信長死すべし (角川文庫)

著者 : 山本兼一
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年12月25日発売)
4.10
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  • 25レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041021682

信長死すべし (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • これまでに何度となく本能寺の変に関する本は読んできたので、もういいんじゃないかと思っていましたが、作者が「利休にたずねよ」「火天の城」の山本兼一であり、しかも昨年秋か冬に亡くなったということも知っていたので、読んでみました。

    長い戦国時代を統一した信長については、その強烈な個性により、多くの人物が「信長死すべし」と願っていたでしょうが、その中でなぜ忠誠心厚く、信長に最も信頼されていた光秀が討ったのか、その動機については諸説あり、ここでは正親町帝(おうぎまちてい)の陰謀説に則った話でした。

    つまり、この日の本の国を支配しているのは帝であり、朝廷である。しかるに、信長はその帝からの官位を全く受けず、朝廷の意を組まぬばかりか、自らが神となってこの国を統治せんとしている。しかも日ごろの言動を聞いていると、いずれ朝廷を亡きものにしようと企てているのは明白。誰ぞ帝に替わって成敗せよ!。

    という正親町帝の勅を光秀が拝受し、皇軍として信長を討つという話です。

    しかしもちろん、光秀が皇軍であったという史実は見つかっておらず、その矛盾を作者の山本兼一は、朝廷側の巧みな光秀説得で、「皇軍」であることを直接言葉にせず、されど皇軍と思わせる工作を行い、見事光秀をその気にさせた、という話で纏めています。

    その朝廷の工作が、あの有名な「ときは今、天(雨)が下しる 五月哉」の句で、これは一般的には光秀が本能寺の変の前に詠った連歌の初句とされていますが、これが帝からの勅であったという話になっておりました(光秀の一族である土岐氏が今から、天下を治めよ、との意味)

    帝の勅を受けたと確信した光秀は、見事本能寺で信長を討伐しますが、ご存じのように信長の亡骸が見つからない。物的証拠がないため、万が一信長が逃げ延びた場合のことを恐れた朝廷は、光秀と約束していた「征夷大将軍」の官位を与えることをしなかったばかりか、「勅など出していない」と光秀を突き放すことに。

    このへんの光秀と朝廷とのやり取りは、朝廷のおとぼけぶりが見事で、「朝廷には鵺がいる。いずれ成敗せねばならん」と言っていた信長が正しかった、と泣く光秀が誠に哀れであります。結局皇軍とは認められなかった光秀の元には、誰も援軍として馳せ参じることもなく、中国大返しで帰ってきた秀吉軍に、あっけなく敗れて散っていきます。

    登場人物としては、正親町帝、明智光秀を始め、徳川家康、近衛前久(これが光秀説得の首謀者)、吉田兼和(これが朝廷おとぼけ役)、里村招巴(これが帝からの連歌を光秀に渡す)等が登場し、帝の信長への怒りや、家康の信長への恨みや、前久の光秀へのドキドキ説得工作や、主君を裏切る光秀の心境、朝廷に裏切られた光秀の心境など、見事に描かれていて、読み応え充分。本能寺の変を知り尽くしている人にもお勧めできる内容でした。

  • 本屋で「利休にたずねよ」を超えた!とPOPを見て、「利休にたずねよ」が好きな私としては、イヤイヤあれを超えるのはそう難しいだろうと訝しく思いながらも、読んでみる。
    一ページ目から面白い予感。帝、信長、その周りの人物と目線を切り替えながら、信長死すべしに向けて話は進む。

    他では明智光秀は良い扱いされていないが、なるほどなと、この流れに納得する。紀元前から続いてきた帝の流れを守ったものとしてみると、私の中でも英雄になった。

    人物が切り替わりすぎて、付いて行きずらい感はあり、「利休にたずねよ」は超えてないだろと思うが、歴史的好奇心がくすぐられ楽しい一冊。

  • お話の中心となる人物が一章ごとに変わるんで、本能寺の変っていうひとつの出来事をいろんな角度から見られるのは面白かったかな。
    ただ、まぁ キモとなっているのが朕だの麿だのだからかな~ 勢い良く読破って感じでは頁が捲れない。
    で、まったり速度で読んでると、お武家さんがたのスピードに置いてかれちゃいそうになる。
    「置いてかれた」と言えば、最後の最後。
    明智さんとシンクロできる豊かな感性を持ち合わせていれば、余韻が楽しめるかもしれんけど私には無理やったです。
    ぃやぁ 現代に生きている私でさえそんな感じなんだも、当時の殿上の方々には尚更、信長さんの急進っぷりったら脅威やったやろなぁ。

