水やりはいつも深夜だけど

著者 : 窪美澄
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年11月14日発売)
3.78
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  • 本棚登録 :1241
  • レビュー :183
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041021347

作品紹介・あらすじ

水やりはいつも深夜だけどは窪美澄さんの小説です。セレブのママとしてブログを更新していきながらも周囲からの評価に怯えている主婦。仕事が忙しく子育てに参加できなくて妻などからうとまれている夫。自己嫌悪になっている主婦や義母に戸惑う女子高生など。同じ幼稚園に子供を通わせている家庭の生きる姿を描いている五つの物語です。

水やりはいつも深夜だけどの感想・レビュー・書評

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  • とある高級住地に住む5組の家族の物語。
    共通するのは同じ幼稚園に通う幼い子供がいることと、それぞれが内に秘めた悩みを抱えていること。

    子供が生まれると二人の世界は様変わりしてしまう。
    思い通りにならない生活、自由のきかない時間、そして責任感。
    夫婦の間には小さな亀裂が生じ、徐々に徐々に亀裂は広がって行く。
    あんなに好きだった相手なのに、心が通い合わないもどかしさ。

    ブログでしか自分の存在価値を見出せない妻。
    妻と妻の両親に疎外感を抱く夫。
    子供の発達障害を疑う妻。
    妻への不満から浮気心を持つ夫。
    新しい母親と妹を迎え戸惑う少女。

    「寂しかったんだ・・・」
    「・・・寂しかったのは、あなただけだと思う?」
    相手に自分の気持ちを伝えようとすること。
    相手の気持ちを受け止めようとすること。
    ほんのちょっとの努力で流れは変わる。
    それぞれの物語はどれも切なくて簡単にはいきそうにもないけれど、最後に光が見えた。

    窪さんの小説にしては珍しく性描写を完全排除。
    過激な描写がなくても根底に流れているメッセージは十分伝わってきた。
    読み終わって温かい気持ちになった。

    ブクログ献本企画で頂いた本です。
    窪さんの作品がいち早く読めたことに感謝。
    ありがとうございました。

    • あおいそらさん
      窪さんの作品、毎回心の奥深いところが揺さぶられるような、それぞれの人生の大変さ、その先に見える希望・・のようなもの感じますよね。まだ読んでませんが、読みたいと思いました。
      2014/11/15
    • vilureefさん
      あおいそらさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます(*^_^*)

      そうですね、窪さんの作品は希望があるところがいいですよね。
      弱い人間も見捨てない温かさというか。

      なので短編集の「雨のなまえ」だけは頂けませんでしたね。こちらはお読みになりましたか?
      2014/11/17
    • あおいそらさん
      いつもvilureefさんの本への愛情いっぱいのレビュー拝見しています。参考にさせていただいています。

      窪さんの作品では、初めて「ふがいない僕は~」を読んで、重いのにさわやか。読後感が気持ちよかったです。希望、温かさ、そうですね。そういうことですね。「~くじら」もまさにそうでした。

      まだ短編集は読んでいません。最近なかなか本を読む時間をとれていませんが、地道に読んでいこうと思っています。
      2014/11/28
  • 等身大のストーリーが続く短編集。
    どれも子育て中の私には妙にリアルで、そして最後のそっとさす光が良かった。
    産後鬱の妻と夫の話はかなり印象的だった。妻とその両親の結びつきがどんどん強くなり、知らず知らずのうちに子育てから夫が疎外されていく怖さ。夫婦の子供、夫婦の子育てが軸であることがぶれないように子育てしていきたいと感じた。

  • 全体として、家族の物語の短編集。
    男女間の暗めの物語と思っていたので、意外だったけれどこれはこれでとても良かった。
    なんて言葉にしていいのか分からないけれど、そう、これなの、この気持ちが私にもあった!って所がたくさんあった。
    家族の形も問題も関わりも様々。凄い感動とか凄い衝撃とかはないのに、一編一編読み終わる時必ず涙ぐむ。悲しい涙ではないもので。
    ママ友、祖父と父、障がい者の妹がいた母、夫と妻、母親が変わった娘。色々だったなー。
    何が凄い!とかはないんだけど、とても良かった。またいつか読みたい。

  • 植物の名が入った5つの話の短編集。
    みんな心のどこかに人には言えない何かを抱え苦しんでいる。
    題材的にはよくある内容で出尽くした感はあるものの窪美澄さんが上手く心を揺さぶってくる。
    悩むうちに急勾配を転げ落ちてしまうのはあっという間だが、何かをきっかけにふと救われることもある。
    そのきっかけを与えてくれる家族が近くにいてくれるのは幸せなことであり、それを忘れないようにしたいと思った。

  • 病院の待合室で読んだのですが、ぼろぼろに泣きました。大事にしたい一冊です。

  • 最近、本のタイトルというのは著者が決めるものではないと知りました。
    編集者などが「タイトル会議」なるものを開いて決めることがほとんどのよう。もちろん、著者が決める場合がないわけではないけれど。

