終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (2) (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041022702

作品紹介・あらすじ

口コミからの大ブレイク! アニメは国内外でも話題騒然!!

「受け入れなさいな。あの子たちは、もう、どこにもいないのよ」
妖精兵であるクトリたちが決戦に赴いてから半年。彼女たちはまだ、戻らない。
次代を担う妖精兵である少女・ティアットを連れ、11番浮遊島へ適性検査に向かったヴィレムは、そこで「決戦敗北」の報を受けるが……。
《人間》に代わり《獣》を倒し、死にゆく定めを負った少女妖精たちと、たったひとり生き延びた《人間》の青年教官の、儚くも輝ける日々。第二幕。

感想・レビュー・書評

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  • 1巻のレビューを書いてから約1年半が経ち、ようやくこの2巻のレビュー。そして相変わらずのタイトルとの落差……。
    アニメ版を観ているので、話の流れは大体分かってはいるものの、それでも切ない気持ちになります。

    地上世界が「獣」と呼ばれる謎の生物に支配されたため、空中に浮かぶ浮遊都市に逃げた生き残った人々。
    しかし獣は時折その浮遊都市近くにも姿を現し、彼らを倒せる武器を使えるのは「妖精族」である一部の少女たちだけ、という世界観のファンタジー。

    獣との戦いのため死ぬ覚悟を決めつつあったクトリという少女。そんな少女が出会ったのは、人間種族として唯一の生き残りとされるヴィレムという青年でした。そしてクトリは徐々にヴィレムに惹かれていくものの……

    戦いのため自分の命がどうなるか分からない。だからこそクトリの恋愛感情は、どこまでも真っ直ぐに描かれます。
    「遠回しなやり方はしない」そう語るクトリの心情は本当に意地らしいな、と思う反面、その裏には、明日がどうなるか分からない、そうした悲壮な考えがあるからこその言葉なのだと思うと、また切なくもあり……

    そしてヴィレムの想いもまた切ない。かつては地上で戦いつつも、今は少女たちに戦い方を教えるくらいしかできず、戦いに向かう彼女たちをただ待つことしかできない。そうした心の揺れが、しっかりと描かれます。

    そして妖精たちを待つのは、戦いの過酷さだけではありません。この巻になって新たに明かされる妖精たちの真実は、戦いの結果うんぬんを超えた残酷なものでもありました。
    クトリが脈絡のないイメージに囚われていく描写は、読んでいるこちらも不安になるような不気味さと、戻れないところに進み始めている、という予感を抱かせます。

    人類が(ほぼ)滅亡し、妖精やゴブリン、トロール、あるいは獣人といった種族が暮らすという世界観なのですが、彼らの文化や政治といったものが、正義のありかたといった深遠なものを浮かび上がらせているのも、また好印象。
    大筋のストーリーは悲恋ものなのですが、世界観はタイトルに合わず(?)きっちり練られている印象なので、細かいエピソードもしっかりと読ませます。

    最近のラノベレーベルのファンタジーシリーズには珍しい、しっとりと展開する作品。この後の展開も既に知っているのですが、それでもやはり読み込んでしまいます。

  • ヴィレムはみんなから愛されてて、読んでてほっこり。基本的には待ってる側の物語なのに、ここまでしっとりさせるのは、とても良い。地上には何やら秘密がありそうだけど、主人公然してない主人公はどうなるのだろうか。ぜひ、続刊を出して欲しい。

  • 【電子書籍・再読】出撃したクトリたちを待つしかないヴィレムは、成長の兆しを見せたティアットを検査するため、11番島へ引率することに。そこで待っていたのは軍がが敗北したという知らせだった…。始まる前世の侵食。愛する彼の元に帰り共にありたいと願い力を使うほど、死に近づくクトリの苦悩に胸を掻き毟られます。一方、ヴィレムはかつての仲間スウォン、かつて倒したはずの<三柱の地神>の1つ黒燭公との再会。そこでのヴィレムの選択は…。終末に向けて動き出した歯車はもう止まらない。まずは再会した2人の平穏な日々を願うばかり。

