切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2014年12月25日発売)
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  • 本 ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041020517

作品紹介・あらすじ

臓器が奇麗にくり抜かれた遺体が発見された。やがてテレビ局に犯人から声明文が届く。いったい犯人の狙いは何か。さらに第二の事件が起こり・・・・・・。警視庁捜査一課の犬養が捜査に乗り出す!

感想・レビュー・書評

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  • 刑事犬養隼人 ここからシリーズとなった第一作

    臓器が綺麗に ーむしろ専門的な知識を持ってー
    くり抜かれた遺体
    まず発見されたのが女性の2遺体
    娼婦が被害者となったイギリスの切り裂きジャック事件と重ねる
    このまま シリーズが過去の有名犯罪をタイトルとストーリーに入れるというくくりとなり
    いろいろ考えるなあ、と感心します
    主なテーマは臓器移植
    それに関わる 医師、ドナー、その家族、等々
    それぞれの視点からの 現状の臓器移植についての意識

    主人公犬養の臓器移植を必要とする病気の娘の存在が 小説の中だけでなく 現実的に自分がその立場となった場合として読ませるくれるなあ

    • おびのりさん
      みんみん、土瓶さん
      さすがにパワーは落ちると思うのですよ
      そして なんか優しげなおばさまとお見受けして
      怖みは、無理なんじゃないかなと思われ...
      みんみん、土瓶さん
      さすがにパワーは落ちると思うのですよ
      そして なんか優しげなおばさまとお見受けして
      怖みは、無理なんじゃないかなと思われ

      往年のファンとして支えていこうや
      2024/11/06
    • みんみんさん
      あ〜…怖みより宮部さんは切なみだ!
      「あんじゅう」みたいなのが好きなんだよ(〃ω〃)
      あ〜…怖みより宮部さんは切なみだ!
      「あんじゅう」みたいなのが好きなんだよ(〃ω〃)
      2024/11/06
    • 土瓶さん
      みんみんさん。わかります。
      しかもあの巻は「暗獣」はもちろんのこと、ほかの三編もすべてよかったんですよね。
      「逃げ水」
      「藪から千本」...
      みんみんさん。わかります。
      しかもあの巻は「暗獣」はもちろんのこと、ほかの三編もすべてよかったんですよね。
      「逃げ水」
      「藪から千本」
      「暗獣」
      「吼える仏」
      それを思うと最近のは少し残念。

      おびのりさん。
      優しげなおばさまでしたか。
      でも、内面はわかりませんから。
      期待は、しますとも。
      2024/11/06
  • ドナーの母親の思いが切ない。
    臓器だけでも子供が生きているという形にすがってしまうほど、子供の死は受け入れがたいものだろうと想像がつく。

    臓器移植の推進派と反対派、どちらの言い分も分かってしまう。
    でも生きているとは何か。ある本に自分自身の生について「排泄の処理と最低限の意志が持てないのなら、それを生きていると、わたしは認めない」とあったが、私自身もそれに賛成だ。
    であれば自分がドナーになることについては、問題ない。でも自分の家族、特に子供は割りきれない。
    こういう矛盾が自然と存在できてしまう事が、この問題の難しさなのだと思う。

  • 切り裂きジャックという有名な題材と、臓器移植を絡ませた社会派の問題提議色の強いミステリ。

    著者の作品は数多く積読しており、アンソロジー以来、腰を据えて読むのは初。

    ドナー、レシピエント、医師、コーディネーターとそれぞれの観点で臓器移植についてしっかり描いていて、知識の豊富さにまず驚く。

    特に真境名先生と僧侶の臓器移植に関する白熱した対談のシーンは印象に残った。

    ミステリとしての期待値は、想像よりも下回ったが、物語の展開や描写は好み。

    他の作品も期待しよう。

  •  相変わらずストーリー展開はとても面白いのだが、動機が薄弱な点は残念だ。ただ、内臓をえぐりとらなければならない必要性というのは、そもそも無理があるのだ。まあ横溝正史だってその点は同じであることを考えるとこれはこれでいいのかもしれません。オーディブルで聴くのにちょうど良いですね。

  • 劇場型犯罪を描く社会派ミステリー。

    猟奇殺人事件から始まるので身構えて読みましたが、脳死判定や臓器移植をテーマにした社会派ミステリーでした。
    犬養刑事とコンビを組むのは「カエル男」などの古手川刑事で、中山七里さん作品はこういうリンクも楽しめることのひとつ。なかなか良いコンビだったと思います。

    脳死は人の死か…ドナーとレシピエント、その家族。それぞれの立場によって様々な感情があり重たく難しい問題です。
    生命、医療、倫理、色々考えさせられました。
    ちょっとほろりとするエピローグ。