    一目見て表紙の写真と、このタイトルに惹かれました。
    読み終わった後だからこそわかる、ぴったりと本書の空気感を表している魅力的なタイトル。秀逸ですね。

    これはすこしハイソな町に暮らす、子どものいる家庭を切り取った5つの物語です。
    どこにでもありそうで、だからこそとてもリアルな親と子の関係、夫婦の在り方、家族の形。

    幼い子どもがいる家庭というのは、結婚して長すぎず短すぎない期間を経ています。恋は感情のままにできるけど、何かを維持するというのは意志がないとできない。というのは、誰もが同じなんだと感じさせてくれます。ただ、その根底には揺るぎない愛情があって、ああ家族っていいなあと温かい気持ちにもなります。

    窪さんの描く町並みはなんだかとても現実味があって、不思議なほどありありとその町を思い描けます。
    それから人物像も、とても親近感がわくくらい、みんな一生懸命で器用じゃない。でも、きっと人間そんなもので完璧になんて生きれないから、迷ったり揺れたりするんでしょうね。

    どの章もよかったですが、「砂のないテラリウム」がお気に入りです。日常を切り抜いた物語、いいですね。

  • いろんな事情を抱えるそれぞれの人。傍らにそっと出てくる植物たちの描き方が上品で好きでした。

    サボテンの咆哮ではつい涙が。。。
    おじいちゃんの言葉に目頭があつくなってしまいました。あと一番終わり方がほっこりというか。そう思いました。

    窪美澄さんの書くお話はいつもおわり方が絶妙で、このお話のなかの人たちは物語のなかを生きていくんだと感じます。生み出した物語をめでたしめでたしで断絶せずに、ゆるやかな余韻を残すものばかり。もっと窪さんの本を読みたいと思います。

  • 「小説で誰かを救う。そんな大それたことは言いづらい。だけど、それに本気で挑戦している作家は確かにいるのだと、窪美澄を読むといつもそう思う」(朝井リョウ)

    この帯に頷く。
    著者の窪さんにそういう意識があるのかどうかは、分からないけれど。

    どこにでもある家族を描いた五編の短編集。主に若い夫婦で、まだ小さい子どもがいる。
    ママ友との付き合い、義父母との関係、仕事と育児の両立、そんな中でぎくしゃくしていく夫婦関係。
    小さないさかいから深まっていく溝。順調に育たない子どもに対する不安。ママ友に対する変な見栄。
    生々しいそれらのことを、妻、夫、子ども、色んな視点から描いている。

    これは恐らく、そういうことで悩んでいる最中のお父さんやお母さんが読めば、多少なりとも救いになるのではないかと思った。力を抜いて、自分らしく、という簡単そうで難しいこと。

    個人的には「うわーママ友ってめんどくさ」と思ってしまったんだけど。笑
    自分だけなら嫌われても仕方ないかな、と思えることも、自分の振る舞いによって子どもにまで影響するかもしれないと考えると、そう簡単な話ではない。

    すべてのお話共通して、ラスト辺りでほろりと泣きそうになった。
    窪美澄さんの小説はいつもそう。愛があって、血が通ってる。

    タイトルの理由に気づいた時唸った。
    こういうタイトル、好き。

  • 5種類の植物をモチーフに、子どもを同じ幼稚園に通わせている家族というテーマでまとめられた、家族(もしくはその一員)の再生を綴った5編の短編集。

    まず、角田光代?と思ってしまった。それくらい雰囲気も描写も似ている。それほど目新しくもないと言ってしまえばそれまでだが、とてもリアリティがあって揺さぶられるものがあり、ちょっと泣けてしまった。最終編の「かそけきサンカヨウ」がとてもいい。

    好きな作家のひとりだが、障害児が登場する「ゲンノショウコ」は、丁寧に取材したうえでの作品なのだろうけれど、結局は外から見た障害児とその家族という感じがして…。身近に彼らを見ている身としては、なんとなく違和感を覚えたことは否めない。何がどうとはうまく言えないのだけれど。

  • 待ちに待った窪さんの新作。

    図書館の順番待ちを
    歯がゆく思うのは久しぶりでした。

    読み終えて。。。
    表紙の意味する切迫感が分かって
    本を持つ手に力が入りました。

    短編から、一つ一つに見える
    人間のもう一つの面。
    いつも通り底なしで、
    ぬかるみしかないような
    焦燥感を覚えます。

    希望の見える物語に越したことはない、
    けれど希望が見えるまでの手探りや
    もがく様を、ここまで文章から
    表現されると
    結末に希望が描かれていなくとも
    何とかなるんじゃないか、と
    意識するのです。

    そう思ったのは初めてで
    不思議な読後感。

    窪さんは一般的に
    性描写が多いのですが
    今回は少ないので
    今まで苦手だった方にも
    文章を読む、という意でお勧めです。

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