  •  ただ待つだけの立場に立たされて、ヴィレムの不安が抑えられなくなっていたのが、前巻の終わりと対照的で印象に残りました。
     けれど、11番浮遊島では結局「おかえり」を言えず、妖精倉庫ではクトリの侵食が始まってとすれ違いが続いたままでやきもきしました。
     最後にクトリが起こした奇跡にどんな代償がついてまわるのかが不安ですが、無事約束を果たせそうで安心しました。

  • 前巻時点ではクトリ出撃について余裕な態度を崩さなかったヴィレム。だというのに第二巻では半月経っても戻ってこない状況に遂に弱音を上げたようで(笑)

    ヴィレムって養育院で父親代わりをしていた過去や、復活後の死んだような生活、そして今は妖精倉庫の管理人として過ごしているせいも有ってか物事を斜めに見て何事にも動じない姿勢を見せるんだけど、芯の部分は普通に弱いんだよなぁと思い知らされる描写。
    ナイグラートが分析しているように自分が冷静になれる要素がある状況なら虚勢を張れるんだけど、そうでなければとことん駄目になってしまうタイプ。思い出せば復活後に何も考えなくて良いように重労働ばかりしていたのはそういう背景が有ったのか

    そして思わぬ所で再会してしまったヴィレムとクトリ。ヴィレムさん、突然クトリが目の前に現れたからって超絶技巧を披露してまで抱きつかないでください(笑)
    もうこの行動だけでヴィレムの中でクトリがどれだけ大きい存在になっているか伝わってくるというもの。だというのに少し落ち着いたらいつものクールぶった態度に戻ってしまうのだから面白い。ヴィレムってどうしてこう素直になれないのだろうね
    ただ、今回はその素直さを表に出せない失態はクトリにも言えるのだけど。
    互いに素直になれないまま、「おかえり」も「ただいま」も言えずにいたら妙な事件に巻き込まれて更にヴィレムは寄り道することになって
    本当にこの二人はもどかしい

    ただ、この二人が素直になれないのって境遇に因るものが大きいから仕方ない部分もあるのだけど
    ヴィレムは一度全てを失った人間。だからもう一度大事なものを抱えることに怯えてしまっている
    クトリは遠くない未来に終わりが訪れる妖精。ただでさえ重たい身の上だからこれ以上相手の負担になるようなことは避けたいと思っている
    そんな二人だから言いたいことも言えない。伝えたいことも伝えられない。というより、伝えなければいけないのだという認識が薄くなってしまう

    特にクトリはヴィレムと再会するためにあまりに大きすぎる犠牲を支払ったというのにね。同時にそこに存在する純愛があまりに眩しすぎて……
    この時のクトリの決意を知ったらヴィレムは今までのようにクトリを子供扱いするなんてできなくなるんじゃなかろうか?


    クトリ達のために、過去を取り戻すよりも現在を優先することを選んだヴィレム
    ヴィレムと居るために未来を犠牲にして現在を優先したクトリ
    どちらも最終的に選んだものは同じはずなのに、二人の先に待ち受けているであろう試練があまりに過酷すぎて……
    もしかしなくてもクトリが人格破壊後に見た子供ってあのエルクですよね……

  • いろいろ設定を明らかにしつつ、最後まで展開が読めなんだとこが良かった。

  • 揚げた羊肉と刻んだ芋を、たっぷりの大葉野菜で包んだもの
    『包み羊(ラップドラム)』
    美味そう。
    作ってみたい。
    ただ、ホットドッグみたいにパンで挟んでるわけじゃないから、野菜でちゃんと包まないと食いづらそう。
    野菜は何使えば良いかな。オーソドックスにレタス?

  • 春アニメ1話を観て原作本をまとめ買い。読了。アニメとはバリアントがあってアニメ観ても楽しめる。

  • 相変わらずの引っ掛かりのなさ…ほんと勿体ない。あと1歩踏み込めれば号泣できそうな感じなのに。

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著者プロフィール

2002年にPCゲーム『Wind -a breath of heart-』のノベライズで富士見ファンタジア文庫よりデビュー。代表作は「銀月のソルトレージュ」(富士見ファンタジア文庫)、「終末なにしてますか?」シリーズ(角川スニーカー文庫)。PSPソフト『サモンナイト5』(2013年)のシナリオを担当するなど、多方面で活躍。

「2022年 『砂の上の1DK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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