    それにしても本能寺の変に於ける明智さんは巻き込まれ?やら利用され?やら説が多いのね。
    もし私が明智さんやったら、せめて首謀者だと思われてたいなぁ。
    気の毒な共犯者より、天下の大逆人でありたいなぁ。
    お世話になった人を手にかけんだも、せめて誇りをもってそうしてないと堪らんなぁ。

  • 結末は分かっているのに、光秀が気の毒で最後が近づくにつれ読むのが辛くなった。御公家さんて、何でこんなに嫌らしいかな。

  • ストレートで思い切ったタイトル。
    内容も、これ以上ないほどに面白く読みやすい。

    本能寺で時の天下人・織田信長が部下の明智光秀に討たれたことは、歴史に疎いサブロー(誰!?)でも知っている大事件だが、真相は、とくに、光秀が信長を討ち果たす決心をした理由については謎のままだ。
    光秀が信長に猛烈なパワハラを受けていたらしいことは、目撃証言などもあるようだが、それだけでどうかな?という思いは多くの人が感じると思うし、毛利攻めに関してないがしろにされたから、とか、秀吉が仕組んだ説などと、どんどん新説も出てくる。

    この本はシンプルな組み立てだが、1章ごとに中枢人物の心理が深く書きこまれていて、読み進むごとに、「もうこれしかあり得ない」と思えてくる。
    結末は分かっているのに、手に汗握ってしまうのだ。
    そして、信長の末路についても、資料にある以上のことを創作していないにもかかわらず、「これが真実」と納得してしまう。
    信長の遺体は発見されなかったし、首も上げられていない事から、今でも、実は逃げのびた説があるが、「織田信長」という武将が、その後の歴史についぞ登場することが無かったのも事実だ。

    そして、「本能寺の変」は、「戦国時代の終わり」の始まりでもある。
    明智光秀が天下平定に大きく貢献したことは間違いないと思う。

    信長は確かに、それまでの、「領地を手に入れて年貢を取ることだけがまつりごと」だと思っている、いまだ鎌倉気質の武士たちとは違い、グローバルな視点で日の本の未来を考えていた、むしろ時代にそぐわないほどの先進的人物だった。
    物事にこだわらなさすぎたために、「朝廷?あん?別にそんなののなくても日本は治まるでしょ?」と考えて、こういう事態になったのだ。
    いろいろあって(笑)、戦国は徳川の手で終わりを告げた。
    信長が構想した様な世の中にはならなかったが、とりあえず260年は平和が続いた。
    信長が夢見たような自由貿易がおこなわれ、朝廷が日本のまつりごとに口をはさむことが(法的に)出来なくなったのは、更に更に後の事…
    と思うと、やはり信長は先進的すぎたのだろう。
    あの時代には存在できないほどに。
    ゆえに「信長死すべし」とあいなったのだ。
    非常に納得できた作品だった。
    それとともに、これほど明智の無念が胸に染みたこともない。

  • 2017/1/8

  • 本能寺の変に至るまでの朝廷の働きかけが印象的。

  • 本能寺に向かって、多視点で描かれ、次第に緊張感が高まっていった。

  • 歴史に忠実、のような気がする。

  • 山本兼一さんが本能寺の変について書いた本です。

    本能寺の変については諸説ある中、この本ではいわゆる朝廷陰謀説となっています。
    が、正親町天皇の関わり方がちょっと他と違います。

    ただ、朝廷のやり口がうまければうまいほど、名将である明智光秀がアホに見えてくるのでそのバランスが難しいなと思いました。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-a879.html

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