の登場で、上巻はすべてを持って行かれた感がある。

  • 若き日の光圀は放埓で無軌道な若者かと思えば詩歌にも造型深い文学青年でもあった。諸国を漫遊するのはフィクションだとわかっていても、好々爺のイメージが強すぎる人物のまったく異なる姿が人間臭く描かれていて痛快である。苦悶しながら目指す道を究めんと成長していく様子がなんとも力強い。

  •  冲方丁先生の『天地明察』と対をなす、という『光圀伝』。徳川光圀の生涯を描いた本。出来事とそれを光圀が振り返る「明窓浄机」という章立てで交互に現れていくのが面白かった。

     幼少期の父・頼房の過酷な試練と兄・頼重がいるにもかかわらず、世継ぎに選ばれた葛藤・そして、宮本武蔵や学を競う朋友として読耕斎・泰姫との邂逅など。泰姫のやんちゃぶりとそれによって、姫やその側近である左近と仲良くなっていくのは王道ではあるがとっても良かった。
     ただ、春海と絡むシーンが少なかったのが、天地明察ファンとしてはちょっと残念だった。(笑)
     また、光圀の小姓である藤井紋太夫が考えた大政奉還という思想が幕末に現れるというのも面白いある種の皮肉であろう。

     光圀が途中で述べている、私は生涯の生涯はだれかを見送るためにあるというのは、途中までの渋川春海と同じなのではないだろうか。そして、春海と違う所は、光圀が最初に朋友を得て失いながら成長していくのに対して、春海は一人で成長しながら朋友を得ることによってさらなる成長が促されたところではないだろうか。二人の朋友の出会い方が対照的で、対を成す、と唄った一つの原因かと思った。

  • 単行本版に同じ

  • いい意味で時代劇「水戸黄門」のイメージを壊してくれる小説。
    父への複雑な感情、優秀な兄へのコンプレックスを抱えながら、宮本武蔵・沢庵・林羅山など道を極めた者たちとの交流を通じてエネルギッシュに成長していく光圀。
    そんな彼の姿が戦国の荒々しさを残しながら泰平の世に突入していく時代の力強さと重なる。
    特に憎まれ口を叩きながらも互いを認め合う林読耕斎との友情関係がなんとも気持ちがいい。

  • 『天地明察』の冲方丁が描く水戸黄門物語。
    たまには歴史物を読んで、日本を学ぼうかなと思い、読んでみました。『天地明察』が読みやすく面白かったので、同じ作者の本にしましたが、面白く上巻を読み終えました。

    水戸黄門はドラマの影響で、晩年のイメージでした。
    この本の上巻には、幼い頃から28歳の若い頃が描かれています。
    私は、水戸黄門がどんな家系のどんな人かすら、よく知らなかったので、読んでいるうちに家系図を描きたくなりました。徳川家康の孫なんですね。歴史物は登場人物が多く、誰だったっけなーとなりやすいのですが、それでも面白く、ぐいぐい読めます。台詞が今時で読みやすかったり、いろんなエピソードで人物が魅力的に描かれているからです。光圀は、好奇心旺盛の負けず嫌いで正義感が強く、男らしいというか男の子っぽく描かれています。
    下巻も楽しみです。

    ☆あらすじ☆
    「なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか」老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎でその経緯と己の生涯を綴り始める。父・頼房の過酷な“試練”と対峙し、優れた兄・頼重を差し置いて世継ぎに選ばれたことに悩む幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れる中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて文事の魅力に取り憑かれた光圀は、学を競う朋友を得て、詩の天下を目指す―。誰も見たことのない“水戸黄門”伝、開幕。

  • この人の描く保科正之公が好きなんだよなあ

  • 配架場所 : 文庫
    請求記号 : BUN@913@U103@1-1
    Book ID : 80600058670

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=002523722&CON_LNG=JPN&

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