水やりはいつも深夜だけど

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1794
感想 : 254
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041021347

感想・レビュー・書評

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  • 全ての話が全部綺麗に終わるわけではないけれど
    主人公1人1人の煮え切らない思いと、
    曖昧さが伝わって涙してしまう。
    ハッピーエンドではないけれど、
    それが逆にリアルな生活を表している

  • 不器用で拗らせた人の周りにいる人間の優しさに感動した。

  • <ちらめくポーチュラカ>
     周りとの関係の構築を苦手とする主人公が、幼稚園でのママ友たちとのコミュニティでなんとかやっていく話。
    有くんがいなくなった件で自身の過去の再認識をするシーンは、中々上手くいかない現状に対する答えを模索する中で、乗り越えられない過去を自分にとって都合の良い解釈をしたように見受けられたが、十字架から逃れたいと願う人間の心理をついている描写だと思った。
    <サボテンの咆哮>
     自分が無邪気に公演で遊んでいるのを見つめていた父は、このようなことを考えていたのだろうか。
     自身の不器用さゆえに早紀に抱え込ませてしまった過去が、早紀だけでなく義両親に対しても寛容にならざるを得ない状況を作り出してしまった。そのストレスが溜まっていく過程は、どうも見るに堪えない。とりあえず義両親は図々しいので退場してください
    <ゲンノショウコ>
    障害のある子供がテーマになっている。こういったテーマにも切り込んでいけるのか。
    時に残酷でもある純粋さが、主人公の心の壁を容易く乗り越えてゆく。あまりに剥き出しの心に涙腺がやられました
    <砂のないテラリウム>
    浮気男○ね
    <かそけきサンカヨウ>
    実の母の描くサンカヨウが重ねるものが、自分のことではなくなってしまった現実に衝撃を受けている描写が辛い。
    「美子さんのことを全部知ったわけではないけれど、もっともっと、透明になりたいと、私は強く思った。美子さんのように。もっともっと透明で、強い女の人に。」
    今まで家の家事をほぼ全てやってきた陽は、そうしてくれたかどうか記憶はないが、自分を産んだ母のようになりたいと、願っていたのだ。普通の家族になりたかったのだ。普通って?血が繋がっているかどうか気にしてしまう自分は良くないんだろう。それを乗り越えていけるのは、透明さなんだろう。美子さんのような、透明な女の人。陽のなりたい存在が美子さんへと変わったことでようやく彼女の思い描く家族の形は輪郭を帯び始めていく。

  • リアルな日常の1ページ。各話の主人公の心の変化がよく分かり、前向きに進んでいくんじゃないかな?と思わせてくれる結末はとても心地よかったです!
    どの話も重すぎず、軽すぎず。とても楽しめました!

  • すっきり解決とならないところがリアル。問題も解決も、受け取り方や考えよう次第のところがあるから。
    未就学児がいた時に読んでいたら、逆に辛かったかも。あの頃はとにかく優しくされたかった!現実を忘れたかった!
    降園後、子どもを友達の家に預けて自分は自宅で寝てる、を繰り返すママは、そりゃ裏で何か言われるよなーとしか思えない。

  • 2020.6.4 読了


    短編集。

    とても読みやすかった。
    夫婦の間のありそうな話だったり、
    ママ友間のありそうな話だったり。。。

    「ゲンノショウコ」と「かそけきサンカヨウ」が
    ちょっとグッときちゃいました。


  • 記録

  • タイトルに惹かれて読んでみた。
    日々の生活の中に織り込まれた些細な疲れや悩みが
    自然に織り込まれて描かれている。

    どちらかと言うとネガティブな読後感になる小説なのだろうか
    と読みながらドキドキしていたが、そんなことはなく、
    むしろほっとできるものでその点もとても良かった。

    ごく個人的には、そんなに信用ならないご近所さんというリア友に
    自分のブログを知られたら自分なら削除してしまうなと思った。
    さきは岐阜まで会いに行かないのかというのももやっとした。
    どんな子供が生まれてもおれたちの子供だろ というのは
    とても模範解答ではあるのだが、産む女性とそれを待つだけの男性とで
    感覚が異なるのではないかと改めて思った言葉だ。

    それぞれの家族がとてもリアルな描写に感じる。
    外から見れば些細なことでも、一緒に暮らしているからこそ
    重たく沈んでしまうことというのもある。
    男女共に、この中の登場人物の誰かには共感してしまうのではないだろうか。

  • 短編集。
    それぞれの話の女の人に共感できる部分があって胸が痛くなって涙が出ることも。
    男脳女脳ってこういうことなのかなぁ、とか現代の女の人ってこうなのかなぁ、とか色々考える。
    ちょっと歯車がズレただけで、今の暮らしが変わってしまう。毎日を大切にしなきゃいけないと思った。

  • 思い通りにならない毎日、言葉にできない本音。ごく普通の家庭の生々しい現実を書いた5編の物語。「ちらめくポーチュラカ」「サボテンの咆哮」「ゲンノショウコ」「砂のないテラリウム」「かそけきサンカヨウ」収録。

    読みやすい文章で日常の些細な事を、平坦に見える生活の中に見える本当にさざ波をうまく表現する作家さんだなぁ…と思いました。外から見える自分、ママ友との付き合いに悩む女性、産後鬱、発達障害への不安など重い題材を扱った話もありましたが、どれも必ずしも暗いわけではなく最後は前向きであったりして終わり方が絶妙。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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