  • 冒頭からグロテスクな死体で始まる。中山七里さんの作品ではお馴染みすぎて、慣れて来た自分が怖くなる。猟奇的な殺人が、脳死移植を巡る社会派的な様相を帯びる。
    ドナーとなった息子の死を受け入れず、異常な言動を起こす母親が犯人か、とも思わせる記述も良く良く考えると医療関係者では無いことから、対象から外れる。
    二転三転し、犯人を捕まえてみれば・・?
    根本的な原因に違和感があり、最後のお得意のドンデン返し。
    犬養刑事は他の作品でも良く出てくるが、これが最初の登場のよう。埼玉県警の古手川刑事も光崎教授との絡みで良く出てくるので、馴染みのコンビだった。今回は古手川刑事の上司の渡瀬刑事の鋭い洞察場面が無く、ちょっと寂しい。

  • 犬養さんの噂は予てから聞いており、古手川さんを認知していたのでそんなメン・イン・ブラックみたいなバディに興奮しながら犬養シリーズ第一弾をやっと読み始めた。

    平成の切り裂きジャック
    ×
    臓器移植
    なんとまた難しいテーマだろう。やはり家族に当て嵌めて考えしまうのだが、ドナー側、レシピエント側とで考えが180度変わってしまう矛盾に額のシワが刻まれて行く。刑事犬飼隼人が苦悩を背負いながら追う姿に、「家族の愛」を感じた。

    と、私が勝手に愛だのなんだのとメルヘン患っていただけなのだが、ジャックの動機が腑に落ちない。

    しかしジャックの告白、隠蔽工作の暴露にてこの問題定義について様々な意見があるのを知る事が出来た。考えたこともなかった臓器移植の現場や当事者達の信念や遺族の葛藤、そしてそれが自分に当てはまらないと言いきれない現実にハッとさせられる。

    この作品に出会うか自分が当事者にならない限り考える事は無かったと思うと本作に出会えた事が嬉しい。もちろん続編も追っていきたいと思います。

  • 犬養シリーズ第1弾!
    中山七里さんの小説が、手元に溢れてるんで、他の作家さんより多めに読む事に(^◇^;)
    古手川さんも、光崎さんも出て来る!
    中山さんの他のシリーズもん読んでる人には、それも楽しみかも?

    切り裂きジャックを模したような猟奇殺人に、臓器移植の問題点も取り入れた作品!なかなか面白かった〜

    一匹狼の犬養さんもカッコいいけど、古手川さんも頑張ってるやん!
    モテ過ぎで、女心は分からんとか…羨ましい…

    「事実は小説よりも奇なり」というか、「小説は事実よりも奇なり」というか…
    大どんでん返し!で、真実は…
    結局は、そんな事かい!
    手品師のトリックと同じで、右手を注目させて、左手で何かやってる感じ。ここでは、更にその左手と見せかけて、助手が何かやってるぐらいの意外性あるけど。

    臓器移植も色々と問題ありそうやな。倫理的にも。やっぱり、脳死って色々あるんやな、そこから臓器摘出とか…
    早くIPS細胞で、出来るようにならんかな?山中さん頑張って下さい!

    『技術も設備もあるから手術させろというのは本末転倒でしょう。武器も兵力もあるから自衛隊に戦争をさせろという理屈と同じではありませんか』(文中の宗教家の言葉から)
    医学的に出来ても、日本人の死生観とのせめぎ合い…難しい…

  • 被害者を絞殺後、体を切り裂き内臓を全て持ち去ってしまうという猟奇的連続殺人事件が発生した。犯人はマスコミや警察に犯行声明文を送りつけ、日本中を巻き込む劇場型犯罪へと展開していく。
    そこだけを切り取ると快楽殺人者vs警察のただの推理もののように思えるが、そこはやっぱり中山七里さん。猟奇殺人の真犯人を追求するミステリーが軸にありながらも、そこに脳死判定や臓器移植を絡めてしっかり社会的問題も浮き彫りにしていくところが見事。
    脳死は人の死なのか…
    臓器移植のドナー側レシピエント側の心情…
    移植コーディネーターや移植に携わる医療者の葛藤と苦悩…
    これまでニュースの中では知っていたがあまり深くは考えてはこなかった問題を色々と考えさせられたように思う。

    ミステリーとしては、最後のどんでん返しまで真犯人がわからず、ドキドキハラハラを楽しめた。
    個人的には犬養とペアを組んだ古手川のいい意味で空気を読まないキャラクターが魅力的だった。

    後半まで真犯人と目されていたドナー遺族の、エピローグでの姿に胸が熱くなった。唯一の生き残りとなった敬介には必ず幸せになってほしいと思った。

  • 疾走感やどんでん返しがありおもしろい!
    移植手術についての様々な考えを知ることができたし、特にレシピエントはその後の人生は明るいものだと信じていたので少なからず衝撃。
    登場人物が限られているので、犯人については意外性はなかった。
    でも動機についてはちょっと納得しかねる。
    殺人をしてジャックとして世間を騒がせる以外の方法があるような?
    グロテスクな描写は心配したけど、個人的には許容範囲だった。
    エピローグは、母親の気持ちになれば泣いてしまうと思う。
    私は誰かの体の中で生き続けることができるなら一つの選択肢として移植を肯定したい。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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